☆☆☆ 健康情報 ☆☆☆


 東G会(Ctrl)  同窓会G(Shift)  Menu
  山中伸弥氏 による 『新型コロナウイルス』情報

  ★ 50音別 索引による検索


 ◎ 検索移動部分からページの最上行に戻るには: キーボードの "↑" キーを押してください。

  ★ 健康情報のキーワードによる検索

  ■■ 下の検索ワードにカーソルを合わせ、文字が赤くなったらクリックしてください
                
 歩き始めの膝の痛み  アルツハイマー  アルミニウムについて  アレルギーについて  息切れについて
 インフルエンザについて  運動器症候群  黄斑変性症  かかと落とし体操  過換気症候群
 肩こり2  肩こりについて  からだがだるい  からだのゆがみ 眼精疲労について
 乾燥肌  がん予防  胸部出口症候群  狭心症  ギランバレー症候群
 筋肉について  頸椎後縦靭帯骨化症  頚椎椎間板ヘルニア  血管について  下痢について
 健康寿命  倦怠感  高血圧 高血糖  甲状腺機能低下症
 更年期障害  抗老化スイッチ  ゴースト血管  骨芽細胞 骨粗鬆症
 コレステロール値調整  コロナウィルスについて  座骨神経痛  サルコペニア  シアル酸
 幸せホルモン  耳石 自然気胸  手根管症候群  循環機能低下
 食中毒  自律神経について  新型「栄養失調」  心筋梗塞について  腎臓病について
 心不全パンデミック 睡眠不足  頭痛について  脊髄空洞症  脊柱圧迫骨折
 脊柱管狭窄症について  足根管症候群  足底腱膜炎  大腸がんについて  大腸がん
 体内時計について  体内時計について  第二の心臓  第二の心臓  代謝異常について
 多発性硬化症  肘部管症候群  長寿ホルモン  痛風  疲れ目
 手足のしびれについて  動悸について  糖尿病予防  動脈硬化  内臓脂肪
 難聴について  なんとなく肌がかゆい  認知症  脳梗塞(2)  脳梗塞について
 脳出血  脳腫瘍  バージャー病  肺炎について  白内障について
 肌のかゆみ  パニック障害  ヒートショックプロテイン  冷えについて
 ビタミン不足  頻尿について  フィトケミカル  不整脈について  不定愁訴について
 不眠について  ホルモンについて  フレイルについて  不老長寿の薬  閉塞性動脈硬化症
 変形性股関節症  変形性膝関節症  片頭痛
 便秘について  見えずらい
 見えずらくなった  味覚障害について  味覚障害  ミネラル不足  ミネラル不足?
 耳鳴り  耳鳴りについて  めまいについて  免疫力アップ食材  免疫について
 網膜剥離  腰椎すべり症  腰椎椎間板ヘルニア  腰痛について  腰部脊柱管狭窄症
 緑内障  老化  老化の原因 活性酸素 老眼について
 ロコモティブシンドローム(運動器症候群)

≫戻る
























  *** 50音別 索引による検索 ***


 健康情報キーワードで検索  Top

   ≪か≫  ≪さ≫  ≪た≫  ≪な≫   ≪は≫  ≪ま≫  ≪や≫  ≪ら≫  ≪わ≫   *** ページトップ ***

≪あ≫

 アルミニュウムとアルツハイマー病  歩き始めの膝の痛み  アレルギーについて  息切れ  インフルエンザについて
 一過性脳虚血発作  胃の不調  うつ病  栄養失調  黄斑変性症

≪か≫

 かかと落とし体操  眼精疲労  がん予防  肩こりについて  肩こり2
 過換気症候群  からだのゆがみ
 乾燥肌  眼精疲労について  狭心症
 胸部出口症候群  逆流性食道炎  ギラン・バレー症候群  筋肉について  頸椎後縦靭帯骨化症
 頚椎椎間板ヘルニア  血管について  下痢  健康寿命  倦怠感
 高血糖  高血圧  更年期障害  甲状腺機能低下症  抗老化スイッチ
 ゴースト血管  骨粗しょう症  骨芽細胞  コレステロール値調整  コロナウィルスについて

≪さ≫

 座骨神経痛  サルコペニアについて  幸せホルモン  耳石  自然気胸
 しびれ  心筋梗塞  自律神経  食中毒  心不全パンデミック
 シアル酸(不老長寿薬)  腎臓病  睡眠不足  頭痛  手根管症候群
 循環器機能低下症  脊髄空洞症  脊柱圧迫骨折  脊柱管狭窄症について  足根管症候群
 足底腱膜炎

≪た≫

 代謝異常  大腸がん  体内時計について  第二の心臓  多発性硬化症
 肘部管症候群  長寿ホルモン  痛風  疲れ目  低カルシウム血症
 動悸  糖尿病  動脈硬化

≪な≫

 内臓脂肪  難聴  なんとなく肌がかゆい  認知症  脳梗塞(1)
 脳梗塞(2)  脳出血  脳腫瘍

≪は≫

 肺炎  白内障について  バージャー病  肌のかゆみ  パニック障害
 冷え  フィトケミカル  ヒートショックプロテイン  ビタミン不足  頻尿
 不整脈  不定愁訴  不眠  フレイルについて  不老長寿の薬
 閉塞性動脈硬化症  変形性股関節症  便秘  片頭痛
 ホルモンについて

≪ま≫

 目まい  見えずらい  味覚障害  耳鳴り  ミネラル不足?
 免疫力アップ食材て  免疫について  網膜剥離

≪や≫

 腰痛  腰椎すべり症  腰部脊柱管狭窄症  腰椎椎間板ヘルニア

≪ら≫

 緑内障  老化  老化の原因 活性酸素  老眼について  ロコモ・・ 運動器症候群

≪わ≫


≫戻る




















ヒートショックプロテインについて

ヒートショックプロテインとは

 しおれたレタスを50度のお湯にしばらく浸けていると、シャキッとよみがえってくることをご存知ですか?
 これと似た現象が、肌にもあります。

 それは、「HSP(ヒートショックプロテイン)」です。
 自らの力で私たちの肌を守ってくれるタンパク質であることから、私たち再春館製薬所では「ブレーキタンパク」とも呼んで
 います。

 実はこのHSPにはたくさんの種類があり、私たちは、その中でもいくつかの代表的なHSPに注目しています。

どうやって見つかったの?

 まず始めに、このHSPは、どのように見つかってきたのでしょうか?
 発見されたのは1960年代。

 Heat Shock Proteinは、その名の通り細胞中で熱によって増えるタンパク質として発見されました。
 その後、様々な研究からHSPにはたくさんの種類があることが明らかになり、HSPファミリーと呼ばれるようになりました。

 さらにある種のHSPは、サーモトレランス(熱耐性)効果を持つ事が分かり、これまで注目されてきたのです。
 通常は25℃で培養する酵母を、一気に50℃の環境に移すとほとんど死んでしまいます。

 しかし、いったん37℃に移すことでHSPを増やした酵母では、50℃に移動すると、細胞死がほとんど起こらないことが分かりました。
 このように熱ストレスに対して、細胞を強くする働きがサーモトレランス(熱耐性)効果です。

 また近年は、熱ストレスだけでなく、様々なストレスに対しても、HSPは細胞を強くすること、すなわち、私たちの体を守っ
 てくれることが明らかになってきました。

HSPファミリーはタンパク質の「品質管理役」!?

 様々なストレスから、体を守ってくれるHSPファミリー。
 それではいったい、どのような働きで守ってくれるのでしょうか?
 これまでの数十年に渡る研究のおかげでHSPファミリーは、タンパク質の「品質管理役」を担っていることが分かってきました。

 通常、タンパク質がきちんと働くには、「正しい立体構造」を保つことが重要です。
 しかし、紫外線や物理的刺激などの様々なストレスによって、タンパク質はその立体構造が崩壊し、うまく働けなくなってしまい
 ます。

 そんな時、HSPファミリーはタンパク質を元の構造に戻してくれるのです。
 また、どうしても戻せない場合は、他のタンパク質の邪魔をしないように、壊れたタンパク質を壊す手助けもしてくれます。

 私たちの体は、どこかの働きが悪くなっても元に戻そうとする力が働きます。
 このような働きは、「自己回復力」や「根本力」と表現されることもあります。
 タンパク質の品質管理を行う「HSP」は、人間が本来持つ「根本力」を担うタンパク質だと考えることができます。

私たちの体を守ってくれるHSP

 タンパク質の品質管理役として働くHSP。
 このHSPには、HSP32、HSP47、HSP70など様々な種類があることが知られています。

 HSP70は細胞を守る働きが強く、心臓や消化器、肺など、様々な臓器を守ることが報告されていました。
 そこで私たちは、このHSP70が肌も守っているのではないかと考え、熊本大学と共同研究を進めてきました。
 そして数年間にわたる研究の結果、HSP70が肌においてシミやシワを防いでくれることを明らかにしたのです。

ヒートショックプロテイン入浴法

 病気の予防や疲れた体を元気にする方法を調べているとヒートショックプロテイン入浴法という入浴方法がありました。
 ヒートショックプロテイン(HSP)とは様々なストレスから守ってくれるみんなが持っているたんぱく質のことです。

 健康状態に十分に気を付ける必要がありますが日頃の入浴に少しプラスすることでHSPを自身で増やし免疫力の向上やウイルス
 への対策、病気の予防や美肌へつなげ、健康に役立てる事ができます。

入浴方法

 1.40℃?42℃のお湯に20分ほどつかる
 2.体温が38℃になるのが理想
 3.10分?15分、体を保温する

≫戻る

食中毒について

食中毒とは

 食中毒とは、有害物質に汚染された飲食物を口にすることでさまざまな健康被害を受ける病気のことです。
 食中毒の原因は主に細菌とウイルスですが、非常に多くの細菌とウイルスが食中毒の原因となり得ます。

 また、自然界のキノコや植物に含まれている自然毒、魚介類や肉類に潜んでいる寄生虫が原因となることもあります。
 症状や流行時期、対策、治療法などは原因物質によって異なるため、その時期に流行する食中毒の種類や特徴を把握することが
 大切です。

原因

 食中毒の原因は、大きくわけて4つあります。
≪細菌性食中毒≫
 種々の細菌に汚染された飲食物が原因となります。

 主に高温多湿な夏に流行します。
 細菌性食中毒には、原因菌によって症状を引き起こすメカニズムが異なり、細菌自体が細胞に侵入して症状を引き起こす細胞侵入型と、
 細菌が毒素を産生して、その毒素が症状を引き起こす毒素産生型があります。

 それぞれの原因菌は以下の通りです。
 ・細胞侵入型: 腸炎ビブリオ/病原性大腸菌/サルモネラ/カンピロバクターなど
 ・毒素産生型: 黄色ブドウ球菌/腸管出血性大腸菌/ウェルシュ菌など

≪ウイルス性食中毒≫
 ウイルスに汚染された飲食物が原因となります。
 冬に流行することが多いです。

 もっとも多い原因ウイルスはノロウイルスであり、ノロウイルスによる食中毒は全食中毒のなかで最も患者数が多く、2016年
 には全国で一万人以上が健康被害を受けています。
 他には、サポウイルスやアデノウイルスなどが原因となることがあります。

≪自然毒中毒≫
 自然界に存在する毒素が原因となります。

一年を通して発生し、キノコ毒は特に9、10月に発生が集中します。
 動植物に含まれる自然毒にはさまざまなものがありますが、日本で特に多いのはフグ毒とキノコ毒によるものです。

 植物性自然毒でもっとも多いキノコ中毒は、カキシメジやツキヨタケ、ベニテングタケなどが原因となり、有害なキノコと知らずに食べ
 て中毒を起こすことが多いです。

 動物性自然毒であるフグ毒は、一般に卵巣や肝臓、腸などに存在し、食品衛生法に基づいて適切に処理されるため、通常は人に提供され
 ることはありません。
 しかし、取扱業者が適正に処理しない場合には提供されてしまうこともあります。

≪寄生虫感染≫
 魚介類や肉類に潜む寄生虫が原因となります。

 一年を通して発生します。
 日本で多いものはヒラメに寄生するクドアとサバなどの青魚に寄生するアニサキスです。
 これらを生食することで寄生虫が胃や腸の壁に食いつき、さまざまな症状が引き起こされます。

症状

 食中毒の症状は原因物質によって大きく異なります。
 また潜伏期間もさまざまで、飲食をしてから発症までに10日ほどかかることもあります。

 そのため、食中毒と気づかれず、適切な対策が講じられないこともあります。
 これは、感染を拡大させることにもつながるので、注意が必要です。

細菌性食中毒

 毒素産生型のなかでも体内に侵入する前から毒素を産生するタイプの黄色ブドウ球菌は潜伏期間が短く、細胞侵入型は発症までに
 時間がかかることが特徴です。

 多くに共通する症状としては、下痢で発症することが多く、嘔吐や発熱は原因菌によっては軽度なこともあります。
 症状の程度はさまざまで、高度な脱水や敗血症になるような重症例もあれば、数回の下痢のみしか起こらない軽症なものもあります。

 特に、重症例として注意すべきものは腸管出血性大腸菌による食中毒です。
 激しい下痢から始まり、数日で血便が出るのが特徴です。
 子どもや高齢者などの抵抗力が弱い人は10%程度の確率で溶血性尿毒症症候群や脳炎などの重篤な合併症が生じます。

ウイルス性食中毒

 原因ウイルスによって重症度は異なりますが、症状はほぼ共通しています。
 初発症状は嘔吐が多く、下痢や腹痛、発熱などの急性胃腸炎様の症状が生じます。
 通常は1〜2日で自然とよくなることが多いですが、抵抗力が弱い人は重症化したり、症状が長引いたりすることがあります。

自然毒中毒

 自然毒の種類によって症状は大きく異なります。
 一般的に神経刺激症状や麻痺、臓器障害が多く見られます。
 キノコ毒は、症状によって錯乱型、多臓器障害型、胃腸障害型にわけられ、多臓器障害型は予後が悪いとされています。

寄生虫感染症

 もっとも患者数が多いクドアは、一過性の嘔吐や下痢が生じるのみですが、アニサキスは激しい腹痛や嘔吐、下痢などを生じ、
 しばしば急性腹症と診断されることもあります。

検査・診断

 食中毒の検査を行うには、まず飲食内容や時間、周りに同様の症状の人がいなかどうかの確認が必要です。
 闇雲にさまざまな検査を行っても意味がないので、検査計画を立てるうえでも問診の内容は非常に重要となります。

検便

 細菌性、ウイルス性食中毒ではほぼ全例で行われる検査です。
 便を採取して培養したり、PCR検査をおこなったりすることで原因菌やウイルスを特定することができます。

血液検査

 炎症や脱水の程度、肝機能などの評価を行う検査です。
 食中毒の多くは、急性胃腸炎のような症状がみられるため、ほとんどの例で血液検査が行われ全身の状態がチェックされます。

尿検査

 自然毒は尿中に排出されるため、食事内容の詳細がわからないときは尿検査を行って確定診断されることがあります。

画像検査

 下痢や嘔吐などの急性胃腸炎様症状に対して、腹部に病変がないかを確認するため、超音波検査やレントゲン検査、CT検査
 が行われることがあります。
 また、アニサキスが疑われる場合には、その存在を確認し、胃内から除去するために上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が行わ
 れます。

フィトケミカルについて

フィトケミカルとは

 抗酸化作用や免疫力向上など、健康によい影響を与えるかもしれないと、その機能に注目が集まっている「フィトケミカル」。
 果物や野菜に含まれるビタミンやミネラルなどの栄養素とはまた別の成分で、健康的な食生活を目指すには働きや効果的に摂る
 コツをぜひ知っておきたいところです。

「フィトケミカル」とは、野菜、果物、豆類、いも類、海藻などの植物に含まれる化学成分のことで、具体的には、植物が紫外線
 や有害物質、害虫などの害から身を守るために作り出した色素や香り、アク、辛味などの成分です。

 数千種類以上あるフィトケミカルには抗酸化作用を持つものが多いことから、抗酸化作用による老化予防が期待できるほか、代謝
 の促進、免疫力向上、脳機能の強化などその種類によってさまざまな働きがあると言われています。
 例えば「アントシアニン」「カテキン」「リコピン」など耳にしたことがある成分も、フィトケミカルに含まれます。

フィトケミカルの種類と代表例

 フィトケミカルを大きく分類するとポリフェノール、含硫化合物、カロテノイド、テルペン類、多糖類の5種類に分けられます。
 では、それぞれの代表例や含まれる食品を見ていきましょう。

ポリフェノール

 植物が光合成を行うときにできる物質の総称です。
 植物の色素やアクの成分で、抗酸化作用があります。多くは水溶性で吸収されやすいです。

【代表例】
 ・アントシアニン(含まれる食品:赤ワイン、ブルーベリー、ナス、赤しそ)
  赤や青、紫などの水溶性色素で、目の網膜にあり光を感じる働きを支えているロドプシンという色素成分の再合成を促す働き
  があるといわれています。

 ・イソフラボン(含まれる食品:大豆、大豆製品など)
  女性ホルモンのエストロゲンに似た働きをし、骨粗鬆症の予防や更年期症状の緩和が期待されます。

 ・カテキン(含まれる食品:お茶、紅茶など)
  茶葉に含まれている苦味や渋味の成分で抗菌作用の他、血中コレステロールの低下や血圧の上昇を抑える働きが期待できます。

含硫化合物

 刺激のある香りや辛みが特徴。抗酸化力があるとされ、血行、血流の改善作用や強い殺菌作用による食中毒の予防などが期待で
 きます。

【代表例】
 ・スルフォラファン(含まれる食品:ブロッコリー、ブロッコリースプラウト、キャベツ)
  抗がん作用が期待できるといわれています。

 ・イソチオシアネート(含まれる食品:大根、わさび、からし菜)
  すりおろすなどして細胞が壊れたときに生成される辛味成分で、免疫力の強化や抗がん作用が期待できるといわれています。

 ・アリシン(含まれる食品:にんにく、玉ねぎ、ねぎ、にら)
  切る、すりおろすなどして細胞が破壊される際に生成される香り成分。殺菌効果などが期待できるといわれています。

カロテノイド

 主に緑黄色野菜に含まれている黄色・橙色・赤色の色素成分の総称で、抗酸化作用があります。
 天然の脂溶性色素で、カロテン類、キサントフィル類に大きく分けられます。

【代表例】
 カロテン類
 ・β-カロテン(含まれる食品:にんじん、かぼちゃ)
  黄色または橙色の色素で、夜間の視力の維持や、皮膚や粘膜の健康を維持する働きが期待できます。

 ・リコピン(含まれる食品:トマト、スイカ、あんず)
  赤い色素成分で、血流を改善する働きが期待できます。

 キサントフィル類(含まれる食品:緑黄色野菜)
 ・ルテイン
  黄色の色素成分で、目の健康をサポートする働きが期待できます。

 ・β-クリプトキサンチン(含まれる食品:温州みかん、ぽんかん)
  黄色い色素成分で、高血圧や動脈硬化、糖尿病、骨粗鬆症などの予防効果が期待されています。

多糖類

 炭水化物の一種であり、海藻やきのこ、根菜類に多く含まれています。

【代表例】
 ・フコイダン(含まれる食品:海藻類)
  海藻類のぬめり部分に含まれていて、抗がん作用や血圧を安定させる働きが期待されています。

 ・β-グルカン(含まれる食品:きのこ類)
  免疫力の強化やコレステロール値の上昇を抑える働きが期待されています。

 ・イヌリン(含まれる食品:ごぼう、玉ねぎ)
  血糖上昇の抑制や血液中の中性脂肪を下げる働きが期待されています。

テルペン類

 ハーブや柑橘類などの特有の香りと苦味成分です。
 抗酸化作用や免疫力強化などが特徴にあり、生活習慣病の予防や抗うつ作用などが期待できます。

【代表例】
 ・リモネン(含まれる食品:柑橘類)
  リラックス効果があるといわれている香り成分で、交感神経を活性化させて血管を広げ、血流改善を助ける働きが期待されて
  います。

 ・メントール(含まれる食品:ハッカ)
  香り成分で、免疫力を高める働きが期待できるといわれています。

フィトケミカルを効果的に摂るための4つのコツ

 最後に、「フィトケミカル」を効果的に摂るコツをご紹介しましょう。

1.野菜は皮ごと食べる

 野菜の皮にもフィトケミカルが含まれているため、よく洗って皮ごと料理に使うのがオススメです。

2.カロテノイドは油と一緒に摂る

 カロテノイドのβ-カロテンやリコピンなどは脂溶性のため、油と一緒に摂ると吸収しやすくなるといわれています。

3. 含硫化合物はなるべく加熱せずに摂る

 含硫化合物のアリシンやイソチオシアネート、スルフォラファンは熱に弱いため、これらを摂るなら加熱をせずに摂りましょう。
 ただし、アリシンを含むニンニクや玉ねぎなどの野菜は生で摂り過ぎると胃を荒らす原因になるため食べ過ぎにはご注意。

4.フィトケミカルは組み合わせて摂る

 フィトケミカルは健康によい働きが期待できますが、それぞれが持つ働きが異なるため、単体で摂るよりも組み合わせて摂ること
 で健康へのより一層の影響が期待できます。
 いろいろな食品をバランスよく、しっかりと食べるようにしましょう。

≫戻る

インフルエンザ 『厚生労働省 令和2年度インフルエンザQ&A』

インフルエンザと普通の風邪はどう違う

 一般的に、風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、のどの痛み、鼻汁、くしゃみや咳等の症状が中心で、
 全身症状はあまり見られません。

 発熱もインフルエンザほど高くなく、重症化することはあまりありません。
 一方、インフルエンザは、インフルエンザウイルスに感染することによって起こる病気です。

 38℃以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感等の症状が比較的急速に現れるのが特徴です。
 併せて普通の風邪と同じように、のどの痛み、鼻汁、咳等の症状も見られます。
 お子様ではまれに急性脳症を、御高齢の方や免疫力の低下している方では二次性の肺炎を伴う等、重症になることがあります。

インフルエンザの流行期間

 季節性インフルエンザは流行性があり、いったん流行が始まると、短期間に多くの人へ感染が拡がります。
 日本では、例年12月〜3月が流行シーズンです。

季節性インフルエンザと新型インフルエンザはの違い

 A型のインフルエンザはその原因となるインフルエンザウイルスの抗原性が小さく変化しながら毎年世界中のヒトの間で流行してい
 ます。これが季節性インフルエンザです。

 一方、新型インフルエンザは、時としてこの抗原性が大きく異なるインフルエンザウイルスが現れ、多くの国民が免疫を獲得してい
 ないことから、全国的に急速にまん延することによって起こります。

 新型インフルエンザは、いつどこで発生するのかは、誰にも予測することは困難です。
 しかし、ひとたび発生すれば、国民の生命及び健康、医療体制、国民生活や経済全体に大きな影響を与えかねません。

 過去に流行した新型インフルエンザは、大正7-8(1918-1919)年(スペインインフルエンザ)、
 昭和32-33(1957-1958)年(アジアインフルエンザ)、昭和43-44(1968-1969)年(香港インフルエンザ)、
 平成21-22(2009-2010)年(新型インフルエンザA(H1N1)pdm2009)に発生しました(pdm:パンデミック)。

 しかし、世界に流行が拡がり、多くの国民が新型インフルエンザに対して免疫を獲得するにつれ、このような新型インフルエンザも、
 季節的な流行を繰り返すようになってきました。

 新型インフルエンザA(H1N1)pdm2009についても、平成23(2011)年4月からは、季節性インフルエンザとして取り扱われる
 ことになりました。

インフルエンザの予防・治療について

 インフルエンザを予防する有効な方法としては、以下が挙げられます。

1) 流行前のワクチン接種

 インフルエンザワクチンは、感染後に発症する可能性を低減させる効果と、発症した場合の重症化防止に有効と報告されており、日本
 でもワクチン接種をする方が増加する傾向にあります。

2) 外出後の手洗い等

 流水・石鹸による手洗いは手指など体についたインフルエンザウイルスを物理的に除去するために有効な方法であり、インフルエンザに
 限らず接触や飛沫感染などを感染経路とする感染症の対策の基本です。
 インフルエンザウイルスにはアルコール製剤による手指衛生も効果があります。

3) 適度な湿度の保持


 空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなります。
 特に乾燥しやすい室内では、加湿器などを使って適切な湿度(50〜60%)を保つことも効果的です。

4) 十分な休養とバランスのとれた栄養摂取

 体の抵抗力を高めるために、十分な休養とバランスのとれた栄養摂取を日ごろから心がけましょう。

5) 人混みや繁華街への外出を控える

 インフルエンザが流行してきたら、特に御高齢の方や基礎疾患のある方、妊婦、体調の悪い方、睡眠不足の方は、人混みや繁華街
 への外出を控えましょう。

 やむを得ず外出して人混みに入る可能性がある場合には、ある程度、飛沫感染等を防ぐことができる不織布(ふしょくふ)製マスク
 を着用することは一つの防御策と考えられます。

インフルエンザにかかってしまった時の対応

 (1) 人混みや繁華街への外出を控え、無理をして学校や職場等に行かないようにしましょう。

 (2) 咳やくしゃみ等の症状のある時は、家族や周りの方へうつさないように、飛沫感染対策としての咳エチケットを徹底しましょう。
   インフルエンザの主な感染経路は咳やくしゃみの際に口から発生される小さな水滴(飛沫)による飛沫感染です。
   たとえ感染者であっても、全く症状のない(不顕性感染)例や、感冒様症状のみでインフルエンザウイルスに感染していることを
   本人も周囲も気が付かない軽症の例も少なくありません。
   したがって、周囲の人にうつさないよう、インフルエンザの飛沫感染対策としては、
  1. 普段から皆が咳エチケットを心がけ、咳やくしゃみを他の人に向けて発しないこと
  2. 咳やくしゃみが出るときはできるだけ不織布製マスクをすること。とっさの咳やくしゃみの際にマスクがない場合は、ティッシュ
    や腕の内側などで口と鼻を覆い、顔を他の人に向けないこと
  3. 鼻汁・痰などを含んだティッシュはすぐにゴミ箱に捨て、手のひらで咳やくしゃみを受け止めた時はすぐに手を洗うこと
    などを守ることを心がけてください。
 (3) 安静にして、休養をとりましょう。特に、睡眠を十分にとることが大切です。
 (4) 水分を十分に補給しましょう。お茶でもスープでも飲みたいもので結構です。
 (5) 高熱が出る、呼吸が苦しいなど具合が悪ければ早めに医療機関を受診しましょう。

  また、小児、未成年者では、インフルエンザの罹患により、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、ウロウロと歩き回る等の異
  常行動を起こすおそれがあります。
  自宅で療養する場合、インフルエンザと診断され治療が開始された後、少なくとも2日間は、小児・未成年者が一人にならないなど
  の配慮が必要です。

  ※不織布製マスクとは
   不織布とは「織っていない布」という意味です。
   繊維あるいは糸等を織ったりせず、熱や化学的な作用によって接着させて布にしたもので、これを用いたマスクを不織布製マスク
   と言います。

薬剤耐性インフルエンザウイルスとは

 薬剤耐性インフルエンザウイルスとは、本来有効である抗インフルエンザウイルス薬が効かない、あるいは効きにくくなったウイルス
 のことです。

 この薬剤耐性ウイルスは、インフルエンザウイルスが増殖する過程において特定の遺伝子に変異が起こることにより生じると考えられ
 ています。

 薬剤耐性インフルエンザウイルスは、本来有効である治療薬に対し抵抗性を示しますが、他のインフルエンザウイルスと比較して病原
 性や感染性が強いものは今のところ確認されていません。
 また、薬剤耐性ウイルスに対してワクチンが効きにくくなることもありません。

抗インフルエンザウイルス薬に耐性化したウイルスは国内で流行しているか

 毎年、日本では、国立感染症研究所と全国の地方衛生研究所が中心となってタミフルやリレンザなどの抗インフルエンザウイルス薬に
 耐性をもつウイルスの調査を行っています。
 詳しくは国立感染症研究所のウェブページを御覧下さい。

抗インフルエンザウイルス薬の服用後に、転落死を含む異常行動が報告されていると聞きましたが、薬が原因なのか

 抗インフルエンザウイルス薬に耐性化したウイルスが検出される割合は、1〜10%程度です。
 これらのウイルスの多くは、抗インフルエンザウイルス薬にて治療を行った後、採取されたウイルスです。

 現時点では、平成21(2009)年に大流行したインフルエンザA(H1N1)pdm2009でのタミフル耐性株の発生頻度は低く、また、
 分離されている耐性株のほとんどはリレンザやイナビルによる治療が有効であることが確認されています。

 インフルエンザBにおける薬剤耐性率は、他の型に比較して、いずれの薬剤に対しても低いことが報告されています。
 引き続き薬剤耐性株サーベイランスを行い、発生動向を注視することとしています。

異常行動による転落等の事故を予防するため、どのようなことに注意が必要か

 インフルエンザにかかった際は、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類にかかわらず、異常行動が報告されています)。
 インフルエンザにかかり、自宅で療養する場合は、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無や種類によらず、少なくとも発熱から
 2日間は、保護者等は転落等の事故に対する防止対策を講じて下さい。

 なお、転落等の事故に至るおそれのある重度の異常行動については、就学以降の小児・未成年者の男性で報告が多いこと、発熱から
 2日間以内に発現することが多いことが知られています。

≪転落等の事故に対する防止対策の例≫
 ・ 玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む)
 ・ ベランダに面していない部屋で寝かせる
 ・ 窓に格子のある部屋で寝かせる(窓に格子がある部屋がある場合)
 ・ できる限り1階で寝かせる(一戸建てにお住まいの場合)

≪異常行動の例≫
 ・ 突然立ち上がって部屋から出ようとする
 ・ 興奮して窓を開けてベランダに出て、飛び降りようとする
 ・ 自宅から出て外を歩いていて、話しかけても反応しない
 ・ 人に襲われる感覚を覚え、外に飛び出す
 ・ 変なことを言い出し、泣きながら部屋の中を動き回る

抗菌薬はインフルエンザに効果があるか

 インフルエンザウイルスに抗菌薬は効きませんが、特に御高齢の方や体の弱っている方は、インフルエンザにかかることにより肺炎
 球菌などの細菌にも感染しやすくなっています。

 このため、細菌にもウイルスにも感染すること(混合感染)によって起こる気管支炎、肺炎等の合併症に対する治療として、抗菌
 薬等が使用されることはあります。

インフルエンザにかかったら、どのくらいの期間外出を控えればよいのか

 一般的に、インフルエンザ発症前日から発症後3〜7日間は鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。
 そのためにウイルスを排出している間は、外出を控える必要があります。

 排出されるウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。
 排出期間の長さには個人差がありますが、咳やくしゃみ等の症状が続いている場合には、不織布製マスクを着用する等、周りの方へう
 つさないよう配慮しましょう。

 現在、学校保健安全法(昭和33年法律第56号)では「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)
 を経過するまで」をインフルエンザによる出席停止期間としています(ただし、病状により学校医その他の医師において感染のおそれ
 がないと認めたときは、この限りではありません)。

児童のインフルエンザが治ったら、学校には治癒証明書を提出させる必要があるか

 「学校において予防すべき感染症の解説〈平成30(2018)年3月発行〉」によると、「診断は、診察に当たった医師が身体症
 状及び検査結果等を総合して、医学的知見に基づいて行うものであり、学校から特定の検査等の実施を全てに一律に求める必要はない。
 治癒の判断(治癒証明書)も同様である。」とされています。

 なお、「保育所における感染症対策ガイドライン(2018 年改訂版)」によると、「子どもの症状が回復し、集団生活に支障が
 ないという診断は、身体症状、その他の検査結果等を総合的に勘案し、診察に当たった医師が医学的知見に基づいて行うものです。

 罹患した子どもが登園を再開する際の取扱いについては、個々の保育所で決めるのではなく、子どもの負担や医療機関の状況も考慮して
 市区町村の支援の下、地域の医療機関、地区医師会・都道府県医師会、学校等と協議して決めることが大切になります。

 この協議の結果、疾患の種類に応じて「意見書(医師が記入)」又は「登園届(保護者が記入)」を保護者から保育所に提出するという
 取扱いをすることが考えられます。」とされています。

ワクチンの効果、有効性

 インフルエンザにかかる時は、インフルエンザウイルスが口や鼻あるいは眼の粘膜から体の中に入ってくることから始まります。
 体の中に入ったウイルスは次に細胞に侵入して増殖します。

 この状態を「感染」といいますが、ワクチンはこれを完全に抑える働きはありません。
 ウイルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛み等のインフルエンザの症状が出現します。

 この状態を「発病」といいます。
 インフルエンザワクチンには、この「発病」を抑える効果が一定程度認められていますが、麻しんや風しんワクチンで認められている
 ような高い発病予防効果を期待することはできません。

 発病後、多くの方は1週間程度で回復しますが、中には肺炎や脳症等の重い合併症が現れ、入院治療を必要とする方や死亡される方も
 います。

 これをインフルエンザの「重症化」といいます。特に基礎疾患のある方や高齢の方では重症化する可能性が高いと考えられています。
 インフルエンザワクチンの最も大きな効果は、「重症化」を予防することです。

 国内の研究によれば、65歳以上の高齢者福祉施設に入所している高齢者については34〜55%の発病を阻止し、82%の死亡を阻止
 する効果があったとされています。

「インフルエンザワクチンの有効性」は、ヒトを対象とした研究において、「ワクチンを接種しなかった人が病気にかかるリスクを
 基準とした場合、接種した人が病気にかかるリスクが、『相対的に』どれだけ減少したか」という指標で示されます。

 6歳未満の小児を対象とした2015/16シーズンの研究では、発病防止に対するインフルエンザワクチンの有効率は60%と報告
 されています。

「インフルエンザ発病防止に対するワクチン有効率が60%」とは、下記の状況が相当します。
 ・ワクチンを接種しなかった方100人のうち30人がインフルエンザを発病(発病率30%)
 ・ワクチンを接種した方200人のうち24人がインフルエンザを発病(発病率12%)
  → ワクチン有効率={(30−12)/30}×100=(1−0.4)×100=60%

 ワクチンを接種しなかった人の発病率(リスク)を基準とした場合、接種した人の発病率(リスク)が、「相対的に」60%減少して
 います。

 すなわち、ワクチンを接種せず発病した方のうち60%(上記の例では30人のうち18人)は、ワクチンを接種していれば発病
 を防ぐことができた、ということになります。

 現行のインフルエンザワクチンは、接種すればインフルエンザに絶対にかからない、というものではありません。
 しかし、インフルエンザの発病を予防することや、発病後の重症化や死亡を予防することに関しては、一定の効果があるとされ
 ています。

体内時計について

体内時計とは

 人間には1日周期でリズムを刻む「体内時計」が備わっており、意識しなくても日中はカラダと心が活動状態に、夜間は休息状態
 に切り替わります。

 体内時計の働きで人は夜になると自然な眠りに導びかれます。
 体内時計は毎朝光を浴びることでリセットされ、一定のリズムを刻みます。

体内時計の乱れによる不眠とは

 現代の日本では、インターネット・スマートフォンやLEDの普及、24時間営業店舗の増大による光環境の変化、昼夜を問わず働き続
 ける24時間社会などにより、昼夜のメリハリのない不規則な生活や夜型生活を送る人が多く、高齢化社会の進展も相まって、体内時
 計の乱れが引き金となって不眠症を発症する人が増えていると考えられます。

 この体内時計の乱れを放っておくと、不眠に対する「不安やストレス」や「間違った生活習慣」が重なり、さらに不眠が悪化・
 慢性化するといった悪循環に陥ってしまいます。

なぜ起こる? 「体内時計の乱れ」

 現代の日本では、「体内時計の乱れ」の原因である夜間のメラトニンの分泌低下を引き起こす環境が数多く存在します。

1. 夜間の光環境の変化

 高度成長化した日本では、夜通しまぶしいほどの光がこうこうと輝き、夜間でも明るい照明の中にさらされる時間が多くなっています。
 テレビではいつでも鮮やかな映像を見ることができ、パソコンやスマートフォンの画面を眠る直前まで使用すること、また、LED
 の普及などにより光の刺激を受けています。

 本来眠る時間に強い光の刺激を受けると、眠りをうながすホルモンであるメラトニンが分泌されにくくなり、体内時計が乱れて、寝つ
 きが悪くなったり、日中の不都合な時間帯に眠気が襲ってくるようになるのです。

2. 24時間社会

 近年日本では昼も夜もなく社会が動き続ける「24時間社会」となっており、大人からこどもまで人々の生活は夜型化し、就寝時刻
 が遅くなり、それによって睡眠時間も短縮しています。
 夜ふかしや暴飲暴食など、不規則な生活から体内時計が乱れて不眠の症状を訴える人も増えています。

3. 高齢化社会

 急速な高齢化が進む日本。
 60歳代以降、不眠を訴える割合が高くなり、80歳代では3人に1人が不眠を訴えています。

 その背景には、加齢とともに眠りをうながすホルモンであるメラトニン分泌量が減るということが挙げられます。
 また、仕事を離れる等日常生活で体を動かす機会が減少したり、長く昼寝をするなど昼夜のメリハリがなくなる方も多いため、その
 ような体内時計が乱れやすい生活スタイルが不眠を引き起こしている場合も多いのです。

睡眠にかかわる3つのしくみ

 人は、脳とカラダに休養を与えるために眠ります。
 睡眠には3つのしくみがかかわっており、そのしくみのひとつに体内時計が関係しています。

恒常性維持機構

≪疲れたから眠る仕組み≫
 睡眠不足で眠くなるのはこの仕組みのせいです。
 目覚めている間に脳に疲れがたまり、脳の活動が低下して眠くなるもので、覚醒していた時間に依存するしくみといえます。
 例えば、徹夜をすると、長時間覚醒時に疲れがたまり、次の晩はぐっすりと長時間眠れるのはこのしくみのためです。

体内時計機構

≪夜になると眠くなる仕組み≫
 メラトニンというホルモンが関わっています。

 体内時計により、夜になるとカラダと心を休息の状態に切り替えて、自然に眠くなります。
 この“カラダと心を夜の休息の状態に切り替える”ために重要なのが、メラトニンというホルモンです。

 メラトニンは、夜暗くなると脳から分泌され、体内時計に働きかけ、カラダと心を夜の休息の状態に切り替えます。
 例えば、前日に十分寝ても、次の日の夜になると眠くなるのはこのしくみのためです。

覚醒調節機構

≪目覚めている状態を維持する機構≫
 オレキシンという覚醒物質が関わっています。

 目覚めている必要があるときに、脳の活動状態を保つしくみです。
 このしくみの調節にはオレキシンという覚醒物質がかかわっており、日中は多く分泌され、覚醒状態が維持されます。
 夜になるとオレキシンの分泌量が少なくなり、覚醒状態を維持できなくなるため眠くなります。

メラトニンとは

 メラトニンは脳の松果体(しょうかたい)と呼ばれる部分から分泌されるホルモンです。
 体内時計に働きかけることで、覚醒と睡眠を切り替えて、自然な眠りを誘う作用があり、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

 朝、光を浴びると、脳にある体内時計の針が進み、体内時計がリセットされて活動状態に導かれます。
 また、体内時計からの信号で、メラトニンの分泌が止まります。

 メラトニンは目覚めてから14?16時間ぐらい経過すると体内時計からの指令が出て再び分泌されます。
 徐々にメラトニンの分泌が高まり、その作用で深部体温が低下して、休息に適した状態に導かれ眠気を感じるようになります。

 このメラトニンは眠りを誘うほかに、抗酸化作用によって細胞の新陳代謝を促したり、疲れを取ってくれるために、病気の予防や
 老化防止にさまざまな効果を持つと考えられており、注目されているホルモンのひとつです。

夜間に多く分泌されるメラトニン

 メラトニンの分泌は主に光によって調節されています。
 夜中に強い照明の中にいると体内時計の働きが乱れてメラトニンの分泌が抑えられます。
 これが睡眠覚醒リズムが乱れる原因となります。

加齢とともに減少するメラトニン

 メラトニンは、年齢を重ねるとともに分泌量が減ることが明らかになっています。
 年をとると朝早く目覚めたり、夜中に何度も目が覚めたり、若い頃より睡眠時間が減ってくるのは、加齢により体内時計の調節機能
 が弱まっているためと考えられています。

治療法

 お薬による治療と、お薬を使わない治療があります。

 あなたがなかなか眠れないで困っているとしたら、寝る前の習慣が原因のひとつかもしれません。
 不眠症の治療は、お薬による治療ばかりではありません。

 間違った睡眠習慣を改めることや、眠りに対するこだわりや不安を解消することも大切です。
 また、体の病気や心の病気が眠れない原因になっているとしたら、まずはその治療が必要です。

 ときに、治療中の病気のお薬が原因となる場合もあります。
 いずれにしても、自分だけで判断しないで医師に相談することをお勧めします。

非薬物療法

≪よい睡眠習慣を身につける: 睡眠衛生教育≫
 眠れない原因が、寝酒や寝る前のたばこなど、間違った睡眠習慣や、眠る場所としてふさわしくない寝室の環境だとしたら?
 よい睡眠習慣を身につけ、眠りにふさわしい環境を整えることが、よりよい睡眠につながります。

 睡眠の正しい知識を学び、適切な睡眠習慣を身につけるよう、医師から睡眠衛生の指導を受けるお薬を使わない治療があります。
 まずは睡眠障害対処12の指針を参考に睡眠習慣を見直してみましょう。

光による治療:高照度光療法
 高照度光(2500ルクス?)を一定時間照射し、睡眠時間帯を望ましい時間帯に矯正する治療法です。
 高照度光は生体リズムの周期をずらす作用があるので、睡眠の時間帯がずれている不眠症患者さんの治療などに用いられます。
 専門の医療機関などで実施されています。

睡眠薬に対する誤った考え方や習慣を修正する: 認知行動療法
 慢性的な不眠に悩まされている患者さんの中には、寝室に行くだけで不安を感じたり緊張することで目がさえてしまう方や、少しでも
 長く眠るために長時間寝床で過ごしてしまい、かえって睡眠の質が悪くなってしまう方がいます。
 認知行動療法は、このような睡眠薬に対する誤った考え方や習慣を、アドバイスを受けながら修正していく治療法です。

薬物療法

症状に合わせたお薬による治療
 現在使われる睡眠薬には、脳の活動を鎮めて眠りに導くお薬や睡眠・覚醒のリズムを整えて眠りに導くお薬、脳の過剰な覚醒状態
 を抑えて眠りに導く薬の、主に3つのタイプのお薬があります。

 患者さんそれぞれの症状や不眠のタイプなどによって、効果の長さでお薬を選択したり、複数のお薬を組み合わせたりして使い分け
 られています。

 医師の指示に従い、正しく使えば、不眠が解消し、快適な日常生活を送ることもできます。
 医師とよく相談し、自分にあったお薬で治療しましょう。 

睡眠薬が心配な方へ
 睡眠薬について、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
 睡眠薬の歴史は長いですが、現在では、有効性と安全性の向上を目指して日々研究が続けられ、色々なタイプのお薬が登場してき
 ています。
 医師の指示に従って、正しく使えば過度に心配する必要はありません。

脊柱圧迫骨折について

脊柱圧迫骨折とは

「寝返りを打つ時に背中が痛い」「背中が曲がってくる」こんな症状が出たら、脊椎圧迫骨折を疑ってみましょう。
 脊椎圧迫骨折は、高齢者を悩ます危険な病気。寝たきりの原因にもなり得ます。

 骨の仕組みや、高齢者ならではの骨のリスクについて正しく理解し、大切な自分の体を守りましょう。
 私たちの体は、脊椎(背骨)によって支えられています。

 立つときや歩くときも、脊椎の支えがなければその動作や状態を維持できません。
 しかし骨がもろくなると、体の重みに耐えられず、何かの弾みで脊椎が押しつぶされるように骨折してしまいます。
 これが脊椎圧迫骨折です。

脊椎圧迫骨折の原因

 脊椎圧迫骨折の主な原因は、骨粗しょう症です。
 骨粗しょう症は高齢者に多く見られる病気で、骨密度が低くなって骨折を起こしやすくなります。
 骨がもろくなると、ちょっとした転倒でも背中への衝撃に耐えられず、脊椎がつぶれてしまう原因にもなるのです。

脊椎圧迫骨折の症状

 脊椎圧迫骨折の主な症状は、寝返りを打ったときや、起き上がったときに感じる背中の激しい痛み。
 背中のほか、腰の部分に痛みが及ぶこともあります。

 一方で、骨折をしても痛みを感じない患者さんもいます。
 痛みを感じずそのまま放置すると、さらに脊椎の他の部分も破損する可能性が高くなり、早めの診断と処置が必要といえます。

脊椎圧迫骨折の治療

 脊椎圧迫骨折には主に大きく硬いコルセットを着用して骨折が治癒するのを待つ「保存療法」と、手術によって骨折した背骨を治療す
 る「手術療法」があります。

手術療法

 手術療法にも2種類あり、背中を切開して患部の骨を固定する固定術と、骨折した部分に骨セメントなどを充てんし、痛みを軽減する
 と同時に安定化を図る椎体形成術があります。

 椎体形成術は骨セメントを患部に充てんするための針を刺すだけで手術が行えることから、皮膚を大きく切開する固定術と比べて短
 時間で済み、傷口も小さいなどメリットがあります。

 その反面、充てん物が患部以外の場所に漏れてしまう、骨セメントが固まる際に高熱が生じる、骨セメントが堅すぎるため隣の骨が
 潰れてきてしまう、などの副作用が少なからず存在します。

 そんな従来型の椎体形成術をより安全なものに進化させたのが、全医会グループの行う椎体増幅形成術です。
 従来の手術同様、針一本を挿入するだけで済むため手術時間が短く、傷口が小さいのはもちろん、使用する骨セメントは堅すぎず、
 骨になじみやすく、固まる際の熱も低いため、従来法の副作用を少なく抑えることが可能です。
 また、椎体内にメッシュ袋を挿入し、そこに骨セメントを充てんすることにより、骨セメントの漏れを防止します。

効果的な予防法

 脊椎圧迫骨折の予防は、まずその原因となる骨粗しょう症になることを防ぐこと。
 そのためには、骨を丈夫にするための食生活を心がけてください。

 骨の材料であるカルシウムや骨の代謝を支えるビタミンD、骨の形成に重要なビタミンKなどを積極的に食事の中から取り入れるように
 しましょう。
 それと同時に、ウォーキングやジョギングなど、適度な運動も行うようにしてください。

脊柱管狭窄症について

脊柱管狭窄症とは

 脊柱管狭窄症とは、脊髄が納まっている「脊柱管」の一部が通常よりも狭くなり、神経もしくは神経と共に走行する血管が圧迫される
 ことから生じる病気です。

 加齢に伴う変化として発症することが多く、長く歩くと足が疲れ休み休みでないと歩けない、足がしびれるなどといった症状が現れ
 ます。
 脊柱管狭窄症は、硬膜嚢の周囲にある靭帯の肥厚や椎間板の突出によって硬膜嚢が狭くなり、神経が圧迫される病気です。

 脊柱管狭窄症のなかでももっとも多くみられる腰部脊柱管狭窄症は、馬尾神経や神経に伴走する血管が圧迫されることで起こります。
 神経や血管への圧迫が原因となって発症するため、少しでも圧迫を解除できるような前傾姿勢をとると症状が和らぐ傾向にあります。

 杖をつく、シルバーカーを押して歩くなどで症状を緩和することも可能です。
 しかし、症状が続くことがあるため、リハビリテーションやコルセット、薬の使用や手術療法などの方法が選択されることがある
 病気です。

原因

 脊柱管狭窄症の多くは、加齢により起こります。
 椎体と椎体の間には水分に富んだ椎間板があり、クッションの役割を果たしています。

 しかし、加齢により椎間板は徐々に弾力性を失っていき、後部に飛び出すように変性していきます。
 また、椎間板が変性して本来の役割を果たせなくなることで、複数の椎骨が積み重なった背骨はグラグラと不安定な状態になります。

 これにより過剰なストレスを受けた靭帯は分厚くなっていき、脊柱管が狭まっていきます。
 したがって、脊柱管の狭窄は一種の老化現象とも捉えることができます。

 その他、生まれつき脊柱管が狭い、「先天性脊柱管狭窄症」を発症することもあります。
 また脊柱管狭窄症の発症は、日常生活で腰への負担がかかりやすい姿勢や動作を繰り返すことで誘発されることがあります。

 また、交通事故や骨粗しょう症、喫煙や運動不足に関連した背骨の圧迫骨折後に脊柱管狭窄症を発症することがあります。
 背骨(脊柱)は、椎骨と呼ばれるいくつもの骨により構成されています。

 椎骨がいくつも縦に連なり、内部に「脊柱管」と呼ばれる空間が形成されます。
 脊柱管のなかには、硬膜嚢という液体(脳脊髄液)で満たされた袋が通っており、袋のなかに重要な神経が入っています。

 神経が集まった脊髄と呼ばれるものが脊柱管のなかに納まっており、脊柱管により外的な刺激から守られています。
 首からはじまった脊髄は、当初は神経の束が集まったかたまりの構造をとり、腰の辺りから徐々に様相が異なるようになってきます。

 神経が一本一本離れたような構造をとるようになり、その見た目が馬の尻尾のような形態をしていることから馬尾ばび神経と呼ば
 れます。

症状

 神経の圧迫のされ方によって症状が異なります。
 馬尾神経が圧迫されるタイプの脊柱管狭窄症では、間欠性跛行と呼ばれる症状が代表的です。

 間欠性跛行とは、一定の距離を歩くと足にしびれや痛みが生じ、休む(しゃがむ・座るなど)ことで再び歩けるようになる症状です。
 休むことなく歩ける距離は、重症度により大きく異なります。

 数百メートルごとに休憩を挟めば歩けることもあれば、ほとんど歩くことができないこともあります。
 その他、下肢のしびれと痛みを自覚するタイプの脊柱管狭窄症もあります。

 初期には片方の足のみに症状が現れ、進行に従い両足に症状が広がるという経過をたどります。
 さらに、脊柱管狭窄症では排尿障害を呈することがあります。

検査・診断

 脊柱管狭窄症の診断は、レントゲン写真やMRI、脊髄造影などの画像診断をもとに判断します。
 こうした画像検査を通して椎間板の変化や脊柱管の狭窄具合、中を通る神経への圧迫などを確認します。

治療

 薬物療法などの保存的療法が中心となります。
 また重症度によっては手術療法を選択することがあります。

 保存的療法では消炎鎮痛剤をはじめとした薬、コルセットなどの装具、神経ブロック療法や運動療法などの手段を適宜選択します。
 保存的療法でも症状の改善がなく、日常生活に支障をきたす状況では手術的な治療介入が検討されます。

 脊柱管狭窄症の代表的な手術療法としては「拡大開窓術」があります。
 そのほか、腰椎後方椎体間固定術、前方侵入椎体固定術などがあります。

 脊柱管狭窄症の手術対象者は高齢者が多いこともあり、顕微鏡下手術といったより低侵襲な手術療法も発達しています。
 術前の合併症のリスクを丹念に確認することも必要です。
 また再発のリスクについても理解をすることが大切です。

山中伸弥氏による新型コロナウイルス情報発信

新型コロナウイルスとは
2つの顔を使い分ける狡猾なウイルス

 新型コロナウイルスに感染しても、多くの場合は症状が出ないようです。
 症状が出る場合も大半の人では咳や発熱などの軽症で終わります。

 そのため、多くの人は新型コロナウイルスに感染しても気づきません。
 そのため、感染が急速に広がる恐れがあります。

 一方で、一部の患者さん、特に高齢者や糖尿病などの持病をお持ちの方には、同じウイルスが牙をむいて襲い掛かります。
 肺炎が急速に悪化し、多くの場合、人工呼吸が必要となります。

 70歳以上の感染者では感染者のうち10%近い方が、数週間以内に亡くなっています。
 中国の報告では、20代30代であっても感染すると500人に1人くらいは亡くなっています。

 普段は鳴りを潜めて多くの人に感染し、ところどころで牙をむく、非常に狡猾なウイルスです。
 しかし、ウイルスにも弱点があります。

 ウイルスは人の力を借りてのみ猛威を振るいます。
 人が一致団結し、賢く行動すれば、ウイルスは勢いを失います。

インフルエンザとは違う恐ろしさ

≪新型コロナウイルスでは、元気な方でも急激に悪化し亡くなることがあります≫
 ワクチンがなく、誰もが感染する可能性あります。
 中国らの報告では、感染すると、20%程度の方は重症化します。

 息切れ、激しい咳、高熱が続きます。
 有効な薬はないため、患者さんは耐えるしかありません。

 5%くらいの方では、1~2週間で呼吸困難となり、人工呼吸器が唯一の治療法となります。
 人工呼吸器が不足すると助かる命が助かりません。

 80歳以上では15%くらいの致死率です。
 20代、30代であっても、感染者500人に一人くらいが死亡しています。

 日本のデーターでも感染者の4%くらいは、集中治療室での治療や人工呼吸器が必要となり、その半分は亡くなっています。
 発症してから数週間で急激に亡くなるのが特徴です。

 感染が急速に広がると病院の対応能力が限界に達し、心筋梗塞や交通事故など他の救急患者さんも救えなくなります。
 医療崩壊です。
 イタリヤ、スペイン、武漢では、実際に人工呼吸器の不足、医療崩壊が起こっています。

季節性インフルエンザ

 ワクチンがあり、ある程度の予防が可能です。
 多くの治療薬が開発されています。

 インフルエンザがきっかけで、1000人に1人くらいが亡くなると考えられています。
 しかし新型コロナウイルス肺炎のように急激に悪化し亡くなる方は少ないです。

 高齢者や免疫力の弱っている方がインフルエンザに感染すると、それがきっかけで細菌性の肺炎になったり、持病が悪化して亡くな
 ることがあります。

 毎冬、日本だけで1千万人くらいの患者が発生し、インフルエンザがきっかけで1万人程度が亡くなっていると考えらていますが、人工
 呼吸器が不足したり、医療崩壊が起こったことはありません。

年齢別の患者数と致死率(中国のデータ)

 60歳以上で致死率が急上昇します。
 MARS並みです。

 20歳未満の患者数は非常に少ないですが、これは無症状や軽症の感染者が表に出ていない可能性があります。
 20代、30代であっても、500人に1人くらいは亡くなっています。

 若い人にとってもこの新型コロナウイルスは大きな脅威です。
 もし、500回に1回の確率で死亡事故を起こす乗り物があったとして、あなたは乗ることが出来ますか?
 新型コロナウイルスは、あなたにとって、そして周囲の人にとって、大きな脅威です。


致死率と感染性

 致死率も感染性も季節性インフルエンザや2009年の新型インフルエンザより高いことが、今回のパンデミックにつながっています。


集団感染(クラスター)とは

 新型コロナウイルスでは、クラスターと呼ばれる集団感染が問題となっています。
 クラスターの場所になりやすい条件としては、換気の悪いところ(密閉)に、多くの人が集まり(密集)、近くで会話したり、声を出す
 こと(密接)が考えられています。

 屋外のイベントであっても、大勢がトイレや休憩場所などを共有すると3つの密が重なり集団完成を引い起す可能性があります。
 このような場所を作らない、行かないことが、感染の急速感染を抑えるために重要です。
 いくら手を消毒してマスクを着用しても、3つの密が揃うと感染が広がる可能性あります。

対策のゴール

 急激に感染者が増加すると、病院機能が麻痺し、医療崩壊につながる恐れがあります。
 最も深刻なのは、人工呼吸器の不足です。

 助かる命が助からなくなります。
 また現在は、無症状や軽症であっても、感染病棟に入院することが多く、重症者を受けいる余裕がなくなっている地域もあります。

 院内感染等で病院が休止されると、救命治療にも影響が及び、心筋梗塞や交通事故など、ウイルスと関係のない患者さんの対応にも
 影響が及びます。
 感染拡大のスピードを遅くし、医療体制を整備する必要があります



パンデミックに関するNHKの解説

 1年前の解説ですが、パンデミックのことが良く分かります。
 パンデミックと言えばインフルエンザだったので、新型コロナウイルスによるパンデミックを予測していた科学者は少ないと思い
 ます。

「新型インフルエンザから10年 いまパンデミックが起きたら」(くらし☆解説)

 2019年05月07日 (火) 中村 幸司 解説委員

 2009年に新型インフルエンザの感染が世界中に広がりました。
 当時、毎日マスクをして外出したのを覚えている人も多いと思います。

 新型インフルエンザは、2009年の4月頃から世界に広がり始めて、5月に日本で最初の感染者が見つかりました。
 それからちょうど10年になります。

 10年前とは別の新型インフルエンザが今後、流行するという脅威は今も続いています。
 それがいつ発生するのかは、わかりませんが、次のパンデミック=つまり世界的流行が、仮にいま起きたら、どうなるのか、どうした
 らいいのか考えてみます。

◇過去の新型インフルエンザと次の被害想定

 1918年のパンデミックは「スペインかぜ」として知られています。
 「かぜ」と呼んでいますが、スペインかぜも当時の新型インフルエンザだったのです。

 2009年までの間、パンデミックは10年から40年くらいの間隔で起きています。
 何度も繰り返されていて、次も起こると考えておく必要があります。

 2009年のとき、日本ではおよそ200人が死亡し、2000万人以上が感染したとされています。
 次のパンデミックについては、国の被害想定があります。

 日本だけで、17万人から64万人が死亡し、3200万人つまり国民の4人に1人が感染すると想定されています。
 なぜ、これほど違うのでしょうか。

 2009年は、重症になる人が比較的少ないタイプのウイルスだったことなどから、こうした規模だったと考えられています。
 次のパンデミック(世界的流行)は、想定より被害が少ないこともあり得ますが、1900年代の被害をみると、ここまで想定する
 必要があるのです。

◇新型インフルエンザの脅威とは

 新型インフルエンザは、誰も感染したことがないので、世界中の人=人類は免疫を持っていません。
 このため、ひとたび人の間で感染するようになると、世界中に爆発的に広がるパンデミックになると考えられています。
 また重症化しやすく、多くの死者を出してしまうのです。このため、警戒が必要なのです。

◇患者が確認されたらどうするか

 仮に日本で、いま新型インフルエンザの患者が確認されたら、私たちはどうしたらいいのでしょう。
 基本は、人混みに行かない、手洗いの徹底、咳をするときは手で覆わすにハンカチなどで口を覆う「せきエチケット」を行うといっ
 たことになります。

 毎年の冬のインフルエンザのときと同じです。
 基本はこうなりますが、国内で感染が拡大するような状況になると、総理大臣が「緊急事態宣言」を発表します。

 国民に対して、様々なことが求められます。
 具体的には、
 ▽不要不急の外出の自粛の要請、
 ▽催し物の中止などの要請、
 ▽生活物資の価格が買い占めなどによって高騰しないようにしないといけません。
  高騰していないか国や自治体が監視することになっています。
  さらに、
 ▽学校閉鎖などの措置も広い地域でとられることが考えられます。
 国の想定では、会社など仕事を休む人は、一時的に最大40%程度になるとされています。

◇生活への影響

 健康被害だけでなく、日常生活への影響も大きくなってきそうです。
 具体的に見てみます。

 電気・水道・ガスといったライフラインの事業者は、供給を維持できるよう、あらかじめ計画を立てています。
 ただ、例えば鉄道などは、必要な人員を確保できなくなる恐れがあります。

「状況によっては、在来線や新幹線の運行本数を減らすこともあり得る」と鉄道会社は話しています。
 会社員の人も、通勤の人混みを避けるということもあって、在宅勤務にするなどの対応を迫られるかもしれません。

 運送業は、ただでさえ人手不足なので、影響が大きくなる恐れがあります。
 例えば、インターネットで購入した商品がなかなか届かない、あるいはコンビニに行っても商品が揃っていないということも考えら
 れると指摘されています。

 新型インフルエンザによる経済的損失は、日本だけでおよそ20兆円に上るという試算もあります。
 ものが手に入りにくくなると、生活に困ってしまいます。

 政府は、新型インフルエンザ対策として、食料や日用品など2週間分を備蓄しておくよう求めています。
 主なものがこちらです。

 米、パン、レトルト食品。マスク、常備薬、トイレットペーパーなどがあります。
 災害用の備蓄と共通したものが多くなっています。
 電気・水道・ガスといったライフラインは使えるとみられますから、水やお湯を使う食品も含まれます。

◇感染したと思ったら・・・

 仮にいま、新型インフルエンザの感染が国内で報告されているとして、熱が出るなど「自分が感染したかもしれない」と思ったらどう
 すればいいのでしょうか。

 国内の患者が少ないうちであれば、自治体に設置される「相談センター」などに電話して、感染の疑いがあれば、指定された医療
 機関で診察を受けます。

 感染が確認されれば、入院などの措置がとられます。
 このとき国は、その患者と過去に接触した人を調べるなどします。

 感染した人全員を把握して、ウイルスが広がらないよう対策を進めます。
 ただ、感染者の人数が増えてくると、こうした対応にも限界が出てきます。

 感染者が多数になると、毎年の冬のインフルエンザの時のように、普段かかっている医療機関で、他の患者と違う入り口から入るよ
 うな対応に切り替わっていきます。

◇治療や予防の体制

 新型インフルエンザに対する、治療や予防の体制はどうなるのでしょうか。
 国は、新型インフルエンザに備えて、国民の45%分のインフルエンザ治療薬の備蓄を進めています。

「新型」と言っても、同じインフルエンザなので、従来の治療薬でも一定の効果が期待できます。
 さらに、予防のため、新型インフルエンザに対応したワクチンの開発・製造が急ピッチで進められます。

 発生後、半年で国民全員分のワクチンを作る体制を整えるとしています。

◇ワクチン接種

 新型インフルエンザが流行していることを考えると、ワクチンを求める人たちが殺到しそうですが、大丈夫でしょうか。
 ワクチンは、優先順位を決めて接種されることになっています。

 患者に接する機会のある医師や看護師など医療関係者、警察官など治安維持に欠かせない人など、そして公共性の高い仕事をしている
 人も優先されます。

 それ以外の人も、流行しているウイルスがある病気の人や高齢者が重症になりやすいといったことがわかれば、その病気の人や高齢
 者を優先するというように、よりリスクの高い人から接種されることになります。

 具体的な優先順位は、発生後に正式決定されます。
 国民全員分もあると、接種すること自体に大変な手間がかかります。
 効率よく接種するため、学校や公民館などで、地域の人に集団接種が行われることになります。

◇正確な情報を得ること

 このように見てくると、国がどのようなことをしてくれるのか、正確な情報を入手することが大事になることがわかります。
 10年前と大きく変わった点ですが、SNSなどの発達で情報が行き渡りやすくなった反面、デマや不正確な情報が飛び交い、混乱
 するのではないかということが心配されています。

 パンデミックの時、国は記者会見を定期的に開くことにしているほか、ホームページなどで情報提供することにしています。
 こうした信頼できる情報に基づいて、行動することが求められます。

 今回は、仮に「いま新型インフルエンザが発生したら」ということをみてきました。
 いつ発生するかわからない、パンデミック・世界的大流行に冷静に対処するためには、新型インフルエンザの発生で、どのようなこと
 が起こるのか、どう行動したらいいのか、考えておくことが大切です。

アレルギーについて

アレルギーとは

 アレルギーとは、食物や薬剤、花粉、ほこりなど、通常は体に大きな害を与えない物質に対して、過剰な免疫反応が引き起こされる
 ことです。

 “アレルギー疾患”は1つの病名ではなくこのような免疫反応の異常によって生じる病気の総称であり、さまざまな種類があります。
 また、アレルギーは症状も多様であり、軽度なケースは自然に軽快することがほとんどです。

 しかし、重度な場合には気管支喘息なら呼吸困難から窒息を引き起こしたり、血圧が急低下して意識を失うといった“アナフィラキ
 シー症状”が生じたりすることもあります。
 対処が遅れると命にかかわることもあります。

 現在、日本では2人に1人が何らかの物質に対してアレルギーを持つとされており、年々患者数が増加傾向にあることが問題となって
 います。

 その背景には生活様式や環境・食生活の変化などが挙げられていますが、アレルギーが疑われる症状が現れた場合は、できるだけ早く
 治療や生活改善などを始めることが必要です。

原因

 アレルギーは、特定の物質に対して免疫が過剰にはたらくことによって引き起こされます。
 本来“免疫”とは、体の中に侵入した細菌やウイルスなどを攻撃し、私たちの体を守る仕組みのことです。

 白血球など血液中の細胞のはたらきが免疫を担いますが、通常は体に害を与える“異物”のみを攻撃する仕組みになっています。

 しかし、遺伝的に免疫反応が過剰になりやすい体質であることや、ハウスダストや花粉など異物になりうる物質を過剰に体内に取り
 入れてしまうような環境にいることなどが原因となり、本来なら体に害を与えることがない物質まで免疫の仕組みによって攻撃され
 てしまうことがあるのです。

 その結果、全身にさまざまなアレルギー症状が引き起こされます。
 また、アレルギーには免疫を引き起こすメカニズムの違いによって4つのタイプがあります。

 体内にアレルギーの原因物質(アレルゲン)が侵入すると早いと数秒〜十数分以内に症状が現れるタイプもあれば、ゆっくり症状が
 現れるタイプなどもあります。

症状

 アレルギーの症状は病気によって異なり、多彩です。軽症症状は自然と改善していくことがほとんどです。
 しかし、アレルギー症状は病気によりさまざまな症状を呈します。

 たとえば、粘膜に腫れを引き起こす病態であれば、重度な場合には気管の粘膜が腫れて呼吸困難となるケースもあります。
 また、血管が過度に広がって血圧が急低下することで、めまいや吐き気、意識消失などの症状を引き起こすこともあります。

 このような重篤な症状の場合、対処が遅れると命にかかわることも少なくありません。
 また、アレルギーの中には長時間かけて腎臓や肺の細胞にダメージを与えるものなどもあります。

 アレルギーの症状は年齢によって変化していくことも大きな特徴の1つです。
 幼少期にはアトピー性皮膚炎や食物アレルギーとしてアレルギー症状が現れるものの、成長していくにつれて気管支喘息やアレルギー
 性鼻炎、アレルギー性結膜炎などを発症するようになり、自然に治らない場合は成人喘息に移行するケースもあります。

 このようなアレルギー症状の連鎖を“アレルギーマーチ”と呼び、いかにしてアレルギー症状を発症させず、また軽快させていくかが
 課題となります。

検査・診断

 アレルギーが疑われるときには次のような検査が行われます。

≪血液検査≫
 食物や花粉、ハウスダストなどによるアレルギーは、IgEと呼ばれる抗体(アレルゲンを攻撃するたんぱく質)によって引き起こされ
 ます。

 そのため、アレルギーの可能性を評価する目的で血中IgE抗体の数値を調べる検査が行われます。
 しかし、よく誤解されていますが、検査は原因を特定する力はありません。
 あくまでその可能性を評価するまでです。

≪パッチテスト、プリックテスト≫
 疑われるアレルゲンを皮膚の一部に貼ったり、皮内に注入したりすることでアレルギー反応が起こるか否かを調べる検査です。
 診断のうえでは有用な検査ですが、こちらも診断の可能性を示すまでで、診断の根拠にはなりません。
 また皮内テストはアナフィラキシー症状を引き起こすこともあるため、一般的には行われません。

≪誘発試験≫
 鼻、気管支、目、口から直接体内に疑われるアレルゲンを投入し、アレルギー反応が起こるか否か調べる検査です。
 もっとも直接的な検査で診断の根拠となります。
 しかし、アナフィラキシーを含めた症状誘発リスクがあるため、専門の医療機関で実施することが推奨されます。

≪症状に合わせた検査≫
 アレルギーは全身にさまざまな症状を引き起こします。
 そのため、それぞれの症状に合わせて原因や重症度を評価するために画像検査や血液検査、呼吸機能検査などの生理機能検査
 を行うことがあります。

治療

 アレルギーと診断された場合は、主に次のような治療が行われます。

≪薬物療法≫
 アレルギー治療の基本は、アレルギー反応を抑えて発症を予防したり、発症したアレルギー症状を鎮めたりするための薬物療法
 です。

 具体的に、アレルギー症状を予防するためには免疫のはたらきを落ち着かせるステロイド薬、アレルギー反応を抑制する抗アレ
 ルギー薬などが用いられます。

≪アレルゲン免疫療法≫
 体内に少量ずつアレルゲンを投入し、体を慣れさせることでアレルギーを起こりにくくする治療法です。
 近年ではスギ花粉とダニに対するアレルギー性鼻炎に対して、舌下免疫療法が行われています。

予防

 アレルギーを予防するには、第一にアレルゲンに触れたり、体内に取り入れたりしないよう注意することが大切です。
 すでにどのようなアレルゲンによってアレルギーが起こるか分かっている場合は、アレルゲンを回避・除去する生活を心がける
 ようにしましょう。

老眼について

老眼とは

 老眼とは、年齢を重ねることを原因として引き起こされる目の老化現象を指します。
 老眼では近くのものを見ることが難しくなり、本や新聞を読むなどの日常動作に支障を感じるようになります。

 老眼は多くは40歳代半ば頃から生じる現象です。
 眼鏡の使用を始めとして対処することで生活の質を落とさないようにすることが求められる状態であると言えます。

原因

 老眼は、年齢を重ねることで40歳代半ば頃から老化現象としてみられる状態です。
 ものを見るためには、角膜、水晶体、硝子体といった構造物を光が通り、目の内部を裏打ちする網膜に光が当たることが求められます。

 この際、ものをしっかりと明瞭に見るためには網膜に光の焦点が当たることが大切です。
 近くのものや遠くのものを見る際には、光の屈折率を変化させることが重要であり、中でも水晶体がこの役割を担っています。

 しかし、加齢現象と共に水晶体は硬くなりピント機能が衰えてしまい、うまく網膜に光の焦点を当てることができなくなり、その結果
 として老眼の発症に至ります。

症状

 老眼は、多くは40歳代半ば頃から症状が出現し始めます。
 老眼では近くのものに対しての焦点が合いにくく、近くのものが見えにくいという症状が見られます。

 そのため、文字の焦点が合うように新聞や本などを目から離して読む、パソコンからの距離を少し離して文字を読むようにする、
 などの行動変化を伴います。

 遠視の方でも調節機能の低下は同じように生じますが、症状は早く出現します。
 老眼による症状は、疲れている時に酷く感じることもあります。

 また、手元の作業を長時間続けた後、頭痛や倦怠感、目の疲れを自覚することもあります。
 さらに老眼を放置することで、肩こりや慢性疲労などの症状につながることもあります。

検査・診断

 老眼は、目の屈折率の変化を原因として視力に変化が生じる状態であるため、これらの状態を評価するための検査が行われます。
 老眼の検査に際して正確な屈折率を評価するために、目の緊張をほぐすための点眼薬を併用することもあります。
 点眼薬を使用することで一時的にまぶしさが強く自覚されることもありますが、正確な病状評価のために使用されることがあります。

老眼チェック

≪ピントが合う距離が30cm以上の場合はそろそろ≫
一般的には、人差し指の指紋が見える距離(近点)が30cm以上離れると老眼鏡が必要と言われています。

 1)まず人差し指の腹を向けて目の直前にかざしてください。
 2)そして、人差し指を手前からどんどん遠ざけてください。
 3)人差し指の指紋がくっきり見えるところ(ピント)が合うところがあなたの「近点」です。

≪老眼が進行するとどうなるの?≫
 近くを見るとき、ピントがあう距離がどんどん遠くなっていきます。

 もともと視力が良い方(遠くが見えやすい方・日頃メガネが必要ない方)は、老眼の進行を早く感じやすい傾向にあると言われてい
 ます。

 老眼は病気ではなく、レンズの役目をする「水晶体」の柔軟性が失われていくことで、近くにピントが合わなくなる現象です。
 ですから、加齢によって水晶体の柔軟性がある程度なくなると、それ以上進まなくなると言われています。

≪ワンポイントアドバイス≫
 老眼が進むと、見たいものを近くに寄せても見えづらくなってきます。
 そして、ある程度老眼が進行すると、手を伸ばしきってもピントが合わなくなります。
 眉間にしわを寄せて目を酷使せずに、老眼鏡を使って目の働きをサポートしてあげることが必要です。

≪近視の場合、老眼鏡が必要ないと言われているのはなぜ?≫
「必要がない。」というわけではないです。
 弱い近視用の度数(マイナスの度数)や、+1.00などの弱いプラスの度数が必要になる方もいらっしゃいます。

そもそも近視とは?老眼とは?

≪近視とは≫
 眼内に入った光が網膜よりも手前で焦点を結んでしまい、網膜にピントがあわない状態を言います。
 眼鏡やコンタクトレンズで矯正していない場合、「遠く」ではなく「近く」にピントが合いやすくなります。
 どれぐらい「近く」にピントが合いやすいかというのは、近視の度合いにより異なります。

≪老眼とは≫
 近くにピントをあわせるときは、毛様体筋を縮ませ、水晶体を厚くして調整します。
 加齢により水晶体そのものの柔軟性がなくなったり、筋力の衰えによりピントが手元に合わせづらくなるのが老眼です。

 近視の度合いが-2.0や-3.0程度であれば、眼鏡を外すと手元が見えやすい場合が多いため、「近視の場合は老眼鏡が必要ない」と言わ
 れるのではないでしょうか。
 しかし、近視の方すべてが、ちょうどよい距離にピントが合うわけではないので注意が必要です。

ワンポイントアドバイス

≪若い人はスマホ老眼に注意!≫
 近年問題になっているのがスマホ老眼です。
「老眼」とつきますが、手元が見えづらくなる老眼とは逆で、手元にピントが固定されてしまって、一時的に遠くが見えにくくなります。

 スマホなどを近い距離で長時間見続けると、水晶体が膨らんだ状態で維持し続けることになります。
 これにより周りの筋肉が動かず、収縮する動きが鈍くなり麻痺することによって、ピント調節機能が一時的に働きにくくなります。
 そうなる前に老眼鏡で近くを見る力をサポートしてあげるとよいでしょう。

網膜剥離について

網膜とは

≪網膜はものを見るための重要な役割を担っています≫
 網膜は、眼の奥にある厚さ約0.1〜0.4ミリの薄い膜です。

 ものを見る重要な部分で、10層に分かれています。
 内側の9層は神経網膜といい、外側の1層は網膜色素上皮細胞(もうまくしきそじょうひさいぼう)といいます。

 神経網膜には光を感じる細胞が並んでいます。
 網膜の中で一番重要な部分は、中央にある黄斑部(おうはんぶ)です。
 黄斑部には、視力や色の識別に関係している細胞があります。

硝子体とは

 硝子体は細かい線維でできたゲル状の透明な物質で、眼球の中に満たされています。光が通りやすく、眼の形を保つのに役立ってい
 ます。

ものが見えるしくみ

 網膜はカメラでいうフィルムの役割を果たしています。
 ものを見るとき、光は角膜を通って瞳孔から眼球内に入ります。

 水晶体で屈折されたあと、硝子体を通り、網膜に到達します。
 このとき網膜で感じとられた光の刺激が視神経を通って脳に伝えられ、「見える」と認識されます。

 つまり網膜は、カメラにたとえるとフィルムのような役割を果たしているといえます。

網膜剥離とは

≪網膜がはがれることを網膜剥離といいます≫
 網膜色素上皮細胞と神経網膜の接着は弱いので、何らかの原因で神経網膜が網膜色素上皮細胞からはがれて、硝子体の中に浮き上が
 ってしまうことがあります。

 これが網膜剥離です。
 網膜剥離は、裂孔原性(れっこうげんせい)網膜剥離と呼ばれる網膜に裂孔(裂け目)を伴うものが一般的です。

≪裂孔原性網膜剥離≫
 眼球の中の硝子体は、中高年になると、液化硝子体と呼ばれる水の部分ができて、眼球の動きとともに硝子体が眼球内で揺れ動くよう
 になります(後部硝子体剥離参照)。

 硝子体と網膜が強く癒着している部分があると、眼球の動きで網膜が引っ張られ、裂孔ができてしまいます。
 その裂孔から液化硝子体が網膜下に入り込むと、網膜ははがれてしまいます。これが裂孔原性網膜剥離です。
 また、ボールが目に当たるなど、強い力が目に加わって網膜が剥離してしまう外傷性網膜剥離も、裂孔原性網膜剥離のひとつです。

≪その他の網膜剥離≫
 糖尿病網膜症では、出血しやすい血管を含んだ膜が網膜の上にできます。

 この膜が収縮して網膜を引っ張ると、網膜が剥離してしまいます(牽引性網膜剥離)。
 ぶどう膜に炎症があったり、眼内腫瘍などがあると、網膜血管や脈絡膜から血液中の水分が滲み出し、網膜下にたまって網膜が剥離
 することがあります(続発性網膜剥離)。
 このような場合、原因となっている疾患の治療を行います。

網膜剥離の症状
このような症状があれば検査を受けましょう

 飛蚊症;   黒い点やゴミのようなものがみえる
 視野欠損;  見ているものの一部がみえない
 光視症;   眼の中でピカピカと光ってみえる
 視力低下;  見たいものがはっきりみえない

生理的飛蚊症

 硝子体は年をとると、線維の一部が濁ってきます。
 そして濁った部分が網膜に影を落とすことがあります。

 これは加齢による生理的な現象で、病気ではありません。
 だいたい60歳頃になると、約3割の人に飛蚊症があるといわれます。

 しかし、黒い点の数が増えたり、視力が急に落ちたときには、出血や網膜剥離などがおこっている可能性があるので、すぐに診察を
 受けて下さい。

後部硝子体剥離

 子どものころには硝子体が眼球の中にいっぱいつまっていて、網膜との問にはすき問がありません。
 ところが、人によっては年をとるにつれて硝子体が液状に変化し、網膜から浮き上かってしまう場合があります。

 これを後部硝子体剥離といいます。
 後部硝子体剥離がおこるときに、網膜と硝子体の間に癒着があると、硝子体が網膜をひっぱります。

 このとき、光が走るように見えることがあります。
 この癒着が取れると、光が走らなくなります。

 後部硝子体剥離自体は、一部の人におこる正常な現象ですが、この癒着が強い場合、硝子体が網膜を強く引っ張り、網膜剥離をおこす
 ことがあります。

網膜剥離の検査
眼底検査

 最も大切な検査は眼底検査です。
 これは、点服薬で瞳孔を開き、眼底の様子を調べる検査です。
 硝子体出血などで眼底が見えないときには、超音波検査を行います。

視野検査

 見えない部分の位置を調べる検査です。
 見えない部分と、病変の部分は対応しています。
 日頃は両眼で見ているため、視野の欠損には気づきにくいです。

黄斑変性症について

黄斑変性症とは

 ノーベル賞に輝いた山中伸弥教授(京都大学iPS細胞研究所)が開発したiPS細胞(人工多機能幹細胞)は、再生医療などへの応用が
 期待されています。

 そんな中、2013年に初めて臨床試験が認められた病気が加齢黄斑変性でした。
 加齢黄斑変性は、中高年になると起こりやすい目の病気で、網膜の黄斑部(中心部)に視力障害が生じるものです。

 黄斑部はモノの形や大きさ、色などを識別する重要な場所なので、異常が起こると、視野の中央付近でモノがゆがんで見えたり、
 暗くなったりし、視力も低下します。

 欧米では中高年からの失明原因の第1位で、日本でも高齢社会の到来によって急速に患者数が増えています。
 まだ根本的な治療法がないため、iPS細胞による臨床試験の成果が待ち望まれています。

 加齢黄斑変性には、大別すると滲出型(新生血管型)と萎縮型という2つのタイプがあり、日本人に多くみられるのは滲出型です。
 滲出型は、網膜の外側にある脈絡膜から新しい異常な血管が伸び、その血管からの出血などの影響で、網膜の中心部がダメージを
 受けるものです。

 滲出型の場合、異常な血管の成長を抑える治療(薬やレーザー照射)はありますが、進行が早いので注意が必要です。
 気づかずに放置していると、両眼ともに発症する可能性もあるので、何よりも大切なことは早期発見です。

 また最近は、どのような人が加齢黄斑変性になりやすいのか、発症を防ぐにはどんなことが大切なのかなど、予防の観点からの
 研究も注目されています。

加齢黄斑変性を自分でチェック

 目の病気は自分では気がつきにくい、といわれます。
 その理由は、私たちはモノを、両方の目で見ているからです。

 片方の目に軽い異常があっても、もう片方の目がフォローするため、なかなか気がつかないのです。
 加齢黄斑変性はその典型で、片方の目で見た場合には視野の中央付近がゆがんでいても、もう片方の目がフォローする上、周辺部
 はきれいに見えているので、気づかずに過ごしている方が少なくありません。

 たとえば、次のような症状を感じたことがあったら、自分でチェックしてみましょう。
(1)新聞や本を読んでいるとき、肝心の読みたい部分(中央付近)が見えにくかったり、ぼやけているように感じたりしたら。
  ⇒ 片方の目を手でふさいで、もう片方の目で新聞や本を読んでみましょう(左右交互に。ただし、片目を強くつぶると視力が
    影響を受けやすいので、軽く手で覆う)。
    もし、どちらかの目で中央付近の文字がゆがんで見えたり、暗くて読みにくかったりしたら要注意。

(2)タワーや高いビルを眺めたとき、なんとなくゆがみを感じたり、中央付近が暗く感じたりしたら。
  ⇒(1)と同じように、片方の目を手でふさいで、もう片方の目でタワーや高いビルを見てみましょう(左右交互に。タワーなどの
    高い建物はゆがみなどを感じやすい)。
    もし、どちらかの目で中央付近がゆがんで見えたり、暗く感じたりしたら要注意。

≪詳しく自己チェック≫
 A4程度の大きさの紙を用意し、定規を使って1センチ間隔のタテ線、ヨコ線(各10本程度)で、格子を描く。
 格子の真ん中に直径2ミリ程度の黒丸を1つ描く。
  ⇒ 格子を描いた紙(または自己チェックシート)を30センチほど離れた場所に置き、片方の目で真ん中にある黒丸を見る。
    左右交互に行ってください。
    中央付近の格子がゆがんで見えたり、黒丸付近が暗くぼやけて見えたりしたら、加齢黄斑変性の可能性が高いので眼科を
    受診しましょう。


どんな人がなりやすいのか

 加齢黄斑変性については、テレビなどで取り上げられることもあり、認識度はかなり高いように思われるかもしれません。
 ところが、ある調査によると、加齢黄斑変性が目の病気であることを認識している方は28%程度に過ぎず、白内障や緑内障(いずれも
 認識率は99%前後)と比較してかなり低いという結果もみられます。

 失明につながる病気だけに、まず、どんな人がなりやすいのかをきちんと知っておくことが大切です。
 加齢黄斑変性の3大原因とされているのが、「加齢、喫煙、遺伝」です。

<加齢>

 加齢黄斑変性は、40歳以上になったらだれにでも起こりうる病気です。
 とくに、高齢になるほど両眼ともに発症するリスクが高くなるので、要注意。また、男性が全体の約70%を占めています。

<喫煙>

 喫煙は、もっとも重要なリスク因子です。
 喫煙歴が長く、喫煙本数が多く、煙を深く吸い込む人ほどリスクが高いとされ、発症率はタバコを吸わない人の4〜5倍にもなります。

<遺伝>

 近年の研究で、滲出型の加齢黄斑変性の発症に関わる遺伝子が発見され、遺伝要因(体質)が注目されています。
 この遺伝子をもつ人は、発症率が1.4倍になるとの報告もみられます。

 家族(両親や兄弟)に加齢黄斑変性の方がいる場合、影響の程度はまだ明確になっていませんが、早くから注意することが大切です。
 そのほかのリスク因子として、仕事などで長時間太陽を浴びることが多いケースや、肥満(高脂肪食、運動不足、動脈硬化)も指摘
 されています。

加齢黄斑変性の予防のために

 加齢黄斑変性は、気づいたときにはかなり進行していることが少なくありません。
 予防のためには、前の章で紹介した3大リスク要因(加齢、喫煙、遺伝)に該当する場合は、目に異常を感じていなくても、一度は
 眼科を受診するようにしましょう。

 眼底検査をおこなうと、網膜への老廃物の蓄積や網膜細胞の色素異常が発見されることがあります。
 これらは加齢黄斑変性の前兆の1つなので(かならず発症するわけではありません)、その後、定期的に検査を受けることが予防に
 つながります。

 網膜への老廃物の蓄積や網膜細胞の色素異常は、加齢も原因の1つですが、喫煙による酸化ストレスが促進要因となります。
 それだけに老廃物の蓄積などがみられたら、早めに禁煙を心がける必要があります。

 また、太陽光の中でも波長の長い青色光も、加齢黄斑変性を促進する要因とされています。
 仕事や運動などで太陽光を浴びることが多い方は、帽子やサングラス、日傘などで青色光をブロックすることが大切です。

 ただし、濃い色のサングラスは逆効果になることもあるので、サングラスを着ける場合は眼科医などの専門家に相談してください。

 さらに、加齢黄斑変性の患者さんが多い欧米では、肥満との関連も重視されています。
 肥満になると動脈硬化を起こしやすく、網膜への血流が悪化することが引き金になると推測されています。

 定期検査などで「肥満気味」と指摘された方は、食事の内容を見直し、週に3回は運動を心がけ、肥満解消に取り組みましょう。
 一方、加齢黄斑変性の予防に効果があるとされるのが、抗酸化ビタミン(ビタミンA、C、E)や抗酸化ミネラル(亜鉛)などのサプ
 リメントです(日本眼科学会)。

 また、ルテインやゼアキサンチン(カロチロイドの一種)、オメガ3脂肪酸(DHAなどに含まれる脂肪酸の一種)などの栄養素にも、
 予防効果があるとされています。

 ただし、どれか1つを大量に摂取するのでなく、バランスよく長期間にわたり摂取することが大切です。
 サプリメントだけに頼らず、これらを多く含む緑黄色野菜(ブロッコリー、ほうれん草、ニンジン、パプリカ、ケールなど)や果物
(イチゴ、マンゴー、パパイヤ)、卵黄、青魚などを、毎日の食事に積極的に取り入れるようにしましょう。

緑内障について

緑内障とは

 緑内障とは、眼圧が上昇することで視神経に異常が起こり、視力や視野の障害が引き起こされる病気です。
 緑内障の進行はゆっくりであるために自覚症状に乏しいことがほとんどです。

 2017年現在の医療では、障害された視神経を回復する方法は確立されていませんが、早期に発見し治療を開始することで緑内障の
 進行を抑え、失明にいたる危険性を回避できます。

原因

 緑内障は、眼圧が上がって視神経が圧迫、障害されることで発症します。
 眼球の内部は毛様体で作られる房水という液体で満たされています。

 この房水は眼圧の調整に重要な役割を果たしています。
 眼圧が上がる理由は、緑内障の種類によって異なります。

 閉塞隅角緑内障では、隅角という部分が狭くなったり閉じたりすることで房水が流出できなくなり、眼圧が上がります。
 続発緑内障では、他の病気の影響や薬の副作用により眼圧が上がってしまいます。

 発達緑内障の場合は、隅角に生まれつきの構造異常があり、眼圧が上昇することで発症します。
 開放隅角緑内障の場合は、隅角に問題はないものの、線維柱帯という房水を流出させる部分が詰まることで眼圧が上昇してしま
 います。

 また、正常眼圧緑内障では、眼圧が正常範囲内であるにもかかわらず、視神経が傷害されてしまいます。
 正常眼圧緑内障の場合、近視や高齢、乳頭出血が発症に影響しているといわれています。

症状

 緑内障では、あまりはっきりとした初期症状が現れないことがほとんどです。
 最初に自覚される症状としては、みえる範囲が狭くなる視野障害や視野の一部だけがみえないといった暗点の出現が挙げられます。

 このような症状は非常にゆっくりと進行するために気がつきにくいといわれています。
 また、片方の眼にだけに症状があらわれた場合には、もう片方が視野を補ってしまうために自覚できないことも多くあります。

 視野障害や暗点の出現に気がついたときには、すでにかなり進行してしまっていることも珍らしくありません。
 視野障害が進行すると、視力低下、さらには失明することもあります。

 進行スピードには個人差がありますが、正常眼圧緑内障の場合、末期に至るまでに20年〜30年かかると考えられています。
 原発閉塞隅角緑内障では、「急性緑内障発作」を引き起こすことがあります。

 急激に眼圧が上昇することで、視力が急速に悪化し、失明のリスクがあります。
 また、眼の痛みやかすみ、充血に加えて、頭痛や吐き気が起こることも特徴的です。

検査・診断

 緑内障の検査には、眼圧検査、隅角検査、眼底検査、光干渉断層計(OCT)、視野検査があります。

眼圧検査

 緑内障は眼圧が上がることが発症原因であるため、眼圧を測定する必要があります。
 眼に機器を接触させることにより測定を行うゴールドマン圧平眼圧計、眼に圧縮した空気をあてることにより測定を行う空気
 眼圧計(圧平式)の2種類が使われることが多いです。

 眼圧は角膜の「厚み」や「剛性」といった眼の構造によって影響されやすいため、異常値の有無だけで緑内障と判定されるわけ
 ではありません。

隅角検査

 緑内障の種類を判断するために行います。
 この検査では、点眼麻酔をした上で専用のコンタクトレンズを眼に押し当てて隅角を観察します。
 隅角が開いているのか閉じているのかを確認して病型を判定します。

眼底検査

 視神経がどの程度傷害されているかを調べます。
 眼底にある視神経乳頭といわれる構造に異常があるかどうかを確認することで、視神経の傷害度を知ることができます。

視野検査

 機械の前に座り、小さな光がみえるかみえないかを患者さんに判定してもらう検査です。
 5〜15分程度で行われる簡易的な検査です。

治療

 緑内障の治療における基本的な考え方は「症状を悪化させない」ことです。
 一度障害されてしまった視神経が回復することはありません。

 しかし、高くなってしまった眼圧を下げることで、緑内障の進行を防ぐことができます。
 眼圧を下げるための治療方法としては、薬物療法、レーザー療法、手術の3種類が挙げられます。

 原発開放隅角緑内障の場合は薬物療法を行います。
 多くの場合は点眼薬が用いられ、8種類以上のなかから緑内障の種類や重症度、眼圧の高さに応じて処方されます。

 1種類だけを用いることもあれば 、複数の点眼薬を組み合わせて使用する場合もあります。
 原発閉塞隅角緑内障の場合は薬物療法では十分に眼圧を下げられないことが多いため、レーザー治療が実施されることもあります。

 眼の虹彩こうさいという部分にレーザーで穴を開けることによって房水の流れを変えていきます。
 レーザー治療は入院せずに外来で行うことができます。
 また、薬物治療やレーザー治療が無効であった場合には手術が行われることもあります。

緑内障の予防法

 緑内障で一度減少してしまった視神経は回復しません。
 視野を維持するには、早期発見・早期治療開始が何より大切です。

 40歳を過ぎたら定期的に眼科検診を受けましょう。
 また、緑内障を完全に予防することはできませんが、危険因子を改善することはできます。

高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などを改善する


適度な運動する

 軽めのジョギングやウォーキングなどの運動は目の血流を上げることにつながります。
 また、スクワットなどの下半身の筋肉運動は低血圧改善にもつながります。

 ただし、酸欠を伴うような激しい運動はかえって視神経の負担になりやすいので避けましょう。
 ヨガ、瞑想法などは交感神経を落ち着かせるうえでも有効です。

禁煙する

 眼圧が上がる状況を避ける

瞼を押す、きつく目を閉じる、首元を締め付けるといったことはできるだけ避けましょう


スマートフォン、ゲーム、パソコンは使い方に注意する

 近くで画面を見ることでも眼圧が上がります。目から離し、長時間使用は止めましょう。

白内障について

白内障とは

 白内障とは、水晶体が混濁することで視力の低下をきたす目の病気です。
 眼球をカメラにたとえると、レンズが濁る状態です。

 日本においては、加齢に伴う発生頻度の上昇が認められています。
 70代の方の80%以上が罹患していると考えられ、誰もが発症する可能性のある目の老化現象と捉えることもできます。

 加齢による白内障の場合、数年単位で徐々に視力の低下やものの見え方の変化が生じるため症状に気がつかず、ある程度進行して
 しまってから発見されることも少なくありません。

 視力の低下が引き起こされる白内障ですが、近視や遠視、乱視などとは異なり、眼鏡やコンタクトレンズでは矯正できないことが
 大きな特徴として挙げられます。

 しかし、現在ではその治療法が確立され、必要とされる場合には手術を受けることで視力の回復を十分に期待することができます。

原因

 白内障の原因の90%以上は加齢です。
 白内障は眼球を構成する組織のなかでも、レンズの役割を果たす水晶体という部分が白く濁ることで発症します。

 水晶体の加齢自体は突然起こるものではなく、実は10代後半から少しずつ始まっています。
 徐々に物を見る力が弱くなり、一般的に30代を過ぎた頃には水晶体が硬くなり、弾力性がなくなってピントの調整が難しくなります
(老視、老眼)。

 さらに加齢が進むと、レンズ自体がひずみを生じてしまい、乱視、遠視といった屈折の異常が認められることもあります。
 ここからさらに水晶体が硬くなり最終的に白濁した状態になると白内障として診断されます。

 加齢以外にも、長期にわたってリウマチ、ぜんそく、膠原病などにより副腎皮質ホルモン(ステロイド )を服用している場合は、
 白内障発症のリスクとなります。

 また、糖尿病の方、がん治療などで多量の放射線を受けた方も白内障発症のリスクが高いといわれています。
 そのほかにも、アトピー性皮膚炎は10〜20歳代の若年性白内障の原因としてもっとしてもっとも多いことが知られています。

症状

 白内障発症時の目の見え方は、患者さんの水晶体の濁り方によって異なります。
 水晶体全体に混濁がある場合には、視界全体がぼやける、かすむといった症状が認められます。

 水晶体の中心のみに混濁が認められる場合には、屈折異常が起こることが多く、近くのものばかりが見えるようになります(近視化)。
 屈折異常により眼球内で光が散乱してしまうため、明るい場所にいる場合や逆光になった場合にまぶしさを感じて対象物が見えに
 くくなります。

 また、対象物が二重に見えてしまうこともあります。
 そのほか、色の区別がつきにくい、暗くなるとものが見えにくいといった症状などが挙げられます。

白内障の種類

 白内障には様々な原因がありますが、加齢が原因の老人性白内障(加齢性白内障)が全体の約90%以上を占めます。
 その他の原因としては、母親の胎内で風疹に感染して起こる先天性白内障や、目に強い衝撃が加わることで起こる外傷性白内障、
 全身疾患に合併して起こる白内障など様々な種類があり、進行の仕方や発症年齢も異なります。

老人性白内障(加齢性白内障)

 加齢が原因の白内障は、年を重ねれば誰にでも起こる眼の老化現象の1つと言われています。
 水晶体は、主に水分とタンパク質で構成されており、レンズの役割と紫外線をカットする働きを担っています。

 長年の紫外線暴露によって活性酸素が増加すると、水晶体に含まれるタンパク質が変性し、老人性白内障の原因になると言われて
 います。

 白内障と聞くとかなり年配になってから発症する病気といったイメージがありますが早い方では40代から発症する場合もあります。
 老人性白内障は、水晶体の周囲から濁りが生じ、徐々に中心に向かって濁りが進行するのが一般的ですので、発症初期の頃は自覚症
 状がありません。

 しかし、自覚症状が無くても、眼科用の顕微鏡で確認すると白内障が認められる場合があります。

糖尿病性白内障

 糖尿病性白内障の原因は、明確には解明されていませんが、糖尿病で高血糖値の状態が慢性化すると、ポリオール代謝が亢進して、
 白内障の原因になると言われています。

 ポリオール代謝を簡単に説明すると、摂取したグルコース(ぶどう糖)は、ソルビトールという糖アルコールに変換され、さらに
 フルクトース(果糖)に変換されます。

 糖尿病で高血糖値の状態が続くと、余分な糖を排出しようとするためにポリオール代謝が活発化し、細胞内のソルビトールとフル
 クトースの濃度が上昇します。

 このソルビトールという糖は水晶体の中に蓄積しやすく、白内障を引き起こす原因であると言われています。
 また、糖尿病性白内障は、水晶体の後側にある後嚢の中心から混濁する特徴があるため、視力障害などの発症初期から症状が
 現れます。

アトピー性白内障

 アトピー性皮膚炎を発症している約30%の方が、白内障を併発させているという報告があります。
 発症の原因は明確に解明されていませんが、「免疫異常」「痒みに対する掻く・叩く・擦るといった刺激」などが関係していると
 言われています。

先天性白内障

 先天性白内障は、生まれつき水晶体に濁りがある症状で、原因としては遺伝的な要因と、母親が妊娠中に発症した風疹が胎内で感染した
 ことが主な要因とされています。

 症状が急激に進行するケースは少ないため、経過を観察するのが一般的ですが、水晶体の濁りが強く、見え方に問題があると判断した場
 合は早急に手術を行います。

 先天性白内障で注意しなければならないことは、白内障を患っているのが赤ちゃんであることです。
 赤ちゃんは、自分の体調を言葉で伝えることができないため、両親が病気に気付いてあげることが重要です。

 生後間もない頃の赤ちゃんは、視力が未発達な状態ですが、物を見ることによって徐々に眼と脳を繋ぐ視覚経路が発達していきます。
 大人と同じくらいの視覚にまで完成するのは、8歳くらいと言われていますが、白内障で物が見えない状態を長く放置しておくと、
 視覚の発達が遅れ、弱視の原因になります。

 先天性白内障には、生まれた時から症状がある場合と、成長過程で白内障が現れる場合もあり、後者を発達性白内緒と呼ぶことも
 あります。

外傷性白内障

 外傷性白内障は、目の怪我が原因で発症する白内障です。
 発症原因は、眼に強い衝撃を受けたことで水晶体がダメージを受けることが主な要因です。

 力仕事などで目を打ったり、突いたりといった強い衝撃を受けた時や、野球やテニスなどのスポーツをしている時に眼にボールが
 当った衝撃で、白内障を発症することがあります。

 また、眼内の手術時に水晶体がダメージを受けることによって発症する場合もあります。
 受けた外傷の程度によっては、水晶体を包んでいる水晶体嚢が裂けてしまったり、水晶体を固定しているチン氏帯が弱くなって
「水晶体亜脱臼」を起こすこともあり、眼の状態によっては通常の手術手技では対応できないケースや、眼内レンズが挿入できない
 こともあります。

 外傷性白内障は、急速に進行する症例が多く、早急に手術を要するケースが多いのですが、怪我から数年経過して症状が現れる
 場合もあります。

併発性白内障

 併発性白内障は、他の眼の病気に併発して発症する白内障です。
 白内障を併発する主な眼の病気には、ぶどう膜炎、網膜剥離、網膜変性症、緑内障などがあります。
 これらの眼の病気の診断を受けた場合は、定期的に眼科を受診して経過を観察することが大切です。

その他の白内障

 放射線やステロイド剤の副作用によって白内障を発症することがあります。
 発症の原因は明確に解明されていませんが、服用しているステロイド剤の容量が多く、服用期間が長くなるほど発症リスクが高く
 なる傾向があります。

 また、放射線の被曝によっても白内障を発症することがあります。
 放射線との関連性については、明確に解明されていませんが、放射線被曝によって細胞が突然変異を起こすことが原因ではないかと
 言われています。

 癌や白血病などに対する放射線治療で、多量の放射線を受けた方に多く見られ、短期間で多くの放射線を浴びた場合は、水晶体
 の濁りが急速に進行することがあります。

白内障の予防法

 白内障は水晶体が濁ってくる眼の病気ですが、濁った水晶体をクリアに戻す薬はなく進行した場合は手術しか治療法はありません。
 発症して間もない頃は、進行を遅らせる点眼薬もありますが、その効果には個人差もありますので、一般的には視力に影響が出てきた
 と感じたら、手術を検討する時期だと言われています。

 白内障の原因には、加齢や生まれつき、眼の病気、怪我など様々な要因がありますが、その全てをケアすることは不可能です。
 そこで、日頃からできる白内障の予防方法や発症を遅らせる方法についてご紹介します。

 ただし、これらの方法にも個人差があり、取り組む時期によっては効果が得られないこともあります。
 白内障が進行し過ぎると、失明の可能性がある緑内障を併発することもあり、水晶体が固くなることで手術の難易度が高くなります
 ので、適切な時期に手術を受けることを最優先に考えることが重要です。

点眼薬で白内障の進行を遅らせる

 白内障の診断を受けたからといって、急いで手術を受ける必要はありません。
 白内障の大半を占める老人性白内障(加齢性白内障)は、水晶体の周囲から濁りが生じるため、発症初期は自覚症状がほとんどあり
 ません。

 一般的には、霞み目や視力低下などの症状が、日常生活に影響するようになった頃が、手術を検討する時期だと言われています。
 お薬で、濁った水晶体をクリアに戻すことはできないため、根本的な治療法は手術しかありませんが、白内障の初期段階であれば、
 点眼薬で進行を遅らせられる場合もあります。

 ただし、あくまでも白内障の進行を遅らせることが目的ですので、適切な時期に手術を受けられるよう、定期的に経過観察を受ける
 ことが大切です。

 白内障の進行を遅らせる効果が期待できる点眼薬には、以下のような種類があります。

≪ピレノキシン製剤(カリーユニR、カタリンR)≫
 水晶体の濁りの原因となるタンパク質の蓄積を抑制して、水晶体の混濁を遅らせる効果が期待できます。
 主な副作用としては、まぶたの腫れや痒み、充血、刺激感といった症状が現れる場合があります。

≪グルタチオン製剤≫
 抗酸化作用があり、水晶体の濁りの原因となる不溶性タンパク質の増加を抑える効果によって水晶体の透明性を保ち
 白内障の進行を抑える効果が期待できます。
 主な副作用としては、眼の痒み、充血、一時的な霞み目といった症状が現れる場合があります。

紫外線やブルーライトから目を守る

 紫外線やブルーライトは、老化の原因である活性酸素を発生させる原因として注目されています。
 水晶体には紫外線をカットする役割がありますが、紫外線は日常生活のどこにでも存在するもので、全てを防ぐことはできません。

 また、パソコンやスメートフォンが普及した現代社会では、ブルーライトを浴びる時間も長くなっています。
 日頃から、外出時にサングラスや帽子を着用することで、紫外線を浴びる機会を少なくすることができます。

 また、最近ではブルーライトをカットするメガネも開発されていますので、そういったアイテムを使用することでブルーライトから
 目を守ることに役立ちます。

食生活の改善

 近年、食生活の乱れや運動不足などによって、糖尿病、動脈硬化、心臓病、高血圧といった生活習慣病が増加傾向にあります。
 特に糖尿病は、網膜疾患や白内障など、眼にも様々な病気を引き起こします。

 食事生活の乱れは、老化を促進させる活性酸素を発生させる原因になるため、眼の老化現象と言われている白内障を予防するためには
 規則正しい食生活とバランスの取れた食事がとても大切です。

抗酸化作用のある成分の摂取

 活性酸素は、身体を老化(酸化)させる原因になりますが、人間の身体には活性酸素の増加を抑制する抗酸化作用という防御システム
 が備わっています。

 物を見る時は、角膜、水晶体、硝子体の順で光が通過して、網膜の黄班部で光をキャッチしています。
 この水晶体と黄班部にはルテインやゼアキサンチンが多く存在しており、紫外線やブルーライトなどの有害な光から眼を守る働きをして
 います。

 また、ポリフェノールやビタミンC、ビタミンEなどにも抗酸化作用がありますので、積極的に摂取したい成分です。

≪ルテイン≫
 ルテインには、カロテノイドという天然色素の一種で、高い抗酸化作用と有害な光を遮る作用があります。
 ルテインは、水晶体と黄班部に多く存在していますが、黄班部にはルテイン以外にもゼアキサンチンというカロテノイドが存在して
 います。

 ゼアキサンチンは、ルテインが体内の代謝によって生成されたもので、ルテインと同様に高い抗酸化作用があります。
 眼の老化現象である「老眼」は、一般的に40歳を過ぎた頃から自覚すると言われていますが、ルテインやゼアキサンチンも40歳を
 過ぎると減少し始めると言われています。

 白内障や加齢黄班変性症などの病気が、中高年以降に発症するのも、ルテインやゼアキサンチンの減少に関係していると考えられ
 ています。

 ただし、ルテインやゼアキサンチンは、人間の体内で作ることができないため、緑黄色野菜などの食材から摂取するしかありません。
 最近では、ルテインやゼアキサンチンを含むサプリメントも登場していますので、これらを上手に活用することも選択肢の1つです。

 1日の推奨摂取量
 ・ルテイン:    6〜10mg
 ・ゼアキサンチン: 6mg

 ルテインやゼアキサンチンを多く含む野菜
 ルテイン; ほうれん草、ブロッコリー、とうもろこし、カボチャ、小松菜、レタス、ニンジン、パセリ、ケール、グリンピースなど
 ゼアキサン;チンクコの実、パプリカ、ほうれん草、ブロッコリー、パパイヤ、マンゴー、とうもろこし、ケールなど

≪ポリフェノール≫
 眼に良いとされている食べ物としてブルーベリーが有名ですが、ブルーベリーにはポリフェノールの一種であるアントシアニンと
 いう成分が含まれており、高い抗酸化作用を持っています。
 アントシアニンには、ルテインを眼に運ぶや働きがありますので、ルテインと一緒に摂取すると効果的です。

適度な運動

 若い頃は、身体に備わっている抗酸化作用の働きも活発ですが、年を取ってくるとその働きも低下してきます。
 そのため、若い頃のように激しい運動をすると、逆に活性酸素を発生させる原因にもなります。

 ただし、ウォーキングなどの適度な運動は血流の改善効果が期待できますので、白内障の予防にも効果があると言われています。
 血流が悪くなると、様々な病気の原因となりますが、眼も例外ではありません。

 血流が改善すると、酸素や栄養の供給が活性化し、同時に溜まっていた老廃物の排出も促進されます。
 眼には非常に多くの毛細血管が存在しますので、血流の改善は眼の老化予防にも役立ちます。

白内障を放置することで起こるトラブル
物が見えない

 白内障を放置したことで、水晶体の濁りが強くなると、網膜に届く光も限られてきますので、物が認識できなくなります。

 当然、視力検査では一番上の「C」も読むことができません。
 左右の進行度合いに差が大きい場合は、片方の眼が見えているケースもありが、遠近感も取りづらく、物にぶつかる、転倒すると
 いった危険がつきまといます。

 また、交通事故や転落事故といった大きな事故に合うリスクも考えられますので、見えにくい状態のまま生活することは様々な
 危険が伴います。

水晶体融解性ぶどう膜炎

 白内障を放置したことで、水晶体の濁りが過剰に進行すると、水晶体が溶けだす水晶体融解が起こることがあります。
 水晶体が眼の中で溶け出すと強い炎症が起こり、「水晶体融解性ぶどう膜炎」を引き起こします。

 水晶体融解性ぶどう膜炎は、充血と激しい痛みを伴い、時間の経過とともに症状が悪化します。
 時には緊急手術が必要となるケースもありますので注意が必要です。

 このような状態になるまで白内障が進行すると、手術で水晶体を包んでいる前嚢を切開した際に、溶け出した水晶体が漏れ出すこと
 があり、術野が見えなくなる危険性もあります。

 当然、手術の難易度も高くなり、トラブルが生じる原因にもなります。
 手術後に癒着や混濁などの後遺症が残ることもありますので、手術後の生活にも不便をきたすことが考えられます。

急性緑内障発作

 白内障が進行すると水晶体が膨張してきます。
 水晶体の膨張によって隅角が狭くなると、房水の排出機能が低下して、眼圧が上昇する危険性があります。

 隅角が完全に塞がってしまうと、眼圧が急激に上昇し、急性緑内障発作を引き起こす恐れがあります。
 急性緑内障は、緑内障の中でも失明の危険性が高く、早急に処置を行わなければなりません。

 急性緑内障によって、視神経がダメージを受けると、視野が欠ける視野欠損が起こり、最悪の場合は失明に至ることがあります。
 傷ついた視神経を元に戻すことはできないため、一度欠けてしまった視野は取り戻すことはできません。

他の眼の病気を発見できない

 白内障が進行して水晶体の濁りが強くなると、眼の奥が見えなくなりますので、眼底の検査が難しくなります。
 そのため、糖尿病性網膜症や網膜剥離、網膜静脈閉塞症など失明の恐れがある病気の発見が遅れる原因になります。

 年を取ると様々な眼の病気を発症しやすくなります。
 失明につながるような重篤な眼の病気が隠れていることも考えられますので、適切な時期に手術を受けることが大切な目を守ること
 にも繋がります。

正確な検査データが取得しにくくなる

 白内障手術は、濁った水晶体と人工の眼内レンズを入れ替えますが、眼内レンズの度数を決めるために眼軸長(眼の奥行き)を測る
 検査を行います。

 眼軸長を測定する検査には、レーザー光を使用した眼軸長検査を行いますが、白内障が進行して濁りが強くなると、レーザー光が
 通らない場合があります。

 眼軸長を測定する検査には、超音波を使用する検査もありますが、レーザー光を使用した検査のほうが正確性に優れていますので、
 検査データに誤差が生じることがあります。

 そのため、レーザー光による眼軸長の検査ができないくらい水晶体が濁っている場合は、眼内レンズの度数計算が不正確になる可能
 性がありますので、予想していた視力が得られないケースがあります。

水晶体が固くなると手術の難易度が高くなる

 白内障が進行すると、水晶体が固くなっていきます。
 白内障手術では、濁った水晶体を超音波で砕きながら吸引して取り出しますが、水晶体が固くなりすぎると、超音波で砕くことが難
 しくなります。

 例え、何とか砕けたとしても固くなった水晶体の破片が他の組織を傷つけることもあり、水晶体を包んでいる水晶体嚢を破損する可
 能性もあります。

 通常よりも手術時間が長くなるだけではなく、手術中に様々なトラブルが起こるリスクも高くなります。
 当然、手術の結果にも影響することになりますので、期待していた視力が得られないことも考えられます。

眼内レンズが挿入できない

 水晶体が砕けない場合は、水晶体を丸ごと取り出す「水晶体嚢外摘出術」という方法を選択することがあります。
 水晶体を丸ごと取り出すには通常よりも広い切開創が必要であり、手術後の回復に時間がかかるだけではなく、傷口が治癒する過程
 で強い乱視が発生することもあります。

 また、角膜内皮細胞がダメージを受ける可能性や後嚢破損などの術中合併症のリスクも高くなります。
 後嚢が破損した場合は、眼内レンズが挿入できないこともありますので、嚢外固定や縫着固定という方法を選択します。

 また、極稀なケースになりますが、水晶体を包んでいる水晶体嚢ごと取り出す「水晶体全摘出術」を選択しなければならないケース
 も考えられます。

 この術式を選択した場合は、眼内レンズを固定するスペースが失われますので、嚢外固定や縫着固定という方法でもレンズが固定で
 きない場合は「無水晶体眼」という状態になります。

 水晶体が無い状態なので、視力を矯正するには、かなり度数の高い遠視のメガネや無水晶体眼専用のコンタクトレンズが必要となり
 ます。

 近年では、虹彩に固定するタイプの前房型フェイキックレンズで視力を矯正することも可能になりましたが、やはり安全に手術を
 受けるためにも、水晶体が固くなりすぎる前に手術を受けることが大切です。

痛風について

痛風とは

 痛風は、名前が知られているわりには、どんな病気かよく知らない人が多いようです。
 自覚症状がほとんどないため、病名の由来である「風に吹かれただけでも痛む」ほどの激痛に見舞われ、初めて痛風について関心
 をもつ人が大半です。

 ところが現在、成人男性の5人に1人は痛風予備軍といわれるほど増えていて、決して人ごとではありません。
 しかも、従来は中高年の男性に多かった病気ですが、最近は食生活の変化に伴って20〜30歳代の若い男性にも目立ってきています。

 痛風の直接の原因は、血液中の老廃物のひとつである「尿酸」です。尿酸が一定量以上に増えると、その結晶が関節部分に蓄積し、
 やがて炎症と激しい痛みを引き起こします。

 痛みが起こる場所は、足の親指の付け根が最も多く、全体の約7割を占めています。
 そのほか、足首、くるぶし、ひざ、耳などにもみられます。

 突然の激痛におそわれることが多いのですが、人によっては軽い関節痛程度のこともあります。
 また、1週間程度で痛みが治まるので、とりあえず湿布薬などでしのぎ、そのまま放置する例も少なくありません。

 ところが原因である尿酸の多い状態が続く限り、痛みは繰り返されます。
 そればかりか、関節部分が腫れてコブ状になったり、尿路結石や腎臓障害を起こしやすくもなります。

 さらに痛風は、高血圧や高脂血症、糖尿病などとも関係が深いことが判明し、注目されています。
 それだけに健康診断などで、尿酸値が高いと言われたら、早めに予防策を講じておくことが大切です。

 ちなみに、尿酸値が7mg/dl以上を「高尿酸血症」といい、激痛などの発作が加わった場合を「痛風」と呼んでいます。

気を付けたい痛風の合併症

 痛風と、その前段階である高尿酸血症を放置していると、高血圧や高脂血症、糖尿病など、多くの生活習慣病を併発しやすいこと
 がわかってきました。

 痛風の患者さんのうち半数は高血圧を、半数は高脂血症を併発しています(高血圧と高脂血症の両方を併発している人も含む)。
 また糖尿病の場合は、予備軍段階(耐糖能障害)の人に、痛風を併発する人が多くみられます。

 これは糖尿病の段階まで進むと、尿糖を排出するために尿の量が増え、その結果、尿酸も一緒に排出されやすいからです。
 したがってむしろ予備軍段階で、注意が必要といえます。

 いずれにせよ、これらのことから痛風や高尿酸血症が、いかに多くの生活習慣病と密接な関係にあるかがわかります。
 これらの病気に共通するキーワード、それは「動脈硬化」です。

 例えば痛風と高血圧を比べると、前者は血液中に尿酸が増え、後者は血液の圧力が高まることによって生じます。
 どちらも血管に大きな負担を与え、その状態が続くと血管機能の低下、つまり動脈硬化へと進むからです。

 実際に痛風や高尿酸血症を放置していると、高血圧などを併発するだけでなく、動脈硬化を起こし、さらには心筋梗塞や脳梗塞
 などの危険な病気へと進みやすいことが指摘されています。

プリン体への誤解

 尿酸といえば、すぐに「プリン体」のことを連想する人も多いのではないでしょうか。
 プリン体は、食品に含まれる物質で、体内で尿酸に変わります。
「プリン体を多く含む食品をとると尿酸値が上がる」…そんな話が一時、マスコミをにぎわせました。

 プリン体が多い食品の代表としてビールが取り上げられ、それならばと、発泡酒や焼酎に代えた人もたくさんいたはずです。
 ビール会社でも、プリン体を減らしたビールを開発したりしました。

 しかし、プリン体については誤解が少なくありません。
 プリン体は、細胞の核酸を構成する物質で、決して悪者ではなく、新しい細胞をつくるときには欠かすことができません。

 そのためプリン体のほとんどは、食品からとるのではなく、体内で合成されています。
 そして体内で代謝され、尿酸となります。

 では、食べ物は関係ないのでしょうか。
 実際にプリン体を多く含む飲食物を毎日大量にとっていると、確実に尿酸値は上がります。

 例えばビールを毎日がぶ飲みし、レバー類ばかり食べるようなケースです。
 でも、そんな食事を続ける人は、あまりいないでしょう。

 むしろ問題は、毎日の普通の食事における食べすぎや飲みすぎなのです。
 というのも、プリン体はレバー類などに限らず、肉類をはじめ多くの食品に含まれています。

 どんなメニューであっても、たくさん食べれば、それだけ尿酸は増えます。
 またビールに限らず、アルコールそのものが体内で尿酸を大量につくります。

 さらにアルコールは、腎臓の尿酸排泄機能を低下させるため、ビール以外の酒類でもたくさん飲むと尿酸値が高くなってしまう
 のです。

 そのため最近では、特定の食品にだけ注意するのではなく、慢性的な食べすぎ・飲みすぎと、その結果としての肥満が、痛風や
 高尿酸血症の原因として指摘されています。

プリン体を多く含む食品

 レバー類(鶏、豚、牛)、白子、アンコウの肝、魚の干物類、イワシ、カツオ、干しシイタケなど。尿酸値が高めの人は、こう
 した食品を続けて食べないようにしましょう。

痛風になりやすいタイプとは

 痛風や高尿酸血症の患者さんには、次のようなタイプが多くみられます。

 ◎成人男性である、肥満気味である、アルコールが好きでよく飲む、ストレスが多い、時々激しい運動をする、家族に痛風の人
  がいる。

 このうち「肥満」については、高血圧などを併発しやすいほか、肥満の人には汗かきが多いこともリスクとなります。
 というのも尿酸は、汗からは排出されません。大汗をかいて尿の量が減ると、かえって尿酸の排出を妨げる結果になるからです。

 ストレスについては、実際にストレスを受けたり、疲れているときには、尿酸値が高くなります。
 血管を収縮させ、腎臓の働きを低下させるためと考えられています。

 運動については、激しく動き回るスポーツ(サッカー、テニスなど)や筋肉運動(重量挙げ、筋力トレーニングなど)をすると、
 尿酸が増加します。

 こうした運動の場合は、こまめに水分を補給し、尿の排出を促すようにしましょう(運動中に汗をかいても、尿酸は排出されません)。
 ただし、運動がいけないわけではなく、痛風の原因となる肥満予防のためには、有酸素運動(ウォーキング、軽めのジョギング、
 水中歩行、固定式自転車こぎなど)などを続けると効果があります。

 この場合にも、水分補給を十分に。
 家族との関係では、痛風そのものは遺伝しません。

 しかし、最近の遺伝子研究から、痛風の発症にかかわる遺伝子が複数発見されていて、遺伝子による代謝異常がある人は、痛風や
 高尿酸血症になりやすいこともわかってきています。

 遺伝子異常は自分ではわかりませんが、家族に痛風の人がいる場合には、体質や食生活が似ている可能性があるので、若いころか
 ら注意したほうがいいでしょう。

食生活で注意したいこと

 痛風と高尿酸血症は、食生活と大きなかかわりがあります。
 とくに次の点に注意しましょう。

◎食べすぎ・飲みすぎに気を付ける

 痛風はかつて「ぜいたく病」ともいわれたように、飽食の結果ともいえます。
 食事全体の量だけでなく、高カロリー・高脂肪食(肉類、レバー類、魚卵類など)をたくさん食べないことも大切です。

 アルコールも、栄養はあまりありませんが、カロリーはあるので、飲みすぎには十分な注意が必要です。

◎プリン体の多い食品を続けてとらない

 プリン体を多く含む食品は、続けて食べないことが大切です。
 とくに酒の肴になる、白子、アンコウの肝、干物類などには注意し、飲酒中でも野菜をたくさんとることを心がけてください
 (野菜は尿をアルカリ性にし、尿酸を溶けやすくします)。

◎料理法や食べ方にも気を付ける

 プリン体は水溶性で、煮たりゆでたりすると水に溶け出すので、摂取量を減らすことができます。
 同じ食品でも、こうした料理法を心がけましょう。

 ただし、寒い時期に気を付けたいのは鍋物です。鍋物の煮汁には、いろいろな食品のプリン体が溶け出しています。
 最後に雑炊やおじやにして食べると、大量のプリン体をとることになります。尿酸値が高めの人は、とくに気を付けましょう。

変形性股関節症について

症状

 股関節症の主な症状は、関節の痛みと機能障害です。
 股関節は鼠径部(脚の付け根)にあるので、最初は立ち上がりや歩き始めに脚の付け根に痛みを感じます。

 関節症が進行すると、その痛みが強くなり、場合によっては持続痛(常に痛む)や夜間痛(夜寝ていても痛む)に悩まされる
 ことになります。

 一方日常生活では、足の爪切りがやりにくくなったり、靴下が履きにくくなったり、和式トイレ使用や正座が困難になります。
 また長い時間立ったり歩いたりすることがつらくなりますので、台所仕事などの主婦労働に支障を来たします。
 階段や車・バスの乗り降りも手すりが必要になります。

原因と病態

 患者さんの多くは女性ですが、その場合原因は発育性股関節形成不全の後遺症や股関節の形成不全といった子供の時の病気や発
 育障害の後遺症が主なもので股関節症全体の80%といわれています。

 最近は高齢社会となったため、特に明らかな原因となる病気に罹ったことが無くても年齢とともに股関節症を発症してくること
 があります。

予防と治療

 関節は一生に一個しかありませんので、本症と診断されたらまず負担を減らして大事に使うということが大切になります。
 初期のうちでしたら、どのような使い方をすると痛みが強くなるか良く自分自身の関節の調子を観察していただき、“日常生活”
 と“痛みを悪くしない使い方”をよくマッチさせることが大切です。

 痛み止めの薬を使うことも選択肢に入りますが、できれば調子の悪い時やどうしても負担をかけなければならない時に限定して使
 うほうが良いと思います。

 またもし過体重があるようでしたらダイエットも考えてください。
 心理的抵抗がなければ杖の使用もお薦めします。

 一方、痛みがあるとどうしても歩かなくなり筋肉が衰えてしまいますので、できれば水中歩行や水泳(平泳ぎを除く)を週
 2,3回行っていただくと理想的です。

 運動療法はその他の方法もありますが、運動療法はどうしても疼痛を誘発してしまう可能性がありますので、慎重に始めて徐々
 に強度を高めていくことがポイントです。

関連する症状・病気
発育性股関節形成不全

 古くは独歩後に跛行することで発見されましたが、現在は乳児検診で開排制限(股の開きが悪いこと)や脱臼感があった場合、
 X線(レントゲン)か超音波(エコー)診断が行われることで早期発見が可能になっています。

 もし成人後に脱臼がある場合は、下肢短縮のために著明な跛行があったり、股関節痛が生じたりします。

 病態としては、周産期に緩みのある赤ちゃんの股関節が、下肢を伸ばした位置でオムツをするなどの間違った育児習慣によって
 外れていくことが多いと言われています。

 脱臼は生まれた後に発症するのだという議論から、最近は先天性というより発育性股関節形成不全と呼ばれるようになりました。
 かつては出生数の2%前後の発生率があり、近年はその約1/10 に減少していますが、成人の二次性変形性股関節症を含める
 と現在でも代表的な股関節疾患といえます。

≪予防と治療≫
 治療は年齢により異なりますが、大別すると脱臼の整復とその後に残った変形の矯正に別けられます。
 乳児期に発見された場合、わが国では多くリーメンビューゲルと呼ばれるひも型の装具療法が行われています。

 もしこの装具で整復が得られない場合や患児が大きくなりすぎてこの装具療法がうまく行かない場合には、多くオーバーヘッド・
 トラクションといわれる入院牽引療法が行われます。

 脱臼整復はリーメンビューゲルで80%前後、残りの20%のうちそのまた80%が入院牽引療法で整復されます。
 残りの5%前後が手術を要することになります。

 整復が得られたら、その後の成長の経過観察を行い、もし後遺症が早めに出た場合骨盤骨切り等のいわゆる補正手術を行います。
 なお最近育児に取り入れられたスリングによる保育法が、この疾患の発生を助長するのではないかとの危惧が持たれています。

臼蓋形成不全

 小児期の臼蓋形成不全は基本的には乳児の時に超音波やX線(レントゲン)で診断される画像上の診断名なので、臨床的に
 問題となるような症状はありません。

 ただ発育性股関節形成不全のように、大腿の皮膚溝(しわ)が非対称であったり、脚の開きが悪いこと(開排制限)があります。

≪原因と病態≫
 乳児の臼蓋形成不全は股関節の骨盤側の出来が悪い(かぶりが悪い)ということなので、古くはかぶりが悪いから脱臼すると考えら
 れたこともありましたが、現在は子宮内の肢位などのためであって、脱臼の原因ではないと考えられています。

 一方、日本人では成人男性の0〜2%、女性の2〜7%が股関節形成不全といわれており、その方たちに小児期に何かあったか聞いても
 殆ど何もありません。

 乳児期の臼蓋形成不全は基本的に自然改善すると考えるのが通説です。
 しかし、そうすると成人の臼蓋形成不全が何時、どんな形で成立するかが分かりません。
 ミッシングリングとでもいいますか、この点は現在も謎のままです。

変形性膝関節症について

概要

 変形性膝関節症とは、体重や加齢などの影響から膝の軟骨がすり減り、膝に強い痛みを生じるようになる病気です。
 女性に発生することが多く、加齢、肥満、外傷なども変形性膝関節症の発症に関与していると考えられています。

 膝は体重負担が大きくかかる部位であり、変形性膝関節症の発症を防ぐためには体重を増やしすぎないようにコントロールする
 ことが重要です。

 さらに、膝周囲の筋力をしっかりと保持することも、膝への負担を軽減させるためには有効だと考えられています。
 また、病状が進行すると歩行が困難になることもあり、そのような場合には手術が検討されます。

軟骨と半月板

 膝関節とは、太ももにあたる大腿骨だいたいこつと脛にあたる脛骨けいこつの継ぎ目にある関節で、歩くときに重要な役割を
 果たします。

 膝の前方には膝のお皿と呼ばれる膝蓋骨しつがいこつがあり、これら3つの骨から成り立っています。
 これらの骨同士が互いに直接接触すると、大きな摩擦が生じ骨の摩耗につながってしまいます。

 膝関節内の骨の表面を覆う軟骨は、この摩擦を防ぎ、スムーズな関節の動きを実現しています。
 さらに、大腿骨と脛骨の関節面の間には半月板はんげつばんがあり、主にクッションの役割を果たします。

 この半月板は、アワビの刺身のような硬さで、コラーゲン繊維からできています。
 膝を曲げ伸ばしすると半月板が動き、そのおかげでスムーズに膝を曲げることできます。

歩き始めの膝の痛み

 変形性膝関節症の発症には加齢、肥満、O脚、膝を酷使する仕事、外傷なども関係しており、一定の年齢を越えたら誰でも発症
 する可能性がある病気といえます。

O脚(オーきゃく)によるリスクについて

 O脚は足の形がO型に変形して大腿骨だいたいこつ(太ももの骨)とすねの骨の角度が曲がった状態であるため、通常に比べて膝
 の内側に体重がかかっています。

 この形状は膝関節への負担となり、体重がかかっている膝の内側の軟骨が徐々にすり減っていき、やがて痛みを生じ、変形性膝
 関節症の悪化につながります。

 それだけではなく、膝の軟骨が減ることで、さらにO脚が進行する原因にもなります。
 つまりO脚であることは、膝軟骨の摩耗を促進させ、それによってさらにO脚が悪化するという悪循環を生んでしまうのです。

発症初期

 初期症状は主に動作開始時の足の違和感です。具体的には以下のような症状が現れます。
 ・立ち上がったときや歩き始めたときに痛い
 ・正座ができない(正座時に痛む)
 ・階段の昇り降りをするときに痛い
 上記のとおり、歩くこと自体には支障がなく、日常生活での歩行中には痛みは治まることが発症初期の特徴です。
 痛みは一時的で休めば回復するので、「少し我慢すれば治まるから大丈夫」と、病院を受診していない発症初期の方もいらっし
 ゃるのではないかと思いますが、歩き始めの痛みを自覚したら、なるべく早めに整形外科医を受診することをおすすめします。

発症進行期〜末期

 変形性膝関節症が進行して膝関節の変形が進むと、歩き始めだけではなく、歩行中も痛みが継続するようになります。
 具体的には、初期症状に加えて以下のような症状が起こります。
 ・O脚が進行する
 ・歩行時にも膝が痛い
 ・痛みの程度が強くなる
 ・関節機能が低下して膝が伸びなくなる

予防(日常生活での注意点)

 ふとももの前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える。
 正座をさける。
 肥満であれば減量する。
 膝をクーラーなどで冷やさず、温めて血行を良くする。
 洋式トイレを使用する

がん予防の食事について

がんとは

 現在がんは2人に1人は何らかのがんにかかると言われ、日本人の死因第1位でもあり、その割合も年々増加しています。
 厚生労働省の平成27年の人口動態統計によると、男性では1位肺がんで、次いで胃がん、肝臓がん、大腸がんです。

 女性では1位大腸がん、次いで胃がん、肺がん、膵臓がんとなっています。
 がんは恐ろしい病気と思われていますが、定期的ながん検診の受診によって、早期発見、早期治療していくことができます。

 私たちの体は60兆個もの細胞からできていますが、日々、活性酸素などの毒性のある物質によって細胞が傷つけられています。
 体内には細胞を修復、回復する働きはありますが、免疫力が低下するとがん細胞を消滅させることができなくなります。

 そして、細胞に過度なダメージが加わることで、遺伝子が傷つき、がん化した細胞が増え、塊となって周囲に広がっていきます。
 がん細胞ができるきっかけは、1つではなく、大気汚染、紫外線、ウイルス、喫煙、食事など複数関わります。

 がんは完全に防ぐことはできませんが、喫煙、食事、ストレス、運動など日常生活を振り返ることで、がんになりにくくする、すなわち予防することができます。

がん予防のための食事とは

 現在がんのリスクを低下させる因子、上昇させる因子がわかってきています。
 食事の基本は一汁三菜のバランスの良い食事です。

 ・植物性食品を中心に多くの種類を食べる
 ・野菜や果物をたくさん食べる
 ・多種類の穀物、豆類、根菜類を食べる
 ・肉類は1日80g以下
 ・脂肪は動物性脂肪食品(飽和脂肪酸)を控え、植物性脂肪から適度にとる
 ・食塩は成人で1日6g以下
 ・アルコールは控えめ
 ・食品は新鮮なうちに食べる
 ・食品添加物や残留農薬に気を付ける
 ・焦げた食品は控える

がんのリスクを上げる食べ物

 ・アルコール:肝臓がん、大腸がん、乳がん、肺がん、食道がん
 ・塩分:胃がん
 ・肉類:大腸がん、乳がん

 塩魚や干物など塩分が多い食品によるがんリスクが高くなる原因は、魚、野菜、漬物などの食品成分が胃の中の硝酸と反応して、生成されるニトロソ化合物が日本人に最も多い胃がんのリスクを上げることによるものと言われています。

 多量の飲酒習慣や熱い食べ物ばかり食べていると、食道粘膜が傷つけられてしまうからとも考えられています。
 特に1日の飲酒量が増えていくと、お酒を飲まない人よりも2倍以上高くなる傾向があります。

 大腸がんは動物性タンパク質の加熱などから生成される発がん性物質によるものと言われています。
 そのため保存、加工肉の摂取量が多いとリスクが高くなります。

がんを予防する食べ物

 ・野菜:肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん
 ・果物:肺がん、胃がん、乳がん
 ・カロテン:肺がん
 ・ビタミンC:胃がん
 ・食物繊維:大腸がん(結腸のみ)

 アメリカ国立がん研究センターでは、天然の植物中に存在する、がん抑制作用のある成分を主に、がん予防効果のある食品、約40種類をピックアップして、図1のとおりデザイナーフーズピラミッドを作成しました。

 デザイナーズピラミッドでは上位にある食品ほど、がん予防の効果が高いと考えられています。

 がん予防のある食品はビタミンA、ビタミンC、ビタミンEを含む野菜、果物、植物性油脂のほかに機能性成分(ポリフェノール、カロテノイドなど)を含む食品を取り入れることです。

 ポリフェノールやカロテノイドには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去する働きがあります。
 緑黄色野菜に含まれるβ-カロテンの摂取量が多い人は肺がんの発症リスクが低いと言われています。

 またビタミンD、カルシウム、葉酸(ようさん:ビタミンB群の一種)等の摂取が大腸がんのリスクを下げるという報告もあります。
 厚生労働省でも1日350gの野菜の摂取が目標とされています。

 毎食小皿1〜2皿の野菜料理を取り入れていくと野菜が補え、がん予防にも役立ちます。

≫戻る

ビタミンが不足するとどうなる?

体に必要なビタミン

 ビタミンとは、体の健康を維持するために必須な栄養素で、水や油への溶けやすさで「2種類」に大別されます。
 不規則な食生活を続けるとビタミンが不足し、ある特定の病気を発症したり、成長に障害が出たりすることがあるため、注意が
 必要です。

脂溶性ビタミン

 油と一緒に摂取すると吸収が良くなります。
 体内に蓄積されるため、摂取しすぎると過剰症が現れ、体に害を及ぼすことがあります。
「D・A・K・E(ダケ)」と覚えます。

 ビタミン名称   主な機能                  代表的な食品
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ★ビタミンA   目に作用し、視覚を維持する         うなぎ、レバー、乳製品
 ★ビタミンD   骨の形成に必要、不足すると骨が弱くなる   マグロ、かつお、干ししいたけ
 ★ビタミンE   抗酸化作用があり老化を予防する       アーモンド、かぼちゃ
 ★ビタミンK   血液凝固作用に必要、骨の形成にも関与する  納豆、ブロッコリー、ほうれん草

水溶性ビタミン

 過剰な分は尿に溶けて排泄されるため、少量をこまめに摂取することがポイントです。
 過剰症は基本的にありませんが、一部の水溶性ビタミンでは、サプリメントで大量に摂取すると、吐き気、下痢、腹痛、かゆみなど
 を生じる例が報告されているため、適正な量の摂取を心がけてください。

 ビタミン名称   主な機能                  代表的な食品
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ★ビタミンB1  糖質の代謝、神経機能維持に必要       豚肉、玄米、大豆
 ★ビタミンB2  糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要      レバー、魚介類、きのこ類
 ★ビタミンB6  アミノ酸の代謝に必要            にんにく、ピスタチオ、海苔
 ★ビタミンB12 血液の形成、神経細胞の機能維持に必要    さんま、あさり、卵
 ★ビタミンC   鉄分の吸収、コラーゲンの生成に必要     トマト、みかん、緑茶
 ★葉酸      血液形成に必要、妊婦・授乳婦への摂取推奨  レバー、枝豆、緑色野菜
 ★ナイアシン   エネルギー代謝において重要         レバー、肉類、きのこ類
 ★ビオチン    糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要      レバー、肉類、卵黄
 ★パントテン酸  糖質、脂質、アミノ酸の代謝に必要      レバー、豆類、牛乳

現代病とも言える目の疲れとかすみ

 パソコンやスマートフォンが普及し、目を酷使することが増えたために、目の疲れを訴える人が増加しています。
 目を酷使し続けると、目のピント調節機能が一時的に低下して、視界がかすんでしまうこともあります。

疲れ目・かすみ目の原因

 私たちが物を見るときは、カメラのレンズと同様な働きをする水晶体の厚さを調節し、ピントを合わせています。
 このピント調節には、水晶体の周辺の筋肉(毛様体筋)が関わっており、水晶体を引っ張ったり緩めたりしています。

 近くのモノを見ることが続くと、毛様体筋が引っ張られ続けることで硬くなります。
 そのため、ピントを合わせる機能が一時的に低下して、視界がかすむ原因となります。

 老眼では、毛様体筋の衰えや、水晶体の弾力の低下が生じることから、ピント調節機能も衰え、目の疲れを生じます。
 近視、遠視、乱視があるのに、度が合っていないメガネ・コンタクトレンズを使っていると、過度なピント調節を繰り返します。
 このことが、毛様体筋の凝りを生じて、疲れ目の原因になります。

疲れ目の予防と対策

1.適度な休憩

 長時間に渡って目を酷使するような仕事では、1時間に15分ほど間に休憩をはさみます。
 また、蒸しタオルなどを使うと目の周りの血行が良くなり、疲労物質が取り除かれ、疲労回復に繋がります。

2.パソコン等の画面との適切な距離を保つ

 画面と目の距離は40cm以上離すようにします。
 また、画面が自分の目より上の位置にあると上目使いの状態になり、より一層目が疲れやすくなるため、画面が目線より下の位置
 になるように調節します。

3.湿度の調節

 ドライアイの原因にもなる乾燥を防ぐために、加湿器や濡れタオルを干して、湿度を適度に調節します。
 また、エアコンの風が直接目にあたらないよう、送風口の向きを変えるなどの工夫も必要です。

4.まばたきを増やす

 集中すると、知らず知らずのうちに目を酷使しています。
 意識的にまばたきの回数を多くし、涙の分泌を増やすようにします。

5.室内の明るさ

 室内が暗いと目が疲れやすくなります。
 読書など細かい作業をするときは部屋全体を明るめにするか、部分照明を活用します。
 また、パソコンを使うときは、少し暗い室内照明を使用することで目が疲れにくくなります。
 さらに、外の光がパソコンのモニターに映りこまないようにカーテンなどで遮光します。

6.点眼薬を用いる

 末梢神経を修復するビタミンB12やピント調節機能改善成分のネオスチグミンが入った目薬や、目の組織代謝を促進するタウリン
 やパンテノールなどの入った目薬を用いると効果的です。
 疲れ目の症状がひどい場合は、ドライアイなどの病気になっていることもあるので、眼科を受診してください。

7.栄養を十分に摂取する

 目に良い栄養素(ビタミンA、B1、B2、B6、B12等)が含まれている食品(豚肉、卵、まぐろ、レバー等)を摂取すると、目の
 疲れを取るのに役立ちます。


片頭痛

 片頭痛とは、こめかみ部分の動脈や脳の血管が広がり、その周辺の神経が刺激されて起こる頭痛です。
 主に頭の片側にズキンズキンと脈打つように痛むのが特徴ですが、両側に痛みを感じる方も少なくありません。
 痛む時間は4?72時間程度です。また、頭痛が始まると、寝込んだりして生活に支障をきたしたり、吐き気や光・音に耐えられなく
 なることもあります。頭痛前に、チカチカした光が視界に現れることもあります(閃輝暗点:せんきあんてん)。

主な原因

≪ストレスから解放されたときの緊張緩和≫
 緊張からの解放は、急な血管拡張につながります。

≪不規則な睡眠≫
 寝不足・寝過ぎ、どちらも悪影響です。

≪女性ホルモンの変動≫
 主に片頭痛は20代〜40代の女性に多く見られ、生理中および生理の前後に片頭痛で悩まされる女性が多いです。

≪気候の変化≫
 気温・気圧の変化が起こる季節の変わり目などには注意が必要です。

対処法と予防法

○片頭痛の前兆が起きたら早めに薬の準備をしましょう。
○片頭痛は患部を冷やす事が効果的です。温めたり、揉んだりすると逆効果になります。

○音や光に敏感になるため、にぎやかな場所は避け、暗い静かな場所で休みましょう。
○睡眠など、規則正しい生活を心がけましょう。

○コーヒーやお茶に含まれるカフェインは、血管収縮作用があるため頭痛を抑える効果があると言われています。
 ただし、飲みすぎると頭痛が悪化する場合があるので注意しましょう。

○マグネシウムは、玄米・納豆・ヒジキ等に多く含まれ、血管の痙攣等を防ぐ効果があると言われています。
○ビタミンB2は、牛・豚のレバー・卵黄等に含まれ、血流を良くする働きがあります。

あなたのその症状、「逆流性食道炎」かも?

 最近、「胸が焼けるような感じがする」、「酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる」などの症状はありませんか?
 その症状は、もしかしたら『逆流性食道炎』かもしれません。

 逆流性食道炎は、食欲低下や寝つきの悪さの原因になることがあります。
 下記チェックリストを参考に気になる症状がある方は、ぜひ医師に相談してみてはいかがでしょうか?

逆流性食道炎って何?

 胃液は、塩酸(胃酸)と消化酵素を含み、食べ物を溶かし、悪い菌を殺菌する役目を持っています。
 胃酸が何らかの原因で胃から食道に逆流すると、炎症を起こしたり、粘膜に潰瘍を起こしたりします。
 この病気のことを逆流性食道炎といいます。

どんな人に起こりやすい?

 <食生活>
 ●普段脂っこいものを良くとる方
 ●過食の方

 <生活習慣>
 ●運動不足の方
 ●煙草を吸う方
 ●ストレスが多い方

原因と治療法

 食道と胃のつなぎ目にある下部食道括約筋という筋肉の機能低下や、胃酸が増え過ぎることで起こります。
 多くは患者さんの訴える症状で診断されます。

 ただ、訴えだけでは、食道がどの程度炎症を起こしているのか分かりません。
 そのため、他の病気でないかの確認のためにも、内視鏡(胃カメラ)検査を行うことが推奨されています。

 治療は生活習慣の改善や、胃酸を抑える薬の服用、外科手術などが行われます。

逆流性食道炎にならないために

 逆流性食道炎は、症状が改善しても再発しやすい病気です。
 食生活や生活習慣に気を付けることが大切です。

 生活で注意すること
 ○うつむいたり、お腹を圧迫する格好をしない
 ○十分な睡眠をとる
 ○適度な運動をする
 ○食後すぐ横にならない

 食事で注意すること
 ○早食いはしない
 ○ 腹八分目の食事をする
 ○刺激物を取りすぎない

やってみよう!逆流性食道炎チェック

 □胸焼けがある
 □ ゲップが多い
 □ 飲みこむときに、つかえる感じがする
 □ 酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる
 □ 少しの食事でお腹いっぱいになる
 □ 食後に胃がムカムカする
 □ 喉がイガイガする

漢方薬について知ろう!

 漢方薬とは長い歴史の中で、様々な作用を持った植物・動物・鉱物などの生薬を、複数組み合わせて作られてきたものです。
 漢方薬は、複数の生薬を配合して作られたものなので、1つの処方で様々な症状に効果があり、生薬ごとの効果の増強や副作用の
 緩和が図られています。

 漢方薬の治療では、病名ではなく、症状に合った薬を選択します。
 患者さまの状態に合わせて薬を選択することで、心身のバランスを立て直し、体の自然治癒力を高めて病気を改善しようとします。

 漢方薬はたくさん種類がありますが、今回は家庭でも使われることが多い「葛根湯」についてご紹介します。

葛根湯の成分

 葛根(カッコン)   発汗清熱(汗をかいて熱を冷ます)作用。首、肩、背中の筋肉を緩め、血流も改善、胃腸にも良い。
 麻黄(マオウ)    発汗解表(汗を促し、症状を改善する)作用。
 桂皮(ケイヒ)    シナモン。発汗作用。麻黄との組み合わせで発汗の相乗効果が見込める。
 芍薬(シャクヤク)  筋肉の緊張の緩和。過剰発汗を抑制。麻黄と桂皮の効き過ぎを抑制。
 大棗(タイソウ)   ナツメ。脾胃(消化吸収)を補う。身体の緊張を緩和する。
 生姜(ショウキョウ) ショウガ。発汗作用。脾胃を補う。嘔気を止める。
 甘草(カンゾウ)   各生薬の調整を司る。血行を良くする。甘味を持たせる。

 葛根湯は、寒気を感じる風邪初期症状だけでなく、肩こり・緊張型頭痛などにも効果があります。

葛根湯はなぜ風邪の引き始めに効くのか

 風邪の時、外邪(ウイルスなど)は身体の表面から内部に侵入しようとします。
 それを外に押し出す事ができれば、風邪を早く治す事ができます。

 西洋薬は病気の症状を抑え込む薬なので、症状の軽い風邪の初期においては、あまり効果を発揮できません。
 しかし、葛根湯などの漢方薬は、身体の自然治癒力を高めることで、風邪の初期症状でも十分に効果を発揮します。

体を柔らかくして健康になろう

体が柔らかいことの“メリット”

 ストレッチなどで体を柔らかくすることで、筋肉が伸びやすくなり、関節の可動域(関節の動く範囲)が広がります。
 可動域が広くなることで、体の動きがスムーズになり、機能が向上し、ケガの予防にもつながります。

体が硬いことの“デメリット”と筋肉が硬くなる2つの要因

 柔軟性の低下は姿勢の悪さを引き起こす原因の一つです。
 筋肉が硬くこわばってしまうと、運動時にケガをしやすくなり、血液循環も悪くなります。

 血液循環の悪化により、むくみや冷えを生じ、基礎代謝が下がって、肥満になります。
 また、疲労物質が蓄積して、腰痛や肩こりを生じ、心筋梗塞や動脈硬化の原因にもなってしまいます。

≪硬化≫
 運動不足や同じ姿勢をとっていたりすると筋肉の材質として硬さが増します。

≪緊張≫
 疲れているときや痛みがあるときの筋肉は、わずかに力が入っています。
 これを筋肉の緊張といいます。

筋肉をほぐすストレッチによって意外な病気を改善?それは…うつ病!

 うつ病とは心の病気との認識が多いと思います。
 しかし、身体症状として睡眠障害や食欲不振、めまいや吐き気なども引き起こします。

 うつ病の人は日常的に筋肉が緊張しており、頭や首、肩などが硬い人が多いと言われています。
 30分程度の全身ストレッチを行うと、前頭葉でのアルファ(α)波脳波の発生が増え、リラックス状態になることが明らかになって
 おり、下記にあげるストレッチをうまく使い分けることで、健やかな生活を送ることができます。

動的ストレッチ (ダイナミック・ストレッチング)

 ラジオ体操などの、身体を動かしながら関節可動域を広げていくようなストレッチです。
 運動やスポーツを行う前のウォームアップ[準備運動]として行います。

静的ストレッチ (スタティック・ストレッチング)

 体育の授業で行うようなゆったりしたストレッチです。
 疲労によって硬くなった筋肉をじっくり伸ばすことができるので、運動後のクールダウン[整理運動]として行います。

【静的ストレッチの5原則】

1. 時間は最低20秒かけて伸ばす
2. 伸ばす筋や部位を意識する
3. 痛くなく気持ち良い程度に伸ばす
4. 呼吸を止めないように意識する
5. 目的に応じて部位を選択する

水を摂取することの大切さ

 皆さんはこまめに水分補給をしていますか?
 水分補給が足りないと、便秘、代謝不良、むくみなどの症状が現れることがあります。

 さらに、水分不足から脱水症状になると、体温の上昇、頭痛や吐き気、意識障害、けいれんなども引き起こします。
 この脱水症状がひどくなると、汗や尿が出なくなるために、老廃物が血液等に蓄積され、全身の機能を障害してひどい時は死に至り
 ます。

 以上のことから、水分は体内で重要な役割を担っています。
 今の暑い季節では汗を流すことが多くなるので、こまめな水分補給が欠かせません。

体にはどのくらいの水分が蓄えられているの?

 年代  体内の水分割合
 胎児   約90%
 新生児  約75%
 乳児   約70%
 成人   約60〜65%
 高齢者  約50〜55%

 表を見てみると、私達の体の大部分は水分で占められていることが分かります。
 水分量を保つためには、1日に入る水分量と出る水分量のバランスを保つことが重要になります。

1日に必要とする水分摂取量は?

 私達の体は、汗、尿や便といった形で水分を排出するだけでなく、排出されていると感じない「不感蒸泄:皮膚や呼吸を通して水分
 が失われる現象」でも水分が失われています。

 人間が1日に、飲料として必要な水分摂取量は「1〜1.5リットル」程度とされています。
 ※疾患によっては、水分制限が必要な場合もありますので、かかりつけの医師に確認してください

水分補給のポイント

 ●「乾いたな」と感じる前に水分補給をしましょう!
  「喉が渇いた」と感じた時は、既に体内の水分は不足気味です。早めの水分補給を心がけましょう。

 ●こまめに少量の水分を摂取しましょう!
  一度に沢山の水分を摂取してもうまく吸収することができません。数時間おきに水分を摂取しましょう。

 ●スポーツをする時や、暑い場所に出るときは、水分と合わせて塩分の摂取もしましょう!
  汗を大量にかくと、体内の水分とともに、塩分やミネラルが失われてしまいます。
  簡単に塩分や糖分を摂取できる、スポーツドリンク、経口補水液などがお勧めです。

高齢者における転倒の危険性と予防法について

 高齢者は、加齢による筋力の低下や視力の衰え、病気や服用している薬の影響(ふらつきや眠気、意欲の減退)などにより、若い頃
 に比べて"転倒"する危険性が高い状態にあります。

 高齢者の転倒は、大怪我になりやすく、骨折や寝たきりの状態を引き起こし、介護が必要な状況につながるケースが多く報告され
 ています。

 この為、転倒を未然に防ぐことが、高齢者が自立した生活を続けるためにも重要になってきます(健康寿命の延伸)。
 今回は、自宅で転倒しやすい場所と、転倒を回避する方法をご紹介します。

主な場所と回避する方法(例)

 段差  床の段差が小さい場所は、段差の認識を忘れ、つまずいてしまうケースが多いため、市販の木製スロープなどで段差をなく
     しましょう。
 照明  薄暗い場所でも足元がはっきり見えるよう、照明器具を増やし、明るいものに変えましょう。
 階段  踏み外さないよう、滑り止め加工が施された踏面を設置し、持ち手となる手すりをつけましょう。
 居間  散らかっている新聞や雑誌は滑りやすいため片付け足元の電気コードは引っかかりやすいので壁側に寄せておきましょう。
 トイレ 一人でつかまり立ちや座ることが出来るように手すりを設置しましょう。便座を高くすることで立ち上がりやすくなります。
 浴室  すべりやすい所には滑り止めマットを使いましょう。
     また、浴槽から自力で立つことや、浴槽をまたぐことが不安な場合は手すりを設置しましょう。

よく噛んで健康になろう!

 皆さんは食事をファーストフードで済ませたり、スマートフォンやテレビを見ながら食べる「ながら食い」をしたりすることによっ
 て、知らない間に噛む回数を減らしてはいないでしょうか。

 噛む回数が減ることによって、あごの筋力が弱くなり、しっかりと噛むことができず、食事を楽しめなくなる可能性があります。
 また、噛むことが少なくなると、表情筋が衰え、顔のしわやたるみの原因になります。
 「噛む」という行為は健康を維持するために重要な役割を果たしています。

「卑弥呼の歯がいーぜ」(ひ・み・こ・の・は・が・いー・ぜ)

 ≪「ひ」肥満予防≫
  よく噛むことで満腹中枢が働いて食べすぎを防ぎます

 ≪「み」味覚の発達≫
  噛んで味わうことで食べ物の味がよくわかります

 ≪「こ」言葉の発音がはっきり≫
  口周りの筋肉を使うため、口がしっかり開き、発音がきれいになります

 ≪「の」脳の発達≫
  よく噛む運動は脳細胞の働きを活発にします

 ≪「は」歯の病気を防ぐ≫
  唾液が出ることにより、虫歯や歯周病を防ぎます

 ≪「が」ガンの予防≫
  唾液中の酵素には、発がん作用を抑制する効果があります

 ≪「い」胃腸の働きを促進≫
  消化酵素が多く出て、消化を助けます

 ≪「ぜ」全身の体力向上と全力投球≫
  歯をくいしばることで力を発揮できます

咀嚼(そしゃく)のコツ

 ●食べ物を飲み込むために適切な咀嚼の回数は30回とされています。
  急がず、ゆっくりと噛んで、食べ物本来の味を楽しみましょう。

  弥生時代では、食事にはおよそ50分の時間をかけ、4000回噛んでいたとされ、現代と比較すると約6倍も多かったと言われ
  ています。

 ●食べ物が口の中にある間に飲み物を含むと、食べ物を細かく噛みきれないまま飲み込んでしまい、胃に負担がかかり、胃もたれ、
  消化不良の原因となります。しっかり食べ物を噛んでから飲み込みましょう。
  以上の点に気を付けて、食生活を楽しみながら、噛むことを意識して健康になりましょう!

大豆で老けないカラダづくり

 わたしたちのカラダは空気中の酸素を取り込んでエネルギーを作りだしています。
 この時、体内に入ってきた酸素の一部は活性酸素に変換されます。

 活性酸素は、細菌やウイルスからカラダを守るために白血球が作り出す物質で健康維持に重要な役割があります。
 しかし、活性酸素が大量に作られると、カラダの細胞を酸化・変性させてしまい、老化を早めてしまいます。

どんなときに酸化が起こるの?

 ●年齢に伴う加齢
 ●タバコ
 ●お酒の飲みすぎ
 ●激しい運動
 ●ストレス
 ●紫外線
 ●食品添加物の多量摂取
 など

 酸化は日常生活の中で起こっています。
 普段から抗酸化力を高めるため、適切な生活習慣を心がけるとともに、大豆などの抗酸化食品を摂取することも有効です。

「大豆」にはどんな抗酸化物質が含まれるの?

 大豆にはフラボノイド系ポリフェノールの1種であるイソフラボンが含まれています。
 ダイゼインなどの大豆イソフラボンが老化の原因となる活性酸素を除去・抑制し、健康的なカラダづくりをサポートしてくれます。

 また、ダイゼインが腸内細菌によって代謝されることで産生されるエクオールは、エストロゲン(女性ホルモン)に似た作用を持っ
 ており、肌の老化予防や更年期障害の予防・改善など女性に嬉しい効果をもつことがわかっています。

 ただし、エクオールの産生能には個人差があり、日本人では約50%、しかも若い年代の人では20〜30%の人しか作れないと言われて
 います。

 エクオール産生菌が働けるよう、大豆製品と合わせて、乳酸菌飲料やヨーグルトなどを摂取し、腸内環境を整えることも重要です。
 また、エクオールは体内に蓄積されないため、サプリメントでコツコツ取り入れる方法もお勧めです。

減塩してみませんか?

 ナトリウムを含む塩分を摂りすぎると、体がナトリウム濃度を薄めようとして大量の水を取り込みます。
 すると、体液の量が増え、心臓の負担が増して血圧が上がります。血圧の上昇は脳卒中や心臓病の危険性を高めます。

 また、塩分の摂り過ぎは腎結石や骨粗鬆症、胃がんなどの病気にも関係しています。
 したがって、塩分の制限は高血圧の予防と治療、脳卒中や心臓病などの循環器系疾患の予防に重要であり、減塩することで高血圧
 以外にも好い影響が期待できます。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」の報告書によれば、18歳以上の男性は1日当たり8.0グラム未満、18歳以上
 の女性は1日当たり7.0グラム未満という目標量が設定されています。

 味噌や醤油、漬物など日本特有の食品は塩分を多く含んでいるため、日本人は塩分を摂りすぎる傾向があります。
 しかし、毎日のちょっとした工夫で美味しく減塩を続けることができます。

調理でのポイント

 ◎スパイスや香味野菜を活用する
  風味や香りで味にアクセントをつけましょう。

 ◎ダシをしっかり取る
  天然のダシを使って味に深みを出す。汁物は具材を多くして、汁を減らすのも効果的です。

 ◎カリウムの多い食品と組み合わせる
  カリウムは腎臓から余分な塩分(ナトリウム)を排出する働きがあります。野菜や果物に多く含まれています。

 ◎酢やレモン汁を使う
  酸味を活かすことで塩分が少なくても美味しく仕上がります。

外食でのポイント

 ●味付けされた主食(チャーハン・パスタ・丼もの)は控えめにする。
 ●ラーメンやそばのスープなどは飲み過ぎない。
 ●味付けされた料理には醤油、ソースなどをかけ過ぎない。
 ●インスタント食品やレトルト食品などの食塩量を確認する。
 以下の換算式で食塩量を算出できます。
 ナトリウム量(g)×2.54 = 食塩相当量(g)

お肌の保湿について

 保湿とは「乾燥しないように一定の湿度を保つこと」を言います。
 肌の保湿がしっかりできていれば、乾燥やニキビなどの肌荒れを防ぐことができ、健やかな状態を保つことができます。

 肌を保湿するためには、肌の中の水分が蒸発しないよう、油分で肌表面をコーティングして、水分と油分のバランスを整えること
 が重要です。

肌を保湿することの重要性

 肌が乾燥してしまうとバリア機能が低下して、痒み、肌荒れ、ニキビなどが生じる可能性があります。
 また、乾燥しがちな唇、かかとでは、皮膚が裂けて痛みを伴うことがあります。

 痒みがあるからといってかきむしると、さらに痒みが増して、炎症を引き起こします。
 そのため、空気が乾燥する冬は、より保湿することを心掛ける必要があります。

肌の潤いを維持するためのスキンケア

 ≪1.洗顔≫
  洗顔料はよく泡立て、弾力のある泡でマッサージしながら洗います。
  強く擦ってしまうと、逆に肌を痛めてしまったり、本来必要な水分や油分まで洗い流されてしまうので注意してください。

 ≪2.化粧水≫
  洗顔にて失った水分を補います。
  500円玉程の大きさを手に取り、マッサージするような感覚で肌に浸透させていきます。
  お風呂上り5分以内に使用すると効果的です。

 ≪3.乳液≫
  肌表面の水分を逃がさないように、最後に乳液にて肌を覆います。
  手のひらで十分に温めてから使用すると、肌への浸透がよくなります。
  特に乾燥しやすい目元、口元は少し多めに付けると良いでしょう。

 ≪4.クリーム≫
  肌の乾燥がひどい方は、より油分が多く、持続力が期待できるクリームを使うことも効果的です。

皮膚ダメージが食物アレルギーの原因に!

 食事による食物アレルギーは原因となる食物を少量ずつ摂取することでアレルギーへの耐性を獲得する治療が最近行われています。
 一方、炎症によってダメージを受けた皮膚に食べ物が付着すると、「異物」として認識され、アレルギー反応を引き起こしてしま
 う可能性があることが近年の研究で明らかになりました。

 十分に保湿を行った人は、保湿を行っていない人に比べて、食物アレルギーの発症が少ないということも分かっており、皮膚を保湿
 して健康な状態にしておくことが大切です。

うがいとうるおい

 毎年、この時期を迎えると風邪の予防のために"手洗い・うがい"が呼び掛けられます。
 習慣として行っている方もいると思いますが、今月はあらためて、『うがい』に注目していきましょう。

のどを潤そう

 気温や湿度の低い乾燥の時期になると、風邪の原因とされるウイルスの動きが活発になります。
 ウイルスは空気に混ざり鼻やのどに近づきます。

うがいをやってみよう

 うがいは、粘液とともに異物をのどから洗い流す効果があります。
 また、適度な刺激により、血流を高め、のどが本来持つ防御機能を高めることができます。

 ○うがいの前に手洗い
 ○顔を下に向けてブクブクうがい(口をすすぐ)を数回行った後、顔を少し上に向けてガラガラうがいを数回行う

うがいが苦手な方

 うがいが苦手な方、水を口に含むとむせてしまう方、水が吐き出せない方の無理なうがいは、思わぬ事故の元となります。
 口腔やのどの保湿はうがいだけでなく、下記のような方法でも行えます。

 ●こまめに水分を摂る
 ●濡らしたガーゼやスポンジブラシで口腔内を湿らせる
 ●口腔内保湿ジェルの使用

乾燥予防だけじゃない!「うがいの効果」

 ◎口腔ケア
 ◎咀嚼(噛むこと)・嚥下(飲み込むこと)のトレーニング
 ◎リフレッシュ効果

うがいは季節を問わず常に!

 冬場になると励行される手洗い・うがいですが、クーラーの普及等で身体は常に乾燥にさらされているともいえます。
 1日1度だけとは言わず「起床時、目的地に着いたとき、食事の前後、帰宅後、掃除の後」など1日を通しての手洗い・うがい
 を習慣にしましょう。

睡眠時無呼吸症候群ってどんな病気?

 睡眠時無呼吸症候群とは、無呼吸(10秒以上の呼吸停止)を一晩の睡眠中(7時間)に30回以上、または1時間あたり
 5回以上起こす状態のことを言います。

 夜間に繰り返し起こる無呼吸により、身体が低酸素状態となります。
 また、夜中に何度も目が覚めてしまうことにより、質の良い睡眠が妨げられ、脳や身体の疲労が完全に回復できなくなり、日中
 の眠気を増加させます。

 高血圧や心疾患などの生活習慣病のリスクが高まる上、交通事故や労働災害を引き起こす原因にもなっているといわれています。

原因

 睡眠時無呼吸症候群のほとんどは、上気道(鼻から喉までのこと)の空気の通り道が狭くなることで起こります。
 気道を狭くさせる要因には、次のようなものがあります。

 ●肥満による首部分の脂肪の増加
 ●首が太くて短い人
 ●舌の付け根部分の気道への落ち込み
 ●顎が小さい、顎の後退
 ●扁桃肥大(喉の奥の扁桃腺が大きくなっている状態)
 ●鼻の構造的な問題(鼻すじが曲がっている、鼻が低い)

対策

≪1.肥満を解消する≫
 喉や首回りの脂肪が増え、その圧迫で気道が狭くなります。
 規則正しい食生活と適度な運動(30分程度のウォーキングなど)を心がけましょう。

≪2.アルコールは控える≫
 飲酒によって喉がむくみ気道が狭くなります。
 また、寝つきは良くなりますが、睡眠は浅くなります。習慣的な飲酒は控えましょう。

≪3.鼻症状を改善する(口呼吸から鼻呼吸の習慣をつける)≫
 口呼吸の場合、口の中が乾き気道が狭くなります。
 就寝時に口に貼るテープなどの呼吸改善の専門グッズを利用してみましょう。

≪4.寝姿勢の工夫をする≫
 仰向けで寝るよりも、横向きで寝る方が気道が狭くなるのを軽減できます。
 抱き枕などを使って、横向きで寝られる工夫をしてみましょう。

 昨今、睡眠不足が借金のように重なり、心身に悪影響を及ぼすおそれのある状態「睡眠負債」によって、生活の質が低下し、うつ病
 がん、認知症などの疾病に繋がるおそれがあるといわれています。

 睡眠時無呼吸症候群を放っておくと、「睡眠負債」が重なっていくことが懸念されるため、心当たりのある方は是非一度専門の医療
 機関を受診してみましょう。

睡眠と腰痛の関係性

 朝、目が覚めるとなぜか腰が痛い、そのような経験はありませんか?
 実は睡眠時の姿勢によっては腰に負担がかかり、腰痛を引き起こす原因になるのです。

寝方や寝具が腰痛の原因に!

≪うつ伏せ≫
 腰を反らしてしまうため、腰椎の関節に負荷がかかり痛みを引き起こしやすく、腰痛の原因になります。
 また、胸を圧迫することで呼吸症状を悪化させたり、首の頸椎を痛めたりすることもあります。

≪仰向け≫
 本来は腰に負担がかかりにくい姿勢です。
 しかし、もともと腰痛がある方や、猫背の方には腰に負担をかけてしまい、症状悪化の原因になります。

≪ベッドの硬さ≫
 固いベッドでは、肩や腰の一部分に体重が集中しすぎてしまい、血行不良を起こし、腰痛を生じさせてしまいます。
 一方、柔らかいものでは、肩や腰よりも重い胴の部分がベッドの中央部分をへこませてしまい、腰が沈んで腰痛を悪化させます。

腰に負担をかけない睡眠にするには?

≪横向きで抱き枕やクッションを使う≫
 横向きは体への負担が少ない寝方と言われており、横向きになるだけで楽になる方もいます。
 しかし、左右の膝を上下に重ねようとすると、常にバランスを取ろうとして筋肉が張ってしまいます。

 そこで、抱き枕やクッションを使い、上側の膝を前に出しその下にクッションを挟むと、バランスをとる必要もなくなり腰への負担
 が軽減されます。

 更に、抱き枕を抱くことで、腕の重さを抱き枕が支えてくれるため、下側の肩への重みが軽減されます。
 クッションは厚めのものが良く、膝を乗せるとちょうど下側の膝の高さ程度になるのがお勧めです。

≪バスタオルを腰に巻き仰向けで寝る≫
 腰が浮いていると、無意識に腰を持ち上げた状態を維持しようとして、背中の筋肉(特に脊柱起立筋)が張ってしまいます。
 そこで、腰と床の間の隙間をタオルで埋めることで、筋肉が頑張らなくても腰の適度な反りを維持することができるようになり、背中
 の筋肉を緩めることができます。

 腰の浮き具合を見ながら、タオルの厚みを調節しましょう。

 体の状態や腰痛の原因によって適した睡眠時の姿勢は様々です。
 症状がひどい場合は病院等を受診し先生に相談しましょう。
 また、自分に適した姿勢や寝具を検討し、快適な睡眠を目指しましょう。


肩こりの改善と"温活"

 国民生活基礎調査によると、日本人の10人に1人は肩こりを自覚していると言われています。
 肩こりを放置してしまうと頭痛やめまい、うつ症状などの原因にもなります。

 肩こりには急性のものと慢性のものがあり、原因や対処法にも違いがあります。
 世間的によく「肩こりは温めれば良くなる」という言葉を耳にしますが、すべての肩こりに対して温めれば良いというものではあり
 ません。

 急性の肩こりは炎症が起こっていることが多く、温めるよりもまず冷やすことを優先する必要があります。
 今回は急性・慢性の肩こりそれぞれの原因と対策について紹介します。

「急性」の肩こりの主な原因

 寝違えによる筋肉の無理な伸展や圧迫
 急な動作による肩の筋肉への負担
 長時間の運動等による筋肉の疲労

「慢性」の肩こりの主な原因

 デスクワークなど長時間同じ姿勢を取る事
 暗くしてテレビを見る等の目が疲れる行為
 過度なストレス  運動不足

急性の肩こりには“クールダウン”がおすすめ!

 ●患部を冷やしましょう。
 ●十分な休息を取り、身体を休めましょう。

慢性の肩こりには“温活”がおすすめ!

 ●ストレッチやウォーキング、ジョギングなどの軽い運動で適度に筋肉を動かし、身体の血流、血行を良くします。
 ●夏場はエアコンの冷気などで首や肩を冷やし過ぎることで血流が悪くなり、肩こりの原因にもなります。
  そのため、身体を冷やし過ぎないように、こまめに部屋の温度を調節すると良いでしょう。

 ●夏は暑さから食欲不振になりがちな季節ですが、バランスの良い食事をきちんと摂ることを心がけましょう。
  水分補給の際も冷たい物ではなく、なるべく常温の物を摂るようにしましょう。

  また、普段の食事に体を温める効果が期待できる食品を一品加えてみるのも良いでしょう。
  以下の野菜や果物は体を温める効果が期待できるとされています。
 【生姜、ネギなど冬が旬の物、りんご、ぶどう、オレンジ、桃など】

 ●入浴では、40〜41℃の湯船に肩までしっかり浸かり、15〜20分ほど身体を温めましょう。
 ●パソコンやスマートフォンなどの画面を長時間見続けた後は、蒸しタオルで目の周りを温めることで眼精疲労を改善できます。

 肩こりの症状がひどかったり、長引く際は、医療機関の受診も!!
 上記の温活や、十分な休養をとっても改善しない肩こりもあります。

 肩こりの症状が長引いたり、頭痛・目の痛み・吐き気などを伴う場合は、他の病気が原因の場合があるので医療機関を受診しま
 しょう。

痛み止め貼り薬と塗り薬の種類について

 普段何気なく使っているものですが、どんな時にどのようなものを使用するとよいのか迷ってしまうかと思います。
 色々な種類があるので使い分けをしてみてはいかかでしょうか。

主な種類と特徴

≪テープ(プラスター)≫
 薄くて軽く、伸縮性・粘着性が良いため、関節などよく動かす場所にも良いが、肌が弱い人は注意。
 水分を含んでいないので、冷たい感触が苦手な方にも適している。

≪パップ≫
 水分を多く含むのが特徴。
 水の濡れを利用した粘着のため、肌に優しいがその分はがれやすい。

≪クリーム≫
 乳状で伸びが良く皮膚への浸透が良いので、患部をマッサージしながら薬剤を塗り込みたい時に適している。

≪ゲル≫
 ゲルが皮膚に膜を作るので薬の効果が長く続く。ベタつかないのが特徴。

≪軟膏≫
 ベタつきが強いのが難点だが、皮膚表面の保護作用が高い。

≪液≫
 手を汚さずに塗れるタイプの商品が多い。
 液体なので広い範囲にも塗りやすく、ベタつきもない。

≪スプレー≫
 広い範囲に瞬時に薬を塗れる。

≪チック≫
 ゲルを固形状に固めたもの。
 リップスティックのように、薬剤をひねり出すことができる容器が多く、手を汚さずに塗れる。ゲルやクリームに比べると伸びは悪い。

冷感タイプと温感タイプの使い分け

≪冷感タイプ≫
 筋肉痛やぎっくり腰・ねんざなど、急性の痛みの緩和に効果的。
 水や氷で冷やした方がよい場合や打撲直後の患部が熱をもっている・腫れている・炎症があるという時に使用する。

≪温感タイプ≫
 肩こりや腰痛・神経痛など、慢性の痛みの緩和に効果的。
 お風呂等で温め血行を促進させた方がよい場合や患部が硬く・冷たい症状で動かすと痛みを伴う時に使用する。

 傷やただれ、水虫の時は、症状が悪化したり化膿したりする恐れがあるので、使用を避けてください。
 喘息の方は、痛み止めの成分によっては発作を誘発する可能性があります。

 また、妊娠・授乳中の方は使用ができないものもあります。
 貼り薬の使用に関しても、飲み薬との併用に注意が必要なものもあります。医師、薬剤師に相談の上、使用してください。


胃の不調、もしかしたら"ピロリ菌"の仕業?

 胃の不調が続いているとき、もしかしたらピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)に感染しているのかもしれません。
 ピロリ菌は様々な病気に関係していることが明らかにされています。

ピロリ菌って何?

 ピロリ菌は胃の粘膜に住みつき、胃の壁を傷つける細菌です。
 そして胃酸から逃れる為に、自らが住みやすい環境を作り出します。

 ピロリ菌は、胃に取り付くと細胞を弱らせる毒素を出し始め、胃の粘液を減らし、毒素で胃の壁を傷つけ、慢性胃炎や胃・十二指
 腸潰瘍を誘発します。

 またピロリ菌に感染することで、胃がんになる確率が20倍以上も上がるとも言われています。
 もちろん感染していても100%胃の病気を発症するわけではありませんが、ピロリ菌を除菌することで、胃の病気になる確率は大幅
 に下がるとされています。

ピロリ菌の感染の原因

 ピロリ菌は食べ物や飲み物から感染しやすく、経口感染が疑われていますが、実はどのように感染するのかまだはっきり分かってい
 ません。

 ピロリ菌は衛生状態の悪いところで菌が繁殖し、感染することが多いです。
 50歳以上で、戦後の上下水道が十分普及していなかった時代に生まれ育った方が高い感染率を示しています。

 ピロリ菌は、ほとんどが幼少期に感染すると言われています。
 幼少期の胃の中は酸性が弱く、ピロリ菌が生き延びやすいからです。
 そのためピロリ菌に感染している大人から子どもへの食べ物の口移しなどには注意が必要です。

ピロリ菌の検査について

 まず慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍などの、ピロリ菌除菌の対象となる病気であるか確かめます。
 対象の病気の場合、下記に挙げたピロリ菌の検査を健康保険で受けることができます。

 また、胃の調子が気になる方や胃がん家系で心配な方などは、希望すれば検査を自費で受けることができますので医師にご相談
 ください。

 @ 内視鏡検査:胃の内視鏡検査と同時に胃の組織を採取してピロリ菌がいるか調べます
 A 抗体検査:血液や尿を採取して、ピロリ菌に対する抗体があるかを検査します
 B 尿素呼気検査:検査用の薬を飲み、吐き出した息から感染しているか検査をします
 C 便中抗原検査:便を採取してピロリ菌抗原があるか検査します

 ピロリ菌は服薬による「除菌療法」で治療することができます。
 また、市販されているLG21菌やラクトフェリン菌が含まれたヨーグルトなどを継続的に食べることで、ピロリ菌の増殖を抑える
 効果があり、除菌の成功率も上がることが確認されています。
 気になる方は試してみましょう。

更年期障害について

 女性は加齢と共に、女性ホルモンの減少によって、心や身体に様々な変化が現れます。
 50歳前後は、子供の独立・親の介護など急激に生活のリズムが変わる時期にあたり、生活のリズムの変化による精神的ストレスや
 家庭や職場でのストレスなども加わって、更年期障害が現れます。

 また、30代以降の女性でも、無理なダイエットや不規則な生活などのストレスによるものと考えられる更年期障害の発症が急増
 しています。

女性の更年期障害の症状

 ●顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)
 ●急に汗が出て止まらない
 ●最近、なんだか化粧ノリが悪い
 ●胸が痛む、動悸がする
 ●めまい、ふらつきや耳鳴りがする
 ●ふとした瞬間、不安な気持ちにかられる
 ●今まで気にならなかったことになぜか無性にイライラする
 ●体がだるく疲れやすい
 ●むくみがでる
 ●頭痛がする
 ●やせる・太る
 ●冷える …等

大豆のチカラ

 最近の研究では、大豆イソフラボンの一種である“ダイゼイン”が腸内細菌によって代謝されてできる“エクオール”という成分
 こそが、女性の健康と美容に大きく関わっていることが分かってきました。

 ただし、人によって持っている腸内細菌が異なるためか、体内でエクオールを作れる人は、日本人女性で2人に1人、さらに若い
 女性で見るとたった2割しかいないと言われています。

 また、エクオールは体内に蓄積されず、1〜2日でほとんどが体外に排泄されてしまうため、毎日コツコツ摂取し続けていく
 必要があります。

 エクオールの1日摂取目安量は10mgであり、豆腐で3分の2丁、納豆なら1パックに相当します。

自然気胸とは?

 気胸とは、肺に穴が開くことで肺から空気がもれて、胸腔にたまっている状態のことです。
 肺は肋骨で覆われているため、もれた空気がたまっても外側に膨らむことができません。

 そのため、肺が空気に押されて小さくなった状態となります。
 自然気胸(特発性気胸)では、肺の一部のブラと呼ばれる袋が自然に破れてしまいます。
 気胸のうち、最も多くみられるのが自然気胸です。

気胸の種類

 自然気胸    発生する明確な原因はわかっていない
 続発性気胸   気管支喘息や肺感染症などの疾患
 外傷性気胸   交通事故で肋骨が折れ刺さるなどの外傷
 医原性気胸   針を刺すような治療や検査などの医療行為
 月経随伴性気胸 子宮内膜症が横隔膜や肺に広がり生理の際に穴が開く

どんな人がなりやすい?

 ●10代〜30代の男性
 ●背が高く痩せ型
 ●女性よりも男性に多い病気です

症状

 突然発症することが多いです。
 呼吸をしても十分に息が吸えず息苦しさを感じたり、運動をすると呼吸困難、動悸や頻脈、痰を伴わない乾いた咳などが見られます。
 また、胸や背中の痛みを感じることもあります。

検査

 聴診により呼吸音を聞き、肺の異常を確認します。胸部X線検査により、肺がしぼんでいる等の異常があるかどうかを調べ、気胸の
 有無を確認します。
 気胸であることが診断できたら、胸部CT検査により肺の穴が開いた位置や大きさを確認します。

治療法

 軽度であれば胸部X線検査を受け経過観察し、安静にすることで穴が塞がることを待ちます。
 中等度〜重度の場合は胸に管を入れ、もれた空気を外へ排出し、肺を元のように膨らませる治療を行います。
 また、再発を抑えるために手術を行う場合もあります。

治療後に気を付けること

 自然気胸は再発しやすく、自然治癒や胸腔ドレナージ(胸に管を入れ空気を抜く)を行った場合でも、再発率は3年間で50%
 に達すると考えられています。
 治癒後、1ヶ月程度は飛行機への搭乗やスキューバダイビングなどの気圧の変化を伴う行為は避けることが望ましいです。
 また、喫煙は厳禁であるとされています。

がんについて

 日本人の2人に1人はがんにかかるといわています。
 しかし、がんは「なりにくくする(予防する)」ことができ、早期治療を行うことができる病気です。
 今回は、がん患者数の推移や、その予防についてご紹介します。

日本人のためのがん予防法

 他の情報として、1990年代にアメリカの国立がん研究所が調査したデザイナーフーズ計画では、がん予防に効果があると期待される
 野菜を約40種類選定しました。下に示すのは、その一例です。

≪ニンニク≫
 独特の臭いの元である硫化アリルは、病気・老化を招く活性酸素を抑制する抗酸化作用があると言われています。
 また、ミネラルのセレンは、ガンの原因のひとつでもある過酸化脂質を分解する酵素になります。

≪キャベツ≫
 がん抑制効果をもつイソチオシアネートや、発がん物質を抑制するペルオキシダーゼ酵素、またビタミンC、ビタミンUが豊富に
 含まれています。

 がんを予防することも大切ですが、定期的ながん検診も重要です。
 がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡を減少させることです。

 がんの発見が遅れ、進行してしまうと治すことができない場合が多くなります。
 積極的にがん検診を受診しましょう。

「DHA」や「EPA」を知ろう!

 日本人の魚離れのために、「DHA(ドコサヘキサエン酸)」や「EPA(エイコサペンタエン酸)」の摂取不足が指摘されています。
 DHAやEPAは、体内で合成できず、食物から摂取する必要がある必須脂肪酸のひとつです。

 その生体機能として、下図のような作用があることが分かっています。
 今回は、生活習慣病の予防も期待できるDHA・EPAについてご紹介します。

『DHA』と『EPA』って何が違うの?

 DHAは、人間の脳や目の網膜の脂質成分で、脳に直接入って栄養素として機能できる数少ない物質です。
 EPAは、脳内にはほとんど存在せず、血液サラサラ効果や中性脂肪低下作用がDHAより高い物質です。
 DHA・EPAを摂るための3つのポイント

≪1.どれくらい必要?≫
 厚生労働省による摂取基準では、DHAとEPAを合わせて1,000r/日以上摂ることが望ましいとされています

≪2.どんな魚を食べればいいの?≫
 イワシやサバなどの青い背の魚(青魚)に多く含まれます。
 また、マグロであればトロの部分に多く、赤身部分にはあまり含まれていません。

 脂肪の多い魚(200〜300g)を週3回程度食べる事が望ましいとされています。

[1日分の必要量]
【焼き魚】 サンマ約1尾、小型のイワシ約2尾
【刺身】  マグロ(トロ)4〜5切れ、ブリ6〜7切れ

≪3.効率良く摂るには?≫
 新鮮な生の魚、旬の魚を食べるのが一番効果的です。
 DHAやEPAは、魚の煮汁や揚げ油に逃げてしまうためこれらをうまく利用した調理法が必要です。

 また、青魚の缶詰の汁にも多く含まれています。
 魚によっては微量ですが水銀などの金属が含まれている事があるので特に妊娠中の方は摂取量や摂取方法に気をつけて下さい。

チョコレートと健康

 普段何気なく食べているチョコレートですが、実はただ美味しいだけではないのです。
 一粒で2度美味しい、チョコレートの力とはどのようなものなのかご紹介します。

チョコレートにはどんな効果があるの?

 チョコレートの主な原料であるカカオには、抗酸化作用のあるポリフェノールや、難消化性のプロテインが含まれています。
 また、チョコレートにはカルシウム・マグネシウム・鉄・亜鉛・食物繊維・ビタミンなどが豊富に含まれており、様々な健康
 効果が期待されます。

チョコレートをとることで期待される効果

 ・血圧低下
 ・動脈硬化予防
 ・抗ストレス
 ・美容効果
 ・アレルギー症状の改善
 ・脳の活性化
 ・便通改善
 ・疲労回復 他

健康にはどんなチョコレートがいいの?

 概ね60%以上のカカオを含む、「ハイカカオチョコレート」や「ビター(ダーク)チョコレート」がお勧めです。

注意点

 チョコレートには少量のカフェインが含まれているので、妊娠している方や子どもの多量の摂取は控えるようにしましょう。
 また、チョコレートを摂りすぎると、カロリーや脂質を大量に摂取することになり、生活習慣病を誘発することもあるので
 注意が必要です。

睡眠不足は万病のもと!

 人は人生の約3分の1の時間を眠っています。
 それは人生を仮に80年とすると、約27年も眠っているということになります。

 とても長く感じます。
 しかし、現代の日本人の5人に1人は不眠や睡眠不足だと言われています。

 生活の夜型化の影響で、平均睡眠時間は50年前に比べて約1時間も短くなっているという報告もあります。
 睡眠にはリズムがあり、「浅い眠り(レム睡眠)」と「深い眠り(ノンレム睡眠)」が、約90 分周期で繰り返されます。

 睡眠の型   レム睡眠        ノンレム睡眠
 眠りの深さ  浅い          深い(ぐっすり寝ている)
 脳      比較的活動している   休んでいる
        眼球が動いている    眼球は動かない
        夢を見る
 身体     休んでいる       休んでいる
 自律神経   不安定         副交感神経が優位
        心拍数の変動も激しい  ゆったりとした状態

質の良い眠りをめざそう

 睡眠不足を解消するために十分な睡眠時間も大切ですが、睡眠の“質”を上げましょう。
 質の良い眠りとは、簡単に言うと、朝目覚めたときに「ぐっすり眠った」という感覚が得られる眠りです。

1.夕食は寝る2 時間前までに
 寝る前に食べ物が胃の中に残っていると睡眠の妨げになります。

2.軽くストレッチをする
 入浴後の身体が温まった後に行うのが効果的です。

3.蒸しタオルなどで目元や首の付け根を温める
 血行が良くなり、身体の他の部分も温まります。

4.電子機器の光は就寝1 時間前まで
 強い光を浴び続けると、眠りを誘う「メラトニン」というホルモンが機能しなくなり、なかなか寝付けなくなる可能性があります。

5.寝る前に温かい飲み物を一杯
 コーヒーなどのカフェインを含む飲み物は逆効果になります。

ミネラルが不足するとどうなる?

ミネラルとは

 五大栄養素のひとつである「ミネラル」。
 血液に必要な鉄、骨や歯をつくるカルシウムなどを思い浮かべる方も多いと思います。

 最近では、不足しがちなミネラルを補うサプリメントなどが多く発売されていますが、私たちの体に必要なミネラルにはどのような
 ものがあるのでしょうか。

 また、ミネラルが不足すると、体にどのような影響があるのでしょうか。

ミネラルは生命活動を維持する縁の下の力持ち

 ミネラルとは、生体を構成する酸素、炭素、水素、窒素以外のものをいい、無機質とも呼びます。
 ミネラルは、体内でつくることができないため、食べ物などから摂取する必要があります(必須ミネラルといいます)。

 必須ミネラルは16種類あり、今後の研究によって必要不可欠であることがわかれば、その種類はさらに増える可能性があるとのこと。
 身近なミネラルですが、まだまだ未知の領域があるんですね。

【必須ミネラル】

 ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、
 モリブデン、ヨウ素

 ミネラルは、血液の赤血球や骨などのように、体を構成するだけでなく、体の機能を維持したり調節したりするのにも重要な役割を
 担っています。

 たとえば、カリウムは血圧の上昇を抑えたり、亜鉛は味覚や嗅覚を正常にしたりするはたらきがあります。
 体内に占めるミネラルの割合は、約5%と決して多くはありませんが、生命活動を維持するうえでとても大事な栄養素ということです。

摂り過ぎや不足に注意したいミネラルは

 体に必要だからといって、摂り過ぎても、もちろん不足しても体の機能に悪影響を及ぼしてしまうことがあります。
 私たちがとくに注意したいミネラルには、どのようなものがあるのでしょうか。

<摂り過ぎに注意したいミネラル>
【ナトリウム】

 通常の食生活で不足することはなく、むしろ、摂り過ぎに注意しなければいけないミネラルです。
 ナトリウムを摂り過ぎると、高血圧や動脈硬化、胃がんなどのリスクが高まります。

 ・『日本人の食事摂取基準(2020年版)』 によると、食塩相当量としてのナトリウムの1日あたりの目標量は、成人男性で
  7.5g未満、成人女性で6.5g未満と設定されています。

【リン】

 骨や歯を構成する重要なミネラル。
 通常の食生活で不足することはありませんが、多くの食べ物に含まれているほか、食品添加物として使用されることも多いので、
 摂り過ぎに注意が必要です。

 リンを摂り過ぎると、骨の代謝障害や、副甲状腺機能亢進症などのリスクが高まります。
 リンの1日あたりの摂取量は、成人男性で1000〜3000mg、成人女性で800〜3000mgの間にとどめるのがよいとされています。

<不足しがちなミネラル>
【カルシウム】

 リンと同じく、骨や歯を構成する重要なミネラル。
 カルシウムが不足すると、骨密度が低下したり、骨粗鬆症のリスクが高くなったりします。

 カルシウムの1日あたりの推奨量は、成人男性で700〜800mg、成人女性で650mgとされています。
 また、カルシウムの吸収にはビタミンDが重要な役割を果たしているので、ビタミンDも摂るようにしましょう。

【鉄】

 血液の赤血球を構成するミネラル。
 鉄が不足すると、貧血を起こし、頭痛や食欲不振などの症状をもよおすこともあります。

 鉄の1日あたりの推奨量は、性別や月経の有無によって大きく異なり、成人男性で7〜7.5mg、成人女性では、月経のある方で
 10.5〜11mg、月経のない方で6〜6.5mgとされています。

 通常の食生活で摂り過ぎることはほとんどありませんが、過剰に摂取すると慢性疾患の発症を促すことがあるという研究結果が
 報告されています。

ミネラルを効率的に摂るには

 まずはふだんの食事から摂ることを心がけながら、必要に応じてサプリメントを摂るようにしましょう。
 ・「食事バランスガイド」のようなバランスのとれた食事をしていれば、ミネラルを十分に摂取することが可能です。

  ただ、毎食栄養バランスを意識するのはなかなか難しいもの。
 そういうときには、キヌアやアサイー、スピルリナのように、ミネラルをはじめとしてさまざまな栄養素を豊富に含んだスーパー
 フードを取り入れるのがおすすめです。ご自身の食生活を踏まえて、食事にプラスしてみてください。

「食事バランスガイド」について

「食事バランスガイド」とは
 1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考にしていただけるよう、食事の望ましい組み合わせとおおよその
 量をイラストでわかりやすく示したものです。

 健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(平成12年3月)を具体的に行動に結びつけるものとして、
 平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定しました。

 この「食事バランスガイド」は、健康な方々の健康づくりを目的に作られたものです。
 糖尿病、高血圧などで医師または管理栄養士から食事指導を受けている方は、その指導に従ってください。


  PDFファイルで「食事バランスガイド」を開く

*** ホルモンについて ***

ホルモンとは

 ホルモンはからだのさまざまなはたらきを調節する化学物質です。
 からだの外側・内側で環境の変化が起きても、からだのはたらきを常に同じになるように保つはたらきをしています。

ホルモンが作られる場所

 ホルモンはからだの中の内分泌腺というところで作られています。

 内分泌腺には、脳下垂体、甲状腺、副甲状腺、副じん、すい臓、生殖腺などがあり、それぞれにちがったはたらきのホルモンが
 作られています。

 ホルモンは血液によって全身に送られ、内臓の機能やからだの調子を整えるような、さまざまなはたらきをしています。
 このほかにも、じん臓では血圧を調整するホルモンや、骨髄では赤血球を作るように刺激をあたえるホルモン、脂肪組織では
 体脂肪を一定に保つためのホルモンなど、からだの各器官でさまざまなホルモンが作られています。

 現在、ホルモンとして確かめられているものは100種類ほどあり、さらに発見され続けています。
 どのホルモンもほんの少しの量で効果を発揮します。

 ホルモンが必要な時期に必要な量を作られることにより、からだのバランスは保たれています。
 多すぎたり少なすぎたりすると、さまざまな病気を引き起こします。

脳下垂体

 脳下垂体は、頭蓋骨のほぼ中心にあり、額の奥約7cmのところにある小指の先ほどの小さな器官で、下垂体ともいいます。
 脳下垂体を大きく分けると、脳下垂体前葉と脳下垂体後葉の2つに分かれています。

【脳下垂体前葉からの刺激で生まれる主なホルモン】
 ・成長ホルモン      ⇒ 成長促進
 ・甲状腺刺激ホルモン   ⇒ 代謝促進
 ・副じん皮質刺激ホルモン ⇒ 血糖上昇・血圧上昇
 ・性腺刺激ホルモン    ⇒ 乳腺発達(女性)・精子形成(男性)

 これらのホルモンは、ほかの内分泌腺からホルモンがでるようにコントロールするためのホルモンです。
 からだに異常があらわれたという信号が脳の視床下部に伝わり、視床下部から脳下垂体を刺激するホルモンが出されることによっ
 て作られます。

 からだを正常に戻すために必要なホルモンを出す器官を、それぞれに刺激し合うはたらきをしています。

【脳下垂体後葉で作られる主なホルモン】
 ・抗利尿ホルモン  ⇒ 水の再吸収促進
 ・子宮收縮ホルモン ⇒ 分娩促進

 抗利尿ホルモンは、尿の量を調節するバソプレシンを分泌します。
 子宮收縮ホルモンは、母親が子どもを産むときに、子宮(しきゅう)を収縮させるオキシトシンを分泌します。

甲状腺

 甲状腺は、喉頭と気管とのさかい目の部分にある蝶のような形をした器官です。
 甲状腺ホルモン:全身の細胞のはたらきを活発にし、成長を助けるはたらき。
 ※このホルモンが多すぎると「バセドウ病」になり、少なすぎるとむくみなどがあらわれたりします。

副甲状腺

 甲状腺の後ろ、左右にある上下2対合計4個の麦粒位の大きさの器官です。
 上皮小体ともいいます。

 副甲状腺ホルモン:骨やじん臓にはたらきかけて、血液中のカルシウムを調節するはたらき。
 ※このホルモンが多すぎると骨の中のカルシウムが減る骨軟化が起こります。
  少なすぎると、神経が興奮して主に手足の筋肉の痙攣が起こりやすくなります。

副じん

 副じんは、副腎と書きます。
 じん臓の上にある三角形をした左右1対の器官です。

 副じん皮質ホルモン:血液中の水分やミネラル、糖分の量を調節するはたらき。
 ※このホルモンが多すぎるとむくみや高血圧がおきたり、顔が満月のように丸くなる「クッシング病」になったりします。
  少なすぎると皮膚の色が青銅色になりだんだん衰弱する「アジソン病」になります。

 副じん髄質ホルモン:アドレナリン、ノルアドレナリンなど、ストレスに対する反応を調整するはたらきをしています。

すい臓

 すい臓のホルモン:すい臓にあるランゲルハンス島のなかにある細胞で作られています。
 腸での消化を助けるホルモンや、血液中の糖分の量を上げるグルカゴン、糖分の量を下げるインスリンなどが分泌され、さま
 ざまにからだのバランスを調節するはたらきをしています。

生殖腺

 性ホルモン:男らしいからだつきや機能、女らしいからだつきや機能を作り出すはたらきをしています。

ホルモンの関係で生じる症状
更年期障害

【更年期障害とは】
 女性に多い病気です。
 卵巣から出る女性ホルモンの分泌が少なくなったときに、不快な症状が心身にあらわれる病気です。

【更年期障害の主な症状】
 頭痛・ほてり・のぼせ・どうき・肩こり・腰痛・大量に汗をかく・不安になる・イライラする・ゆううつになるなど、さまざまな
 症状があらわれます。

【原因】
 主に女性の閉経前後に、卵巣の機能が急に低下し、ホルモンの分泌が少なくなることが原因です。
 精神的なストレスの影響も原因のひとつと考えられています。

【治療】
 症状にあわせて、不足しているホルモンを補うくすりを使います。
 不安やうつなどの症状が強い場合には精神安定剤を使うこともあります。

 たばこやストレスを避けたり、軽い運動を行うことで症状が軽くなることもあります。
 更年期障害にはさまざまな原因や症状があります。
 気になる症状があるときは、早めに医師に相談しましょう。

バセドウ病

【どんな病気】
 甲状腺ホルモンが必要以上に分泌されておこる病気です。
 女性では100人に一人位にみられます。

 大量の甲状腺ホルモンにより全身の代謝が過剰に活性化されるためにさまざまな症状があらわれます。

【主な症状】
 食欲が旺盛になり、たくさん食べられても、体重は減少します。
 些細なことにもイライラしたり、おこりっぽくなることもあります。

 暑がりになる人もいます。
 疲れやすくなり、動悸がながく続いたり、トイレの回数が増えます。

 手がふるえて文字が書きづらくなるなど、からだにふるえが出るようになります。

【治療】
 薬物療法、手術、アイソトープ治療をおこないます。
 通常は抗甲状腺薬が使われます。

 治療を受ける場合、眼に疾患がある方などをふくめさまざまな規制がありますので、甲状腺疾患専門の医師に相談して正しい治療
 を受けましょう。

 ※アイソトープ治療:放射線ヨード療法ともいい、微量な放射線のちいさなカプセルを飲むことで、薬物の効果を検査確認しなが
  ら行う治療法です。

糖尿病

【どんな病気】
 糖尿病はすい臓から出るインスリンというホルモンのはたらきが足りないために起こる病気です。
 血糖値〈血液中の糖の濃度〉が異常に高くなり、糖が尿の中に排泄されます。

【主な症状】
 のどが異常にかわく、甘いものが急に欲しくなる、食欲が強くなり食べているのにやせてくるなどの症状があります。

 また、ほかの病気の検査で発見されることも多い病気です。

【原因】
 インスリンを作る細胞が破壊される1型糖尿病と、肥満・食べすぎ・運動不足・ストレスなどによりインスリンの分泌が低下する
 2型糖尿病があります。

 すい臓・肝臓などほかの臓器の病気が原因になることもあります。

【治療】
 1型の場合はインスリン注射を受け続けることが必要です。

 2型の場合は食事療法や運動療法など生活習慣を改善することで、血糖値を下げることも可能です。

 血糖値が下がらない場合は、インスリン分泌を刺激する薬や、糖の吸収を遅らせる薬を使います。
 病気が進行すると合併症といって全身にさまざまな症状が出ることがあります。

 脳梗塞や心筋梗塞、肺炎、腎炎など、命にかかわるような重い病気を引き起こすこともあるので、糖尿病をきちんと治療すること
 が大切です。

*** 高血圧について ***

高血圧とは

● 私たちの血圧は、ちょっとしたこと(からだを動かす、寒さを感じるなど)で上昇します。
 こうした一時的な血圧上昇は、高血圧とはいいません。

● 高血圧とは、安静状態での血圧が慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。
  高血圧になると血管に常に負担がかかるため、血管の内壁が傷ついたり、柔軟性がなくなって固くなったりして、動脈硬化を起こしや
 すくなります。

高血圧を放置していると

● 高血圧の状態を放置していると、動脈硬化を促進し、脳卒中や心疾患、あるいは慢性腎臓病などの重大な病気につながります。
● とりわけ最近の研究から、脳卒中は男女を問わず高血圧の影響が大きいことが明確になっています。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血など

● 高血圧によって最もリスクが高くなるのが、脳卒中です。
  収縮期血圧(最高血圧)が10mmHg上昇すると脳卒中のリスクが男性で約20%、女性で約15%高くなります。

● 脳卒中は命が助かっても、運動障害や言語障害が残りやすく、長期のリハビリが必要となることも少なくありません。

心筋梗塞、狭心症など

● 高血圧は、心疾患のリスクも高めます。
  特に、男性の場合は影響が大きく、収縮期血圧が10mmHg高くなると、心筋梗塞や狭心症の危険度が約15%も増加します。

● 血圧が高いと腎臓にも大きな負担がかかり、血液中の過剰な塩分などの排泄がうまくいかず、さらに血圧が上昇する悪循環を起こしや
 すくなります。
  慢性腎臓病を起こすと、脳卒中や心筋梗塞による死亡率も高くなることがわかっています。

高血圧は自分で見つけられる

● 高血圧は、放置していると怖い病気ですが、その一方で自分で見つけられる病気ともいえます。
  痛みなどの症状がなくても、健康診断や家庭での血圧測定によって、発見できるからです。

● 「血圧が高め」とわかったら早めに受診し、治療を必要とする高血圧なのか、原因は何かなどについて知ることが大切です。

● 一般に血圧は、高齢になるほど高くなる傾向があります。
  しかし、日本では、30歳代、40歳代の比較的若い世代でも、すでに2〜3割の人が高血圧の状態です。
  しかもこの世代の場合、80〜90%もの人が治療を受けていません。
  高血圧を長期間放置していると、それだけ血管の傷みも進み、いきなり脳卒中や心筋梗塞を起こしかねません。
  若い世代は、食生活の改善など生活習慣を見直すことで血圧を下げやすいので早めに受診して医師の指導を受けるようにしましょう。

高血圧を改善するには

● 高血圧治療の基本は生活習慣の修正(運動療法・食事療法)と薬物治療があります。
  運動療法として運動の頻度は定期的に(できれば毎日)実施し、運動量は30分以上強度は中等度(ややきつい)の有酸素運動が一般
 的に勧められています。
  運動療法により降圧効果が得られ、高血圧症が改善されます。

● 「平成29年国民健康・栄養調査」の結果において、収縮期血圧140mmHg以上の割合は、男性で37.0%、女性で27.8%であり
 約4,086万人が該当することが示されています。
  この高血圧症の要因としては、好ましくない食生活・身体活動量の不足・喫煙・ストレスといった生活習慣が密接に関連しています。
  高血圧治療の基本は生活習慣の修正と降圧薬治療ですが高血圧症の発症や予防には習慣的な運動や身体活動の増加が有用であることは
 多くの研究により証明されています。
  また、治療や予防に推奨されている運動療法に関するガイドラインも確立されてきました。

● 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、降圧治療には、生活習慣の修正、降圧薬治療があげられています。生活習
 慣の修正は、
 1)食塩摂取量の制限
 2)野菜や果物の摂取の促進
 3)飽和脂肪酸や総脂肪摂取量の制限
 4)体重減少(肥満の場合)
 5)運動・身体活動量の増加
 6)アルコール摂取量の制限
 7)禁煙(受動喫煙の防止も含む)とされています。

● 運動療法は血管内皮機能を改善し、降圧効果が得られ、高血圧症を改善するといわれています。
  また習慣的な有酸素運動が収縮期血圧を3.5mmHg低下、拡張期血圧を2.5mmHg低下させ、高血圧患者においても収縮期血圧を
 8.3mmHg低下、拡張期血圧を5.2mmHg低下させる効果があるといわれています。
  また、身体活動が約5メッツの強度で2?12回/月、0.5?2時間/週の実施で収縮期血圧が低下するという報告もあります。
  運動療法には以下のような運動種目・時間・強度・頻度が一般的に推奨されています。

● 運動種目ウォーキング(速歩)・軽いジョギング・水中運動・自転車・その他レクリエーションスポーツなどの有酸素運動。
  運動頻度・時間定期的に(できれば毎日)、30分以上の運動を目標とする。また10分以上の運動であれば合計して1日30分以上と
 してもよい。
  運動強度低・中強度の運動は収縮期血圧の上昇はわずかであるのに対して、高強度の運動は血圧上昇が著明であるため、中等度「やや
 きつい」と感じる程度の運動強度(心拍数が100-120拍/分、最大酸素摂取量の50%程度)。
  また上記のような運動を急に実施するのは身体に与える負担が大きいため、掃除・洗車・子供と遊ぶ・自転車で買い物に行くなどの生
 活活動のなかで身体活動量を増やすことからはじめてもよい。

● さらに運動療法は、1週間あたりの総運動時間あるいは総消費カロリーで設定することが適当であるといわれています。
  例えば1回の運動時間を長く設定し1週間の運動回数を減らすか、運動強度を低く設定し1週間の運動回数を増やすなどの設定を個人に
 合わせて考えることができます。

● 運動を実施する上での注意点としては、準備・整理運動は十分に行うこと、メディカルチェックを受けて虚血性心疾患・心不全などの
 心血管合併症がないことを確認し、運動療法の可否を確認した後に、個人の基礎体力・年齢・体重・健康状態などを踏まえて運動量を
 設定する必要があります。
  また高血圧症の改善には運動療法だけでなく、食塩摂取量やアルコール摂取量の制限、禁煙などとの複合的な療法がより効果的といえ
 ます。

*** 高血圧予防について ***

薬に頼らず血圧を下げるには
 1.心肺機能を低下させないこと。
 2.血管の柔軟性を良好に保つこと。

心肺機能は肺活量と言い換えることもでき、一度の呼吸でどれだけ酸素を取り込めるか
 それが少なくなれば脳や内臓は酸欠になってしまう為、心臓が心拍数を高めて酸素を送り出す肺の機能を代償する形になってしまい
 ます。
 結果として血管壁にかかる圧力が強くなり、高血圧を引き起こします。

血管の柔軟性低下に関しては、血管に存在する筋肉が関係しています
 血管には、平滑筋という自律的に動く筋肉があり、この筋肉の伸縮によって血液をスムーズに送り出すことができます。
 筋肉は使わなければ硬くなってしまいますが、それは血管にある筋肉も同じです。
 つまり、これら2つの要素は加齢や運動不足によって引き起こされる可能性が高いんです!

◎高血圧予防を考える上では、自力で変化を起こせる運動習慣を持つ事がポイント

*** 食事で気を付けたいこと ***
 炭水化物を摂りすぎない
 ミネラルをしっかりとる
 減塩を意識する
 水分をしっかりとる
 ・ 炭水化物の摂りすぎは肥満に直結し、高血圧を引き起こします。
 ・ 塩分の摂り過ぎで水分の過量摂取に繋がると、体内の血液量が増加して高血圧を引き起こします。
 ・ 体内の塩分量を調整してくれるのが、ミネラルの一つカリウムです。
 ・ 水分不足は体内の血液量が少なくなって血液がドロドロになり、高血圧を招いていしまいます。

高血圧の食事療法で注目されているのがアメリカで研究されたDASH食です

 Dietary Approaches to Stop Hypertension(高血圧を防ぐ食事方法)の略語で、高血圧の高い改善効果が期待できます。
 DASH食は塩分と炭水化物を控えて、カリウム・カルシウム・マグネシウムと食物繊維、タンパク質を増やすという内容です。
 この3つのミネラル(カリウム・カルシウム・マグネシウム)は塩分(ナトリウム)を排泄する効果があります。

細胞内のナトリウム濃度上昇がそれを薄めようとして血液に水分が入り血圧が上がります

 この原理からナトリウムを排泄することは血圧を下げることに繋がります。
 カリウム・カルシウム・マグネシウムはどれか1種類だけ摂れば良いわけでなく3つのミネラルをバランスよく摂ることが大切です。
 ミネラル豊富な食材としては、野菜や果物、海藻類やナッツ、大豆製品などがありますが、大豆製品はこの3つのミネラルをバラン
 スよく含む食材です。

DASH食に加えて食材の持つ降圧効果を利用することもおすすめです

 そばに含まれる「ルチン」というポリフェノールは血管を丈夫にして、血圧と血糖値を下げる作用があります。
 イカやタコに含まれる「タウリン」は、腎臓の働きを促進して血圧を正常にする働きがあります。
 飲み物では緑茶がおすすめです。緑茶に含まれるGABAやカテキンに血圧を下げる働きがあります。

力みすぎには要注意 高血圧を予防・改善するための運動

 高血圧を予防、改善する運動としては全身を使う有酸素運動が適しています。
 普段の生活の中で可能な散歩やウォーキング、ストレッチなどを無理のない範囲で行うこと良いでしょう。
 ストレッチで筋肉と一緒に血管を伸ばして、血液が流れやすい状態になると、血圧の低下にもつながります。
 重いものを持ち上げる運動や、負荷が大きく息をつめて力む運動は急に血圧が上昇し、心臓に負担がかかるため高血圧の対策とし
 ては適していません。

その他高血圧を予防改善するための生活習慣
 〇 深呼吸やゆったりとした腹式呼吸
  ・ 高血圧の人は呼吸が浅く回数が多い傾向にあります。
   腹式呼吸のような深い呼吸をすると血圧を下げる生理活性物質が多く作られるようになります。
   また、深い呼吸には自律神経の作用を整える効果があります。
   吐く息を長くすることにより、副交感神経が優位になり血圧が下がることが報告されています。

 〇 良質な睡眠をとる
  ・ 寝不足になると、交感神経が刺激されるため、血管が収縮して心拍出量が増加し、血圧が上がりやすくなります。

 〇 急激な温度変化を減らす
  ・ 血圧は温度の変化に敏感で、温度差が10度以上ある場所の移動で急激に体を冷やすと末梢神経が収縮して血圧が上がります。
   特に首の後ろは温度の変化に敏感なため、寒い日などは外出の時だけでなく、室内でも首を温めておくことが大切です。

大腸がんについて

大腸とは

 大腸は消化管のうち小腸に続く部分で、小腸よりも太くて短いです。
 大腸は盲腸から始まって、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門管へと続きます。

 長さは約150〜160cmです。
 大腸壁の構造は、粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、筋層、漿膜から成り立っています。

 腸間膜でお腹の中に固定され、大腸・腸間膜は他の臓器と一緒に腹膜で覆われています。
 大腸粘膜に分布する腺からは粘性に富む分泌液が出ますが、消化酵素をほとんど含まないため、消化には直接関与はしませんが、
 大腸の壁を内容物移送による障害から保護するという役割をもっています。

 小腸で栄養分の吸収が行われ、残りの消化物は大腸に送り込まれます。
 大腸の役割は、小腸で吸収されなかった水分を吸収し、不要なものを固形状の便として肛門から排泄することです。

 大腸は自律神経系によって支配され、副交感神経は腸管運動や分泌の促進に働き、交感神経はその抑制をつかさどります。
 また、大腸内には腸内細菌として大腸菌など100種類以上の細菌が常在し、これらの細菌は線維の分解などを行います。
 このほか、大腸では糖質の発酵やタンパク質の分解などによって腸内ガスができます。

大腸がん発見のプロセス

 早期発見・早期治療は、がん治療のポイントです。
 大腸がんの症状には、肛門からの出血や便秘などがあり、痔や単純な便秘と自己判断して放置してしまうことにより、
 がんが悪化する事がしばしばあります。

 また、職場や地域の検診等がきっかけで大腸がんが判明するケースもあります。

自覚症状による発見
便秘

 大腸に大きいポリープやがんができることで腸管が狭くなり、便の通過が悪くなります。
 便が細くなったり、出にくくなている場合には、大腸がんも視野に入れて診断を行います。

出血

 大腸がんからの出血が原因で、排便時に出血がある、または便に血が混じるなどの症状がしばしば起こります。
 便の周りに血がついてきたら要注意です。

 はじめのうちの出血はごく少なく、気がつかない程度なので、毎日の便を観察することが大切です。
 直腸がんの出血の場合には、便に赤黒く血が付着していたり、粘血便がみられたりすることがあります。

 結腸がんの出血は、便が黒っぽくなります。
 このような症状は、一般的に痔の症状と思われることが多く、“診察が恥ずかしい“、といった理由からついつい病院に行きそびれ、
 がんが進行してしまうことがあります。

 痔からの出血は、肛門部からの出血で、排便時など色の鮮やかな血(鮮血)がぽたぽた落ちたり、排便時に痛みがあります。
 一方で、肛門がんは、肛門部のしこり、出血、痛みなどの症状が現れ非常に痔と間違えやすいがんです。

検診による発見

 職場や地域の検診がきっかけで、大腸がんが発見されることがあります。
 検診の内容は、施設(病院や人間ドックなど)により異なりますので受診の際はご確認ください。

 特に女性は診察が恥ずかしい、といった理由から治療が遅れてしまうことがあります。

大腸がんの予防
大腸がんのリスクと生活習慣の関係

 大腸がんの原因には、運動や食事など、さまざまな要因があると考えられています。
 ここでは日本人を対象とした研究により大腸がんのリスクと生活習慣の関係について現時点で明らかになっていることをご紹介します。

 ぜひ生活習慣を見直す機会としていただくとともに、40歳以上の方は年に一度、大腸がん検診を受けることが大切です。

<飲酒>

 飲酒は、大腸がんのリスクを上げる“確実”な要因とされています。
 節度のある飲酒が大切です。

 飲む場合は1日あたりアルコール量に換算して約23g程度にとどめるのがよいでしょう。

<肥満>

 肥満は、大腸がんのリスクを上げる“ほぼ確実”な要因とされています。
 ただし、やせすぎもリスクを上げることから、適正体重を維持することを目標にしましょう。

 中高年期男性の適正なBMI値※は21〜27、中高年期女性では21〜25です。
 ※BMI値(Body Mass Index:肥満度)=[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]

<喫煙>

 能動喫煙は、大腸がんのリスクを上げる“可能性がある”要因とされています。
 たばこを吸っている人は禁煙するようにしましょう。

<肉類>

 赤身肉(牛肉、豚肉、羊肉など)や加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコンなど)などの摂取は、大腸がんのリスクを上げる
 可能性がある要因とされています。

 世界がん研究基金/米国がん研究協会では、赤身肉は1週間で500g未満にすることを勧めています。

大腸がんのリスクを下げる
<運動>

 運動は、大腸がんのリスクを下げる“ほぼ確実”な要因とされています。
 たとえば、歩行またはそれと同等以上の強度の身体活動を1日60分行うとよいでしょう。

 また、息がはずみ汗をかく程度の運動は1週間に60分程度行うとよいでしょう。

<野菜・果物(食物繊維)>

 しかし、食事について、リスクを下げることが“確実”なものはないため、偏らずバランスのよい食生活を心がけることが大切です。

 世界がん研究基金/米国がん研究協会では、野菜と果物を合わせた目安として、1日400g程度(野菜を小鉢で5皿分と果物1皿分)
 摂取することを勧めています。

肺炎について

肺炎とは

 気道を通して侵入した細菌やウイルスなどの病原体が肺内で増殖し、炎症が引き起こされた状態です。
 肺炎は呼吸器の病気の中でも比較的よくみられます。

 日本の死亡原因の第3位)といわれていますが、その要因は人口の高齢化による高齢者肺炎の増加と、これによる死亡者の増加です。

 肺炎はどこでかかったかによって市中肺炎と院内肺炎に大きく分けられます。
 市中肺炎は自宅など日常の生活の中で発症した肺炎、院内肺炎は病院に入院後48時間以降に発症した肺炎を意味します。

 また日本では、市中肺炎をさらに「細菌性肺炎」と「非定型肺炎」に分けて考えることを重要視しています。
 これは、症状や身体所見、検査所見からある程度見分けることが可能で、治療に使用する薬が若干異なるためです。

肺炎にかかりやすくなる要因

 肺内に病原体が侵入し、増殖することが原因です。
 肺炎にかかりやすくなったり治りにくくなったりする要因として下記のようなものが挙げられます。

・脳血管障害
・呼吸器疾患(肺気腫、肺結核後遺症、間質性肺炎など)
・心疾患
・腎疾患
・糖尿病
・悪性腫瘍
・免疫が抑制された状態(ステロイドや免疫抑制剤、抗癌剤を使用中)
・誤嚥(飲食物や唾液が誤って気管に入ってしまう状態) など

肺炎の病原体

 病原体として、市中肺炎の原因となる頻度が高い微生物は、肺炎球菌、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラマ、肺炎クラミジアなどです。

 肺炎球菌とインフルエンザ菌は先に述べた細菌性肺炎の原因となる病原体で、肺炎マイコプラズマと肺炎クラミジアは非定型肺炎の原因となる病原体です。

 また頻度は少ないですがウイルスも原因となる場合があります。
 院内肺炎では、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や緑膿菌などの抗菌薬が効きにくい細菌が原因になることが多くなります。

 肺炎球菌、インフルエンザウイルス、レジオネラによる肺炎は重症化する場合があることが知られています。
 また、免疫が抑制された状態にあると、ニューモシスチス・ジロベチ(真菌の一種)やサイトメガロウイルスといった病原体でも肺炎になることがあります。

症状

 症状は多彩ですが、発熱、咳、膿性痰が主な症状です。
 肺内で炎症が広がることにより胸痛が生じる場合もあります。

 重症になると、呼吸が困難になったり、意識が悪くなることがあります。
 また病原体によっては、筋肉痛や腹痛・下痢といった一見肺炎とは関連がなさそうな症状が出たり、高齢者では、典型的な症状がめだたず、食欲低下や全身倦怠感などが主な症状となる場合があるため注意が必要です。

 非定型肺炎は、頑固な咳がある、痰がない、基礎疾患がないあるいは軽い、年齢が若い、血液検査で白血球数が上がらないなどが特徴とされています。

 肺炎が治った後も、咳はしばらく続く場合があります。これを感染後咳嗽といいます。

肺炎の予防

 予防という点では、特に高齢者ではインフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種が重要です。
 インフルエンザワクチンが重要な理由は、インフルエンザ感染により、気道の粘膜が荒れて細菌などの病原体が侵入しやすい状態になり、肺炎を合併することがあるためです。

 肺炎球菌ワクチンは、肺炎の原因として頻度が高い肺炎球菌による肺炎を防ぐ効果が期待できます。
 しかし、肺炎を完全に予防できるわけではないため注意が必要です。

 また肺炎の原因として誤嚥の関与がある場合には、食事中や食後に座位を保つことや、口腔内を清潔に保つ、誤嚥を悪化させる可能性がある睡眠薬や抗うつ剤などの薬を減量・中止するといった予防法があります。

発熱と咳に注意「大人のマイコプラズマ肺炎」

 風邪と肺炎は、症状がよく似ています。
 風邪のほとんどは、ウイルスが原因です。

 ひき始めから数日で症状はピークになり、約1週間で回復します。
 しかし、なかなかよくならないときは、別の疾患の可能性があります。
 発熱と長引く咳は、マイコプラズマ肺炎に要注意です。

40歳未満に多いマイコプラズマ肺炎

 マイコプラズマ肺炎は、「肺炎マイコプラズマ」という病原菌による呼吸器感染症です。
 通年でみられ、冬に感染する人が増加します。

 過去には4年ごとに大流行し、感染者が増えたことから、オリンピック肺炎と呼ばれたこともあります。
 小児を中心に流行することが知られていますが、成人にも感染する呼吸器疾患です。

 杏林大学医学部付属病院では、マイコプラズマ肺炎と診断された73症例(年齢37.4±17.9歳)について調査しています。
 これによると、受診した患者の6割以上は、40歳未満が占めていました。

 主な症状は、「発熱」が31%と最も多く、次いで「咳」が28%。この2つで全体の約6割になることがわかりました。
 研究に携わった同大学医学部付属病院 呼吸器内科の倉井大輔講師は、「マイコプラズマ肺炎は、風邪や咳が治らないと紹介されて受診する患者さんが多いです。

 身体所見の診察では異常が診られないのに、レントゲン検査では、肺にはっきりと影が見えるということをしばしば経験します。
 成人では、比較的若くて元気な人がなりやすく、高齢者にはほとんどみられません。

 症状は抵抗力のある人の方が強く現れやすいとされ、肺炎に関わる他の細菌とは違う特徴があると思います」と話します。
 肺炎の検査は、通常であれば痰から疑わしい菌を培養して原因を調べます。

 肺炎マイコプラズマは、細菌の中で最も小さい形状の病原菌といわれています。
 特殊な培地であれば培養はできますが、とても小さいため、通常用いる光学顕微鏡では、菌が見えないという特徴もあるそうです。

治療薬と耐性菌の問題

 マイコプラズマ肺炎の治療には、抗菌薬の飲み薬が用いられます。
 子どもから大人までどの年齢層にも使える標準的な薬として推奨されているのは、マクロライド系の抗菌薬です。

 しかし、近年は、薬が効かない耐性菌の増加が指摘されています。
 治療には、問題がないのでしょうか。

 「耐性菌の問題は、多くが小児です。
 お子さんでは治療に使えない薬があるため、そこが難点です。

 ただし、マイコプラズマ肺炎は自然に治ることも実は多く、重症化する人はあまりいません。
 薬が効かない耐性菌の増加は、抗菌薬(抗生物質)を服用する患者側の不適切な使い方にも一因があるといわれています。

 自己判断で薬をやめたり、必要以上に長い期間使用したりすることは、避けたいものです。
 途中でやめると病気が再燃する可能性があります。

 処方された抗菌薬は、医師に確認して適切に飲みきること。
 また、ここ数十年で新しい抗菌薬は、ほとんど開発されていません。
 既存の抗菌薬を守っていくためにも、不適切な使用は減らすことです。

「口腔ケア」と「手洗い」が予防に有効

 2017年現在、肺炎は日本人の死因の第3位。高齢化が進むにつれて、肺炎で亡くなる人が増えています。
 肺炎の重症化を防ごうと、65歳以上の高齢者には、肺炎球菌の予防接種が推奨されていますが、リスクを減らすためには「口腔ケア」と肺炎は、口の中にあるものが肺に吸い込まれて起こります。

 脳梗塞の後遺症などで飲み込みに支障のある人でも、口腔ケアで口の中をきれいにしていると肺炎のリスクを減らすことができます。
 また、肺炎の発症には、細菌とウイルスの両方が関与していることが、わかっています。

 ウイルスに汚染された手で目、鼻、口、喉などの粘膜に触れると、そこから侵入して感染します。
 ウイルス感染を減らすと二次的に起こる細菌感染も減らせる可能性があり、手洗いは感染予防に有効と考えられます。

 冬は感染予防にマスクを着ける人も多いですが、着け方や扱い方によっては、かえって汚染の原因になるので注意が必要です。
 マスクと顔の間に隙間ができると、そこからウイルスや細菌が侵入します。

 着けるときは、隙間ができないようにします。
 また、マスクの外側には、ウイルスや細菌が付着しています。
 はずして捨てるときなどは、汚染された外側は手で触れないように気をつけましょう。

かかと落とし体操の効用  *** インターネットより参照 ***

かかと落とし体操とは

かかと落とし体操は骨粗しょう症の予防にいいといわれてきた

 かかとをストンと落としたときの刺激が骨を再生する 骨芽細胞 に刺激を与え、強い骨をつくり骨密度を改善してくれる。

● そんなかかと落としだが、 骨粗しょう症 予防以外にも、血糖値が下がるという嬉しい効果がわかった。

 骨芽細胞が刺激されると、オステオカルシンという骨ホルモンが分泌され膵臓に働いて血糖値を下げるというしくみ。

● 血糖値を下げるということはとても大事なポイントである。まずは、糖尿病の予防や改善になる。

 それだけではない。血糖値を適正に下げることは、慢性炎症を起こしにくくするというメリットがある。

● 慢性炎症とは、老化にかかわる病気の基盤にある状態のこと。

  動脈硬化 も、 認知症 も、細胞のがん化も、慢性炎症が引き金になるといわれている。

 コロンビア大学のジェラール・カーセンティー教授はオステオカルシンは 健康寿命 を伸ばすと言っているが血糖値をコントロールして、いかに慢性炎症を低く抑えるかが健康寿命を伸ばすポイントになるといえるだろう。

● さらに、オステオカルシンは、 アディポネクチン という物質を分泌することがわかってきた。

 アディポネクチンの分泌が増えれば、メタボを予防、改善し、 高血圧 や糖尿病、動脈硬化などの改善にもつながる。

内臓脂肪 が増えると、アディポネクチンの分泌が減る。

● かかと落としは、ふくらはぎの筋肉を動かすが、これにもいい効果が期待できる。

 下肢の筋肉は「第二の心臓」といわれるように、足の血流を心臓に戻すのを助けている。
 そのためふくらはぎの筋肉を動かすと心不全の予防にもなる。

 高齢化に伴い心不全の患者が爆発的な増加(心不全パンデミック)が予測されるが一人ひとりが予防を心がけることがとても大切。

● ふくらはぎの筋肉を動かすと、末梢血管の循環もよくなる。

 末梢血管の循環が悪いと、毛細血管に血液が流れなくなる ゴースト血管現象 が起きてしまう。
 ゴースト血管は骨粗しょう症のリスクを高め、脳で起これば認知症のリスクも高めてしまう。
 かかと落としはこのゴースト血管現象を解消してくれる可能性がある。


≫戻る

心筋梗塞について

心筋梗塞とは

・人の心臓は冠動脈という太い血管によって酸素を供給されることで正常に動くことができます。
・高血圧や脂質異常症などが原因で冠動脈に負担がかかった状態が続くと、冠動脈の内側に傷がつき、血液中のコレステロールや
 マクロファージが血管内膜に入り込みます。

 コレステロールは血管内に溜まり、内膜が厚みを増していきます。
 このようにしてできた血管のこぶをプラークと呼び、プラークが破れると血栓が生じます。

・血栓はプラークの裂け目に沿って形成され、血管を塞いでしまいます。
 血管が閉塞し心臓への血流が途絶えると、心筋梗塞を発症します。

心筋梗塞の原因は動脈硬化

・心筋梗塞のほとんどは狭心症と同じく、動脈硬化(動脈の壁が硬くなり血液をうまく運べない状態)の進行によって生じます。
・動脈硬化は高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙などに起因するもので、こうした生活習慣病が冠動脈を含め全身の血管に悪い影響
 をもたらしてしまいます。
・また、一部の心筋梗塞は動脈炎(高安病や川崎病など)や外傷によって発症することが報告されています。

心筋梗塞の前兆は必ず起こるわけではない

・心筋梗塞の前兆とされる特徴的な症状は、胸痛、胸部圧迫感、胸やけなどです。
・心筋梗塞で生じる胸の痛みは狭心症によるものよりも強く冷や汗が出るほどで「胸が締め付けられる」「胸が押しつぶされる」
 と表現されます。

・安静にしていても痛みが20分以上続く、または以前も同じような痛みが起こり頻度や程度が増加している場合は、発症のリスク
 が高い前兆とされています。

・ただし糖尿病神経障害などの病気をお持ちの方は、痛みをそれほど強く感じないことがあります。
・また、心筋梗塞で生じる痛みは広範囲にわたるため、腕や肩、歯、あごが痛いと感じる方もおられます(関連痛)。

・この場合、心臓に異常が起こっていると気づきにくいため、注意が必要です。
・しかし、上記のような心筋梗塞の前兆がみられる患者さんの割合は約5割に留まり、すべての方に前兆が起こるわけではありません。
・痛みの症状がないまま突然心筋梗塞を発症し、一刻を争う状態で病院に運ばれてくる方もおられます。

心筋梗塞を防ぐためには

・心筋梗塞を予防するためには、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を予防し、血管の状態を良好に保つことが求めら
 れます。
・食生活を見直し、規則正しい生活を送ることを心がけると共に、家族歴のある方、50歳以上の方、喫煙者は心筋梗塞発症のリスクが
 高いとされるため、心筋梗塞の症状や自分の心臓の状態についてあらかじめ知っておくことが大事です。

◆食生活の基本
@塩分の摂取は控えめに

 血液中に塩分(ナトリウム)が増えると、血圧が上がります。
 血圧が高い状態が続くと、血管壁は圧力に耐えようとして、厚く硬くなってしまいます。

 したがって、動脈硬化を抑える第一歩は、血圧を低く抑えることです。
 1日の塩分摂取量は、できれば6グラム以下に抑えましょう。

 ラーメンやうどん、そばなどの麺類の汁は、塩分の塊のようなものです。スープや汁を飲み干すのはやめましょう。
 酢やレモン、香辛料などを利用するのもひとつでしょう。

A動物性脂肪はなるべく避けよう

 脂肪の主成分である脂肪酸には、常温では固体の飽和脂肪酸と、常温では液体の不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸は血液中の悪玉
 コレステロールを増やし、動脈硬化を促進します。

 肉や乳製品などの動物性脂肪には、飽和脂肪酸が多く含まれています。

 ベーコンやコンビーフなどの肉の加工品の脂や、ラードやヘッドなどの脂も、飽和脂肪酸です。植物性脂肪であっても、ヤシ油など
 には飽和脂肪酸が少なくありません。
 一方、魚の脂肪は不飽和脂肪酸です。

 また、不飽和脂肪酸の中には、トランス脂肪酸と呼ばれるものがあります。
 飽和脂肪酸だけでなく、このトランス脂肪酸も、過剰に摂取し続けると血液中の悪玉コレステロールを増加させます。

 トランス脂肪酸を多く含むのは、マーガリンやショートニング、およびそれらを使って作るクッキーやパン、ケーキなどです。
 肉や乳製品も大事な栄養分なので、食べてはいけないというのではありませんが、それらの摂取はほどほどに留め、なるべく飽和
 脂肪酸やトランス脂肪酸を含まない食品を摂るようにしましょう。

 牛乳の脂肪分が気になる方は、低脂肪乳に替えましょう。

Bごはんの大盛りはやめよう

 ごはんやパン、うどんやそばなどの炭水化物は、分解される過程で糖分に変わり、過剰な摂取を続けると糖尿病を引き起こします。
 また、血液中の中性脂肪を増やし、それが悪玉コレステロールの増加につながって、脂質異常症をも引き起こします。

 糖分は、肥満や糖尿病を呼ぶだけでなく、動脈硬化にも大敵なのです。
 洋風のケーキや和風のアンコもの、清涼飲料水などに、糖分が豊富なのは言うまでもありません。

 とくに、多くの清涼飲料水には、びっくりするほどの糖分が含まれています。
 冷たい飲料で甘く感じさせるためには、大量の糖分が必要なのです。

 まずは、ごはんの大盛りを避けましょう。
 ごはんでお腹をいっぱいにするのではなく、少量ずつでもいろいろなおかずを用意して、バランスのいい食事を心がけましょう。

 甘い清涼飲料水を毎日のように飲むのもやめましょう。
 甘いものが欲しければ、アルコールにおける「休肝日」のように「休甘いもの日」を設け、甘いものを週に何度かの楽しみにしま
 しょう。

Cタンパク質を摂るなら肉よりも魚

 近年、肉類が主体の西欧的な食生活ではない、魚食が中心の、日本や地中海風の食生活が見直されつつあります。
 デンマークで行なわれた調査(1972年)によると、急性心筋梗塞を発症する比率は、デンマーク人が40%だったのに対し、魚をたく
 さん食べるイヌイット(北方の寒冷地帯に暮らす人々)はわずか3%でした。

 日本においても、厚生労働省の研究報告「魚食と心疾患との関係」(2006年)によれば、魚をたくさん食べるグループ(1日当たり
 180グラム)は、少ししか食べないグループ(1日当たり20グラム)より心疾患のリスクは約40%低く、中でも心筋梗塞の
 リスクは約55%も低くなっています。

 また、魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)といった不飽和脂肪酸の摂取量を見ると、
 最も多く摂るグループ(1日当たり2.1グラム)では、最も少ないグループ(1日当たり0.3グラム)より心筋梗塞のリスクが
 約65%も下がります。

 DHAやEPAには、中性脂肪を減らし、血液がドロドロになるのを防ぎ、血栓をできにくくする効果があります。
 特にアジ、サバ、イワシ、サンマなどの青魚は、DHAやEPAを豊富に含んでいます。

 心筋梗塞の予防には、肉料理よりも、DHAやEPAの豊富な魚料理です。
 できれば2日に1回、少なくとも週に1〜2回は魚を食べましょう。

D野菜や海藻からミネラルを摂ろう

 血液中のカリウムが増えると、ナトリウムが排出され血圧が下がります。
 高血圧の予防は心筋梗塞の予防に直結するので、カリウムの摂取は大事です。

 カリウムを豊富に含むのは、トマト、カボチャ、ほうれん草、サトイモ、ジャガイモ、セロリといった野菜類や、バナナ、シイタケ、
 納豆などです。

 カルシウムの摂取が少ないと、骨などからカルシウムが溶け出て血液中のカルシウムが増え、血栓ができやすくなります。
 カルシウムを豊富に含むのは、牛乳や小魚を筆頭に、納豆や豆腐などの大豆製品、ヒジキや昆布などの海藻類、切り干し大根などです。

 緑黄色野菜にもたくさん含まれています。
 納豆には、カリウムやカルシウムだけでなく、血栓を溶かす働きのあるナットウキナーゼという酵素も含まれています。

 また、マグネシウムをカルシウムと一緒に摂ると、血圧を抑え、心疾患のリスクを下げます。
 マグネシウムは乾燥ワカメ、浅利、煮干し、クルミやアーモンドなどのナッツ類などにたくさん含まれています。

 野菜に含まれるビタミンA、C、Eは、動脈硬化を促進する活性酸素を除去してくれます。
 玄米や全粒小麦などの未精製穀類にも、ミネラルやビタミンが豊富です。

 野菜類、海藻類、大豆製品などは、体に大切なミネラルやビタミンの宝庫。
 心掛けて摂取するようにしましょう。

E努めて食物繊維を摂ろう

 近年、心筋梗塞に果たす食物繊維の役割が注目されています。
 体内でなんらかの炎症が起こると、血液中にCRP(C-反応性タンパク質)という物質が増えます。

 血管の炎症は心筋梗塞のきっかけともなるので、CRPは心筋梗塞や動脈硬化のマーカーとして注目されているのですが、食物繊維は
 その血管の炎症を抑える効果があるのです。

 米国マサチューセッツ医科大学の報告(2006年)によれば、食物繊維をたくさん摂るグループ(1日当たり22.4グラム)は、最も少な
 いグループ(1日当たり10.2グラム)よりCRP濃度が約63%も低くなっていました。

 食物繊維をたくさん摂る人はCRP濃度が低く、心筋梗塞のリスクも低下するというわけです。
 食物繊維の多い食品は、満腹感を与えてくれるので過食を防ぎます。血糖値の上昇も抑えてくれます。

 食物繊維が豊富なのは、コンニャク、ゴボウや切り干し大根などの根菜類、ヒジキや昆布などの海藻類、サツマイモやサトイモなど
 のイモ類、キノコ類などです。

 食卓のメニューを工夫して、たくさん食べるようにしましょう。

F食事はバランスが大事

 いくら体にいいと言っても、何かひとつの食材に偏った食事をしていては、むしろ体には逆効果。
 要は、タンパク質、脂質、糖質(炭水化物)、ビタミン、ミネラル、食物繊維などをバランスよく摂ることです。

 それと共に、朝食を抜かず、三食きちんと決まった時間に食べる、といった規則正しい生活が望まれます。
 間食や夜食も控えましょう。夜遅い食事は肥満の元です。

 暴飲暴食も体のバランスを崩します。
 「百薬の長」と言われるアルコールも、ほどほどの摂取を心がけてください。
 ビールなら中瓶1本、日本酒なら1合程度が、1日のアルコールの適量です。

◆予防法
@軽い運動を日常的に

 運動不足を放置していると、やがて筋肉量が減ってしまいます。
 筋肉量が減ると基礎代謝も落ち、太りやすくなります。

 その結果、内臓脂肪がつき、血液の循環も悪化して、動脈硬化が促進されます。
 だから、とにかく体を動かしましょう。

 しかし、かといって、どんな運動でもいいというわけではありません。
 勧められるのは有酸素運動です。

 これは、しっかり呼吸をしながら続ける、軽いゆったりとした運動で、たとえば、ゆっくりペースのジョギング、自転車こぎ、
 水中歩行、スローペースの水泳といったものです。

 お勧めできないのは無酸素運動です。
 これは、息をこらえて力を一瞬に出す、瞬発力を要求される激しい運動で、たとえば、懸垂、腕立て伏せ、短距離走、重量挙げ、
 格闘技といったものです。

 これら無酸素運動は、むしろ心臓に過剰な負担をかけてしまいます。
 有酸素運動は、早朝や深夜を避け(血管が日中より収縮しているので危険です)、1回当たり30分程度、週に3〜4回行なうように
 しましょう。

Aエスカレーターやエレベーターには乗らない

 自動車のある生活が当たり前になり、駅やショッピングモールにエスカレーターやエレベーターがあるのが普通になって、日本人は
 昔ほど歩かなくなりました。

 しかし、歩くのは健康維持の基本です。
 筋肉を使えば使うほど基礎代謝が上がり、血液の循環がよくなり、動脈硬化の予防になります。

 1、2階上に行くのなら、エスカレーターやエレベーターに乗らず、歩いて上がる習慣をつけましょう。
 階段や坂道は、無料のトレーニング・マシンだと思いましょう。

B歩くときは早足・大股で

 運動をする時間がほとんどない、そもそも運動は苦手だ、エスカレーターやエレベーターにはついつい乗ってしまう、というような方
 には、大股での早歩きをお勧めします。

 これなら、通勤や買い物の途中でも簡単にできます。
 ラジオ体操や早歩きなどを1回30分以上、週に5回行なうと、1カ月で1〜2%ほど内臓脂肪が減るという報告があります。

 大股で元気よく早歩きをすると、背筋もぴんと伸びて爽快です。
 ラジオ体操を朝や昼の決まった放送時間にやるのが無理なら、録音しておいて、気の向いたときにやればいいのです。

 ただし、ひざや腰が痛いといった持病のある方は、無理は禁物です。
 このほか、タバコも百害あって一利なしです。

 ストレスも発症の引き金になります。
 規則正しい生活で、過剰なストレスをためないようにしましょう。

≫戻る

脳梗塞について

脳梗塞とは

 脳梗塞とは、脳を栄養する動脈の血行不良により、酸素や栄養を受けている神経細胞が死ぬことでさまざまな症状をきたす病気です。
 脳梗塞は、脳卒中のうちのひとつです。

 一時的に血管が詰まる一過性脳虚血発作(TIA)は、24時間以内にもとの状態に戻るため原則として後遺症を残すことがなく、
 脳梗塞とは区別されます。

 しかし、原因が取り除かれない場合には再発することがあり、やがて脳梗塞となる危険性もあります。

脳梗塞の分類

・ ラクナ梗塞:脳の細い動脈で詰まる
・ アテローム血栓性脳梗塞:比較的太い動脈が血栓で詰まる
・ 心原性脳塞栓症:心臓からの血栓(血のかたまり)が脳の血管を詰まらせる

 かつては脳卒中の4分の3を「脳出血」が占めていましたが、近年その割合は著しく減少し、代わって「脳梗塞」が増え、2006年
 には60%を占めるようになりました。

 その理由として、高血圧対策の普及と生活習慣の変化による糖尿病や脂質異常症の増加が考えられます。
 日本では欧米に比べてラクナ梗塞の割合が多い傾向がありましたが、脂質異常症や糖尿病の増加にともない、アテローム血栓性
 梗塞が増えています。

 また、高齢化にともない心房細動の患者さんが増加しているため、心原性脳塞栓も増えています。

脳梗塞の原因

 ●ラクナ梗塞
   脳の細い血管が詰まることで起こります。

 ●アテローム血栓性脳梗塞
   比較的太い血管が動脈硬化により詰まることで起こります。

 ●心原性脳塞栓症
   心房細動などの不整脈が原因で心臓の左心房でできた血栓が脳の血管を詰まらせることで起こります。

脳梗塞のリスクファクター

・ 食生活の欧米化(メタボリック症候群)
・ 過剰な塩分摂取
・ 運動不足
・ 糖尿病
・ 脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症)
・ 喫煙
・ 大量の飲酒
・ ストレス
・ 心房細動などの不整脈
・ 加齢

脳梗塞の前兆

・脳梗塞の前段階である「一過性虚血発作(TIA)」の代表的な症状のひとつが、突然言葉が出なくなってしまう「失語」です。
・また、いきなり顔が歪んでしまう「片側顔面麻痺」やろれつが回らなくなる「構音障害」、片方の視力だけが急に低下する
 「一過性黒内障」などもよくみられる症状と言えます。

・そのほかにも、何かを両手で持とうとしたとき、急に片側の腕だけ上げられなくなるという症状も脳梗塞のサインです。
 このような体の異変が感じられたときは、一過性虚血発作の恐れがあります。

・脳の血管が血栓のために一時的に詰まることで起こるのが、脳梗塞の前兆です。
 まだ完全に詰まってはいないので、数分で回復するということもあります。
 しかし、たとえすぐに症状が治っても、脳の血管が詰まりかけていると考えられるので、すぐに病院で診察を受けましょう。

くも膜下出血の前兆

・これまでくも膜下出血は、突然発症すると考えられてきました。
 しかし最近の研究によって、くも膜下出血にはいくつかの前兆があることが明らかとなっています。

・そのひとつが血圧の乱れです。
  数日間にわたって血圧が激しく上下するようになったら、くも膜下出血を発症している危険性があります。
・ただ、血圧を上下させる要因はほかにもたくさんあるので、まずは医師の診察を受けることが大事です。

・また、くも膜下出血が起こる前段階において、動脈瘤から少し出血がみられることや、動脈瘤による神経の圧迫が起こって以下の
 ような症状が現れることがあります。特に多いのが突然の頭痛です。
 どのくらいの頭痛なのかは人によって異なりますが、この前兆を経験する人が多いことから、「警告頭痛」と呼ばれています。

・ほかにも、目の異常や吐き気、めまいなどの症状がみられるケースもありますが、多くの場合、これらの症状はしばらくすると治るこ
 とがほとんどです。
 しかし、その数日後に本格的な発作が起こるということが多いので、早めに受診することが大事と言えます。

脳出血の前兆

・脳出血の前兆はありません。
・この病気を発症すると、出血のサイズ、部位にもよりますが、ごく小さな症状から始まり、少しずつ重い症状が現れていくケースが
 あります。
 一方で、突然発症して倒れるということもあるので、人によって現れ方は大きく異なります。

・また、寒暖の差が大きいと血圧が大きく上下し、血管が損傷を受けやすくなるので、脱衣所で衣服を脱ぐときや、あたたかい部屋から
 寒い廊下に出たとき、あるいはトイレに行くときは注意しましょう。
 特に冬場のトイレと浴室には気をつける必要があります。

脳梗塞の症状

 脳梗塞は突然発症します。
 放置すると、ほぼ永久的にまひや感覚障害など生活に支障を来す重大な後遺症を残すことがあり、最悪の場合には生命にかかわる事態に
 なりえるため、初期症状を知ることが極めて重要です。

 期症状として比較的はっきりと現れるのは、
・顔がゆがむ、表情がつくれなくなる
・片腕、片足が動きづらくなる、歩きづらくなる
・ろれつが回らなくなる、言葉が出てこなくなる
といったもので、家族や友人などに指摘されることが発見のきっかけにもなります。
また、脳を栄養する血管のうち、どこの動脈が詰まるのかによって症状が異なります。

脳梗塞の初期症状

・この病気の初期には、短い場合は数分で収まることが少なくありません。
 一過性脳虚血発作とも呼ばれている症状で、長く続く場合でも約30分ほどで収まるのがほとんどです。

・一過性脳虚血発作の場合は、発症している時間が短いため気が付かない人も多いのが特徴です。
 体の不調を感じることもありますが、自分がそうだとはと考えずにそのままにしている人も多くいます。

・この症状が起こった場合は、約20%ほどの人に脳梗塞が発症しているのが特徴の一つです。
 話していて急に言葉に詰まったりロレツが回らないなどを感じた場合は、一過性虚血発作を疑う方がよいでしょう。

・顔の片側の麻痺や片目の視力が落ちるなどもよく見られる初期症状で、早めに医療機関で診察を受けることが大切です。
・両手を持ち上げようとしても片腕だけ上がらない、といった症状も予兆として挙げられます。
 このような異変が起きた場合は、一過性脳虚血発作の可能性があります。

・脳梗塞の予兆や初期症状というのは、脳血管が血栓によって一時的に詰まることで起こります。
 完全に詰まった状態ではないため、数分で症状が治まるのですが例えすぐに症状が治まったとしても脳血管が詰まりやすくなって
 いるかもしれないので医療機関で診察を受けるようにしましょう。

脳梗塞を予防するために心がけること

・脳梗塞を発症すると、体の様々な機能に後遺症などを発症してしまいます。
 とても恐ろしい病気ですが、日常生活を見直すことで予防することが可能です。

・脳の内部に流れる血流が詰まることが原因で発症するため、血液がよく流れやるようにすることが大切になります。
・日常生活の中でまず気をつけなければいけないことは、今までの食生活を見直すことです。
 塩分を多く含んでいる食事ばかりの生活では、この症状を起こしやすくなるので気をつけるようにしましょう。

・喫煙をしている人も脳梗塞を発症しやすくなるため、禁煙することも予防をするための大切な方法の一つです。
 バランスの取れた食生活を送るように心掛け、脂肪分の多い食材を少なくすることも大切になります。

・アルコール類の飲み過ぎも、発症するリスクを押し上げてしまう原因です。
 1日に飲酒する量を少なくしたり、アルコール類を飲まない日を作ることも必要になります。
 カリウムや乳製品などに含まれているカルシウムを摂るようにすると、リスクを下げることが可能です。

≫戻る

NASAが大注目!「老化スイッチ」

老化とは

・ 実は宇宙では地上の10倍老化が進むと言われています。
・ 宇宙に半年いると筋力は半分になり、骨密度の低下はわずか1カ月間で老人の1年分の変化が起こってしまいます。
・ そのほかにも認知機能の低下や脂質・糖などの代謝異常、循環機能の低下などなど・・・
  様々な悪影響が起こることが知られています。

● その理由は、まだ分かっていない部分もありますが、最大の原因は「無重力」にあります

  しかも無重力状態では運動をしていてもこれらの異常が起こってしまうのです。
  一体なぜなのか。実はその犯人は「耳」にありました。
  耳の中の内耳という場所にある ”耳石” という器官が影響していたのです。

● 耳石はいわば「重力を感知する装置」

  体が傾くと耳石が重力に引っ張られることで、その信号が脳に送られて体の傾きを知ることができる、という仕組みです。
  この耳石こそが体の老化のスピードを左右する原因の1つであることが最近の研究でわかってきました。

● 実は近年、長い時間「座り続ける」という生活習慣が、無重力と同じような悪影響を体に及ぼすということが判明しました

  なんと、1時間座り続けると22分寿命が縮むという研究結果もあります。
  ほかにも、がんのリスクが上がったり、骨密度の低下、代謝異常、認知機能の低下、循環機能の低下・・・
 様々な悪影響があることが明らかになってきました。
  まさに無重力と一緒です。いったいなぜこのようなことが起こるのでしょうか。

● 実はこれも耳石に大きな原因があると考えられています

  無重力状態では、耳石は浮かんだような状態で動きません。
  一方、座り続けているときも耳石はあまり動きません。実はこの「耳石が活発に動かないこと」が大問題なのです。

 耳石は全身の筋肉や自律神経(内臓や血管をコントロール)とつながっています。
 そのため、耳石が活発に働くと筋肉の活動がよくなるだけでなく、心臓などの働きも良くなって血流が活発化します。
 さらにコレステロールや糖の代謝もよくなります。

● 一方、耳石があまり動かないと

  全身の筋肉や自律神経の働きもおとえろえ、筋力の低下や循環機能低下代謝の異常など様々な悪影響が起こると考えられて
 います。

NASAの研究によってわかった若返りの秘策

それは“30分に1度立ち上がる”だけ

 実は「立ちあがる」という動作は、頭が前後左右上下に動くため、耳石を効率的に動かすことができるのです。

座っている時間が長い方は、ぜひ30分に1度は中断して立ちあがってみてください!

※体が不自由な方など、立つのが難しい場合は、頭を左右に振るだけでも耳石を動かすことにつながります。

≫戻る

不老長寿の薬について  *** たけしの家庭の医学より ***

細胞のアンテナを伸ばす免疫力アップ食材のツバメの巣

・ タイ・パクパナンは、ツバメの巣の一大産地
・ 日本のツバメは土や草などに唾液を混ぜて巣を作るがアナツバメは唾液だけで巣を作る。

・ もともとは海沿いの崖や洞窟に巣を作るため巣を採取するのも大変だったが、現在では街中の建物を洞窟に見立てて設計。
・ アナツバメを呼び込んで巣作りをさせている。巣作りは最大で年に3回。現在でもツバメの巣は貴重な食材となっている。
・ ツバメの巣は、スープやデザートとして食べられている。

● スタジオでツバメの巣のスープを試食。ビートたけしは「寄せ鍋やった後の最後のモヤシみたい」とコメント

 中山秀征は「食感はフカヒレみたい」などと話した。

● 中国では漢方食材として知られており、楊貴妃や西太后も好んで食したと言われている

● ツバメの巣はアナツバメの唾液だけでできている


● ツバメの巣の主要成分は「シアル酸」で、シアル酸は人の唾液にも微量含まれているがツバメの巣の数百〜数千分の1程度だという

● 相良先生によると、どの食材にシアル酸が多いかはよく分かっていないという


シアル酸を豊富に含んだ身近な食材を番組独自で調査

● まず、なぜアナツバメの唾液にシアル酸が最も多く含まれているのか、理由を探った


● 向かったのは「那須どうぶつ王国」

 約40年間で100種類以上の鳥類を飼育し、日本動物園水族館協会でも活動している園長の佐藤哲也さんに話を聞いた。
 佐藤さんによると、

鳥の中には唾液にシアル酸が含まれているものがいるという

 案内してくれたのは、ペンギンを飼育するブロック

ペンギンはヒナに口移しでエサを与える際、唾液と一緒に免疫物質を授けている可能性がある

 ツバメの巣は、中国で昔から健康増進や不老長寿の薬として扱われていた

 相良先生によると、ツバメの巣に含まれているシアル酸が、糖鎖を伸ばし免疫力をアップさせるという。

 シアル酸とは、細胞のアンテナを構成する糖の一種で、アンテナの先端で様々な情報を受信する

 シアル酸は加齢と共に減少するためアンテナが短縮し、免疫力が落ちるという


 しかしツバメの巣を摂取するとシアル酸が細胞のアンテナまで到着し、短くなった先端に接着して免疫力が上がると考えられている

シアル酸が含まれているのは鳥類の唾液だけではない

 佐藤さんによると、

哺乳類も胎盤や母乳などからシアル酸を含む免疫物質を獲得している

 そのため、唾液だけでなく、ミルクや卵など、親から子供へ自然に与えている栄養源の中に、シアル酸が豊富な食材がある可能性
 がある。

シアル酸が豊富に含まれている可能性がある12品の食品を用意

 シアル酸研究の専門家である京都大学の竹松弘先生の協力でシアル酸の量を徹底分析した。
 竹松先生も、シアル酸が豊富に含まれている食材の調査はしたことがないという。

調査の結果ツバメの巣のスープに匹敵する量のシアル酸を含んだ食材を発見した

 ツバメの巣のスープ1杯に含まれているシアル酸の量は、200mg

 ツバメの巣のスープに匹敵するシアル酸ベスト3食材、第3位は「たらこ1腹」180mgのシアル酸が含まれていた


 第2位は「鶏卵4個」で227mgのシアル酸が含まれている

 第1位は「子持ちシシャモ2尾」197mgのシアル酸が含まれている

 竹松先生によると、シアル酸は糖鎖の端に付き外敵から身を守るアンテナの役割を果たしており、卵は母体の外で育つため外敵に
 障害されやすく、アンテナとなるシアル酸を張り巡らせている可能性があるという。

 鶏卵の黄身と白みを繋ぐ白いモヤモヤしたもの(カラザ)には「シアル酸」が多く含まれている


≫戻る

幸せホルモンについて

幸せホルモンとは

  最近では、セロトニンを「幸せホルモン」と呼ばれテレビなどでも取り上げられるようになりました。
  セロトニンは、心のバランスを整える作用のある伝達物質です。
  そのためセロトニンを増やすことで精神的な安定が得られると言われています。

● 自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があります。
 交感神経は主に活動している時に働く神経で、副交感神経は寝ている時に働きリラックス効果をもたらします。

● セロトニンはこの2種類の神経を調節する働きを活性化させることにより心のバランスを整えます。
● セロトニンは自然界の動植物に一般的に含まれる物質で、人体中には約10mgが存在しています。

つい最近まで、セロトニンは脳で生成される{脳内ホルモン}とされてきましたが、世界的な研究の結果、90%は小腸の粘膜に、
 8%は血小板に、残りの2%が脳内の神経に存在していることがわかりました。

セロトニンには、脳の大脳皮質という部分に働き、起きている時にスッキリした意識にさせる・朝起きる時、体を活動する状態にさ
 せる・痛みの感覚を抑制させる・抗重力筋に働きかける、など様々な働きがあります。

  セロトニンが少なくなるとこれらの働きがうまくいかなくなり寝起きが悪くなったり、些細なことで痛みを感じやすくな
 ります。また、抗重力筋は重力に対して姿勢を保つために働くまぶたや首や背中などの筋肉のこと。
  セロトニンが不足すると背中が丸まったり、どんよりとした表情になってしまいます。
  では、どうしたらセロトニンは増えるのでしょうか

 セロトニンは規則正しい生活をしたり、光を浴びたり、ダンスやジョギングなどのリズム運動をすることにより増加

● また最近では、涙を流すことでセロトニンが増えると言われています。
● 涙を流すと交感神経から副交感神経に切り替わり、その際にセロトニンを分泌する神経が活性化され、セロトニンが増加します。

● また、涙にはマンガンが多量に含まれています。
  このマンガンが一定量を超えて溜まるとうつ病のリスクが上がるとも言われています。

● 涙と一緒にマンガンを出すことでうつ病のリスクを軽減できるということです。
最近は過度なコンピューターの使用、テレビやゲームなどによる夜更しや運動不足などセロトニンが低下しやすい生活環境になって
 きています。

少しでも日光を浴びる、軽い運動をする、映画を見て感動の涙を流す、などで心の健康も気遣ってみてください。

≫戻る

血管について

■血管は4種類あります

● 血管の種類は大きく分けて動脈、静脈、細小動脈、毛細血管の4つです。
● これらの血管をつなぐと全長約9万qで、なんと地球のおよそ2周半という長さになります。

● 心臓から血液を運ぶ、往きの道路が動脈。帰り道が静脈です。
● 動脈は酸素や栄養分を運び、静脈は体内のあちこちから回収した二酸化炭素や不要物を、それぞれの処理器官に届けます。

● 毛細血管は、体の末端まで張り巡らされている路地のようなもので、細胞や組織のすみずみに酸素や栄養分を届けます。
● 髪の毛の20分の1程度の細さなので、肉眼では見えません。毛細血管には血管の太さを調節する筋肉がないので、自身で収縮するこ
 とはできません。

● 毛細血管のひとつ手前のところにあるのが細小動脈。ここには筋肉があるため、ストレスなどで筋肉が収縮すると、太さが半分以下
 にまで縮んでしまい、血液の流れが悪くなります。

■心臓から出た血液はどのように体内を1周するのでしょうか?

● 心臓(左心室)→大動脈から送り出された血液は、わずか20秒で全身を巡り、下大静脈から再び心臓へ戻ります。
● 大動脈より解剖学的に心臓から離れたところを流れる、末梢血管が徐々に狭くなって詰まった場合には、バイパスの血管が新たに形
 成されるので細胞が壊死しないこともあります。

● しかし、徐々にではなく突然血管が詰まって酸素の供給が止まると、 脳で4分、心臓なら3時間で細胞が酸欠によって壊死してしま
 います。
  脳梗塞や心筋梗塞をイメージするとよいでしょう。つまり、血管のトラブルによる血液の渋滞はまさに命取りになる危険性をはらん
 でいます。

■血小板と血栓の関係

● 指を切って出血しても血が止まるのは、血小板が傷口をふさいでくれるからです。
● また血管の内側に傷ができると、やはり血小板はそれを修復しようとして傷口に集まります。

● これは血小板がもつ粘着力や凝集力などの性質によるものです。血液が血管外に出ると数分のうちに固まりますが、血管の中を流れ
 る血液は、通常は固まることはありません。

● しかし、血管の内壁に傷ができて血小板が集まり凝集すると、それに伴って血液の固まりができることがあります。
● これが血栓です。そして血管が狭くなったところに血栓ができると、血管が詰まってしまいます。

● 凝固異常や悪性腫瘍などにより凝固しやすくなる病気として深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群はよく耳にしますね)などが
 よく知られています。

■動脈硬化のメカニズム

● 血管の病気を防ぐうえで最も注意したいのが、動脈硬化です。
● 動脈硬化とは、動脈が狭くなるなどして、正常な働きを維持できない状態を指します。

● その原因となるメカニズムは次の通りです。
1)高血圧などが原因で血管の内皮細胞に傷がつくと、そこにLDL(悪玉コレステロール)が入り込み、酸化されて酸化LDLとなる
2)白血球の一種のマクロファージは酸化LDLをどんどん食べていき、やがて死滅し、コレステロールや脂肪をたっぷり含んだプラー
  ク(粥種)となる
3)プラークが蓄積していくと血管は部分的に狭くなり、血流が悪くなる。またプラークが破れると血栓(血の塊)ができ血流が完全に
  途絶えることもある

● 動脈硬化が進行すると、心筋梗塞や脳梗塞など、命に関わる病気にもつながりかねません。
● 動脈硬化が心筋へ血液を送る冠動脈で起これば、血管が詰まり、狭心症や心筋梗塞の主な原因になります。

● 脳の血管で起きれば脳梗塞になり一命をとりとめたとしても片側の手足の麻痺などの後遺症が出ることもあります。
● また、頸動脈で形成された血栓がはがれて、脳の動脈まで移動して閉塞を起こす、脳塞栓などのケースもあります。

● 脂質異常症や糖尿病などで、いわゆるドロドロ血液になると、動脈硬化を起こしやすくなります。
● その反対にサラサラ血液≠ノすることが動脈硬化の予防に効果的です。血液をサラサラにするには、次のような食品成分や運動が
 鍵を握っています。

・DHA・EPA

● イワシやサバなどの青魚に多く含まれる不飽和脂肪酸の一種で、常温で固まりにくいという性質があります。
● 血管の弾力性を高め、酸素の運び役である赤血球の柔軟性を向上させます。

・ポリフェノール

● 緑黄色野菜や果物などに含まれている化合物の総称です。LDLの酸化を防ぎ、血流の改善に役立ちます。
● ポリフェノールはベリー類や黒豆、小豆、ナス、カカオ、緑茶などに特に多く含まれています。

・ビタミンC・E

● ポリフェノール同様、LDLの酸化を防ぎます。ビタミンCは赤ピーマンやレモン、ビタミンEはカボチャやアスパラガスなどに多
 く含まれています。

・有酸素運動

● 有酸素運動は脂肪をエネルギー源として燃焼し、HDL(善玉コレステロール)を増やす働きがあります。
● HDLは動脈硬化の原因となる血管壁に張り付いたLDLを回収してくれます。

● 動脈硬化は、血管の一番内側にある内皮細胞の機能低下によって始まります。
● 内皮細胞は、血流が速くなると、血管拡張物質である一酸化窒素(NO)を産生して放出します。
 すると、一酸化窒素は中膜にある平滑筋に作用して、その結果、平滑筋の緊張がゆるんで血管が広がります。

● 血管を広げる働きは、放出される一酸化窒素の量に左右され、一酸化窒素が不足すると血管は硬くなり、逆に十分に出ていると血管
 をやわらかい状態に保つことができます。
  有酸素運動は血液中に一酸化窒素を放出します。

≫戻る

コレステロール値をさげるには

食事法

・まず減らしたいのは「飽和脂肪酸」の多い食べ物です。
・飽和脂肪酸はコレステロールを増やす作用がある脂肪酸で、主にお肉など動物性の油が多い食べ物にたくさん含まれています。

・多くの人が必要量以上に摂っていると言われています。
・悪玉(LDL)コレステロールの多い人は特に取りすぎないように気を付けましょう。

・逆に増やしたいのは「不飽和脂肪酸」の多い食べ物です。
・不飽和脂肪酸はコレステロールを下げる作用があります。

・不飽和脂肪酸は肝臓で中性脂肪を悪玉(LDL)コレステロールに転換するのを抑制してくれる働きがあります。
・不飽和脂肪酸は魚やオリーブ油、菜種油など主に植物性の油が多い食べ物に多く含まれています。

食習慣の改善

・食習慣の改善とは、例えば食事を2食しかとらなかったり忙しいからといってお昼ご飯を抜きにしたりするのはよくありません。
・まとめて食べたりせずに量は少なくても1日3食きちんと食べるようにしましょう。

・また食べ過ぎには気をつけましょう。バランスのとれた食事であっても食べ過ぎはよくありません。腹八分目を目指しましょう。
・食習慣の改善はコレステロールを下げる方法として重要なだけでなく規則正しい生活習慣の基礎になりますので、日頃から気を付け
 るようにしたいものです。

生活習慣の改善

・適度な運動はコレステロールを下げる方法の一つになります。
・特に現代では交通機関が発達して歩くことが少なかったり仕事が忙しくて運動する機会がほとんどない人が増えてきています。

・最近体を動かしていないという人は、意識的に体を動かして運動不足を解消するようにしましょう。
・ただコレステロールを下げるにはかなりの時間を要します。

・食事の改善も生活習慣の改善も長く続けることで効果が生まれますので、コレステロールを下げるベースとなる方法として日々続け
 ていくことが大切です。

≫戻る

からだのゆがみについて

からだのゆがみとは]

 背骨や骨盤のズレ、筋肉のバランスの崩れ。
 これらによって身体にゆがみがある場合、健康状態に大きく影響を及ぼします。

 原因不明の頭痛や疲労、筋肉痛の症状が、身体のゆがみを矯正することで緩和されたという例も数多くあります。

● 身体のゆがみは、肩こりや腰痛の原因となるだけではありません。

● ゆがみの影響で、不自然な使い方をして症状を長引かせること、さらには痛む部分を庇うことで、別の部位に痛みをもたらす原因にも
 なります。

● その他にも、内臓が不自然に圧迫されることによって消化器官へ悪影響を及ぼすことや、血液循環、神経の働きへの影響にも注意が必
 要です。

身体のゆがみは、何が原因で起こるのでしょうか?

● その一つは、生活習慣に関係しています。
  例えば、脚を組んで座る、ペタンと両脚を開いて座るアヒル座り、横座り、寝転んで横向きでテレビを見るといった、普段何気なく行
 なっている姿勢にゆがみの原因が潜んでいます。実は、このような姿勢は身体に負担をかけている状態なのです。

● そしてもう一つは、身体の特定の部位に慢性的な痛みがある場合です。痛みのある部位を庇うことが、身体にゆがみを生じさせる原因
 になります。

まずは、左右のバランスチェック

 椅子に浅く腰掛け、足の指先を揃えて合わせてみてください。
 このとき、膝の位置はどうでしょうか? どちらかの足が出っ張るようであれば、骨盤にゆがみが生じている可能性があります。

● 座っている姿勢を鏡に映してみましょう。左右の肩の高さが同じになるように姿勢を調整してください。
 そして、身体の軸を真っ直ぐにした状態で脚を交互に組み替えます。このとき、脚の組みやすさに違いはありませんか? 
 違いがあるとすれば、骨盤の位置や身体の軸のゆがみが考えられます。

次に背骨のゆがみのチェックです

● 壁に踵をつけて自然な姿で立ってみてください。踵の他に、お尻、肩甲骨、頭が自然に壁につきますか? 自然につかない場合は、
 背骨にゆがみがある可能性があります。

● その他には、靴底の減りが左右で違う、よく寝違いを起こす、こうしたこともチェックポイントになります。これらの原因は、身体
 のゆがみかもしれません。

≫戻る

活性酸素を食べ物で退治!!

活性酸素とは

● 最近よく聞く「活性酸素」という言葉。実は老化や病気の原因にもなるもので、生活習慣病の90%は活性酸素が原因だと言われてい
 ます。

● 活性酸素はなぜ増えるのか、抗酸化作用のある食べ物をご紹介します。
● 私たちが生きていく上で、「酸素」は必要なもの。でもその酸素は、実は老化や病気の原因にもなるのです。

● サビるとは、酸化するということ。空気中の酸素は、体内に入って、「活性酸素」という物質に変身します。
 この「活性酸素」が体をサビさせてしまう原因となる。

● 活性酸素は本来、体内に侵入した細菌やウイルスなどの敵からの攻撃からカラダを守るために、白血球がつくりだす物質。活性酸素に
 より、ひとつの細胞がサビると、その細胞は次々にまわりの細胞を酸化させていきます。

● 活性酸素により細胞がさびて行くと、内臓や皮膚、骨などのあらゆる組織にダメージを与えます。
● カラダのサビは、老化やガンや生活習慣病などにつながると言われています。

● 以前生活習慣病は、遺伝や家系などが主な原因と言われていましたが、研究が進むにつれ生活習慣病の90%が活性酸素が原因という
 ことがわかってきました。

活性酸素と戦うのがスカベンジャー

● スカベンジャー(Scavenger)とは、廃品回収業者の意味で、文字どおり身体の中で生じた廃棄物でもある活性酸素を、無害なものに
 変える働きをします。

● また、抗酸化物質ともいわれ、体内で作られる酵素と、体外から摂り入れる物質の2種類があります。
● まず体内でつくる酵素のほうですが、活性酸素と結びついて害の少ない物質に変化させます。

● 代表的なものに、SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)、カタラーゼ、グルタチオンなどがあります。
● 20歳代をピークにしてスカベンジャーを体内で作る能力は徐々に低下してしまいます。

● この3つの抗酸化酵素は、たんぱく質やミネラル(亜鉛、鉄、銅、セレニウム、マンガン)などを原料にしてつくられられます。
● この3種類の酵素がお互いが関連し合うことで「活性酸素」と戦うことができるのです。

● 亜鉛や鉄となどのミネラルは不足しがちですから、食事ではできるだけ意識してとりたいものです。

活性酸素はどんな時に過剰発生するのか

そんな普通の生活をしていても発生します。つまり生きている限り縁は切れません。でも、特に大量に発生しやすいのは
○ 激しい運動をした時
○ 細菌やウイルスに感染した時
○ 強いストレス状態にある、その状態が続いている時
○ 紫外線や排気ガスなど大気汚染にさらされている
○ 食品添加物を摂取
○ ダイオキシン、電磁波などの環境要因
○ 喫煙、肥満など

● 環境汚染は進み、オゾン層破壊により有害な紫外線は増える、不況やOA機器のストレスにさらされている現代人は、活性酸素が増え
 ない方がおかしいのかもしれません。

● 上にあげた項目は、逆に予防するための項目でもあります。できるだけストレスや環境汚染、化学物質を避ける、禁煙するなど、生活
 習慣をチェックしてみてください。

活性酸素を消去させるために役立つ食べ物

 含まれている抗酸化作用成分を摂取することによって、活性酸素をできるだけ退治しましょう。

 それでは活性酸素を退治する成分とは、どんなものがあるのでしょうか?
 それはビタミンC、ビタミンE、亜鉛、セレンなどのミネラル、それから今よく話題になるポリフェノールなどのフィトケミカル
 です。

***抗酸化ビタミン***

 人間は動物や植物と違いこの抗酸化ビタミンを体内で合成することができないので、普段の食事から十分に摂取する必要があります。

ビタミンC

 血液中などの水分の多い場所で強い抗酸化力を持ちます。レモン、いちごなどの果物、緑黄色野菜に多く含まれます。

ビタミンE

 脂溶性のビタミンEは、若返りのビタミンとも呼ばれています。
 酸化されやすい不飽和脂肪酸でできている細胞膜に存在しその酸化を防ぎます。
 ごま、うなぎ、ピーナッツなどに多く含まれています。

***ミネラル***

 タンパク質とともにミネラルの体内でつくる3つの酵素の原料になります。

亜鉛

 酸化されやすい細胞を守る働きがあります。
 加工食品などには体内から亜鉛を排出したり吸収を阻害する食品添加物を含むものがあり現代人や子どもは亜鉛不足になりがち。
 意識して取りたい栄養素です。

セレン

 活性酸素を抑制する抗酸化酵素の合成に必要なミネラル。亜鉛と一緒にとるとより効果的です。
 イワシ丸干し、シラス干し、小麦胚芽などに多く含まれています。

***フィトケミカル***

 主に植物に含まれる苦み,香り、色素などの成分です。

プロアントシアニジン

  ブドウの種子に含まれる成分で、皮膚の成分であるコラーゲンやエラスチンと結合しやすく、活性酸素によるダメージを修復する働
 きがあります。
 赤ワインにたっぷり含まれています。

カロテノイド

 特に緑黄色野菜などに多く含まれ、植物などに含まれる色素成分。
 特に抗酸化力が強いことで注目されているのが、トマトに多く含まれるリコピンです。

カテキン

・ 緑茶に多く含まれています。最近では、特に脳内で発生した活性酸素を抑える働きがあるといわれています。
・ その他コーヒーの香りの成分であるクロロゲン酸、大豆や味噌・醤油に含まれるサポニンなど、ブロッコリーや菜花などのアブラナ
 科の植物のみに含まれるイソチオシアナートと呼ばれるイオウ化合物など。

・ これらは、例えばビタミンEが抗酸化力を失うとビタミンCがEを再生させる、ミネラルが活性酸素を防御するための抗酸化酵素を
 助けて活性化させる、ポリフェノールとビタミンCをとると効果が高まるなど、お互いに協力しあいます。

 特定のサプリメントや食品を偏ってとるよりも、こうした栄養素や成分を複合的に含んでいる野菜や果物などを幅広く食べる方が効果
 的と言えるでしょう。

心身の元気UPにコーヒーを

・ 会議中や休憩時に、飲みたくなるコーヒー。飲み過ぎると胃があれる、なんて話しはよく聞きますね。
 でも実はコーヒーは、抗酸化物質が多く含まれ、ガンを初め生活習慣病予防に役立つのです。

・ なんとコーヒーは、もともとはお薬でした。
  イスラムの名医がコーヒーを胃に効く薬として初めて記したのが今から約1000年前のこと。

  コーヒーを煮出して飲むようになったのは、13世紀半ば頃。
  アラビアを中心とするイスラム教の国々で愛飲され、後に欧州に伝わりました。

・ コーヒー豆に含まれる栄養成分にはビタミンB2、ナイアシン、カリウムなどがありますが、今特に注目されているのが、コーヒー特
 有の有効成分であるクロロゲン酸(コーヒー酸誘導体の一種)とカフェインの働きなのです。

注目は香りの成分クロロゲン酸

・ クロロゲン酸とは、コーヒー豆の芳香成分。
  最近では、ガンや老化などの誘因となる活性酸素を補足し除去する抗酸化物質として注目されています。

・ 米国ではコーヒーをよく飲む人は大腸ガンになりにくいという疫学調査の結果もあります。
  日本でも東京農工大学の研究グループが、クロロゲン酸がガン細胞の転移を抑制することを発見(日本経済新聞平成12年9月4日掲
 載)しました。

 この他にも様々な研究機関でガンに対するコーヒーの効用研究が進んでいます。

生活習慣病を予防するコーヒーの効用
脂肪を分解

・ コーヒーのカフェインは脂肪の分解を優先させる働きがあると言われています。ただしこの分解する働きは砂糖やクリームを混ぜると
 少々低下するそうです。

リラックス効果

・ コーヒーの香り成分は、脳の血流を促し脳から出るα波がUP! 最も精神安定効果があるのは、1日に2、3杯が適量なのだとか。

二日酔い解消

・ 二日酔いにつきものの頭痛を起こす原因物質アセトアルデヒドを体外に出し、頭の血液循環をよくする成分が含まれています。
・ その他にも、コーヒーに含まれる成分の働きにより、眠気や疲れを取って気分をスッキリさせる、強心作用、疲労回復、利尿作用、気
 管支拡張作用など幅広い薬理作用があると言われています。

・ ただし、特定の成分による実験血科であったり、個人差もあるので、コーヒーは○杯飲めば効果があると言い切れるものではありま
 せん。
 過剰な期待は、しないようにしましょう。

コーヒーは上手に飲みましょう

・ 個人差はありますが、一時的に軽い頭痛や疲労感、眠気などの軽いカフェイン禁断症状になる人がまれにいて、それでも長くて2日ほ
 どで消えます。
 この症状は、急にカフェインを絶つのではなく、徐々に摂取量を減らせば簡単に絶つことができます。

・ イギリスにあるコーヒー科学情報センターでは普通に飲む限り、コーヒーが胃を悪くすることはないと断言しています。
 コーヒーで胸焼けがしたり、気分が悪くなったと言う人がいますが、その原因を調べてみると結果として酸化したコーヒーを飲んでい
 ることが多いそうです。
 コーヒー豆は焙煎してからなんと約2週間が賞味期限!。それ以上たつと腐敗していきます。

・ またストレスや神経疲労が高い時についたくさん飲んでしまうケースが多いもの。
 例えばコーヒーの飲み過ぎと同時にたばこの吸い過ぎという時は、コーヒーが疑われてしまいがちです。
 コーヒーを飲んで胃が荒れたと感じる人は、今の生活習慣やストレス環境を見直してみてはいかがでしょう?

菜花に生活習慣病予防にも注目の成分

・ 春は「苦味」のあるものを食べると、冬の間に溜めた老廃物を出してくれるといいます。
 菜の花は、蕾を食す早春の味。愛らしい花ですが、生活習慣病予防に役立つ成分も満開!!

・ 菜の花はとても栄養価が高く、良質のタンパク質やビタミン、ミネラル類に富んでいます。
  五訂日本食品標準成分表によると100g当たりのビタミンAはホウレンソウ並み、カルシウムはほうれん草の3倍、鉄はブロッコリー
 の約3倍の量を含んでいます。

・ 一般的に花蕾には、植物の持つ栄養がたくさん詰まっています。
 ですからその部分を食べられる菜の花を利用すれば、効率良く栄養をとることができるのです。
 また、アルカロイドを含んでいるため、ストレス解消や疲労回復などにも効果があります。

アブラナ科の健康パワーに注目

・ 菜の花は、アブラナとも呼ばれているように、3〜5月に黄色の十字架状の花が密集して咲くアブラナ科の植物の総称でもあり
 ます。

・ アブラナ科の仲間で野菜として食用されているものにはキャベツ、ブロッコリー、ケール、カリフラワー、芽キャベツ、ダイコン、
 ハクサイ、カブ、コマツナ、チンゲンサイ、ワサビなどがあります。
 最近では、アスパラガスの花も出回っています。

・ これらのアブラナ科の健康パワーが、今アメリカなどから注目を浴びています。
 というのは、アメリカ国立ガン研究センターはガン予防を目的とした食品の計画研究を『デザイナー・フーズ・プログラム』と呼び、
 ガン予防の可能性のある食品を約40種類ピックアップしています。

・ それらの食品をデザイナー・フーズと呼び、それを重要度によって並べたのが、デザイナー・フーズのピラミッドです。
 アブラナ科の野菜は、積極的に食べたい野菜として紹介されています。

アブラナ科にしか含まれないイソチオシアネート

・ アブラナ科はなぜ注目されているのでしょう? それは、主としてアブラナ科野菜に含まれている成分「イソチオシアネート」を含
 んでいるから。

 これは、野菜の辛味成分のことで、唯一アブラナ科の野菜にだけ含まれているのです。
 ワサビや大根などの辛い野菜ほど多く含まれています。最近、このイソチオシアネートに、ガン細胞の発生を抑制する働きがあるこ
 とが分かってきました。

・ またこの成分は肉食生活でドロドロになった血をサラサラにし、血栓を予防する働きがあります。
 肉食に偏りコレステロールや血圧が気になる方、生活習慣病が気になる方は、アブラナ科の野菜を意識して多く摂った方がよさそう
 ですね。

・ イソチオシアネートは、野菜の細胞を壊すことで吸収しやすくなるという特長があります。
 ですから、アブラナ科野菜を食べる時には、よーく噛むことがポイント。
 また野菜ジュースとして摂取するのも効率良くとる方法です。

小さな新芽に秘めたパワー

・ さまざまな野菜の新芽「スプラウト」や発芽玄米。小さな生まれたばかりの新芽には、あふれんばかりのエネルギーが秘められてい
 ます。
 今話題の発芽食品の魅力を紹介します。

・ 植物の種子には、生命を維持するのに必要な栄養素が凝縮されています。
 その栄養やエネルギーを一挙に解き放って、新芽を出します。
 その瞬間、植物ホルモンが作られ、新たなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養素や酵素を作り出し、栄養の宝庫となるのです。
 成長した野菜、穀類、果物は、新芽のパワーにはかないません。

・ これまで新芽食品と言えば、代表的なものが「もやし」です。
 もともと「もやし」は「萌やし」で、「目を出させる」を意味し、米・小麦・豆・野菜類の芽のことなのです。
 一般的に知られる「もやし」は、豆類のブラックマッペの新芽。
 他にも、大豆もやしやアルファルファ、緑豆もやし、かいわれ大根、目新しいものではえんどうのもやし「豆苗」も出回っています。

・ 中国では、5千年前からすでに「もやし」が栽培され、当時から新芽は健康に良いと認められていたそうです。
 また日本では「かいわれ大根」が、平安時代の貴族など裕福な階級層の人々たちに食べられていた高級食材だったとか。

・ 今回取り上げた「スプラウト」は、これらの新芽食品よりもっと若い、発芽して2.3日の赤ちゃん。そこにパワーの秘密があるの
 です。

ミニチュアみたいにかわいい野菜

・「スプラウト」とは、英語で植物の新芽の総称を言い、野菜の種や豆を発芽させたものです。
 今スプラウトが注目されているのは、1997年アメリカのジョンズ・ホプキンス大学のタラレー教授が「ブロッコリーの新芽には、
 ガンを抑制するサルフォラフェインという酵素が、成熟時の30倍も含まれる」という主旨の論文を発表し、さらにアメリカ国立がん
 研究所の研究でも「発芽3日目頃の新芽には通常のブロッコリーの20倍〜50倍ものサルフォラフェインが含有されている」と報告
 されたことで、アメリカのヘルシー志向の人からブームが始まりました。

・ スプラウトの良さは、少量食べるだけで多くの栄養が得られる事です。
 また食べる直前に根を切り離すので、栄養分の損失が少なくてすみます。
 今ではアメリカだけでなくスイス、ドイツ、北欧諸国などでは、サプリメントよりも新芽や若芽を食べて必要な栄養分を摂ることが普
 及しているそうです。

・ 最近日本でも人気が高まり、スーパーなどでもよく見かけます。
 ブロッコリーだけでなく、クレス、マスタード、レッドキャベツなど、種類もさまざまです。またご家庭でも作れる栽培キットなども
 インターネットで通販されています。
 水耕栽培なので、農薬や化学肥料も使わずできて、安心ですね。

花粉症にポリフェノール

・ 花粉症の季節が本格的にやってきました。花粉症を緩和する成分はいろいろ紹介されていますが、今注目されている成分の一つが
 「ポリフェノール」です。

・「全国花粉情報花いんふぉ」によると2003年春のスギ花粉の飛散開始は例年よりやや早くなると考えられ過去の平均を上回る地方が
 多くなるだろうとのこと花粉症対策として症状を緩和する食べ物がいろいろ紹介されていますが、今注目されている食べ物の多くに
 共通する成分が「ポリフェノール」なのです。

ニューフェイス 加工用トマトの皮に注目!!

・ 日本農業新聞(2003.2.12付)によるとキッコーマンは未病医学研究センターと共同で、トマトの抽出物にくしゃみなど花粉症の
 症状を緩和する効果があることを確認しました。

・ 効果があるのは果皮の抽出物で、トマト特有のポリフェノール「ナリンゲニンカルコン」を含んでいます。
 これは、トマトの赤い色素成分で、ヒスタミンを抑える働きが認められました。

・ ただし、一般に私たちが食べている生食用トマトは「ナリンゲニンカルコン」をほとんど含まず、加工用・調理用トマトが比較的多
 く含んでいます。
 かといってトマトケチャップやトマトジュースも、製造時に果皮を取り除いてしまうため、製品にはほとんど含まれず、トマトジュー
 スをがぶがぶ飲んでも効果は得られません。
 また加工用トマトを生のまま皮ごと食べて効果があるかどうかは、まだ分かっていないそうです。

シソの葉

・ シソの葉に含まれているポリフェノール「ロズマリン酸」は、炎症を和らげる作用があると言われています。
 1日、14mg(シソの葉にすると6枚から10枚くらい)生葉を食べるか、ジュースにしてもOKです。
 体の含有量も多いのでより有<効だとか

甜茶(てんちゃ)

・ 近年特に人気が高く、お茶以外にもガムやキャンディーなども販売されています。
 「甜茶ポリフェノール」がヒスタミンを抑制し、またくしゃみ・鼻詰まり・目のかゆみの原因となる「シクロオキシゲナーゼ」という
 酵素を抑える働きもあります。

・ 気をつけたいのは、一口に甜茶といっても、その種類は4つ「牛白藤」「臘蓮繍球」「多穂石柯葉」「甜葉懸鈎子」があり、花粉症に
 効果的といわれているのはバラ科の「甜葉懸鈎子」だけなのです。バラ科と書いてあるかどうかをチェックしましょう。

・ 他にもお茶の最新情報としてはポリフェノールの一つカテキンという成分で注目される凍頂烏龍茶やべにふうきなども効果があるそう
 です。

・「赤ワイン」、玉ねぎの「ケルセチン」、ウコンに含まれる「クルクミン」なども注目されていますが、これらもすべてポリフェノー
 ルなのです。

タフなカツオのスタミナ源で疲労回復をサポート

・ 魚の中でも最速で泳ぐというタフなカツオは古くから滋養強壮に役立つ食べ物とされてきましたが近年化学的にもカツオに含まれる様
 々な成分が注目されています。

・ 春先南から漁港を北上しながら旬を迎えるカツオ。
  魚類の中で最速、また寝ているときも速度は落としていますが泳いでいるという疲れ知らずのタフな魚です。
  そんなカツオやカツオだし


・ 魚の中でも最速で泳ぐといわれるカツオ

カツオに含まれる栄養素や成分

・ 近年はあっさりとした初鰹よりも、秋に南下する脂ののったもどり鰹の方が人気のようです。
  初鰹ともどり鰹の栄養価を比べる(食品成分表)とタンパク質はほぼおなじでも脂質は0.5gと、6.2gと10倍も異なりカロリーも
 50kcalほど初鰹が少なめです。
  味の好みはそれぞれでしょう。

・ カツオは、良質のタンパク源であり、特に血合いにはビタミンB1や、ビタミンB6、B12、ナイアシンなどのB群、鉄分などのミネ
 ラル類を多く含んでいます。

・ ビタミンB群は、糖質や脂質、タンパク質をエネルギーに変えるためには欠かせない栄養素。
  カツオのたたきなどによく使われるタマネギやニンニクには硫化アリルが含まれ、ビタミンB1の吸収を促します。
  味だけでなく栄養面でもよいとりあわせです。

・ 血行をよくするEPAや脳の働きを活性化すると言われるDHAなどの不飽和脂肪酸、血圧や血中コレステロールの低下作用で知られる
 タウリンなどが含まれています。

疲労回復<

・ 近年は、カツオなどに含まれるアミノ酸の一種「アンセリンに、疲労を軽減する効果があることがいくつか報告されています。

・ アンセリンは、アミノ酸が2個結合したジペプチドでカツオやマグロ、サケ、サメ等の運動能力が高い生物の筋肉中に広く分布してい
 ると言われています。
  疲労とどのように関わっているかというと筋肉中で使い切れなかったエネルギーが乳酸として筋肉中に蓄積するのを減らす効果がある
 と考えられています。

・ またアンセリンには抗酸化作用が強く活性酸素を除去する、血中の尿酸値を低下してくれる作用なども報告されています。

カツオだしを活かそう

・ カツオに含まれるアンセリンというアミノ酸が疲労回復に注目されています。

・ カツオと言えば、和食では欠かせない存在なのが鰹だし。
  アンセリンは水溶性で、鰹だしでも疲労回復効果があるという報告(動物レベル/味の素株式会社アミノサイエンス研究所)などもあり
 ます。

・ また鰹だしには抗酸化作用が強く、魚の生臭みなどを抑える働きがあるという報告(焼津水産化学工業)もあります。

・ 忙しい生活をしていると鰹節からだしをとるのは面倒と思う人も多いかもしれませんが、時間がない時は、あらかじめだしをとらずに
 野菜を煮ながら直接 鰹節を入れたりしながら使うこともできます。
  おひたしにちょっとけずり節などをのせても旨味が加わりますし、旨味を効かせることで塩分を抑えられます。
  あまり難しく考えずに鰹節のよさを見直して使いたいものです。

・ ただし、疲労回復にはバランスのとれた食事や十分な休息、精神面のリフレッシュなども必要です。
  単純にカツオを食べたり、鰹だしを使うだけで、疲労回復がすべて解決できると過剰な期待はしないようにしましょう。

≫戻る

筋肉について

筋肉とは

 人間の体には大小600を超える筋肉が存在し、生命活動を維持する上でも重要な役割を果たしています。
 その働きは体を動かすというだけではなく、体を守る、基礎代謝をあげる、血液やリンパの循環を促すなど様々な働きをしています。

 筋肉の減少はそのまま体の不調へと繋がる恐れがあります。
 また、筋肉はアウターマッスルとインナーマッスルの2種類に大別されることがあります。
 ではどのように違うのでしょうか。

<アウターマッスル(表層筋)とは>

・ 三角筋や大胸筋など、目でしっかりと確認することのできる身体の表面に近い部分に存在する筋肉です。
・ そのほとんどが、意識を筋肉に向けることによって簡単に動かすことができる「随意筋」で、意識的にトレーニングしやすいのも特徴
 です。

・ 身体を動かす時に大きな力を発揮したり、関節を動かしたり、骨を守る重要な役割を持っています。
・ トレーニングマシンやダンベルなどを使って行われる負荷の高いウエイトトレーニングは、アウターマッスルを中心に鍛えていると言
 えるでしょう。

<インナーマッスル(深層筋)とは>

・ 表層ではなく、深層部にある筋肉です。
・ ただしインナーマッスルというのは、どこか一つの筋肉を指している言葉ではなく、簡単に言うと身体の奥のほうにある筋肉の総称と
 思ってください。

・ インナーマッスルの多くは体積が小さく、関節の構造を補強する靭帯のような役割をして持続的に働いています。
・ 発揮する力は弱く、起こせる運動も小さいですが、関節の動きを細かく微修正して、姿勢を保持したり、バランスをとる役割があり、
 人間のさまざまな動きに密接な関わりを持っています。

・ インナーマッスルは「姿勢保持筋」とも呼ばれ、姿勢を正すためには必要不可欠な筋肉なのでトレーニングすることで身体の動きを滑
 らかにし、正確なフォームを確立することができます。

・ また、関節をしっかりと固定する役目があり、関節痛などの身体の痛みを解消する働きがあると言われています。
・ そのため、手術後はまずインナーマッスルのトレーニングを行うことが重要です。

・ ウエイトトレーニングでインナーマッスルを鍛える場合は、「低負荷・高回数」で行うことで強化できると言われています。
・ 股関節や肩関節を捻るストレッチや負荷の軽いダンベル、チューブなどを利用するのも効果的です。

・ 効果が目に見えて分かってくるアウターマッスルのトレーニングとは違い、インナーマッスルの場合は目に見えません。
・ そのため継続してトレーニングを行うことを怠ってしまいがちです。
  地味にも見えますが、その効果やメリットの大きさから最近注目を浴びている筋肉です。

1.筋肉の働き

 筋肉は、決してボディビルダーやスポーツ選手だけに必要なものではありません。
姿勢を維持したり、立つ・歩くなどの日常生活のあらゆる動作をするために欠かせないことはもちろん、心臓や内臓の働きにも関与する
とても重要な器官です。

 筋力が衰えないよう維持し、必要に応じて鍛えることは、健康的で人間らしい日常生活を送る上で非常に重要なことです。

2.筋肉と筋肉の種類

 体には大小600を超える筋肉が存在し、生命活動を維持する上でも重要な役割を果たしています。
 筋肉はその構造や働きの違いによって、骨格筋、心筋、平滑筋の3つの種類に分けられています。

骨格筋(こっかくきん)

 骨格筋(こっかくきん)とは運動して増やせる筋肉のことで、筋肉全体の約40%を占めています。
 関節をまたいで、2つの骨についている筋肉が伸び縮みすることで、体を動かすことができます。

心筋(しんきん)

 心臓を動かしている筋肉のことです。

平滑筋(へいかつきん)**

 消化管や血管を動かし、消化や血流の助けをしている筋肉のことです。

筋肉の役割
1.体を動かす、体を安定させる。

・ 筋肉の中でも骨格筋は骨と骨をつなぐようについており、歩く、走る、座るなどの一環の動作も、筋肉が伸び縮みすることで成り立っ
 ているのです。
・ また骨格筋が関節を安定させることで姿勢を保ち、正常な動きをすることができます。
・ 人間は、常に重力の影響を受けており、体を支えるだけでも多くの筋肉を必要とし、力を出し続けています。

2.衝撃の吸収、血管・臓器の保護外部の衝撃から、体をまもるのも筋肉の役割です。

・ 筋肉は、内臓や骨などを衝撃から守ってくれます。
・ また、筋肉で覆うことによって、血管や臓器も守っています。

3.ポンプの役割

・ 心臓から押し出された血液は、体の隅々までめぐって静脈を通り再び心臓に戻ってきます。
・ 心臓から離れた場所になるほど、送り出された血液の勢いは弱まります。

・ この作用は「筋ポンプ作用」と呼ばれ、人にとってとても重要なものです。
・ なかでも、心臓からもっとも遠い足に巡ってきた血液を心臓へ戻します。

4.熱をつくる、代謝を上げる

・ 人間は常に体温が36度から37度を保たれるようになっています。
  この体の熱生産の約6割を筋肉が占めています。熱を発生させることで
 寒い環境下でも一定の体温を保つことができるのです。

・ それだけ生命維持という点においても大切な熱を発生させるため、筋肉は常にエネルギーを消費しています。
  そして、その主なエネルギー源は糖質と脂質です。
  筋肉が多いとこの熱の発生量(いわえる基礎代謝)も増えるため、代謝がアップし、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病の予
 防にもつながっていきます。

5.免疫力を上げる

・ 筋肉は人間の免疫力にも関係があります。リンパ球を始めとする免疫細胞は、グルタミンというアミノ酸によって活性化されます。こ
 のグルタミンは、筋肉内に多く蓄えられていることから、筋肉が減ってしまうと免疫機能が低下してしまうといわれています。

6.ホルモンの産生

・ 骨格筋が産生するホルモンの主な役割には筋肉や骨の形成や再生、抗炎症作用、糖質や脂質の代謝への関与、心筋細胞や血管内皮細
 胞の保護などがあるといわれています。

7.水分を蓄える

・ 人間の体の中で、最も大量の水分を保持しているのは、実は「筋肉」です。
・ 脂肪量が多い女性にくらべると、筋肉量が多い男性のほうが体内総水分量は多く、健康な成人で、体重の60%前後(男性60%、女性
 55%)となっており、中でも体重60kgの成人男性は、約15kg〜20kgもの水分が筋肉に蓄えられています。

・ 筋肉が少ない人は水を飲んでも体に貯めておくことが難しく、脱水症状を起こしやすくなるのです。
・ また、筋肉量が大きく減りやすい年配者の場合体の中の水分が5kg〜10kgも減ってしまっている場合もあり、毎年、年配者に
 熱中症を発症する方が多い理由の一つになっています。

体幹とは

・ 体幹とは、手足や頭をのぞいた身体の胴体部分を指します。
・ 体幹の筋力を鍛えることで、身体の軸を安定させ、大きな力を発揮できるようになり、パフォーマンス向上につながります。

・ もしかすると、「体幹=インナーマッスル」と間違ってイメージしている方も少なくないかもしれません。
・ 体幹は場所の概念で、インナーマッスルは深さの概念であり、イコールの存在ではありません。
・ 体幹には、胴体のインナーマッスルもアウターマッスルも含まれるのです。

≫戻る

免疫について

免疫とは
一言で「疫病(病気)を免れる」こと

(1) 異物・自分の体の外から入ってきた細菌やウイルスなどを攻撃・殺傷・排除・抗体などの役割があります。

● 抗体などによって一旦ある病原菌に感染することにより、その病気に対する抵抗力がつき次からはかかりにくくなると言うものです。

● 免疫系の一部のリンパ球は、体内に侵入した抗原を、戦いが終わると随時覚えます。   このことによって免疫系は、一度感染したことのある抗原との戦い方も記憶しているので、症状が重くなる前に体内から撃退すること
 ができます。
 身近な例としては「はしか」や「水ぼうそう」などが挙げられます。
 これらの病気は一度かかると、通常二度とかからないのはその記憶のおかげです。
 この一部のリンパ球の記憶が、いわゆる免疫と言われるものです。

● もうひとつには顆粒球(かりゅうきゅう)の役割があります。

● 白血球の60%を占める顆粒球は、体内に進入したブドウ球菌のような、圧倒的に多い比較的大きいサイズの細菌類を、まるごと飲み
 込み消化・分解します。
 しかし顆粒球はこのように体を守るシステムではありますが、自らいわゆる免疫を発生するわけではありません。
 食中毒を起こして治ったからといって、再び食中毒にかからないわけではないからです。

● しかし、顆粒球はリンパ球とのバランスにおいて、さらに自然治癒力という免疫力に関係すると言う観点から、免疫と深く関った免疫
 細胞のひとつと捉えることが出来、免疫を語る上で省くことの出来ない存在です。

(2) ときには生命そのものを脅かす変質したガン細胞などを攻撃・殺傷・排除して病気を免れる働きのこと

● 言うまでもありませんが、免疫力(自然治癒力)がないかぎり、私たちは誰ひとりとして生きていくことは出来ません。
 どんな小さな病であれ、免疫力がなければ自らそれを癒すことなどかなわず、医療によってどれほどの手当を施されようとも、死を免
 れることは出来ないからです。

● 免疫のしくみを司っているのが、白血球のマクロファージ・リンパ球・顆粒球などのような免疫細胞や、サイトカイン・抗体のような
 免疫物質からなる免疫系と言われるものです。

免疫は自然治癒力の主役
自然治癒力とは

人間がもつ生命力そのものです。体を健康な状態に維持するためには、
(1) 体の機能のバランスや秩序を正常に保つ ⇒ 恒常性維持
(2) 病原菌など異物の侵入、変質した自己細胞を殺傷して体を守る ⇒ 自己防衛(生体防御)
(3) 傷ついたり古くなった細胞を修 復したり新しいものに交換する ⇒ 自己再生(修復・再生)

これらの仕組みを十分に働かすことです。
本来、これら3つの自然治癒力は私たちの身体に自然に備わっているものです。

(1)「恒常性維持機能」とは体の外部環境の変化、あるいは体内の生理機能のバランスの乱れに対して、自然に身体の状態を恒常的に一
  定に保とうとする働き、例えば、外気の温度が極端に変動しても、体は熱の放散と生成を調節することによって体温が著しく上がっ
  たり下がったりすることはありません。
  また、水を飲みすぎても、多量の汗をかいても、尿の量を調節するホルモンの作用によって、体内の水分量は常に一定に保たれます。
  運動によって酸素の消費量が増えれば、心臓の脈拍は早くなって血液循環を促進します。
  このような恒常性維持機能は主に自律神経や代謝エネルギー、内分泌(ホルモン)の働きによって調節されています。
  自律神経を例にとっても自律神経の交感神経と副交感神経は交感神経→興奮させる(職場でのミス、全力運動、夫婦喧嘩などのストレ
  ス)、副交感神経→リラックスさせる(音楽を聴きながらくつろぐお風呂でゆったり、歩く)、という具合にそれぞれ相反する方向に働
  き、健康なときには常にバランスを保っていますがこの2種類の神経のバランスが崩れ片方に偏ると、さまざまな病気をもたらし
  ます。
  例えばリラックスモードの副交感神経が優位になるとリンパ球が増え→アレルギーなどを引き起こし、興奮モードの交感神経が優位に
  なると顆粒球が増え→ガンなど組織の破壊を引き起こします。

(2)「自己防衛機能」

(3)「自己再生機能」
  これらの自然治癒力が、微生物、ガン細胞、その他の潜在的な有害物質に対して体を守るための身体の自己防衛方法です。
  もし、患者自身にこれらの自然治癒力がなければ、手術などという療法ははじめから成り立ちません。
  いかに名医が執刀しようとも、患者当人に治癒力がなければ切除された臓器は切除されたままで再び正常に回復することはありま
  せん。
  体の表面にできたキズもふさがらず、そして、どのように抗生物質を投与しようとも、消毒薬を用いても、やがてその部位は化膿し腐
  っていくのが自明だからです。

自然治癒力には

◎ 自己再生機能(傷を負って細胞が壊れても元に戻ろうとする力)
◎ 自己防衛機能(細菌やウィルスなどの外敵と戦う力)の二つの機能があり、この2つの機能がそれぞれの役割を果たすことでケガや病気
  を治します。

例えば、転んで足をすりむいたとします。
  身体の一部の細胞が壊れたことになり、自己再生機能により壊れた細胞が元に戻ろうとします。
  しかし傷口から進入した細菌などの外敵は、細胞に攻撃をかけ細胞の再生を妨げます。ここで自己防衛機能が働き、白血球などが細胞
  を攻撃する外敵と戦います。
  外敵と戦っている間、壊れた細胞は着々と自己再生し、細胞の再生が完了してすりむいたところは完治します。

樹状細胞について
免疫細胞の種類と樹状細胞の働き

免疫細胞は以下に示すとおりです。

● 体内に侵入してきた細菌、ウイルスが感染した細胞やがん化した細胞などは、異物として免疫細胞に発見され、そして排除されます。

● その際、免疫細胞は各々の役割を分担しながら、緻密に連携しあって働いています。
 例えば、「がん細胞を見つけて、その情報(目印)を伝達する者」、「攻撃する者」、「仲間を元気づける者」などです。

● 樹状細胞は、そうした連携の中にあって、司令官のような役割を果たしている重要な細胞です。

● がん細胞に出会うと、樹状細胞はそのがん細胞を食べ、その断片を自らの表面に提示して、リンパ球にがん細胞の特徴(目印)を教え
 ます。
  すると、リンパ球はがん細胞を識別できるようになるのです。

がん細胞の目印を教える樹状細胞

● わたしたちの体の中では毎日5000個程度の細胞ががん化していると言われていますが、免疫細胞がこれらがん細胞を排除している
 ので、がんが顕在化することはありません。
 しかしながら、がん細胞は、自身ががん細胞であることを隠す場合があります。そして、免疫細胞の攻撃から上手に逃れ、密かに増殖
 します。

● こうなった場合、がん細胞に特徴的な目印を標的としてがん細胞を攻撃する「特異的免疫」が、抗腫瘍効果に寄与します。

具体的には、まず、

@ 樹状細胞が、がん細胞の残骸等を見つけて食べて(貪食)、がんの目印を手に入れます。
A がんの目印を手に入れて一人前の司令官となった樹状細胞は、リンパ球にがんの目印を 教え、がん細胞を攻撃するように指示し
 ます。
B がんの目印を教わったリンパ球は、がん細胞を攻撃します。

様々な樹状細胞

● 樹状細胞は抗原提示細胞として機能する免疫細胞の一種であり哺乳類の免疫系の一部を担っています。

● 樹状細胞は、発現している表面抗原分子によって分類されます。

主な樹状細胞の種類は、以下となります

・骨髄系樹状細胞
・形質細胞様樹状細胞
・ランゲルハンス細胞
・胚中心樹状細胞など

これらの細胞に共通する特徴は、

@ 皮膚をはじめとして、広く全身に存在する。
A 周囲に突起を伸ばす形態をとる。
B 抗原を取り込むと活性化され、脾臓などのリンパ器官に移動する。
C リンパ器官では、取り込んだ抗原をT細胞やB細胞に提示する。
が挙げられます。

がん免疫療法の主流は、樹状細胞の働きを利用した樹状細胞ワクチン療法やペプチドワクチン療法、すなわちがんワクチン療法と
なっています。

スルフォラファンについて

● スルフォラファンとは、フィトケミカルの一種でブロッコリーに微量に含まれており、ピリッとする辛みのもととなる成分です。

● そのすぐれた解毒作用や抗酸化作用から、がん予防をはじめ多くの研究結果が報告されています。

 ※フィトケミカルとは、植物に含まれる天然の化学成分の総称
 その健康効果への期待から、炭水化物、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維につづく第7の栄養素と呼ばれて
 います。

● スルフォラファンについては、これまで様々な疾病予防効果が報告されています。
 これらの効果は、スルフォラファンが持つ「体を守る酵素群の生成促進作用」によるものであると考えられています。

● スルフォラファンが体内に取り込まれると、各細胞において体を防御する酵素の生成が促されます。
● それら酵素には、体内の有害な活性酸素を除去したり、発がん物質を無毒化し、体外に排出するなど様々な働きがあります。
● 見た目は同じように見えるブロッコリースプラウトでもスルフォラファンの濃度は、品種、生育ステージ、栽培方法などによって大
 きく異なります。

≫戻る

アルミニウムについて

アルミニウムとは

● アルミニウムは展性 (板状や箔状にできる性質)・延性 (引き延ばすことができる性質) に富み、熱と電気を良く通す銀白色の柔らかい
 軽金属です。

● 地殻中に酸素、ケイ素に次いで3番目に多く含まれ、地球上に豊富に存在する金属の一つです。

● アルミニウムは主に合金として容器、建築、電気器具などに使われているほか、医薬品や食品添加物の成分にもなっています。

アルミニウムとアルツハイマー病

1) アルツハイマー病で死亡した患者の脳病変部位にアルミニウムが蓄積していた報告
2) 飲料水中のアルミニウム濃度が高い地域でアルツハイマー病の発症リスクが高いという疫学調査
3) 慢性の腎機能不全のため長期間の断続的な血液透析を行っている患者において進行性の致命的なアルミニウム中毒による神経症候群
 が観察された報告
4) 症例対照研究において、アルツハイマー病患者ではアルミニウムが含まれるベーキングパウダーを使って調理したパンケーキやワッ
 フル、ビスケットなどの食品の摂取が多かった報告

アルミニウム製品の使用について

 アルミニウム製の調理器具や容器等の使用によりアルミニウムの摂取量が増大し、アルツハイマー病になるというような情報も流れて
 いるようですがアルミニウム器具からの食物への溶出はわずかです。アルミニウム溶出量について、次のような報告があります。

1) 加熱調理をすべてアルミニウム製鍋でおこなった場合に調理器具から1.68 mg、アルミ箔製品から0.01 mg、飲料缶0.02 mg摂取
 すると推定されている 。
2) 酸や食塩が強い食品ではアルミニウム容器からの溶出が比較的大きいが、全ての食品がアルミニウム容器で調理・保存されていた場
 合でも、容器由来のアルミニウム摂取量は6 mg/日程度である。

アルミ箔のうら/おもて

キラキラ光っている方に食べ物を乗せてください。光沢のない面はアルミがむき出し状態ですので気を付けましょう。

≫戻る

*** ロコモティブシンドローム(運動器症候群)について ***

ロコモティブシンドローム(運動器症候群)とは

・ 骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、「立つ」「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいいます。
・ エレベーターや車を使う便利な現代社会において、人類は足腰を使う機会が少なくなっています。
・ 全世代の方々に注意が必要です。

運動器とは

・ 普段私たちは何気なく体を動かしていますが、それは運動器の働きによるものです。
・ 運動器とは、骨や筋肉、関節のほか、脊髄や神経が連携し、身体を動かす仕組みのことです。

運動習慣を身につけよう

・ 運動習慣をつけることが運動器の健康の維持につながります。
・ したがって健康寿命の延伸も期待できます。

・ 運動器は若い頃から適度に運動する習慣をつけて大事に使い続けることが必要です。
・ なぜなら、筋肉、骨、軟骨や椎間板は運動やふだんの生活で身体を動かして負荷をかけることで維持されるからです。

・ しかし、過度な運動や体重超過により「負担をかけすぎる」のも怪我や故障の原因になります。
・ また、やせすぎると筋肉や骨は弱くなることが知られています。
・ 適度な運動と適切な食生活で肥満ややせすぎにならないようにしましょう。

健康寿命とは

・ 健康寿命とは、健康で日常生活を送れる期間のこと。
・ 平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性では約12年の差があります。

・ これは健康上の問題で日常の生活が制限される期間が約9〜12年あることを意味しています。
・ ロコモが進むと日常の生活が制限され、さらに悪化すると、支援や介護が必要になる可能性が高くなります。
・ 要支援、要介護になる原因のトップは転倒、骨折や関節の病気など運動器の故障であることはあまり知られていません。

ロコモの原因

  運動器の障害の原因には、大きく分けて、「運動器自体の疾患」と、「加齢による運動器機能不全」があります。

1)運動器自体の疾患(筋骨格運動器系)

・ 加齢に伴う、様々な運動器疾患。たとえば変形性関節症、骨粗鬆症に伴う円背、易骨折性、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症など。
・ あるいは関節リウマチなどでは、痛み、関節可動域制限、筋力低下、麻痺、骨折、痙性などにより、バランス能力、体力、移動能力の
 低下をきたします。

2)加齢による運動器機能不全

・ 加齢により、身体機能は衰えます。
・ 筋力低下、持久力低下、反応時間延長、運動速度の低下、巧緻性低下、深部感覚低下、バランス能力低下などがあげられます。
・ 閉じこもりなどで運動不足になると、これらの「筋力」や「バランス能力の低下」などと、あいまり「運動機能の低下」が起こり、容
 易に転倒しやすくなります。

≫戻る

*** 健康寿命について ***

健康寿命とは

● 2000年にWHO(世界保健機関)が健康寿命を提唱して以来、寿命を延ばすだけでなく、いかに健康に生活できる期間を延ばすかに
 関心が高まっています。

● 健康寿命が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されているため、平均寿命と健康寿命との差は、
 日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味します。2016年において、この差は男性8.84年、女性12.35年でした。

● 前回調査と比べて、男女とも平均寿命・健康寿命の差は縮小しましたが、今後、平均寿命が延びるにつれてこの差が拡大すれば、健康
 上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。
 健康に配慮する一方で、こうした期間に対する備えも重要になります。

≫戻る

*** 骨芽細胞について ***

骨芽細胞とは

 骨では、骨をつくる骨芽細胞(こつがさいぼう)と、骨を壊す破骨細胞(はこつさいぼう)がはたらいています。
 この2つの細胞が常に活動しながら、毎日少しずつ骨をつくり変えているのです。

 どんどん骨が伸びていく成長期だけではなく、成人でも約3年で骨は生まれ変わります。その理由は2つ

 1つは、人間の生命を維持していくのに欠かせないカルシウムをからだの各組織に送り出すため。

 骨はカルシウムを蓄える機能があり、不足すると骨から溶かし出され、余ると骨の中に蓄えます。
 つまり、骨は常にカルシウムを出し入れしているので、結果的に生まれ変わるわけです。

 2つめは、古くなった骨を若返らせるため
 じょうぶな骨も古くなると弾力を失ってもろくなってしまいます。

 骨は生まれ変わることで、しなやかな強さを維持しているのです。

骨芽細胞は骨を作る細胞です

 骨の「鉄筋」にあたるコラーゲンをつくり出し、そこにカルシウムを付着させる「のり」となるたんぱく質を塗っていきます。
 ここに血液中から運ばれてきたカルシウムが自然に付着していき、新しい骨ができるのです。

破骨細胞は骨を壊す細胞です

 もともとは血液細胞の一種ですが、それがホルモンの刺激を受けて、骨の中で破骨細胞に分化します。
 この破骨細胞は、古い骨のカルシウムやコラーゲンを酸や酵素で溶かします。溶けたカルシウムは再び血管を通り体内へと運ばれて
いきます。

 しかし破骨細胞は、ホルモン等のバランスがくずれると、時々必要以上のカルシウムを溶かし出してしまうことがあります。
 特にそれが閉経期以降の女性の場合は、顕著に現れます。

≫戻る

*** 動脈硬化について ***

動脈硬化とは
動脈硬化とは、血管が硬くなり、柔軟性がなくなっている状態

 では、動脈硬化になるとどういった問題が起きるのでしょうか? 
 また、なぜそうなってしまうのでしょうか? 

動脈硬化についてく知るために、血管の仕組みとはたらきから見ていきます

 血管は、血液を心臓から全身に届ける「動脈」、全身の血液を心臓に戻す「静脈」、体の末端まで栄養を届ける「毛細血管」で構成
 されています。

 このうち動脈、静脈は、外側から「外膜」「中膜」「内膜」という構造になっています。
 動脈の壁は静脈に比べてぶ厚くなっていてゴム管のように伸び縮みすることで心臓の拍動に伴う圧力に耐えられるようにできてい
 ます。

 血管の内側は内皮細胞と呼ばれる細胞に覆われており、血液中の物質の出入りや血管の拡張、血栓の形成など、さまざまなはたらきに
 関与しています。

 こうした組織がうまくはたらくことで、血液が全身にスムーズに流れるようになっているのです。

1.内皮細胞に傷がついた際、血中のLDLコレステロールが多いと、損傷した部分から内皮細胞の内側に入り込みやすくなる。
2.内皮細胞と血管壁の間に入ったLDLコレステロールは酸化されて、体に不要な酸化LDLへと変化する。
3.酸化LDLは毒性を持つため、排除すべき異物とみなされる。
 すると、免疫細胞のマクロファージがやってきて、酸化LDLを食べるが、酸化LDLが過剰にあると、食べきれずに死んでしまう。
4.血中にLDLコレステロールが多い場合はこの反応を繰り返し内膜の内側でこの「プラーク」(マクロファージが死んでできたか
 ゆ状のもの)が肥大化。
5.さらにこの際、「線維化」と呼ばれる、組織が硬くなる現象が起きるため、動脈の柔軟性が失われてしまう。

 動脈硬化が進むと、血管が血液の流量に合わせて柔軟に伸縮できず、高血圧(高血圧の説明はこちら)の原因になるだけでなく、ひど
 いときには血流に耐えきれず破裂したり、狭くなった血管に血栓ができて詰まったりということが起こりやすくなります。

 その障害が起きる場所によって、「心筋梗塞」や「脳梗塞」「大動脈瘤」といった深刻な症状を引き起こすことがあるのです。

 これまで見てきたように動脈硬化は主に血中のLDLコレステロールがその起点となっているため脂質異常症によるLDLコレステロール
 の増加は大きな要因のひとつですが、ほかに以下のような原因もあげられます。

 ・高血圧
 ・脂質異常症
 ・糖尿病
 ・タバコやアルコールの摂取によって生じる化学的刺激
 ・ストレス
 ・加齢

 歳をとるのはどうしようもありませんが、高血圧や脂質異常症、糖尿病の大きな要因となる肥満は、努力すれば避けることができ
 ます。
 そのために、食事療法や運動をするのは効果的でしょう。
 具体的な対策は以下を参考にしてください。

1.バランスのいい食事をとる

 食物繊維は、血中コレステロールを下げるはたらきがありさらにビタミンC、Eには抗酸化作用もあるため野菜や果物などをしっかり
 摂るようにしましょう。
 また、脂身の多い肉、ラードなどの動物性脂の摂取を控えましょう。

2.適度な運動をする

 一時的なエネルギー消費だけでなく、筋肉を増やして基礎代謝を上げることで、糖や脂肪の代謝をよくする効果も期待できます。

3.酒、タバコを控える

 アルコールは長い間飲み続けると血圧を上げる可能性が高まります。
 また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は、血管にダメージを与えるため、これらの摂取は控えましょう。

≫戻る

***骨粗鬆症について ***

骨粗鬆症についてとは

 骨粗鬆症とは、骨の量(骨量)が減って骨が弱くなり、骨折しやすくなる病気です。
 日本には約1000万人以上の患者さんがいるといわれており、高齢化に伴ってその数は増加傾向にあります。

症状

 骨粗鬆症になっても、痛みはないのが普通です。
 しかし、転ぶなどのちょっとしたはずみで骨折しやすくなります。

 骨折が生じやすい部位は、せぼね(脊椎の圧迫骨折)、手首の骨(橈骨遠位端骨折)、太ももの付け根の骨(大腿骨頚部骨折)など
 です。

 骨折が生じると、その部分が痛くなり動けなくなります。また、背中や腰が痛くなった後に、丸くなったり身長が縮んだりします。

原因と病態

 からだの中の骨は生きています。同じように見えても、新たに作られること(骨形成)と溶かして壊されること(骨吸収)を繰り返し
 ています。

 骨粗鬆症は、このバランスが崩れることでおこり、骨がスカスカになってきます。
 骨粗鬆症は圧倒的に女性、特に閉経後の女性に多くみられ、女性ホルモンの減少や老化と関わりが深いと考えられています。

予防

 ●転ばないように注意する
 ●カルシウムを十分にとる
 ●ビタミンD、ビタミンK、リン、マグネシウムをとる
 ●適量のタンパク質をとる
 ●禁煙し、アルコールは控えめにする
 ●運動、日光浴をする

≫戻る

*** 認知症について ***

認知症とは

 認知症とは、物忘れや認知機能の低下が起こり、日常生活に支障をきたしている状態です。
 物忘れや認知機能の低下は、脳の神経細胞が障害を受けて死滅し、減少していくことで起こります。
 認知症を発症すると、次のような行動面・心理面の変化が生じます。

行動の変化

 ・時間や場所の感覚が分からなくなる
 ・考え事に時間がかかるようになる
 ・一度に複数のことをこなせなくなる

性格や感情の変化

 ・無気力
 ・うつ状態
 ・大声を出す
 ・怒りやすくなる
 ・暴力をふるう
 ・妄想を抱くようになる

 認知症では、このような変化により生活に支障が生じるため、周囲の方の援助が必要になります。
 そのため、認知症を見極めるためには「一人で生活ができるかどうか」という観点が大切になります。

 認知症は、早期発見が重要視されている病気です。
 脳神経細胞が完全に死滅してない早期段階で治療を開始できれば病気の進行をある程度遅らせることができます。

原因

 認知症は、脳神経細胞が減少する原因に応じて大きく2つに分けられます。

原因別の分類

 ・脳の神経細胞が変化することによって発症する認知症。
  アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、認知症を伴うパーキンソン病、前頭側頭型認知症などが含まれる。

 ・二次性認知症:なんらかの外傷や病気を原因として発症する認知症。脳血管性認知症、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、脳腫瘍など
  が含まれる。
  特にアルツハイマー型認知症とレビー小体型認知症、二次性認知症である脳血管性認知症の3つが認知症の原因として多く、認知症
  全体の8割前後を占めると考えられています。

アルツハイマー型認知症の原因

 アルツハイマー型認知症は、認知症の原因として最も多い病気です。
 アルツハイマー型認知症の原因は、脳にアミロイドβとタウというたんぱく質が異常蓄積することと、アセチルコリンが減少すること
 とされています。
 異常たんぱく質が脳内に蓄積することによって、神経細胞が徐々に死滅し、減少していきます。

レビー小体型認知症の原因

 レビー小体型認知症は、認知症の原因の20%ほどを占めるといわれています。
 神経細胞のなかにできる小さな塊「レビー小体」が脳に異常蓄積することで発症します。

脳血管性認知症の原因

 脳血管性認知症は、脳血管障害が原因となり発症します。脳血管障害とは、脳梗塞、長時間の脳の血液循環不全、脳出血などのこと
 です。

症状

 認知症の症状は、中核症状と行動・心理症状(周辺症状)の2種類に分けられます。
 脳内の神経細胞が障害されたことで生じる症状のことで、認知機能が低下した方であればどなたにも生じます。以下は、中核症状の代
 表例です。

 ・記憶障害:新しい事柄を覚えられない
 ・見当識障害:時間や場所、人物の顔がわからない
 ・判断力障害:論理的思考ができなくなる
 ・実行機能障害:順序だって物事を進められない

行動・心理症状(周辺症状)

 中核症状の進行状態やその方の本来の性格、身体症状や生活環境など複数の要素に左右されます。
 そのため、現れる周辺症状には大きな個人差があります。代表的な症状には、妄想・失禁・不潔行為・幻覚・異食・不安、焦燥・睡眠
 障害・抑うつ・介護抵抗などがあります。認知症が進行すると、中核症状とともに行動・心理症状も悪化するため、次第に日常生活に
 も支障をきたすようになります。

認知症と物忘れの違い

 認知症は、老化現象のひとつである良性の物忘れと混同されがちです。
 しかし物忘れはきっかけがあれば思い出せるのに対し、認知症はきっかけがあっても思い出せないという違いがあります。
 たとえば、食事の際には次のような違いから区別することができます。

 ・物忘れ:何を食べたか思い出せない
 ・認知症:食事をしたこと自体を思い出せない

≫戻る

*** 長寿ホルモン(アディポネクチン)について ***

長寿ホルモン(アディポネクチン)とは

● あるときは「やせホルモン」、またあるときは「長寿ホルモン」と呼ばれ、話題になっているものがあります。
  その正体は「アディポネクチン」といい、脂肪細胞から分泌されるホルモンの一種です。
  生活習慣病の対策としても期待されるこのホルモンには、いったいどんな働きがあるのでしょうか。

● ホルモンというと、内臓などから分泌されるものと考えている人が多いと思いますが、実は脂肪細胞からも分泌されます。
 脂肪細胞からはホルモンだけでなく多くの生理活性物質が分泌されていますが、そのなかで善玉物質として注目されているのがアディ
 ポネクチンです。

● なぜ注目されているのかというと、アディポネクチンには脂肪を燃焼させる働きがあるからです。
 そのためテレビ番組などでは「やせホルモン」と呼ばれたりして、しばしば取り上げられているのです。

● 体を動かしてエネルギーが必要になると、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」が活性化されて、体内の脂肪をエネルギーとして消費
 します。

  また、筋肉にある酵素「AMPキナーゼ」も活性化されて、糖や脂肪をエネルギーとして活用しようとします。
  つまり、運動することで酵素が活躍して、脂肪が蓄積されるのを防いでくれるのです。

  これに対してアディポネクチンには、運動を行わなくてもAMPキナーゼを活性化する働きがあります。
  運動をすればもちろん、しなくても糖や脂肪の消費をサポートしてくれるのです。
  アディポネクチンが分泌されていれば、脂肪を燃焼しやすく、太りにくいカラダになることが可能というわけです。

● アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されているため脂肪が多く太った人のほうがたくさん分泌されるのでは? と考えるかもし
 れませんが事実はその逆です。
  脂肪、なかでも内臓脂肪が多くなればなるほど、アディポネクチンの分泌量が減ってしまうことがわかっています。

● そのメカニズムに関しては、すべてが明らかになっているわけではありません。
  しかし、その理由として考えられているのは悪玉物質との関連です。

  脂肪が多く太っている状態は、狭い密室に脂肪細胞が詰め込まれていることを意味します。
  詰め込まれた脂肪細胞は炎症を起こし、炎症細胞であるマクロファージがそこに近づいてきます。

  すると悪玉物質が分泌されてしまい、代わりに善玉物質であるアディポネクチンの分泌が減ってしまうと考えられています。
  アディポネクチンが分泌されるためには、脂肪をため込むことを防がなくてはいけないのです。

● アディポネクチンが注目される理由は、脂肪燃焼の働きだけではありません。今、最も注目されている点は、動脈硬化を予防し
 改善する働きです。

● 血管は加齢によって弾力が失われるだけでなく、糖や脂質などを摂取することで常に損傷していきます。
 そうすると血管壁にコレステロールがプラークとして付着しやすくなり、血管を詰まりやすくしてしまいます。

 動脈硬化は高血圧や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす大きな原因となってしまうのです。
 アディポネクチンには血管内の傷を修復するだけでなく、血管を拡張する働きがあります。

 そのためアディポネクチンがちゃんと分泌されていれば、動脈硬化を予防することが可能となり、高血圧や心筋梗塞、脳卒中のリス
 クを低減できることになります。

● アディポネクチンにはインスリンの効果を高める働きもあります。
 膵臓から分泌されるインスリンは、私たちの体の中で唯一、血糖値を下げてくれる働きを持っています。

 しかしアディポネクチンの値が低いとインスリンの働きが悪くなってしまい、血糖値が上昇してしまう危険性があります。
 つまりアディポネクチンには、2型糖尿病の予防に対しても大きな期待がかけられているのです。

● また、脂肪を燃焼する働きがあるアディポネクチンの分泌が十分でなければ、脂質の代謝が悪くなってしまいます。
 このため太りやすくなるだけでなく、中性脂肪の数値が悪くなったり、善玉といわれるHDLコレステロールの数値が低くなったりし
 ます。
  すると、脂質異常症にもつながってしまいます。

● 高血圧や糖尿病、脂質異常症といった病気は「生活習慣病」と呼ばれる病気です。
 アディポネクチンが正常に分泌されていれば、これらの生活習慣病を防いでくれる可能性があります。
 そのためアディポネクチンは「長寿ホルモン」とも呼ばれているのです。

● また、アディポネクチンにはがん細胞が増殖するのを抑制する働きがあるのでは、ともいわれています。
 すべてのがんに対してではありませんが、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮体がん、前立腺がんなどに対して、アディポネクチンの予
 防効果が期待されています。

● さらに、アディポネクチンが心臓などの臓器にも作用しているのではないかという研究報告もあります。
 心筋梗塞のあるマウスによる実験では、心筋のアディポネクチンの量が一時的に増加するのに対して、血中のアディポネクチン濃度が
 一時的に低下するという様子が見られたといいます。

 これは、血液中を巡回していたアディポネクチンが障害された臓器に集まり、臓器保護作用を発揮している可能性が示唆されていると
 いうのです。

アディポネクチンの分泌を高めるためには、毎日の食事が重要です

● 大豆たんぱくに含まれる「βコングリシニン」は、アディポネクチンを増やすといわれています。
 木綿豆腐には6.6g、絹ごし豆腐には4.9gのたんぱく質が含まれています(食品100g中。以下同様)。

● 豆腐を凍らせて乾燥させた高野豆腐は、栄養分が豊富だとよく報道されたりします。
 例えば「高野豆腐は木綿豆腐の約7倍のたんぱく質を含んでいます」といった記事などをご覧になったこともあるでしょう。

 実際、高野豆腐には50.5gのたんぱく質が含まれていますが、それは乾燥品100gあたりの数値のこと。
 市販品の多くは1切れ約16gなので、6切れ以上食べないと100gになりません。

 それに比べて、約80%の水分が含まれた高野豆腐の水煮に含まれるたんぱく質は10.7g。実際に食べるときにはだし汁でもどすわけ
 ですから水煮の数値を参考にしたほうがよさそうです。 もちろん納豆や豆味噌、湯葉など、ほかの大豆製品もたんぱく質が豊富です
 ので、積極的に食べるようにしましょう。

● 青背魚に含まれるEPAもアディポネクチンを増やすといわれています。
 青背魚とは、アジやイワシ、サバ、サンマなど、私たちにとって身近な食材です。

 ただし、EPAは脂肪ですので熱を加えると溶け出てしまいます。
 刺し身やカルパッチョなど生で食べる工夫をするほか、煮魚の場合は煮汁もいっしょに摂るといいでしょう。

 ただし、薄味に仕上げるなど塩分の過剰摂取には注意が必要です。
 EPAを摂取したい場合、青背魚の揚げ物はお勧めできません。

 揚げ油に溶けたEPAは取り戻すことができないからです。
  ほかに魚介類では、サケやエビ、カニなどに含まれている赤い色素成分「アスタキサンチン」もアディポネクチンの働きを助けるとい
 われています。
「青背魚ばかりでは飽きる」という人は、こういった食材も試してみましょう。

● アルコールも適量であれば、アディポネクチンを増やすといわれています。
 ただし、1日の適量というのはビールで中瓶1本、25度の焼酎で0.7合、ワインでグラス2杯……。

 酒飲みにとってはなかなか厳しい制限です。しかしアルコールを飲み過ぎてしまうと中性脂肪を増やしアディポネクチンの分泌を
 阻害することになってしまいます。
 「お酒を飲み過ぎることがよくある」という人は、アルコールでアディポネクチンを増やすことはあきらめたほうが得策です。

● カルシウムとともに骨や歯を形成するのに欠かせないマグネシウムも、アディポネクチンの分泌を助けるといわれています。
 塩化マグネシウムを主成分とした「にがり」を使って作られた豆腐には、当然マグネシウムが含まれています。

 また、豆味噌や油揚げ、納豆といった大豆製品、あおさやわかめ、てんぐさといった海藻類、さらにはゴマやアーモンド、カシューナ
 ッツといった木の実類にもマグネシウムが多く含まれていますので、これらの食材を意識して摂取するといいでしょう。

● 最近注目されているスーパーフードのなかでも、中南米原産の穀類「アマランサス」は特に多くのマグネシウムを含んでいます。
 マグネシウムだけでなく食物繊維やカルシウム、鉄分も多く含まれていますので、お米を炊くときに少量加えたり、ゆでてから
 サラダにトッピングするなど、摂り過ぎに気をつけながら毎日の食事に加えるのも一つの方法です。

もちろん食事だけでなく運動も重要です

● 内臓脂肪が増えるとアディポネクチンの分泌が減ってしまいますから内臓脂肪を増やさないためにも有酸素運動は欠かせません。
 速歩きを加えたウォーキングは、無理なく続けられる点でお勧めです。
 ラジオ体操、アウトドアアクティビティ、サイクリングといった運動でも構いませんが、いずれにしても継続して行うことがポイント
 です。

● 皮下脂肪に比べて、内臓脂肪のほうが落としやすいといわれています。
 ダイエットを行うと、まず余分な内臓脂肪を減量できるのです。

 無理なダイエットでなく、バランスのとれた食事と適度な有酸素運動を組み合わせれば、内臓脂肪を落とすことが可能です。
 そのためには、毎日欠かさず体組成計に乗って体重を測ることも、継続の大きなモチベーションになります。
 食事だけでなく運動を取り入れて、アディポネクチンを増やす生活を心がけてみましょう。

≫戻る

*** 内臓脂肪について ***

内臓脂肪とは

 食事などから摂取した栄養(糖や脂質)が消費できずに余ってしまうと、それらは脂肪となって蓄積されます。
 そのうち、おなかを中心とした内臓のまわりについた脂肪が「内臓脂肪」です。

内臓脂肪と皮下脂肪は、どう違う?

 肥満には、内臓脂肪が蓄積した体型(リンゴ型肥満)と皮下脂肪が蓄積した体型(洋ナシ型肥満)の2つのタイプがあります。
 どちらも中年世代以上に多くみられ、なかでも男性はリンゴ型、女性は洋ナシ型の肥満になりやすいといわれています。
 それぞれ外見的な違いだけではなく、原因や性質も異なります。

>内臓脂肪が蓄積した体型(リンゴ型)

■おなかの内臓周辺に脂肪が蓄積する。
■上半身に多く脂肪がつく。
■脂肪がつきやすく、減らしやすい。
■血圧、血糖、コレステロールなど複数の健康リスクを抱えやすい。
■男性に多い肥満タイプ。

皮下脂肪が蓄積した体型(洋ナシ型)

■皮ふと筋肉の間に脂肪が蓄積する。
■下半身に多く脂肪がつく。
■脂肪がジワジワとつき、減らしにくい。
■二の腕やお尻、太ももなどに脂肪がつきやすい。
■女性に多い肥満タイプ。

● 年齢とともに内臓脂肪がつきやすくなる

● 「太りやすくなった気がする」「食べる量は変わっていないのに…」など中高年の方が感じやすい体型の変化には年齢に伴う基礎代謝
 量の低下が関係しています。
  基礎代謝は、生きていくのに必要なエネルギー消費。呼吸や心臓の拍動、体温の維持など、何もしていなくても絶えず使われているエ
 ネルギーのことです。

● ところが基礎代謝量は、加齢による身体機能の低下とともに減少。運動不足などで筋肉量が低下するとさらに減少してしまいます。
  すると摂取した栄養を消費しきれなくなり、脂肪がつきやすくなるのです。

内臓脂肪は、つきやすい…。でも、減りやすい!

● 内臓脂肪は、皮下脂肪と比べて「つきやすく、減りやすい」という特徴があります。
 内臓脂肪をため込む原因になりやすい、食生活や運動などの生活習慣を改善することで減らせることがわかっています。
 食事のバランスや1日の過ごし方を見直すなど、できることから少しずつ内臓脂肪対策をはじめてみませんか。

≫戻る

*** 第二の心臓について ***

第二の心臓とは

● 疲れがとれない、イライラする、肩こりや腰痛がある、脚がむくむ、食べる量は少ないのに体重が増える……
 そんなスッキリしない状態が続いているなら代謝が落ちているのかもしれません。

● 代謝とは、外から取り入れたものを体内でエネルギーに変える仕組みのことです。
  代謝が落ちていると体の中の循環がうまくいかず、体の隅々に必要な栄養や物質、エネルギーが行きわたらないため疲労や肥満、こり
 や冷えなどさまざまな不調の原因にもなります。 そんな代謝のカギを握るのが「ふくらはぎ」です。

● ふくらはぎは「第2の心臓」と言われ、重力によって下半身にたまった血液を心臓に戻すポンプの働きをしています。
  そのため、ふくらはぎの筋肉が凝り固まって血流が滞ると、全身の血流が悪くなり、代謝ダウンにつながります。

 そのため、ふくらはぎの状態と全身の健康状態には相関関係があり、ふくらはぎがパンパンに硬かったり、しこりがあったり、冷たか
 ったり、柔らかすぎて弾力がない人は、全身の機能が落ちている可能性が大です。

ふくらはぎの状態をチェック

● まずはふくらはぎに手を当てて、ふくらはぎの状態をチェックしてみましょう。全部当てはまれば、理想的なふくらはぎ。
  一つでも当てはまらないものがあれば、改善が必要です。
  ・ 手のひらより冷たくなく、温かい
  ・ 皮膚にハリがあり、押さえて気持ちいい
  ・ コリコリしたしこりがなく、中まで柔らかい
  ・ 指を離すと同時に、元の状態に戻る

ふくらはぎを温める

● ふくらはぎを温めると、もんだだけでは届かない深層部の血流がよくなるので、特に脚が冷えている人にはおすすめです。
  ただしふくらはぎは表面温度が低く、温まるのに時間がかかるため、長湯が苦手な人はふくらはぎが温まらないうちにお風呂から出
 てしまうことに。

 そこで、バスタブに42℃ぐらいの熱めのお湯を張りバスタブのふちに腰を掛けて、まずは足先からふくらはぎまでを3〜5分間つけて
 から全身つかりましょう。これで、短時間の入浴でもふくらはぎの筋肉の奥までしっかり温まります。

≫戻る

*** 心不全パンデミックについて ***

心不全パンデミックとは

・ 日本は世界でもトップを走る超高齢化社会であり、平均寿命は世界第1位です。
  2025年には65歳以上の人口が30.3%、75歳以上が13.0%に達するとされています。

・ 高齢者の増加に伴い、高齢心不全患者さんが大幅に増加すること=「心不全パンデミック」が予想されています。

・ 心不全パンデミック状態になると、入院医療が必要な高齢心不全患者さんであふれ、病院が患者さんを受け止めきれなくなる事態が想
 定されることや莫大な医療費がかかることなど、社会的な問題が起こる可能性が考えられます。

・ そのため、日常生活において心不全を予防し、再発させない治療が大切です。

・ 心不全の初期に見られる症状として、下腿(かたい)(脚)の前面や足首、足の甲を指で押さえるとくぼみができるような「むくみ」
 や坂道・階段での「息切れ」があります。

心不全ってどんな症状?

・ 心不全は全身に水分がたまってしまう状態ですので、体重増加(3日間で2kg以上の増加)や横になると咳が出たり、息苦しくなった
 りします。

・ その他にだるさや疲れやすさという症状が出ることもあります。
  これらの症状を観察し、毎日体重を測り、3日間で体重が2kg以上増えた場合には、速やかにかかりつけ医や専門の医師を受診しまし
 ょう。

・ 心臓から十分な血液を送り出せなくなり、体に必要な酸素や栄養が足りなくなることで起こります。

・ 体の中で血液が滞る「うっ血」が進むことで起こります。

≫戻る

*** ゴースト血管現象について ***

ゴースト血管現象とは

 全身に張り巡らされ、命を支えている毛細血管が幽霊のように消えてしまう“ゴースト血管”
 全身のあらゆる部分をむしばみ、認知症や骨粗しょう症などの深刻な病につながることが明らかになってきました。
 どう予防・対策すれば良いのでしょうか?

健康な人にも潜んでいる“ゴースト血管”とは

 非常に細くて見ることが難しい毛細血管
「ゴースト血管スコープ」と名付けた特殊な装置で指先の毛細血管を観察すると、健康診断で異常がないという人でも1割程度に
 ゴースト血管が見つかりました。

 “ゴースト血管”とは、血液が流れなくなった血管でその状態が続くといずれ消えてしまいます。
 毛細血管には隙間があり、その隙間から血液成分が微量に漏れ出すことで周辺の細胞に酸素や栄養を届けています。

 そのため、毛細血管がゴースト化してしまうと、酸素や栄養を絶たれた細胞が死に、健康や美容に重大な問題を引き起こすことが
 分かってきたのです。

 以前から、ゴースト化の指標である毛細血管の長さは年齢とともに短くなることが知られていましたが、個人差が非常に大きく、
 20代や30代の若い世代でも毛細血管がゴースト化している人がいることが分かりました。

認知症・骨粗しょう症のリスクを高める

 ゴースト血管によってすぐに死に直結する病気になってしまうわけではありません。
 しかし、最近の研究で、“ゴースト血管”は認知症や骨粗しょう症など健康長寿を脅かす病気のリスクを高めることが分かって
 きました。

 それは、毛細血管が酸素や栄養を届けるだけではなく、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの排出を担っているからです。

 アミロイドβは健康な人の脳でも発生していますが、毛細血管が健康であれば脳の外に速やかに排出されます。
 しかし、“ゴースト血管”になってしまうとアミロイドβが十分に排出できず、脳に蓄積してアルツハイマー病が発症し進行しやす
 くなるのです。

 一方、新陳代謝が活発な骨にとっても毛細血管は重要な役割を担っています。
 骨は日々壊されたり作られたりを繰り返して維持されていますが、カルシウムなど新しい骨の材料を届ける毛細血管がゴースト化
 すると骨粗しょう症につながると考えられています。

どう対策する“ゴースト血管”

 まず大事なのは、“ゴースト血管”の原因となり得る生活習慣を改善することです。
 中でも最大のリスクである「糖質の過剰摂取」をはじめ、「高血圧」や「運動不足」「睡眠不足」を避けることが基本です。

 その上で、効果的な対策として専門家がおすすめしているのが「スキップ」です。
 ふくらはぎの筋肉を活発に動かすスキップは、全身の血流を上げるのに簡単で最適な方法です。

 血流が上がれば、毛細血管が漏れにくくなり“ゴースト血管”を防げると期待されます。
 専門家のおすすめは、朝昼晩それぞれ20回ずつ行う方法です。

 ゴースト血管の予防に効果がある物質として、漢方薬のケイヒがあげられます。
 細胞レベルでは、シナモン・ヒハツ・ルイボスティーに含まれる成分でも効果が確認されています。
 注)シナモンは食べ過ぎにご注意ください。

≫戻る

*** 耳石について ***

耳石とは

 耳石(じせき)は、脊椎動物の内耳にある炭酸カルシウムの結晶からなる組織である。
 いわゆる平衡胞に含まれる平衡石であり、平衡感覚と聴覚に関与する。ヒトのものは聴砂とも呼ばれる。

 魚類のものが有名で、特にイシモチの名はこれにちなむものである。
 その断面は木の年輪のような同心円状の輪紋構造がみられ、1日に1本が形成される。
 これを日輪(にちりん)と呼び、年齢推定を日単位で行うことができる。

 2006年には耳石による年齢推定法により、ニホンウナギの産卵場所の特定などにも活用されている。

 剥離したものの粉が三半規管に侵入することで、良性発作性頭位めまい症の一因となる。

≫戻る



















*** 代謝の異常について ***

代謝異常とは

 代謝活動あるいはこれを調節する機構が,なんらかの原因で妨げられて生じる病的状態をいう。
 肥満症やビタミン欠乏などによる栄養失調症,先天性の代謝異常であるフェニルケトン尿症や痛風など,内分泌系の障害による尿崩症,
 また肝臓疾患,その他ヘモクロマトーシスなどが知られている。

 生体内における代謝のはたらきが正常でないこと。また、そのために引き起こされる症状。
 生まれつき特定の酵素などが欠如している先天性のものと、痛風や糖尿病のように臓器障害によって起こるものとがある。

 体内の物質代謝のバランスが崩れることにより引き起こされる病態。糖尿病のように臓器の障害によるものと、フェニルケトン尿症の
 ように遺伝子の異常によるものがある。

 遺伝子の異常によって先天的に生体内の物質代謝過程のどこかに障害(酵素障害が多い)が生じなんらかの代謝異常状態による臨床症状を
 示す疾患をいう。

先天性代謝異常の歴史

 先天性代謝異常の概念は1908年イギリスの内科医ギャロッドA.Garrodによって提唱された。

≫戻る




*** 循環機能低下について ***

循環機能低下とは 高齢者になると心臓血管系は肥大や拡張といった変化を起こします

 これは全身の多くの臓器が委縮、機能低下する中で、それを補って生命を維持するためであるとされています。
 また、血圧は年齢が上がるにつれて高くなり、収縮期血圧(上の血圧)は特に上昇します。一方で、拡張期血圧(下の血圧)
 は60歳を過ぎると低下することが多くなります。

 そのため、血圧の上と下の差が大きくなるのが高齢者の循環器系の特徴です。

加齢による心臓の変化

 ・ 心臓は、心筋とよばれる筋肉でできており、休みなく働き続けます。
   年をとると心筋と心筋の間の部分(間質)にリポフスチン、アミロイドとよばれる異物が沈着し、心臓の筋肉の線維化も進みます。

結果的に心臓肥大、拡張障害などの変化がみられるようになります

 ・ 大動脈弁や僧帽弁など血液の逆流を防ぐ弁が変性し、肥厚(ひこう)、石灰化が起こります。
   それによって閉鎖不全症や狭窄(きょうさく)症など、「弁膜症」とよばれる状態になります。
   また、左心房、右心房も大きくなることによって弁の周囲が拡大するため、弁の閉鎖不全症が起こります。

   さらに心臓の中で電気的な刺激が伝わる経路(刺激伝導系)にも変性が起こることがあります。
   特に自覚症状がなくても健康診断などで偶然見つかることがあります。

不整脈

  不整脈は、大きく3つに分けられます。
   1) 脈が速くなるもの(頻脈)
   2) 脈が遅くなるもの(徐脈)
   3) 脈のリズムが一定ではなくなるもの

 ・ 不整脈の原因としては、心臓疾患や高血圧などが挙げられます。
   高齢になると不整脈の原因となる病気をもつ方が増えるので、不整脈を起こすことも多くなります。

 ・ 不整脈が一時的であったり、特に日常生活に問題がない場合には経過をみますが、突然の動悸や失神発作、心不全などの症状を伴
  うものは治療の対象です。
   治療法には、抗不整脈薬の内服やペースメーカーの埋め込み、カテーテルアブレーションなどがあります。

心筋梗塞

 ・ 心筋梗塞とは心臓に栄養を送る血管の一部である冠動脈の血流がつまってしまうことで心臓に酸素と栄養が届かなくなり心臓の一部
  が壊死した状態を言います。

   肩や首、背中にまで達する痛み(放散痛)などがあります。
   治療はカテーテルを用いた再灌流療法(さいかんりゅうりょうほう)や、つまっている血管をバイパスしながら血流を維持する手
  術を行います。
   発症は高齢者にも多く、発症時の平均年齢は男性で65歳、女性で75歳とされています。

心臓弁膜症

 ・ 心臓弁膜症は、何かしらの理由で心臓にある弁に障害が起き、血液が逆流してしまうことを言い、大きく二つの状態を指してい
  ます。
   一つは狭窄症(きょうさくしょう:弁が硬くなり十分に開閉しなくなって上手く血流を維持できない)、もう一つは弁の閉鎖不全
 (へいさふぜん:弁が上手く閉じなくなり逆流を起こす)です。

 ・ 狭窄症の例としては、大動脈が硬くなって石灰化し、弁の開きが悪くなることで症状を引き起こす大動脈弁狭窄症があります。
   閉鎖不全の例としては、大動脈に瘤ができることによって症状を引き起こす大動脈閉鎖不全が多く見られます。

 ・ このほか、関節リウマチや感染症が引き金となって、狭窄症や閉鎖不全を起こし、心臓弁膜症になることもあります。

 ・ 重症例になると、薬物療法やカテーテル治療を行います。高齢者の場合、いずれの場合も「加齢による変化」が要因となることが
  あります。


狭心症

 ・ 狭心症とは冠動脈の中が動脈硬化によって狭くなり、それによって心臓に必要な酸素や栄養が十分に送れなくなった状態です。
   胸に重くるしい痛みが出現しますが、数分から15分ほどで軽減します。

加齢による血管の変化

 ・ 加齢に伴う変化により、血管が老化します。
 ・ 動脈壁の肥厚、エラスチンの減少、断裂内膜の石灰化
 ・ 動脈が拡大する
 ・ 脈派伝達速度が上昇し動脈壁が硬くなる
 ・ 静脈弁の閉鎖不全、静脈瘤
 ・ 血管の弾性が失われて硬くなると、収縮期血圧は上昇し拡張期血圧が低下します。
  その結果、収縮期血圧と拡張期血圧の差は大きくなります。
  また、静脈にも変化がみられるようになり、足の静脈に瘤ができたようになる静脈瘤ができたり、足がむくみやすくなったりします。

フレイル・サルコペニアのリスクにもなる循環器疾患

 ・ フレイル・サルコペニアには循環器疾患も大きく関係しています。

 ・ 循環器疾患があると、全般的に安静を強いられることが多くなり、食事も制限食となります。
   これらは、フレイル・サルコペニアを引き起こす条件と一致しています。

≫戻る

*** 免疫力アップ食材について ***

風邪をひかないように 免疫力と抵抗力を高める食材

免疫力と抵抗力=根菜

・ とても寒いこの時期、身体の芯から温めてくれる根菜料理が一番です。
・ 寒い冬に旬を迎えた根菜はおいしく、体をポカポカに温かくします。
 根菜はじっくりと火を入れることでその素材の持つおいしさがでてきます。

ニンジン; ビタミンA

☆ ニンジンは、ビタミンAの宝庫と言われ、体内の粘膜を正常に働かせる力があります。

レンコン、ジャガイモ、ブロッコリー; ビタミンC

☆ レンコン、ジャガイモ、ブロッコリーに多く含まれるビタミンCは、白血球の働きを強化し、免疫力を高めます。

ブロッコリー; ビタミンE

☆ さらにブロッコリーに多く含まれるビタミンEは血行を促します。
 ・ これらのビタミンには活性酸素を抑制する抗酸化作用があり、基礎的な抵抗力強化にもつながります。
 ・ またビタミンEはビタミンCと一緒に摂ることによって抗酸化作用がより高まります。

ゴボウ、レンコン、ブロッコリー; 食物繊維

☆ そのほか、ゴボウ、レンコン、ブロッコリーの食物繊維には、感染症などに対する抵抗力をつける成分が含まれます。

ニンニク、タマネギ、長ネギ; 硫化アリル

☆ また、ニンニク、タマネギ、長ネギに多く含まれる硫化アリルは、一部が体内でアリシンという成分に変化し、免疫力を高める
  効果があります。
 ・ アリシンは、ビタミンB1、B2の吸収力をアップさせる効果もあり、B1は体内の糖質の分解を促進させ、B2は代謝を促進し、細胞
  の活性化を促してくれます。
 ・ 疲労がたまると、免疫力と抵抗力の低下にもつながります。

シュンギク; カロテン

☆ 免疫力と抵抗力=シュンギク>
 ・ 免疫力をアップさせるカロテンの含有量はホウレンソウ以上。しかも、茹でるとその効果が高まります。
 ・ また、独特の香りはαペンネ・ペリルアルデヒドなどの成分からなり、食欲の増進、消化促進などの働きがあります。
 ・ 豊富に含むカロテンは油に溶けると、吸収率がアップするので、ゴマ和えやピーナッツ和えがおすすめです。

カボチャ; ビタミンE、βカロテン、ビタミンC

☆ 免疫力と抵抗力=カボチャ
 ・ 三大抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンE、βカロテン、ビタミンCが豊富に含有されています。
 ・ βカロテンは粘膜系の正常化や免疫力の向上、目の疲労を癒す働きがあります。

これらは脂溶性ビタミンなので、油炒めなど油分と一緒に摂取すると栄養素をしっかりと吸収できます。

≫戻る

*** シアル酸について ***

シアル酸とは

 ・ シアル酸はムチンから得られる酸性の糖で細胞と細胞の情報伝達に関わります。
 ・ 人の細胞にも含まれ母乳や卵などにも存在し、ツバメの巣から摂られることで有名です。
 ・ ウイルスや細菌などが細胞に感染することを防ぎ、免疫力を高める働きが期待されます。

●基本情報

 ・ シアル酸は細胞表面の情報伝達に欠かせない糖鎖の成分です。ツバメの巣などから得られるほか、人間の体内にも存在します。
 ・ また唾液に含まれる糖とたんぱく質が結合してできた多糖類の一種であるムチンから得ることもでき、細胞表面の糖鎖末端に存在す
  る糖の一種で酸性の糖です。
 ・ 私たちの体の細胞表面に存在している糖鎖の構成成分として細胞の表面に何かが付着したときに情報を伝える働きをしています。

●シアル酸の歴史

 ・ シアル酸は生物発生の歴史と共に存在したものですが、その存在が明らかになり発見されたのは1940年頃だといわれています。
 ・ ツバメの巣からとれることが有名です。
 ・ 人の母乳や自然のパーフェクトフードと呼ばれるローヤルゼリーにもシアル酸が含まれていますが、ツバメの巣のシアル酸は量が豊
  富です。

●シアル酸の特徴

 ・ シアル酸は人において母乳、脳の神経細胞、生殖器官などに多く存在しています。
 ・ 免疫力や内臓器官などの各器官を強化するほか、自然治癒力の向上などに関わると考えられています。

 ・ 人の母乳中のシアル酸は、出産後10日までの初乳において含有量が多いことが報告されています。
 ・ これは新生児の未発達な免疫機能を補うことをはじめ、下痢などの諸症状の主な原因として考えられているウイルスに対して感染を
  防いだり、乳幼児の健康維持を保つなど重要な役割を果たすためです。

 ・ さらにシアル酸は脳の発達にも関わり、脳や中枢神経に多く含まれ、その含有量は乳幼児が最も多いといわれています。
 ・ 糖鎖は核酸やたんぱく質に次ぐ生体物質として知られ、細胞の働きを正常に保つとともに、免疫機能を整えてウイルスや菌などから
  体を守ります。

 ・ 普段の食事から糖鎖栄養素を補うことは難しいですがツバメの巣には糖鎖栄養素が豊富に含まれているためツバメの巣を食べること
  でシアル酸を補うことができます。

シアル酸の効果
●免疫力を高める効果

 ・ シアル酸にはウイルスや菌と結合する働きがあります。そしてシアル酸の働きによって感染症を予防することができます。
 ・ 病原体が体内に侵入してくると即座に見つけ出し、免疫細胞にそれらを除去する指令をします。この働きによりシアル酸はウイルス
  や菌の侵入から体を守るのです。

 ・ またインフルエンザウイルスにシアル酸が有効であるという研究結果も報告されていることもわかっています。

 ・ インフルエンザウイルスは細胞表面のシアル酸に結合し増殖します。
   このためインフルエンザウイルスを吸着し感染を予防するシアル酸化合物の研究も進んでいます。

 ・ 免疫力を高める効果が期待されるとともに、体の免疫システムを正常に機能させていく役割が期待されます。

●美肌効果

 ・ シアル酸は細胞と細胞をつなぎ情報伝達器のように連絡係として働きシミ、シワ、たるみなど体内の酸化を防ぎます。
 ・ またシアル酸は美肌の司令塔として、コラーゲンやヒアルロン酸が必要な所へと誘導してくれることから美肌効果があります。
 ・ 昨今、美容食品やサプリメントとして動物の唾液が使用されているのは、シアル酸の含まれるツバメの巣とローヤルゼリーが有名
  です。

●育毛を促進する効果

 ・ シアル酸には神経刺激作用があり、育毛効果があるという報告があります。
 ・ 育毛剤などの開発にもシアル酸が使用され、育毛効果が期待されます。

*** 乾燥肌について ***

乾燥肌に効く食べ物

 ・ タンパク質を摂ることが大切です。

 ・ 乳製品、大豆製品、肉類、魚類、卵などにはコラーゲンやヒアルロン酸、イソフラボン、ビタミンB6、ビタミンB2、
  ビタミンAなどが豊富に含まれています。

 ・ また、野菜(パプリカ、アボカドなど)や果物(キウイやレモンなど)には抗酸化ビタミンと言われているビタミンA、
  ビタミンC、ビタミンEが多く含まれています。

 ・ さらに黒い食べ物(黒豆やこんにゃく、ひじきなど)には、肌のうるおいや保湿に欠かせないセラミドが豊富に含まれ
  ています。

特に意識して摂取したい栄養素
必須アミノ酸

 ◎ アミノ酸はタンパク質を構成している成分で、体の約20%を占めています。
  私たちの体を構成しているアミノ酸は20種類あり、主に筋肉や消化管、内臓、血液中のヘモグロビン、髪の毛や皮膚のコラーゲ
  ンなどを作っています。

 ・ バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン
 (トレオニン)、ヒスチジンの9種類です。

 ・ これらはまぐろやかつおなどの魚類、牛や豚のレバー、鶏むね肉、鶏卵、チーズなどに多く含まれています。

必須脂肪酸

 ・ オメガ6脂肪酸(リノール酸)とオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)の2つがあります。

 ◆オメガ6脂肪酸(リノール酸)
 ◎ オメガ6脂肪酸(リノール酸)は、コレステロールの低下や免疫機能の調整、うるおいのある健康な肌を作る効果などが
  あります。
  しかし、現代の食生活では過剰摂取が問題となっており、取り過ぎると肥満や動脈硬化の原因になってしまいます。
 ・ ベニバナ油やコーン油、大豆油、スナック菓子などに含まれています。

 ◆オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)
 ◎ オメガ3脂肪酸(αリノレン酸)からは、DHAやEPAが作られます。血流改善によりターンオーバーを促す効果やコレステ
  ロールの低下、炎症反応の抑制、脳の活性化などの効果があります。
 ・ 亜麻仁油やしそ油、青魚、青魚の魚油に多く含まれていますが、熱に弱く、不足しやすいためサプリメントを活用する
  のも良いでしょう。

 ◆亜鉛
 ◎ 亜鉛は、酵素や細胞分裂に関わり、肌のターンオーバーに深く関係しています。亜鉛が不足すると、ターンオーバーが
  遅れ、角質が厚くなってしまいます。
 ・ 牡蠣や豚レバー、牛肉、パルメザンチーズ、胡麻、卵黄、たらこなどに多く含まれています。

食べ方のポイント

 @ 体を温める食材(にんじん、生姜、ニラ、ごぼう、かぼちゃなど)を積極的に摂りましょう。
 A 緑黄色野菜を中心に温野菜にして摂取すると良いでしょう。
 B 基本的には1日3回規則正しく、適量(腹8分目)食べることが大切です。

*** 高血糖予防について ***    ※「かかと落とし」の項目も参照してください。

厚生労働省の発表

 厚生労働省が発表した平成28年「国民健康・栄養調査」の結果によると、糖尿病の疑いがある人は、1000万人以上。
 可能性が疑われる糖尿病予備軍も同様に、約1000万人いるとされています。

 すでに糖尿病と診断された人も予備軍としてのリスクに不安を感じている人も生活習慣を見直し、悪化予防の意識を持つことが大切
 です。

糖尿病が発症する仕組み

 糖尿病とは、血液中に含まれるブドウ糖の量(血糖)が多い状態が続き、さまざまな症状を引き起こしてしまう疾病です。
 本来、ブドウ糖は生命を維持するために必要なエネルギー源であり、体内では一定の濃度を保つような仕組みが整っています。

 しかし、さまざまな原因によって血糖のコントロールができなくなることで、糖尿病を発症します。

インスリンと糖尿病の関係

 糖尿病といえば、「インスリン」という単語を思い出す人も多いのではないでしょうか?
 インスリンはホルモンの一種であり、体内で分泌されるもののなかで、唯一血糖値を下げる役割を持っています。

 健康な人であれば、ブドウ糖の多い食事をしたとしても、インスリンの働きによって、正常な値を維持することができます。
 しかし、このインスリンの働きが悪くなったり、インスリンの分泌が少なかったりすることで、血糖値を下げることができず、
 糖尿病を引き起こします。

 糖尿病を予防するためには、インスリンの働きを良くすることが大きなカギとなります。

原因によって異なる糖尿病のタイプ
糖尿病を発症する原因は、大きく分けて4つ

 インスリンを分泌する膵臓の機能が壊れてしまい、血糖コントロールができなくなる「1型糖尿病」、生活習慣によってインスリンの
 働きが悪くなる「2型糖尿病」、妊娠時に発症する「妊娠糖尿病」他の病気や投薬による影響など特定の原因でおこるものの4つです。

 なかでも、特に予防の効果があるのが「2型」のタイプ。
 全糖尿病患者さんのなかでも2型のタイプは多いものの、生活習慣を見直すことで、インスリンの働きを良くし、血糖コントロールの
 改善が期待できます。

食事療法を取り入れて血糖値が高くなるのを防ごう

 糖尿病を予防するために、まず意識したいのが食事の見直しです。
 血糖値が上がってしまうのは、血中の糖分が多いから。

 つまり、体内に入る糖分の量を調整できれば、おのずと血糖値の安定につながります。
 そこで取り入れたいのが「糖質制限」の食事法です。

糖質制限とは

 糖質制限とは、その名のとおり、食事中の糖質量を制限するというもの。
 近年、糖尿病の改善や予防を目的として、医療機関でも指導されるようになった食事療法です。

 三大栄養素のひとつである炭水化物に含まれる糖質は、体内でブドウ糖に変換され、血糖値を上げてしまいます。
 普段の食生活のなかから、糖質量の多い食材をできるだけ減らすことで、インスリン分泌の頻度を下げ、膵臓を休ませながら回復
 を促すという目的もあります。

糖質量の少ない食材を選ぼう

 糖質制限においては、糖質量の少ない食材を選ぶのが大切なポイント。
 特に糖質量が多いのは、主食となるお米やパン、麺類です。

 同様に、糖質の塊である砂糖もできるだけ避ける必要があります。
 一方で、糖質量が少ないのが、お肉や魚、卵、豆腐といった食材。

 タンパク質を多く含み、ほとんど糖質はありません。
 こうした食材についても食べ過ぎは禁物ですが、主食中心の食生活から、肉や魚といったメイン料理の分量を増やしてみましょう。

食べるときの注意・ポイント

 糖質制限を行う際に注意したいのが、野菜や果物の取り方です。
 果物はもちろんのこと、イモ類などの野菜には糖質が多く含まれるため、できれば避けたい食材。

 食物繊維を摂取するうえでも、糖質量の少ない葉野菜を中心にしっかり摂取しましょう。
 また、極端な糖質制限は避け、適度な糖質の摂取を心がけることも大切です。

 また、食事を行う際には、汁物、葉野菜、肉類、炭水化物(糖質)の順番で食べるのもおすすめです。
 血糖値が上がりにくい食べ方を意識してみましょう。

健康食品を活用する

 糖質を減らした食事を続けることで、血糖値は上がりにくくなりますが、人によっては、甘いものがやめられなかったり、主食類
 を減らすのに抵抗があったりして、きちんと継続できないケースがあります。

 そんなときに活用したいのが、健康食品です。
 近年では、糖質量を減らしたスイーツやパンなどが健康食品として販売されており、糖質制限向けのスイーツショップも増えてい
 るため、上手に活用しましょう。

 また、糖質制限で野菜の摂取量が減ると、血糖値を上げにくくする作用を持つ食物繊維が不足しがちです。
 普段から葉野菜をしっかり食べるのが基本ですが、食物繊維を摂取できる健康食品を利用するのもよいでしょう。

運動を習慣にして、血糖値が高くなりにくい体質を作る

 糖尿病を予防するためには、運動も欠かせません。
 糖尿病において、一番のリスクは合併症を招いてしまうこと。

 神経障害や壊疽、場合によっては失明の可能性もあります。
 そうしたリスクを軽減させるには、食事の見直しに加えて、運動を行うことが有効です。

運動を行う目的と、目安となる運動量

 食事からとった糖分はエネルギー源として使用されるため、運動によってエネルギー消費量が上がれば、その分、糖分の代謝が早く
 なり、血糖値の安定につながります。

 加えて、運動によって筋肉が増えると、ブドウ糖は優先的に筋肉の方に流れ込むため、血中の糖分濃度が下がりやすくなるのも見逃
 せません。

 とはいえ、極端にハードな運動を行うのではなく、ややきつい、と感じる程度の内容を毎日続けるのがポイントです。

 運動量の目安として、少なくとも週3回、1回につき20〜60分間継続することが良いとされています。
 有酸素運動を主体として、ウォーキングやジョギング、水泳などを取り入れ、さらに筋力アップにつながる簡単な筋トレを加えると
 理想的です。

運動をするときのポイント、習慣化するための工夫

 糖尿病の予防や改善のために運動を行うのであれば、できるだけ定期的に行う必要があります。
 しかし、これまで運動の習慣がなかった人にとっては、毎日続けること自体に苦痛を感じるかもしれません。

 そんなときにおすすめなのが、「ながら体操」です。
 必ず毎日行っている歯みがきや入浴といった生活習慣のなかで、運動をプラスするようにしてみましょう。

 たとえば、歯みがきをしながら、かかとの上げ下げを行うようにしたり、入浴中に腕の上下運動を行ったりして、生活のなかに取り
 込みます。

 運動の目安である20分以上を継続するのは難しいかもしれませんが、運動を習慣化するひとつの方法として取り入れてみてはいかが
 でしょうか。

運動療法時の注意点

 糖尿病のリスクを抱えている人にとっては、強度の高い運動は控える方がよいでしょう。
 負担を感じるような激しい運動は、血圧を上げてしまい、かえって合併症のリクスを高めてしまうからです。

 軽いウォーキングやヨガなどの有酸素運動を、無理のない範囲で行いましょう。

健康習慣を意識して、ストレスのない生活を

 2型糖尿病は生活習慣病のひとつともされており、普段の生活習慣を見直すことが欠かせません。
 食事や運動といった肉体面でのケアとともに、気を付けたいのがストレスによる影響です。

ストレスによっても血糖値が上がる

 糖尿病は、インスリンが分泌しなかったり、働きが悪かったりするのが主な原因です。
 血糖値を下げる役割を持つホルモンは、インスリン以外になく、ひとつの働きに頼っています。

 一方で、私たちの身体には、血糖値を上げるホルモンは複数あります。
 例えば、ストレス時に分泌されるアドレナリンもそのひとつ。

 精神的、肉体的なストレスが長期間続いてしまうと、その分、血糖値が上がるような刺激が加わります。
 リラックスする時間を増やすことも、糖尿病予防にはとても大切です。

タバコやアルコールもストレス反応を引き起こす

 糖尿病のリスクがあるのであれば、タバコやアルコールを控えるといった指導が行われます。
 それぞれの健康被害については良く知られるところですが、加えて、タバコやアルコールによる刺激で、血管の収縮や拡張が起こると
 同時に、アドレナリンの分泌を引き起こし、血糖値を上げてしまうというリスクがあるからです。

 ストレス解消のつもりでタバコやアルコールを続けているのであれば、よりリラックス効果を感じさせるような別の方法を検討した方
 がよいでしょう。

睡眠の質を高めてリラックス効果を高めよう

 血糖値の乱高下があると、睡眠の質も悪くなりがちです。
 まずは予防の意味でも、睡眠の時間を増やすように取り組んでみましょう。

 朝日を浴びて一日のリズムを作り、夜にはお風呂に浸かって身体を温めるのもおすすめです。
 また、寝る2時間前からは、できるだけテレビやスマートフォンなどを見ないようにして、刺激を減らしてあげること。

 リラックスできる音楽を聞いたり、アロマを使ったりして入眠しやすい状態を作りましょう。

隠れ糖尿病について

 糖尿病の診断は、一般的に空腹時の血糖値やHbA1cの値などで判断されます。
 定期的に健康診断を受けていれば、気付かれるはずなのですが、悪化するまで見つからない「隠れ糖尿病」の人がいます。

 これは、食直後、もしくは食後約2〜3時間が経ってから血糖値が上昇する場合、空腹時の検査では見つかりづらく、タイミングよく
 検査しなければ、血糖値に異常があることがわかりません。

 そのため「隠れ糖尿病」と呼ばれています。
 一日に何度も高血糖の状態に陥っているにもかかわらず、糖尿病であることが自覚しづらいため、放置していると空腹時の血糖値が
 上昇するまで悪化し、気が付いたときには重度の糖尿病が発覚してしまうのです。

気づくためのチェックポイント

 通常の健康診断でも発見しづらい「隠れ糖尿病」ですが、実は、日常生活のなかではすでに多くのサインを発しています。
 以下のチェックポイントを確認し、該当するようであれば、一度診察を受けてみましょう。

 ・食後に強い眠気がおそってくる
 ・食後にだるくなってしまう
 ・空腹時にイライラする
 ・トイレが近い
 ・喉が渇きやすい
 ・運動不足気味
 ・足がつりやすい
 ・目がかすむ

情報に振り回されず、糖尿病の改善を目指そう

 すでに国民の1割以上が、糖尿病と診断され、予備軍も年々増加しています。
 そんななかで、テレビや雑誌などでは、糖尿病予防や改善に向けた、さまざまな情報があふれています。

 多くの情報が飛び交うなかで、改善を期待して飛びついてしまう健康食品や健康療法、指導法などがあるかもしれません。
 しかし、どんな方法を使ったとしても、基本となるのは毎日の生活です。

 糖尿病の仕組みを知り、身体に負担の少ない食事を考え、運動を習慣にしながら、日々ストレスのない生活を続けられるのが一番の
 予防法。

 毎日を楽しく過ごすための健康習慣を身につけましょう。

生活習慣の見直し

 @ 生活習慣・過食、偏食、運動不足、過度の飲酒、喫煙など
 A 遺伝等・遺伝子の特徴、加齢
 B 環境等・ストレス、過労、有害物質

糖尿病を予防する4つのポイント

 @ 食事療法 A 運動療法 B 肥満解消 C ストレス解消

血糖値を下げる食べ物について

  にがうり(ゴーヤー)   マイタケ   タマネギ    赤ピーマン   もやし   ブロッコリー・ほうれん草
  ゴボウ   大根・切り干し大根   長ねぎ    カボチャ   海藻   大豆製品・納豆    オクラ   モロヘイヤ
  山芋   コンニャク   アロエ   アボガド    魚介類   梅干し   きな粉


≫戻る

■にがうり(ゴーヤー)

 ・ 糖尿病の民間薬のひとつで、糖吸収を抑えるには1日の目安量60gが必要です。
 ・ にがうりのパワーの源は、ビタミンB1、食物繊維、カリウムの豊富さです。
   ビタミンB1は糖質の代謝を高め、食物繊維は、糖質の吸収を抑えることによって食後血糖値の急激な上昇を抑えます。
   カリウムは、血液中の老廃物を追い出して血圧を安定させ、高血圧が引き起こす合併症を予防してくれます。
   さらに注目したいのが、にがうりの種に含まれる植物インスリン様物質です。
   この成分はインスリンと似た働きを持ち、血糖値を下げる効果があります。
   料理では、通常、種を取り除きますが、種入りゴーヤー茶なら、インスリン様成分も摂取できます。また、抗酸化作用が強いのも、
  にがうりの特徴のひとつです。
   豊富に含まれるカロテンやビタミンCが、活性酸素の働きを抑え、血管の老化を防いでくれます。
 ◆ インスリン様物質が含まれる種入りゴーヤー茶
 ・ にがうりの種には、インスリン様物質(ペプチドP)、抗ガン物質(モモジン)、ダイエットに効果的なリノール酸が含まれています。
   これらの成分を手軽にとれるのが、にがうりを丸ごと使った種入リゴーヤー茶です。
   栄養分をしっかりとるために、茶草を5分ほど煮出します。
   健康雑誌などでは自宅での作り方も解説されていますが、健康食品店などで簡単に手に入ります。
   生のにがうり独特のにおいはなく、香ばしく上品な味わいです。
   また、ビタミンC、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどもたっぷり溶け込んでいて、美肌や老化防止効果にも効果的です。


≫戻る

■マイタケ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量50gが必要です。
 ・ まいたけに多く含まれる食物繊維が糖の吸収を遅らせると考えられていましたが、その学説を一歩進めたのが、難波宏彰教授
 (神戸薬科大学)によるD-フラクションとX-フラクションの発見でした。
   多糖類の一種であるこの2つの成分は、まいたけ独自の成分で、β-グルカンのひとつであるD-フラクションには免疫力向上効果があり
   X-フラクションには血糖コントロール効果と、コレステロールの吸収を抑える効果があるといわれています。
   X-フラクションは、インスリンが血液中のブドウ糖を組織細胞に送り込む手助けをし、その結果、血糖値が下がります。
   また、コレステロール値の抑制は、糖尿病にともなう動脈硬化の予防にも有効です。
   加えて、まいたけには、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、マグネシウム、亜鉛などの成分も豊富に含まれます。
   ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシンは糖質分解を促進し、マグネシウムはインスリンの働きを促進、亜鉛はインスリンを作る
  材料の一つになります。
 ・ 抗ガン・抗ウイルス作用、血中のコレステロールや中性脂肪を減らす、血糖値を下げる、便秘・肥満の解消、血圧を下げるなどの
  効果があります。

≫戻る

■タマネギ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ たまねぎを切ると鼻がツーンとして涙が出ますが、これは、刺激臭のする成分が空気中に飛び散って目や鼻を刺激するためです。
   この成分がイソアリインというイオウ化合物で、たまねぎの辛味の正体です。イソアリインには多くの効能があり、生のまま食べると、
  血液中の糖代謝を活発にして血糖値をげ、加熱して食べると、中性脂肪やコレステロール値を下げるなどの効果があります。
 ・ またに、たまねぎには、ポリフェノールの一種であるケルセチンという成分が含まれています。ケルセチンには、油と結合する働き
  があり、腸内の脂肪と結合して便と一緒に体外へ排出してくれます。
   油分の多い料理を食べるときに、たまねぎを一緒ににとれば、腸内の余分な脂肪の処理に有効です。
   また、抗酸化作用も強いので、血液をサラサラにして動脈硬化を防いでくれます。
   たまねぎ効果を十分に生かすためには、調理法に気を配りましょう。血糖値を下げたい人は、生食がおすすめです。
   ただし、水溶性ビタミンが溶け出さないよう、水にさらす時間は最小限にとどめます。
   中性脂肪やコレステロールを減らしたい人には、煮物や妙め物など加熱した料理が適しています。


≫戻る

■赤ピーマン

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ 赤ピーマンの鮮やかな赤は、β-カロテンやリコピン、カプサンチンという成分によるもので、カロテノイドの一種です。
   カロテノイドは、赤・黄・緑などの色素を持ち、植物・動物性食品の両方に含まれ、強い抗酸化作用を持っています。
   その代表成分であるβ-カロテンは、体の中に入ると肝臓で蓄えられ、必要に応じてビタミンAに変わります。
   ビタミンAは、細胞膜の形成を促したり、日の角膜を保護したりする機能に加え、単体で抗酸化作用を発揮し、体にたまった
  活性酸素をやっつけます。
 ・ 高血糖の状態が続くと、糖代謝の結果、活性酸素が増え、それにともなって血管障害や腎障害が起きます。
   β-カロテンは、この一連の流れを抑えるように働き、合併症を予防してくれます。
   また、β-カロテンの抗酸化力は、インスリンを分泌する膵臓β細胞を保護する効果もあるといわれています。


≫戻る

■もやし

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ もやしには、緑豆もやし、大豆もやし、アルファルファなどさまざまな種類があります。
   水分ばかりだと思われがちですが、実際は栄養価の高い食品です。
   大豆が「畑の肉」と呼ばれるように、豆類には良質な植物性たんばく質が含まれています。
   もやしは、ご存じのように、豆類から発芽した野菜です。
   そのため、もやしには、アスパラギン酸、カリウム、カルシウム、ビタミンB群、鉄など、豆類と同様の栄養成分が含まれています。
   さらに発芽によって、抗酸化力のあるビタミンCや、整腸機能のある消化酵素アミラーゼが増えるのも特徴です。
 ・ なかでも 食物繊維の含有量が多く、たとえば大豆もやし100g中に含まれる食物繊維の量は、同量のレタスの2倍ほど。
   その90%以上が不溶性食物繊維なので、腸内の糖質や脂質をいっしょに排泄するように働き、その結果、食後血糖値の上昇が抑えられ、
  便秘解消にも効果を発揮します。
   もやしは価格の安い野菜なので、妙め物やおひたし、みそ汁など、調理法をいろいろ工夫して、副菜としてたくさん摂るように
  しましょう。


≫戻る

■ブロッコリー・ほうれん草

 ・ 合併症を予防するためには、1日の目安量100gが必要です。
 ・ ブロッコリーやほうれん草などの濃い緑色野菜には、色素成分カロテノイドが豊富に含まれています。
   赤い野菜に多いβ-カロテンに加え、緑の野菜はα-カロテンも多く含むのが特徴です。α-カロテンは、β-カロテンと比較すると、
  ピタミンAへの変換効率が低めですが、抗酸化力が高いので、活性酸素の作用を抑えるのに有効です。
 ・ 緑の野菜で見逃せない成分が、水溶性ビタミンB群のひとつである葉酸です。葉酸は「脳の栄養分」とも呼ばれ、赤血球や細胞核
  の合成に欠かせない栄養素として働き、血液の循環をスムーズにし、疲労やストレスを軽減する作用があります。
   葉酸を含む代表野菜のひとつ、ブロッコリーには、インスリンの働きを促進させるクロム、カルシウムなどのミネラル類も豊富に
  含まれています。
   一方、ほうれん草には、鉄分も多く、貧血の改善にも効果があります。葉酸は熱に弱いので、手早い調理が肝心になります。


≫戻る

■ごぼう

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量50gが必要です。
 ・ ごぼうは、もともと中国から薬草として伝わった食品で、食材として使用しているのは、日本、韓国などアジアの一部に限られている
  ようです。
   ごぼうには、セルロース、リグニンなどの 食物繊維が豊富に含まれ、血糖値の上昇を抑える働きがあります。
   同時に、腸内の発ガン性物質を追い出す作用もあり、大腸ガンの予防にも効果的です。
   また、ごぼうの皮部分には、不溶性食物繊維の一種のイヌリンが含まれています。
   イヌリンの成分にはブドウ糖が含有されていないので、血糖値の上昇を抑えることに有効です。
 ・ 近年のブームで、イヌリン=キクイモと連想しがちですが、ごぼうなどの身近な野菜からも摂れる成分なのです。
   イヌリンをとるには、皮ごと食べることが大切です。
   たわしで汚れを落とす程度にして調理するようにしましょう。また、ごぼうと同様に食物繊維が豊富なれんこんにも、血糖値を下げる
  効果が期待できます。


≫戻る

■大根・切干し大根

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量10gが必要です。
 ・ 大根は日本的な食材と思われがちですが、古代エジプト時代から食べられ、世界各地で親しまれている野菜です。成分としては、
  ビタミンCとでんぷんを分解する酵素ジアスターゼが豊富で、ジアスターゼは胸やけ、胃のもたれ、二日酔いなどに効果的です。
   皮には毛細血管を強化するビタミンPが含まれ、 脳卒中の予防にもなるので、大根おろしなどは、皮をむかずによく洗いそのまま
  使うのが理想的です。
 ・ さらに、大根の葉には、ビタミンC、カロテン、カルシウムなどが豊富なので、さっと湯通しし、かつお節をかけて、
  おひたしで食べるといいでしょう。
   高血糖の状態が続くと、喉が渇く症状が現れますが、そんなときには、カップ4分の1ほどの大根おろしに、2倍量のお湯を注ぎ、
  おろした生姜を少々を加え、軽く混ぜて飲みます。
   また、大根で忘れてはならないのが、切り干し大根です。作りおきができる食品なので、多めに作って常備薬とすると、家族の
  健康に役立ちます。
   切り干し大根は、乾燥によって食物繊維が豊富にとれる食品となります。
   その量は100g中20g以上にも及び、 便秘の解消にも効果的です。


≫戻る

■長ネギ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量50gが必要です。
 ・ 玉ねぎと同様、長ネギにも辛味成分であるイオウ化合物が含まれています。
  硫化アリルがその成分で、活性酸素を抑えて血液をサラサラにする作用があり、動脈硬化の予防に効果的です。
   また、ビタミンB1の吸収を高めて新陳代謝を促進させるため、血糖値が下がります。
   その他、消化酵素の分泌を促進させて消化吸収を助ける働きや、疲労回復、殺菌・鎮静作用もあり、冷え性の人の体を温める効果も
  知られています。
   長ネギには、このほかにカルシウム、カロテン、ビタミンCなどが含まれており、これらの成分は長ネギの青い部分のほうに多く、
  硫化アリルは白い部分に多いことが判明しています。
 ・ 中国では体を温め、血行をよくする効果があるとして、白い部分を生薬として使用しています。
  長ネギ、すき焼き、ネギ焼き、ぬたなど様々な料理に利用され、麺類や鍋の薬味として欠かせない食材です。
  「薬味」には、食べ過ぎによる腹痛の「薬の役目」、料理の「役に立つ昧」という2つの語源がありますが栄養価の高い長ねネギの特徴を
  うまく表した言葉だといえます。
   長ネギは生で食べるのが最も効果的ですが、加熱するとかさが減るのでたくさん食べられるという利点があります。
   硫化アリルは長時間熱を加えると壊れてしまうので、手早く調理して食べましょう。


≫戻る

■かぼちゃ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ ビタミン類を豊富に含むかぼちゃは、中国の一部の地域では糖尿病の民間薬として使われています。
   かぼちゃには、ホクホクして甘味が強い「西洋かぼちゃ」と、水分が多くて粘質性があり、煮崩れしない「日本かぼちゃ」があり
  ますが、現在、店頭で売られているほとんどが西洋かぼちゃです。
   果肉の濃い黄色はβ-カロテンの色で、体内でビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を保護する効果があります。
   かぼちゃには他に、ビタミンB群、ビタミンC、たんばく質、カリウムなどのミネラル、 食物繊維が多く含まれていて、
  食後血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。
   また、ビタミンB6、葉酸、鉄分などの働きで貧血を予防したり、便秘や風邪の予防などにも有効的です。
 ・ かぼちゃは、収穫後しばらくおき、でんぷん質と糖質が同じ比率になるころが最もおいしく、栄養価も高くなります。
   選ぶときには、皮が硬くずっしりと重いものを選びましょう。
   切り売りの場合には、種が詰まり、果肉がだいだい色のものが、味がかぼちゃです。
  調理の際はあまり濃い味付けをせず、薄味で煮て食べるほうが、
  栄養価が保持されます。


≫戻る

■海藻

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量40gが必要です。
 ・ 沖縄の人々の長寿の理由が、海藻類を多く食べる食生活にあるとする研究者は少なくありません。
   海藻は、カルシウム、リン、亜鉛、ヨウ素などのミネラル、各種ビタミンに加え、海藻に多い成分フコイダンを含む非常に
  優れた健康食品です。
   フコイダンは、もずく、こんぶ、わかめ、ひじきなどほとんどの海藻に含まれる水溶性食物繊維で、海藻特有のヌルヌルした
  成分のことをいいます。
   血液中の余分なコレステロールをからめとって便として体外へ排出したり、腸での糖分の吸収を遅らせ、血糖値の上昇を抑える
  効果があります。
   また、こんぶやわかめに含まれるアルギン酸、てんぐさの寒天、海苔のポルフィランなども 水溶性の食物繊維で、フコイダンとの
  相乗効果で体の中の有害物質をどんどん体外に排泄してくれます。
 ・ フコイダンの働きは、数多くあります。最も注目されるのは、ガン細胞に直接働きかけてガン細胞を自滅させるという作用です。
   この効果については、動物実験のほか、人間への調査でも成果が得られています。
   また、フコイダンは、胃潰瘍の原因となるピロリ菌に吸着をして、菌が胃粘膜にくっつくのを防いだり、NK(ナチュラルキラー)
  活性と呼ばれる人間の免疫機能を高める効果もあります。食卓には是非海藻を並べましょう。


≫戻る

■大豆製品・納豆

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量200gが必要です。
 ・ 大豆はたいへん栄養価の高い食品です。
   乾燥大豆の約30%を占める大豆たんばく質は、必須アミノ酸がバランスよく含まれた良質なものです。
   血圧の調整、血中コレステロール値の低下、肥満改善などに効果的です。
   また、ポリフェノールの一種であるイソフラボンも含まれ、コレステロール値や中性脂肪値を下げるほか、血糖値を下げる効果が
  報告されています。
   加えて、近年サプリメントなどで販売されているとうちこ、つじ「豆鼓エキス」(大豆を麹で発酵させた豆鼓の有効成分)も、
  糖吸収を緩やかにし、血糖値を下げる効果が実証された成分です。
   生の大豆に含まれる成分トリプシンインヒビターがペータ膵臓β細胞を増殖させ、インスリンを増加させるという研究がありますが、
  この成分は加熱すると活性がなくなり、一般の大豆製品からは摂取できないので注意しましょう。
   なお、生の大豆には有害物質が含まれるので、生食は避けてください。
   トリプシンインヒビターの有効的な摂取方法は、今後の研究の課題とされています。
     大豆の加工食品には、豆腐、納豆、おから、きなこなどさまざまな種類があります。
   納豆は、煮た大豆を納豆菌で発酵させたもので、大豆の栄養分に加え、ビタミン類が豊富です。
   さらに、納豆独自の酵素ナットウキナーゼは、血栓を溶かし、動脈硬化の予防に効果があります。
 ・ おからは、豆腐を作る過程でできる豆乳の搾りかすで、「卯の花」「きらず」とも呼ばれます。
  「搾りかす」という呼び方に反して、栄養価はすばらしく高く、たんばく質、ビタミンB群、カルシウム、亜鉛などが豊富です。
   また、100g中10g以上の食物繊維を含み、そのほとんどが不溶性のため、便秘解消にも効果的です。
   体内で膨らむので満腹感が持続し、過食防止にも有効です。
   肉と混ぜてハンバーグにしたり、にんじんなどの野菜と一緒に炒り煮にして、常備食にすると便利です。


≫戻る

■オクラ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量20gが必要です。
 ・ オクラは、アフリカが原産地になります。
   日本に伝えられたのは、江戸末期から明治初期にかけてのようです。
   包丁を入れると切り口からネバネバ物質が出てきますが、これは 食物繊維の一種で、ムチン、ペクチン、ガラクタンといった
  多糖類です。
   このネバネバ成分は、腸内で糖質を包み込んでその吸収を遅らせるため、食後血糖値の上昇を抑える効果があります。
   また、胃壁を保護して消化不良などを防ぐとともに、整腸作用のあるペクチンの働きで、 便秘を解消します。
 ・ その他、オクラには、抗酸化作用のあるβ-カロテン、ビタミンB群、ナイアシン、ミネラルも豊富に含まれています。
   ビタミンB群とナイアシンは、糖質や脂質を効率よくエネルギーに換える作用があり、ミネラルのうち、マグネシウムは
  インスリンの働きを活性化させ、亜鉛はインスリンの材料になります。
   新鮮で栄養価が高いオクラは、産毛の多いものです。調理する際、塩をつけて産毛を軽くもむと、口あたりのよい食感になります。
   なお、ネバネバ成分の効力は加熱によって弱まってしまうので、ゆでるときは、さっと熱湯に通すだけにしましょう。


≫戻る

■モロヘイヤ

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量25gが必要です。
 ・ モロヘイヤの語源は、アラビア語の「王様の野菜」にさかのぼります。
   古代エジプトの王が、長年苦しんだ難病をモロヘイヤのスープで治した話が、この呼び名の由来です。
   モロヘイヤのその協力な成分の第一が、葉に含まれるネバネバ成分です。
   オクラと同様、ネバネバの 食物繊維には、糖の吸収を抑え、食後血糖値の上昇を抑えるなどの働きがあります。
   ほかに、ビタミンCとカロテンも豊富に含まれており、両者の抗酸化力の相乗効果で、活性酸素を攻撃して細胞の老化を遅らせ、
  ガンを予防します。
 ・ さらに、カルシウムも多めなので、骨粗鬆症を予防し、ストレスからくるイライラを抑える効果もあります。
   また、緑の野菜に含まれる葉酸の含有量も多く、貧血や肌荒れの予防にも効果的です。
   栄養価が高く新鮮なのは、葉が濃い緑色で、菓先や茎の切り口が変色していないものです。
   水に溶け出す水溶性の栄養素が多いので、加熱を短時間にひかえるか、下記のようなスープやみそ汁にして食べましょう。


≫戻る

■山芋

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量50gが必要です。
 ・ いも類には、他にじゃが芋、さつま芋、里芋などがありますが、どれも加熱しなければ食べられませんが、唯一山芋だけが
  生食することができます。
   山芋は、里でとれる「里芋」に対し、山でとれるために「山芋」の呼称がついたといわれます。
   山芋には、長芋、自然薯、大和芋(銀杏芋)、大著などの種類があります。
   店頭で通常見かけるのは、棒状の長芋か、平べったい大和芋です。
   ともに原産地は中国で、切って干したものを糖尿病の治療薬「山薬」として用いられています。
   山芋は、皮をむくと粘りけが出てきます。
   このネバネバ成分は、ムチンと呼ばれる食物繊維の一種です。
   ムチンは腸の中に入ると、いっしょに腸内に入ってきた食べ物を取り込んで、糖質の吸収を抑え、その結果、食後血糖値の
  上昇が抑えられます。
 ・ その他の栄養素としては、マグネシウム、亜鉛、ビタミンB1、ビタミンCなどが含まれています。
   ビタミンB1は糖質の代謝を促進し、マグネシウムはインスリンの働きを助け、亜鉛はインスリンの材料になります。
   また、でんぷん消化酵素のジアスターゼを含むため、消化もスムーズです。
   山芋は加熱すると有効成分が失われるので、生のまま食べましょう。
   すりおろして麦とろご飯やとろろ汁にしたり、千切りにして和風ドレッシングなどを少量かけるとおいしく食べられます。
   長芋は水分が多めなので千切りに、大和芋は粘りけが強いので、とろろにするのが向いています。


≫戻る

■こんにゃく

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ 中国では昔から、こんにゃくが「消渇」に効果があると考えられています。
   消渇は喉の渇きや多尿をともなう症状をいい、東洋医学での糖尿病の呼び方です。
   こんにゃくは、97%が水分、残り3%の固形部分のほとんどが、食物繊維の一種グルコマンナンです。
   グルコマンナンはアルカリ性になると凝固する性質があり、その性質を利用してこんにゃくが作られます。
   ノンカロリーなので、満腹感をどれだけ食べても、こんにゃく自体の摂取カロリーはゼロです。
   また、食べ応えもあるので、カロリーを制限せざるを得ない糖尿病食の食品としては、理想的なものです。
   こんにゃくのパワーを表す言葉に、「おなかの砂おろし」があります。
   これは、体内に入ったグルコマンナンが、腸壁にたまった宿便や不純物、腸内の有害物質や老廃物をからめとり、
  体外に排出することを語ったものです。
   グルコマンナンのこの作用は、腸での糖質の吸収にも働き、血糖値の上昇を抑制します。
 ・ また近年、大阪大学医学部の臨床実験で、こんにゃくがインスリン分泌を促進させるという研究結果が報告されました。
   これは、こんにゃくが消化器官を通過するときの物理的刺激によって、消化管ホルモンが血液中に放出され、そのとき
  血糖値が高くなっているとインスリンの分泌が促進されるというものです。
   こんにゃくだけで高血糖が改善されるとは言い切れませんが、さまざまな効能がある健康食品なので、ぜひ毎日の食事に取り入れましょう。

≫戻る

■アロエ

 ・ 紀元前4世紀、かのアレキサンダー大王は、戦闘で負傷した兵士の傷を癒すため、遠征には必ずアロエを持参したと伝え
  られています。
   このようにアロエは、古くから薬用に使用されてきました。
   アロエには700以上の種類があるといわれ、日本にも300種類ほどが自生しています。
   薬効が高い品種としては、キダチアロエ、アロエベラが有名です。
   近年、日本ではアロエベラが人気ですが、キダチアロエの薬効も同じように高いものです。
   アロエは、別名「医者いらず」と呼ばれるように、やけど傷や火傷の治癒、整腸作用、 便通改善、自然治癒力の向上など、
  さまざまな効能があります。
   血糖値に関しては、アロエの薬効成分が、膵臓β細胞の再生を促進し、インスリン分泌を促す効果があると考えられています。
 ・ アロエには100種類近い薬効成分があり、主なものはアロイン、アロエエモジン、アロエウルシン、アロエチンなどがあります。
   外皮から出る黄色い液体の苦味成分がアロインで、健胃効果が認められています。
   血糖値を下げる成分はアルボランA、Bと考えられ、外皮内側のゼリー状部分に含まれています。
   アロエは、大きめのスーパーの食品売場などで購入することができます。
   また、アロエ原液100%エキスやサプリメントなどの健康食品も販売されています。


≫戻る

■アボガド

 ・ アボカドは野菜と思われがちですが、じつは果物です。
   不飽和脂肪酸のオレイン酸やリノール酸、ビタミンA、ビタミンC、カリウム、マグネシウム、リンを豊富に含んでおり、
  最も栄養価の高い
   果物として、ギネスブックでも認定されています。
   アボカドは「森のバター」と呼ばれるように脂肪分が多く、果肉の20%は脂肪です。
   ただし、その80%が不飽和脂肪酸なので、善玉コレステロールを増やす働きがあり、また、コレステロールの吸収を抑える
  β-シトステロールと呼ばれる成分も含まれるので、コレステロール値を気にせずに食べることができます。
 ・ また、100g中の食物繊維も、レタスの5倍ほどと非常に豊富です。
   そのため、糖質の吸収が抑制され、食後血糖値の上昇が抑えられます。
   加えて、便秘や動脈化の予防にも有効です。
   ビタミンやミネラルもバランスよく含まれ、なかでも老化防止に効くビタミンE、鉄分、カリウムなどを多く含み、
  さらにはグルタチオンという成分も含まれており、肝機能障害を抑制するのにも効果的です。
   生食の果物のなかではエネルギーが最も高いので、1日の摂取量は2分の1個くらいに。皮の黒いものを選ぶと、ちょうどよい   熟し具合になります。

≫戻る

■魚介類

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量100gが必要です。
 ・ 魚に含まれる栄養素としては、各種ビタミン、鉄分、脂肪分が挙げられます。
   そのなかのEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚の脂肪に含まれる多価不飽和脂肪酸
  のひとつで、血液の凝固を防いでサラサラにし、中性脂肪やコレステロールを減らし、ストレス抑制にも効果的です。
   いずれも白魚より青魚に多く、さば、いわし、あじ、さんま、ぶりなどに多く含まれています。
   EPAは、70年代にデンマークのダイエルベルグ博士が、「魚やアザラシを常食とするイヌイットは、脂肪摂取量が
  多いのに血栓症や心疾患が少ない」との研究を発表したことから注目が集まるようになりました。
   最近は、IPA(イコサペンタエン酸)という呼び方も使われています。
   DHAは、体内では、脳、目の網膜や神経などに多く存在し、不足すると、情報伝達機能や記憶能力、網膜の働きに
  影響が現れます。
   これらの多価不飽和脂肪酸は、体内で作ることができないため、食品から摂取しなければなりません。
   ただ体内で酸化されやすい性質があるので、抗酸化作用の強い食品といっしょに食べると酸化を防げます。
 ・ 生活習慣病を予防する注目の栄養素に、アスクキサンチンがあります。これはカロテノイドの一種で、さけ、イクラ、
  えび、蟹などに含まれる色素成分です。
   本来は青緑色ですが、加熱すると赤に変わり、抗酸化力が極めて強いのが特徴です。
   そのパワーを証明する一例が、さけの産卵時の行動です。さけが産卵のために川をのぼるとき、強い紫外線にさらされて
  活性酸素が大量に発生します。
   このとき、抗酸化力の強いアスクキサンチンが活性酸素を除去して、さけの命を守り、その一部は、卵のイクラに受け
  継がれます。
   アスクキサンチンは人間にも効力を発揮し、吉川敏一教授(京都府立医科大学)の研究で、糖尿病腎症の抑制に効果が
  あることが証明されました。
   その他、動脈硬化の予防、ストレス抑制、抗ガン作用も期待されており、さらなる研究が進んでいます。
 ・ いか、たこ、貝類には、タウリンという成分が多く含まれています。
   タウリンはアミノ酸の一種で、抗酸化作用を持つとともに、肝臓で胆汁酸の分泌を促進して肝細胞を再生させる効果があり、
  また、胆汁酸がコレステロールを排泄させるのを助けます。
   あさりに多く含まれるミネラルの一種であるクロムは、インスリンの働きを高める作用があり、血糖値を下げてくれます。
   また、脂質の代謝を促進し、血中のコレステロールや中性脂肪を減らす効果があります。


≫戻る

■梅干し

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量1個が必要です。
 ・ 梅干しは昔から、「梅は三毒を断つ」といわれています。
   三毒とは食べ物の毒、血液の毒、水の毒のことで、梅を食べていればこれらの毒から救われるという意味です。
   しかし、生の青梅は青酸が含まれるので、とるのは避け、梅干しで食べます。
  「三毒を断つ」パワーの源となるのは、梅干しに含まれる「すっぱさ」の素、クエン酸です。
   有機酸の一種であるこの成分は、糖代謝を促進して食べ物がエネルギーに換わるのを助け、血液をきれいにして、
  血糖値が上がるのを抑制する効果があります。
   また、疲労物質である乳酸を分解する働きもあるので、疲労回復にも有効です。
   さらにクエン酸は、唾液と胃液の分泌を促進して胃腸の働きを整え、 便秘や下痢を解消し、胃ガンを予防します。
  クエン酸によって出る大量の唾液には、活性酸素を除去する働きもあるため、高血糖がもたらす動脈硬化や 高血圧の予防にも
  効果的です。
 ・ 梅干しの食べ過ぎは、塩分過多につながるので量に注意しましょう。
   塩分10%前後の減塩タイプを選び、1日1個ずつ食べます。いつもと違う食べ方を楽しむには、ドレッシングなどが
  おすすめです。

≫戻る

■きな粉

 ・ 糖吸収を抑えるには1日の目安量10gが必要です。
 ・ きなこは炒った大豆を粉状にひいたもので、大豆の栄養素をそのまま受け継いだ栄養価の高い食品です。
   主な成分は、必須アミノ酸をバランスよく含んだ良質の大豆たんばく質、女性ホルモンと似た働きをするイソフラボン、
  リン脂質の一種であるレシチンなどです。
   これらの成分には、中性脂肪やコレステロール値を低下させ、血圧を安定させる効果があり、さらにメラニン色素の
  沈着を防いで美肌を保ち、脂肪を燃焼させて肥満を防いでくれます。
   血糖コントロールに活躍するのは、大豆サポニン、ビタミンB群、マグネシウムなどのミネラル類で、腸での糖と脂肪の
  吸収を遅らせ、血糖値の急激な上昇を抑制します。

*** 突然のめまいについて ***   「耳石」の項目も参照

めまいの種類は大きく分けて3つ
@ ぐるぐる回る回転性タイプ・・・

 自分自身、もしくは周りの風景が回っているように感じる
 めまいに伴う主な症状:耳鳴りや難聴、耳がつまった感じがする

 →耳が原因のものが多い(まれに脳が原因の場合もある)

A 体がフワフワふらつく浮動性タイプ

 まっすぐ歩けない、姿勢を保つのが難しい、足もとがおぼつかないように感じる
 めまいに伴う主な症状:手足や口の周りのしびれ、ろれつが回らない、物が二重に見える、意識の乱れ

 →脳が原因のものが多い

B 立ちくらみのようなタイプ

 立ち上がるときにクラッとしたり、目の前が暗くなったり、失神を伴うこともある
 めまいに伴う主な症状:単純にめまい・立ちくらみだけの場合が多いが、動悸、息切れ等を伴うこともある

 →自律神経が原因のものが多い
 ※自律神経によってコントロールされている血圧や脈拍に異常をきたし一時的な脳の血流不足となってめまい・立ちくらみが起き
  ます。

突然めまい発作が起きて、その場を動けないときはどうしたらよいのでしょうか?

 ・ 多くの場合では、めまいと同時に吐き気、嘔吐、冷や汗、動悸などの症状を伴います。
 ・ まず、その場でしゃがむなどしてめまいが起こらないような頭の位置を探し、目を閉じたり、部屋を暗くしましょう。

 ・ 楽な体勢をとり、安静にして急な動作は極力避けましょう。

手足のしびれや、ろれつが回らないなどの症状がない場合

 ・ 一命に関わる心配はありませんが、症状が落ち着いたら早めに医療機関で受診しましょう。

手足のしびれや、ろれつが回らないなどの症状がある場合

 ・ 手足のしびれなど、脳の異常からくる症状があっても数分〜1時間程度で症状が治まるケースがあります。

 ・ 一過性脳虚血発作(TIA)といわれ、小さな血栓が一時的に脳の血管をふさいだり、血流量が減って、なんらかの神経症状
  が現れた状態をさします。脳梗塞などの前触れということもあるので、放っておかず、早めに受診することをおすすめします。

良性発作性頭位めまい症について

 特定の頭の位置をとるか頭の位置を変えると、周囲がぐるぐると回るような感覚が生じる病気です。
 具体的な症状の特徴としては、
 ・ 起床時にクラクラするようなめまいが起こる
 ・ 寝返りをうったり、頭や体を動かしたりしたときにめまいが起こる
 ・ 一回一回のめまいの継続時間が短い(数十秒程度)

 起床時や睡眠時だけではなく、洗髪などで下を向いたときや、洗濯物を干すときに上を向いた時めまいが誘発されることが多いです。
 めまいに伴って吐き気や嘔吐の症状が出る場合もありますが、耳の聞こえが悪くなったり、意識や言葉、運動の障害を伴うことはなく、
 良性であるため基本的に大きな心配はいりません。

 めまいを伴う疾患全般に女性の患者さんが多いので、BPPVに限ったことではありませんが、女性の発症が多くまた高齢者にも多い
 疾患の一つです。

良性発作性頭位めまいの原因は

 めまいの原因は頭部の運動を感ずる内耳の半規管と言われる管の中に、耳石が紛れ込むためと考えられています。
 耳石は普段耳の奥にある重力を感知する前庭(耳石器)という場所にある、小さな砂粒のようなカルシウムの結晶です。

 この耳石が外傷など何らかの理由で剥がれ落ち、それが動くことで半規管を刺激してめまいが起こるのです。
 半規管には、前半器官・後半器官・外側半規管と3つあり、BPPVが起きるのは主に後半器官と外側半規管です。

 ほとんどが特発性といわれており、外傷後や長期寝たきりで臥床している方などにおこりやすいといわれています。
 たとえば、長期間寝たきりになっていると常に後半器官が下方に存在するようになるので、そこへ耳石が溜まってしまったまま動か
 なくなります。それが原因となりめまいを発症するのです。

 また耳石もカルシウムであるため、骨粗しょう症との関連も考えられています。

*** 頭痛について ***

頭痛の種類・受診すべき診療科

 ・ 頭痛は、慢性頭痛と呼ばれる「一次性頭痛」と、原因となる病気の症状として頭痛が起こる「二次性頭痛」に分けられます。
 ・ 一次性頭痛の代表は、片頭痛、群発頭痛、緊張型頭痛、薬物乱用頭痛。
 ・ 二次性頭痛は、脳出血や脳腫瘍など脳の血管や神経の病気が原因となる頭痛です。

 一次性頭痛は、頭痛外来を設置する脳神経外科、神経内科、ペインクリニックを受診しましょう。
 二次性頭痛は、MRI装備の整った脳神経外科、もしくは開頭手術ができる緊急・総合病院の受診をお薦めします。

一次性頭痛について
片頭痛(偏頭痛)

● 片頭痛の症状
 ズキンズキンとこめかみや目の周り、首の後ろが痛む頭痛。

 頻度は数カ月に1回から週に数回起こる人まで、個人差があります。
 持続時間は数時間から2〜3日間痛みが続きます。

 頭痛は体を動かすと悪化し、光を眩しく感じたり、音や臭いに敏感になるため、頭痛発作中は暗い部屋で独り静かに横になってい
 ることが多い。

● 片頭痛から薬物乱用頭痛へ
 日本では、15歳以上の人口の8.4% なんと840万人(!)が片頭痛に悩んでいると推定されています。

 しかし、たかが頭痛と考え、市販の頭痛薬を長年頻繁に使用するうちに薬物乱用頭痛となり、頭痛が毎日起こる上、耳鳴りやめまい
 も併発する方が増えています。

● 片頭痛は脳梗塞予備軍
 ところで、片頭痛は2〜3日我慢すればそのうち消えて終わる、と考えていませんか?

 最近、片頭痛の人は、一般人と比べて脳梗塞を起こしやすいことが分かってきました。
 片頭痛の発作を起こすたび、脳血管の内皮細胞に損傷を起こし、繰り返す頭痛で血管ダメージが蓄積し、脳梗塞を引き起こすのです。

 発症倍率は、単純な片頭痛がある方で2倍、キラキラした光が見える片頭痛の方で6倍、片頭痛がありタバコを吸うと10倍、片頭痛が
 あり低用量ピルを飲むと2倍、片頭痛がありタバコを吸い、低用量ピルを飲むとなんと34倍です。

 片頭痛は注意が必要な症状なのです。

● 片頭痛の治療方法
 第一選択薬は、トリプタン製剤です。

 トリプタン製剤は、脳の血管にあるセロトニン受容体に作用して、脳血管の異常な拡張とむくみを抑えます。
 また、痛みを悪化させる炎症物質放出を抑え、痛みの伝達も遮断するため、片頭痛の根本治療薬と考えられています。

 将来起こりうる脳梗塞を予防する意味でも、トリプタン製剤の早期服用は大切です。
 トリプタン製剤には錠剤、点鼻薬、注射薬があります。

 患者さんのライフスタイルや重症度、頭痛に対する考え方や仕事環境などを主治医に相談し最適なトリプタン製剤を選択しましょう。
 また、片頭痛の回数や重症度を低下させる予防薬もあります。

 妊娠の有無、血圧、年齢、肩こりの有無、重症度などを参考に予防薬を選び、頭痛発作をコントロールします。

群発頭痛

● 群発頭痛の症状
 ある一定の時間に、片目の奥と首筋に差し込むような激しい痛みを起こす頭痛です。

 年に1〜2回、ほぼ毎日決まった時間に数十分から数時間激痛が起こります。
 発作が起こると激痛のためじっとしていられず、頭を叩いたり、動き回ったり転げ回ったり人も多いです。

 頭痛発作中には痛い目が充血したり、まぶたが腫れたり、鼻水が出たりすることも。
 以前は男性に多いと言われた群発頭痛ですが、女性の喫煙率増加や社会進出の影響で、女性患者さんの割合が増加しています。

 薬を飲む以外にも、ストレスの少ない規則正しい生活を送ることが片頭痛予防には重要です。
 片頭痛を起こしやすい食品、寝不足・寝すぎ、ストレス、人ごみや強い日差しの下を避けましょう。

 そして、緑黄色野菜をしっかり取り、疲れすぎないこと。これらの片頭痛を起こしにくいライフスタイルの構築が、最大の防御です。

● 群発頭痛の原因
 脳の視床下部の体内時計に乱れが生じ、その情報が視床下部から首の動脈を取り巻く三叉神経に伝わり、誤って痛みの情報として炎症
 物質を放出する、と考えられています。

● 群発頭痛の治療方法
 何といっても群発頭痛が起こっている間は、禁酒と禁煙が絶対条件です。

 群発頭痛が起こる期間にアルコールを飲むと、その血管拡張作用で、ほぼ100%頭痛を起こします。
 タバコは神経を刺激して、頭痛の原因となります。

 他にも、規則正しい生活を送ることは、体内時計を調節し発作の悪化を防ぎます。

 群発頭痛の治療薬で最も効果が高いのは、トリプタン製剤イミグランの注射薬です。
 発作時に、自分で太ももに皮下注射を行います。

 この注射は即効性があり、毎晩痛みに苦しむ患者さんにとって、頼れる救世主となっています。

 また、この注射は医師や看護師ではない一般の方でも恐怖感なく行えるよう、針を付け替えたり、針を見ることなく注射が完了する
 特殊なペンシル型です。ご安心下さい。それでも注射に不安のある方は、医師に相談しましょう。

緊張型頭痛

● 緊張型頭痛の症状
 緊張型頭痛は、首から後頭部、こめかみが締め付けられるように痛む頭痛です。

 一日では午前より夕方に多く、肩こりを伴い、お風呂に入ることで症状が軽快します。
 長期間連日起こることもあり、スッキリせず気分が落ち込むことも。

 頭痛から解放されたくて市販の痛み止めを長期間服用してしまい、薬物乱用頭痛になる可能性もあります。

● 緊張型頭痛の原因
 パソコンや仕事で同一姿勢を長時間続けることや、不安やストレスが引き金となり、緊張型頭痛が起こります。

 首の後ろや肩、背中の筋肉が長時間緊張することで、筋肉の血流が低下し、疲労物質である乳酸やピルビン酸などの老廃物質が
 貯まっていきます。

 それらが神経を刺激し、締め付けられるような鈍痛と頭痛が筋肉から起こります。

● 緊張型頭痛の治療方法
 長時間の同一姿勢を避け、肩こりを緩和する軽い体操を生活に取り入れましょう。

 適度な運動やマッサージ、好きな音楽を聞いてリラックスすることも効果的。
 自分に合ったリラックス方法を上手に取り入れ、緊張型頭痛を引き起こしやすい生活習慣を断ち切る工夫が必要です。

 また、片頭痛と緊張型頭痛を合併している人はとても多いのです。

 片頭痛の根本治療薬であるトリプタン製剤と、筋肉を直接緩め血流も改善するブロック注射治療を併用することで、劇的に症状が
 改善する方もいらっしゃいます。

薬物乱用頭痛

● 好きで薬を飲み続ける人はいません。
 しかし、痛み止めを長期間連用していると、脳の過敏性が高まり、痛み止めに依存した脳になってしまうのです。

● 薬物乱用頭痛の治療方法
 薬物乱用頭痛は、原因となっている痛み止めの服用を中止することが、全ての始まりです。

 もちろん、薬物乱用頭痛は毎日頭痛が起こりますから、痛み止めを中断することに不安を覚える方も少なくありません。
 しかし、頭痛の引き金となっている痛み止めの中断なしには、頭痛の連鎖を止めることは不可能です。

 もちろん、痛み止めを止めても、予防薬を中心とした治療を行います。
 薬物乱用頭痛は、とても厄介な病気です。

 なぜなら、患者さん自身がその薬に依存しており、理屈は分かってもなかなか手放せないからです。
 また、いったん治療しても、再びいつもの薬、もしくはそれに似た痛み止めに手を出してしまうのです。

二次性頭痛について

 一次性頭痛と異なり、他の病気が原因となっている二次性頭痛は、注意が必要です。
 次のようなポイントに当てはまる場合は、よくある頭痛と判断せず、脳神経外科や救急病院を受診するようにしましょう。

 ・ いつもと違う頭痛
 ・ 初めて感じる頭痛
 ・ 頻度と重症度が悪化していく頭痛

● 二次性頭痛の原因
 くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、慢性硬膜下出血、髄膜炎、三叉神経痛、甲状腺機能低下症、低脊髄液圧症候群、帯状疱疹などの
 病気が考えられます。

● 二次性頭痛の治療方法
 二次性頭痛の場合、早急にCTやMRIなどの検査を行い、早く専門的な治療を開始することが大切です。

 早めに脳神経外科のある病院を受診しましょう。

*** 腰痛について ***

腰部の疲労が蓄積
筋膜性腰痛症

 筋膜性腰痛症は、主に腰を支える筋肉や靭帯など慢性的な緊張や疲労から起こるとされ、背骨の横にある筋肉が硬くなってい張っ
 ていることが多い。
 ・ 腰が重だるくなりやすい
 ・ 体を動かした時に腰が痛む
 ・ 腰に疲労感がある

 長時間のデスクワークや車の運転、姿勢が悪かったりと、日常生活の中に筋肉疲労の原因があることがほとんどです。
 痛みの程度は様々で、病院でのレントゲンにも異常は認められないことが多い。

 このタイプの腰痛は、心がけ次第で慢性化を防ぐことができるでしょう。
 逆に放っておくと慢性化をし、腰痛を繰り返しやすいのも特徴です。

筋膜性腰痛の治療法

 筋膜性腰痛症は、姿勢を保つ筋肉が疲労し、腰の筋肉が緊張してしまい起こることが多いため、不良姿勢にならない心がけが必要です。
 デスクワーク


 このときの休憩は、胸を開くストレッチをして、猫背のように前屈みの状態を脱します。
 すると背骨のカーブにも好影響を与えることができ、腰への負担を減少させる姿勢に近づきます。

ギックリ腰
急性腰痛症

 急性腰痛症とは、「ギックリ腰」と呼ばれている何気ない動作がきっかけで起こる腰痛です。
 ひどい場合は、痛みのため自力では動くことができません。

 痛めるきっかけは・・・
 ・ 朝、顔を洗おうとして前かがみになった時に痛めた
 ・ 荷物を持ち上げようとした時に痛めた
 ・ 振り向こうとして、体をひねった時に痛めた

 このように、ふとした動作で腰がギクッして、腰椎を支える組織が損傷してしまいます。
 痛みは突然起こるのですが、長い間の腰への負担が根底にあり、ふとした動作が腰痛の引き金となることが多い。

急性腰痛症の治療法

 なるべく身体を横にして、腰の筋肉を使わない状態にします。
 寝るときは、痛みのやわらぐ姿勢で、約8分〜10分痛みのある部分を冷却します。
(『冷却後約10分はずし、再び冷却』を3〜4セット )

 急性腰痛は、痛みの強いことが多いですが、痛めた組織が回復すると自然に楽になっていきます。

 数日から2週間前後が目安ですが、痛みが耐え難い場合や、回復を早めるためには、早めに専門家に診てもらうことがよいで
 しょう。

 痛みが軽減していくと、ついつい普通に動いてしまいがちですが、治っていく過程での無理は禁物です。

椎間板に問題あり
腰椎椎間板ヘルニア

 背骨は椎骨が積み重なって構成されていますが、その各間にクッション性のある椎間板があります。

 腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板の中央にある髄核が、その周囲の線維輪の裂け目から飛び出してしまい、神経を刺激して腰やお尻、
 下肢へ痛みやシビレを出します。

 症状は・・・
 ・ 下肢へのシビレ・痛み
 ・ 下肢を触ると、触られた感覚が鈍く感じる
 ・ 足に力が入らなくなる

 不良姿勢が長期続き腰部の骨に負荷がかかった結果、椎間板に問題をおこすことが多いです。
 おじぎをする動作ができなくなります。

腰椎椎間板ヘルニアの治療法

 症状が強いときは、腰に負担をかけないために横になりましょう。
 仰向けに寝て、膝の下に座布団を重ねるなどをして、足の高さを変えることで症状が楽になることがあります。

 椎間板の炎症が強いときを、いかに無理をせずに乗り越えるかというところがポイントです。
 どうしても動かなくてはいけないという時だけ、腰椎骨盤用のベルトやサラシで、腰を安定させましょう。

骨が切れてる
腰椎分離症・腰椎分離すべり症

 腰椎分離症は、腰椎の関節を成している関節の突起間(骨)が、切れている状態で、レントゲンで診断ができます。
 これを腰椎の分離といいますが、この状態の人全てに腰痛を感じるわけではありません。

 腰痛が分離により起きたと診断された時は「腰椎分離症」とよばれます。

 腰椎分離により、上の骨(椎骨)が下の骨の傾斜に沿って滑り出てしまい、腰痛や足のしびれなどが出ると「腰椎分離すべり症」
 とよばれます。
 激しいスポーツにより腰椎に繰り返し負担がかかり、分離するのではといわれています。

腰椎分離症・腰椎分離すべり症の治療法

 子供が激しい運動をすることで、分離することがありますが、その時は運動を中止しコルセットなどで固定し腰への負荷を
 軽減させます。

 早い段階だと分離部分が癒合するとされていますが、癒合がされない場合や成人の場合、腹筋や背部の筋肉の強化が必要です。
 分離すべり症は状態により、固定をする手術を行います。

腰の骨にトゲ
変形性脊椎症

 変形性脊椎症になってしまうと腰痛がありレントゲンを撮った際、腰椎にトゲのような骨の突起が見つかります。
 加齢により椎間板の老化が進み、腰を支える筋肉や靭帯が弱化した時に、トゲ(骨棘)ができます。

 骨棘があっても症状の出ない場合もありますが不良姿勢などによる負荷がきっかけで腰痛を起こすことがあります。
 骨棘のできる場所により下肢にしびれがでることも。

変形性脊椎症の治療法

 姿勢を支える筋力が衰えたときに症状が出ることが多いため、日ごろから良い姿勢をこころがけ、体操などをして筋力を保てる
 ようにしましょう。

 腰痛がある場合は、無理な運動は避けますが、筋肉の血行を促進させるように腰部を温め、仕事をする時だけ腰椎骨盤用のベルト
 を使用するのもよいでしょう。

休み休み歩く
腰部脊柱管狭窄症

 背骨を構成する24個の椎骨には、管のように中空になっている部分があり、その中を脊髄神経が通っています。
 この管は脊柱管といいますが、この脊柱管が狭くなると、神経を圧迫し腰痛や坐骨神経痛の症状をおこします。

 歩くと下肢に痛みが出て歩けなくなり、少し休むと歩けるようになるのが特徴です。

腰部脊柱管狭窄症の治療法

 神経の狭窄状態によっては、排尿障害など日常生活に支障がでることがあります。

 この場合以外は、手術よりも保存的な療法がとられます。狭窄による神経の圧迫と血流の回復を目的とし、病院では薬物療法、
 ビタミン剤、患部を温め血行回復、神経を麻痺させ痛みを取り除く神経ブロックなどがあげられます。

 狭窄自体は自然には治るものではないので、悪化をさせないことが大切です。

*** 眼精疲労について ***

加齢黄斑変性
滲出型加齢黄斑変性とは

 滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)では、脈絡膜(みゃくらくまく)から網膜に向かって、新生血管
(しんせいけっかん)という正常とは違う血管が生えてきます。

 この血管はもろく破れやすいため、出血したり、血液中の水分(滲出液)がもれたりしやすく、黄斑部の網膜の下にたまってしま
 います。
 そのため、視野の中心にある「見たいもの」が見えにくくなってしまいます。

日本における加齢黄斑変性

 50歳以上の約1.2%(80人に1人)にみられ、年を重ねるごとに多くなります。

 また、患者数も年々増える傾向にあります。諸外国に比べ、日本人では、男性に多いことが特徴です。
 これは高齢者における、男性の喫煙率が高いことが影響していると考えられています。

加齢黄斑変性になりやすい人

 加齢黄斑変性は年を重ねると誰にでも発症する可能性がありますが、発症のリスクを高めるのは、加齢だけでなく、
 喫煙や太陽光なども関係していると報告されています。
 これらのリスクを高める要因を避けることは、加齢黄斑変性の発症を予防し、進行を遅らせると考えられています。

ものが見える仕組み

 目に入った光は、水晶体(すいしょうたい)などで屈折し、網膜(もうまく)に達した後、脳で認識されます。
 カメラにたとえると、水晶体はレンズ、網膜はフィルムのはたらきをしています。

視力の大切な役割を担う「黄斑」

 網膜を正面からみると、ほぼまん中に、黄斑(おうはん)とよばれるほかの部分より少し黄色く見える部分があります。
 黄斑はものの詳細を見分けたり、文字を読んだりするのにとても大切な場所です。
 さらに、黄斑の中心は中心窩(ちゅうしんか)とよばれ、視力にもっとも重要な場所です。

具体的な見え方

 ・ ゆがんで見える(変視症)
   中心にあるものが、ゆがんで見えます。
   周辺のものは正しく見えます。

 ・ 中心部が見えにくい(中心暗点)
   中心に見えない部分があります。

 ・ ぼやけて見える(視力低下)
   視力が低下します。
   特に、中心部がぼやけて、見ることがむずかしくなります。

加齢黄斑変性によい栄養素

 亜鉛         牡蠣、牛肉、豚レバー
 ビタミンC       緑黄色野菜、緑茶
 ビタミンE       油脂類、アーモンド
 ベータカロテン    緑黄色野菜
 ω-3多価不飽和脂肪酸 魚類

糖尿病網膜症 糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫とは

 糖尿病網膜症は、糖尿病で血糖値が高い状態が続くことにより起こる合併症で、三大合併症と呼ばれる代表的な合併症の
 ひとつです。

 長い期間、血糖値の高い状態が続くと、網膜にはりめぐらされている細かい血管(毛細血管)が傷ついたり、つまったり
 して起きる病気です。

 病気の初期では、見え方に変化はありませんが、放っておいて病気が進行するとゆがみや見えないところが現れます。
 糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症のいずれの病期においても合併することがあります。

 糖尿病黄斑浮腫は、網膜の細い血管にコブができたり、血管から血液中の成分がもれだし、それが網膜内にたまっている
 状態です。

 そのため、ものの詳細を見分けたり、文章を読んだりするのにとても大切な場所、「黄斑」がむくんでしまい、ものが見え
 づらくなります。

日本における糖尿病網膜症

 糖尿病網膜症の有病率は15.0〜23.0%との報告があります。

糖尿病網膜症になりやすい人

 糖尿病網膜症の発症リスクを高めるのは、糖尿病歴とHbA1cとの報告があります。
 糖尿病歴は10年以上、HbA1cは7.0%以上だと、糖尿病網膜症の発症リスクが高くなります。

 血糖値を良好に保つことは、糖尿病網膜症だけで

糖尿病網膜症の進行

 糖尿病網膜症は、単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症と進行します。
 黄斑浮腫はいずれの病期においても合併することがあります。

網膜静脈閉塞症
網膜静脈閉塞症とは

 網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まっている状態です。
 網膜の静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。

 また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

網膜静脈閉塞症の種類

 網膜静脈閉塞症は、詰まった静脈の場所により、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症などに分類されます。

 網膜中心静脈閉塞症
 眼球の後方にある網膜中心静脈(根本)が詰まって発症

 網膜静脈分枝閉塞症
 静脈が網膜内で枝分かれしている部分(枝の部分)が詰まって発症

 参考:半側網膜中心静脈閉塞症
 網膜中心静脈閉塞症の特殊例。網膜中心静脈が2本ある人があり、2本のうち1本が詰まって発症するもの

網膜中心静脈閉塞症とは

 網膜中心静脈閉塞症は、網膜中心静脈という血管が、詰まっている状態です。
 網膜中心静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。

 また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

網膜静脈分枝閉塞症とは

 網膜静脈分枝閉塞症は、網膜の静脈(血管)が詰まっている状態です。
 主に網膜の動脈と静脈が交差している部分に血栓ができ、血管が詰まります。

 網膜の静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。
 また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

日本における網膜静脈閉塞症

 40歳以上の日本人では網膜静脈閉塞症の有病率は2.1%との報告があります。
 男女共に有病率は年齢と共に増加する傾向にあります。

網膜静脈閉塞症になりやすい人

 網膜静脈閉塞症は、年を重ねると発症しやすい病気で、高血圧や動脈硬化と深い関連があります。
 網膜静脈閉塞症の患者さんの多くは、高血圧のある方です。

 これは、高血圧により、血管がダメージを受けること、つまり動脈硬化が影響しています。

 高血圧のほかにも、血管自体の炎症により発症したり、糖尿病などの血液の粘性が増す病気がある方でも発症しやすくなります。
 また、緑内障のある方も発症しやすいと言われています。

見え方の変化

 網膜静脈閉塞症では、網膜の静脈が詰まってしまうため、網膜に出血やむくみ(黄斑浮腫)が起こります。
 そのため、視力が急に下がったり、ものが見えにくくなる、見えない部分があるなどの症状が出ます。
 特に黄斑部分に出血やむくみができると、かすんだり、黒っぽく見えたり、ゆがんで見えたりします。

病的近視における脈絡膜新生血管
病的近視における脈絡膜新生血管とは

 病的近視における脈絡膜新生血管(みゃくらくまくしんせいけっかん)は病的近視の方の5〜10%に起こる病気で、眼底(がんてい)
 で出血やむくみを生じる病気です。

 現在、治療法は大きく進歩し、きちんと治療を続ければ、症状の改善が期待できるようになりました。

 日本人の近視性網膜症の有病率は1.7%と報告されています。
 男性に比べて女性の有病率は約2倍です。

近視と病的近視

 近視はアジア人では約40%にみられます。


 眼の前後の長さは小児期から青年期にかけて延長します。

見え方の変化

 脈絡膜新生血管が起こると、新生血管からの出血や、もれ出た血液成分(滲出液)があるため、見えない部分ができたり、
 ゆがみが生じたりします。

血管新生緑内障
血管新生緑内障とは

 血管新生緑内障は、眼内(網膜など)の血液の流れのとどこおり(虚血きょけつ)が原因で、眼内に異常な血管(新生血管)が
 つくられることにより眼圧が高くなる目の病気です。

 血管新生緑内障は、いったん高眼圧となるとさらに虚血が悪化し、血管新生も増悪する悪循環に陥おちいってしまうため、
 早期に発見・早期に治療をすることが大切です。

 現在治療の目的に応じていくつかの治療法があり患者さんの状態に合わせて組み合わせて治療を行います。
 診断されたら主治医の指示に従って、治療に専念することが大切です。

主な症状

 血管新生緑内障は、目にできた新生血管が原因で急に眼圧が高くなる病気で霧視むしや眼痛がおこります。

血管新生緑内障が起きるまで

 虹彩や隅角にできた新生血管が房水の流出をさまたげるようになります。

眼圧が上がり、視力・視野が悪化

 房水の流出がさまたげられることにより眼圧が上がり、視神経が圧迫され、視力・視野が悪化します。

*** 肩こりについて ***

肩こりの原因
姿勢によるもの

 デスクワークの方は実感する機会も多いかと思いますが、長時間のデスクワークで肩こりが強まってしまうケースがあります。

 座り続けることで、特定の筋肉が収縮し続け姿勢を支える筋肉の働きが低下してしまい、頭部や腕を支える頚部の筋肉に負担
 が生じます。

 それが日々繰り返されると、筋肉の緊張が慢性的になり、肩こりを感じるようになります。
 同じ姿勢から解放される機会が少ない場合、肩こりを起こす筋肉の血行不良も続いてしまうことになります。

精神的な緊張によるもの

 知らない道を車で走る、とても重要なプレゼン、苦手な人との会話など、精神的なストレスにより、体を緊張させる神経系の
 働きが優位になり、首・肩周辺や背中上部の筋肉が硬くなってしまうことがあります。

 一時的な緊張の場合は、肩に力が入ってしまい脱力が出来ない状態も緩和させやすいですが、連日、精神的な緊張にさらされ
 ると肩こりが慢性化する可能性があります。

手、腕の疲労によるもの

 肩こりの人は、頭部、頚部、肩などを含めて、アンバランスになり筋肉の機能低下が起きている場合が多いのですが、それは
 不良姿勢につながり、さらにキー操作やマウス操作で使う手、指の動作に負担をかけることがあります。

 すると、手、腕の筋肉が疲労しやすくなりますが、その二次的な影響によっても、肩こり状態から脱しにくくなる可能性があ
 ります。

目の疲労によるもの

 ただ目を動かすということではなく、繰り返しピントを合わせなくてはならないような細かい作業が続いた場合、焦点を調整
 する筋肉が酷使されその機能が低下することがあります。

 すると目からの不快感から、肩こりを起こす筋肉が緊張するように作用することがあり、肩こりや首スジの張りを生じるケー
 スがあります。

 目を酷使する際に、精神的緊張が加わると自律神経系を乱すことにもつながり、肩こり悪化やストレスによる視力低下も招き
 やすくなります。

冷えなどの温度に関するもの

 寒い場所にずっと居なくてはならない場合、体には自然と力が入り、毛細血管を収縮させ体温を逃がさないように反応します。

 夏に冷房のきいた部屋で過ごす時、また、冷たい風が肩周辺に直撃しているといった場合は、自律神経系も乱れてしまい、肩
 こり悪化に要注意です。

肩こりのしくみ

 肩こりは日常生活の中からの、ストレス反応のひとつと言えると思います。

 自分にとって無理のかかる姿勢や動作などの関節や筋肉にかかる負荷や、仕事が忙しすぎたりプレッシャーとの闘いなど何かを
 乗り越えるために神経系が乱され、肩こりに関わる筋肉が緊張してしまうといったことです。

 また、居心地の悪い環境などにも影響されることがあります。
 本来自分の身を守るための反応なのですが、それが結果として、肩こりに関連する筋肉の緊張を生んでしまい、肩こりで不快な
 思いをして、さらにそれが肩こりの慢性化へ繋がるということが考えられます。

肩こりはこうして繰り返される

 1. デスクワークで長時間同じ姿勢で体に負担をかける精神的なストレスで悩まされるなど体に良くない刺激が入る。
 2. 自律神経系が乱れ、体を緊張させる交感神経系の働きが優位になる。
 3. 血管が収縮し、血行が悪くなり筋肉の緊張が強まる。
 4. 筋肉へ酸素が運ばれず、酸欠状態になってしまう。
 5. 痛みの物質が産生され、神経が刺激されることで脳へ伝えられ、不快感や痛みとして感じてしまう。
 6. この痛みや不快な情報によって、さらに筋肉の緊張が起こり肩こりが慢性化していく。

肩こりに潜む病気

 肩こりは、姿勢による筋肉疲労、運動不足などを一般的にはイメージすると思いますが、中には病気が潜んでいるもの、
 また病気から肩こりが悪化するものなどがあります。

しつこい肩こり、悪化する肩こり

 肩こりというと、筋肉をほぐして血行を改善させると、つらい症状が軽減されるイメージがあると思いますが、中には全
 く改善の兆しが見られない、悪化する、何をしていてもツライということを訴える人がいらっしゃいます。

 その場合は、何か病気が潜んでいる可能性がありますので、放置せずに病院の受診が必要になります。

 手術の必要が無く保存的な治療が施されるケースでは、鍼灸やカイロプラクティックなどの代替医療が有効な場合もあります。

肩こりに潜む病気とは

 肩こりと関連する病気をいくつか挙げてみましょう。
 病気のシグナルとして肩こりが表れているのかもしれません。

 胸部や腹部の痛み、しびれやめまいを伴う場合は、早急に病院を受診して下さい。

変形性頚椎症

 背骨は、椎骨という骨とクッション材である椎間板が、交互に積み重なってできています。

 加齢や激しいスポーツなどの影響で、椎骨が変性してしまい、骨にトゲのような突起(骨棘)が、レントゲンで確認できること
 があります。

 このように、変形すること自体が直接症状と関わるとはいえないのですが、進行すると、頚部、肩の痛みや腕のしびれなどの症
 状が表れることがあり、状態により別の診断名がつくことがあります。

頚部椎間板ヘルニア

 頚椎は椎骨という骨が7個、積み木のように積み重なっており、その間には弾力性のある椎間板があり、背骨への衝撃を和らげて
 います。

 この椎間板は、髄核(ずいかく)というゼリー状の部分とそれを取り巻く線維輪から構成されています。
 加齢や頚椎への負荷により、椎間板が変性してしまいます。

 ヘルニアは、アンパンをつぶしてあんこが飛び出たような状態とイメージするとわかりやすいと思います。
 線維輪に亀裂が入り、髄核が飛び出てしまう状態をヘルニアとよびます。

 頚椎は椎骨という骨が7個、積み木のように積み重なっており、その間には弾力性のある椎間板があり、背骨への衝撃を和らげて
 います。

四十肩・五十肩

 一般的には「四十肩・五十肩」の呼び名でお馴染みの、肩関節周囲炎は、肩関節の組織に炎症が起こり痛みが強く、腕を動かすこ
 とに支障が出てしまいます。肩関節は、腕を動かすために必要な複数の筋肉が協調してその動作を可能にしています。

 肩こりの場合、これらの筋肉の機能を低下させることが考えられ、腕を動かすことのできる範囲が徐々に制限されていくと、血流
 も低下し肩こりも回復しにくくなるといった悪循環に陥ります。

胸郭出口症候群

 肩こりの他にも腕、手、指のしびれ、痛み、疲労感、冷えなどを訴えるものに「胸郭出口症候群」があります。
 首の付け根から腕にかけて、上肢へ通じる神経・血管の通る「胸郭出口」と呼ばれる部分があります。

 胸郭出口部分は、肩こりや肩こりに伴う姿勢の変化などにより、肋骨や頚部の筋肉、胸部の筋肉などの機能異常が悪く影響しやす
 い所です。

むち打ち症

 自動車での追突事故やスポーツでの接触などにより、頚部の筋肉や靭帯、椎間板を痛めてしまうことがあります。
 むち打ち症は、頚椎捻挫とも呼ばれますが、中には脊髄に及ぶ重症例もあります。

 首の痛みが引いてきた後に、吐き気やめまい、頭痛、視力障害が出ることもあり、全身症状に及ぶことも。
 損傷により痛みの物質が産生されると、筋肉の緊張がさらに強まり後頭部、頚部の張りや頭痛を招く恐れがあります。

 また、頚椎から出た神経が障害されると、腕や手に感覚異常や脱力感が表れることがあります。

腫瘍

 肩こりや首の痛みの中でも、「ただの肩こりでは無いかもしれない」と感じるものがあります。
 以前から慢性的に肩こりがあったとしても、筋肉疲労などによるものか、そうでは無いのか注意が必要です。

 最近の肩こりが日々悪化していて、痛みとして感じるようになり何をしても、症状が強いままである、また、腕や手のしびれ、
 めまい、夜間にも痛むといったことがある場合は、脊髄の腫瘍や肺の上部にできた腫瘍なども考えられるため、早急に病院で検
 査を受けるようにしましょう。

肩こりの解消法
肩こりで猫背にもなりやすい場合も

 肩こりを感じる人や肩こり予備軍の人たちには、共通して首、肩周辺や背中の筋肉の過度な緊張がみられることがあります。

 筋肉が過度に緊張してしまうと、頭部、腕、姿勢を支える筋肉の働きも低下するため、背中が丸くなる猫背姿勢に移行する可能
 性があります。

「背中を丸めているほうが楽。」という人は要注意です。
 姿勢を維持する自体に疲労感があり、全身がだるく感じるかもしれません。

肩こりの解消法

 肩こりでみられるように、筋肉が硬くなりこりが生じると、血行が悪くなるのですが、そうなると筋肉への必要な酸素や栄養が
 運ばれなくなり、酸欠状態に陥ります。

 これが肩こりを慢性化させるきっかけとなるのですが、慢性化を予防、解消するためにご自身で筋肉を動かす必要があります。
 肩こりに効果的な筋肉を、半ば強制的に動かすことによって、筋肉のもつ収縮・弛緩の働きを促します。

 すると筋肉の血行も促進され、過度に緊張した筋肉がやわらかくなっていき、こりが楽になります。

肩こり、猫背予防に効果的な体操

 肩こりというと、首の後ろ側や首の付け根などの、こっている部分を押したり、揉んだりと意識しがちですが、今回ご紹介する
 体操は直接気になる部分を触らずに肩こりに関連する筋肉を刺激する方法です。

 肩こりには、胸と上背部の筋肉の張りも関連しますので、そこにアプローチします。
 習慣的に行えるようになると、猫背姿勢予防にもつながります。

1.体の前方で両腕を保持しながら前方から引っ張られているイメージで背中上部をグ〜っと5〜10秒間伸す。
2.腕を中簡位で保持し、左右の肩甲骨を寄せる意識で、ゆっくりと胸を開いていきます。
3.肩甲骨をしっかり引き寄せたら、ゆっくり5つ数えながら保持します。
4.再度、体の前方で両腕を保持しながら、前方から引っ張られているイメージで、背中上部をグ〜っと5〜10秒間伸ばしましょう。
  1〜4を数回繰り返します。

 全ての動作は、ゆっくり行い反動はつけないようにします。
 もし痛み・しびれが出るようでしたら、体操は中止して下さい。

 デスクワークの途中、後に2〜3回ずつ行うことも有効ですし、お風呂で温まったあとに行っても気持ちよく動かすことができると
 思います。

 1日のうちに、こまめに行っていただくと効果的です。

*** 身体がだるい・疲れる・倦怠感が続く ***

身体がだるい・疲れる・倦怠感が続くとは

 不規則な生活やストレスは、疲労をためる原因となり、体のだるさや倦怠感(けんたいかん)につながります。
 疲れをとるために、まずは規則正しい生活を意識してみましょう。

 簡単エクササイズや栄養満点レシピをまとめました。
 それでも治らない、体のだるさが続く人は要注意!危険な病気のサインかもしれません。

寝不足・働きすぎが疲労の原因に

 不眠は、眠るために寝床に入っても寝つきが悪いなど、眠るのが困難で質のよい睡眠を得られない状態です。
 一方、睡眠不足は、睡眠をとる時間が十分に確保できていない状態です。

 不眠も睡眠不足も、日中の眠気の原因となるだけではなく、何日も続くとさまざまな心身の不調の原因となります。

不眠には主に4つのタイプがあります

 ≪寝つきが悪い≫
 まだ眠いと感じないまま、寝床に入ると、体が眠る態勢になっていないため、寝つきが悪くなります。
 また、悩み事や考え事などで脳が活動を続けていても目がさえて寝つけません。

 ≪途中で目が覚める、眠りが浅い≫
 必要としている睡眠時間に比べ、眠るために寝床で横になっている時間が長すぎると起こります。
 日中の生活であまり活動をしていないと、昼夜のメリハリが悪くなり、深い眠りが得られず、途中で目が覚めたり、
 眠りが浅くなったりします。睡眠中の呼吸の乱れ、体のぴくつき、頻尿なども原因になります。

 ≪早く目が覚める≫
 私たちは、1日ほぼ24時間の周期でリズムを刻んでいる体内時計の働きによって、一定時刻になると夜に眠くなっ
 たり、朝に目が覚めたりします。この体内時計は加齢に伴って早まりやすくなります。

 そうすると、早くから眠くなり、早くに目が覚めるようになります。
 女性と比べて男性の場合は中年からこうした現象が起こります。

 以前より早く目が覚めるようになっても、日中に不調を感じないようなら、一種の生理的現象なので、あまり気に
 することはありません。

 ≪不眠や睡眠不足による影響 「うつ病や心臓病」を引き起こす可能性≫
 不眠や睡眠不足は、体や心の健康にさまざまな影響を与えます。
 一般に、睡眠時間が6時間未満になると、翌日の日中に強い眠気を感じるようになります。

 こうした睡眠不足が続くと日中の慢性的な眠気が生じ、疲れやすさ、集中力や注意力の低下、イライラ感などが
 起こって、日常生活に支障が出てきます。

 また、不眠のある人、睡眠が極端に短い人や長い人では、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病が起
 こりやすいことがわかっています。

 睡眠不足は、食欲を高め、肥満の原因にもなります。
 動脈硬化、心臓病や脳卒中を発症する危険性を高めます。

 原因ははっきりとはわかっていませんが、不眠のある人や睡眠が極端に短かったり長かったりする人は、
 うつ病になりやすいことがわかっています。

 このように、睡眠はこうした病気のなりやすさと関連していることが考えられています。
 一般に成人の場合、1日7時間とその前後1時間くらいの睡眠がほどよいと考えられています。

 最近の研究では、睡眠時間がそれよりも短い場合や、長い場合には6年後の死亡率が高くなるという結果も報告
 されています。

鉄分不足による症状「鉄欠乏性貧血」

 2015年の厚生労働省の調査によれば、日本人女性の約10人に1人は貧血。
 月経のある女性に絞ると、その数は5人に1人とも言われています。

 貧血というと「血が少なくなる」というイメージを持つ人がいますが、血液そのものの量は変わりません。
 貧血とは血液中の、「赤血球」の「量」と「質」が低下している状態です。

 この状態になると、駅の階段を上るような軽い動作でも動悸、息切れがする、疲れやすい、顔色が悪くなる、
 頭が重いなどの症状が出ます。

 医療機関では、ヘモグロビンの値が成人男性で「13g/dL未満」成人女性で「12g/dL未満」80歳以上の場合は
「11g/dL未満」で貧血と診断されます。

鉄不足で起きる 鉄欠乏性貧血

 貧血の中でも、一番多いのが鉄不足によって起きる「鉄欠乏性貧血」です。
 私たちの血液の中に存在する赤血球は、肺で酸素を取り込み、全身へ送り届ける重要な役割を果たしています。

 赤血球が酸素を取り込むことができるのは、ヘモグロビンというタンパク質のおかげです。
 ヘモグロビンを作るためには、鉄が欠かせません。体内の鉄が不足すると、ヘモグロビンがうまく作られなくなります。

 すると、赤血球もうまく作られないため数が減り、大きさも小さくなってしまいます。
 その結果、全身に十分な酸素を送り届けることができなくなります。これが、鉄欠乏性貧血です。

鉄欠乏性貧血の症状

 貧血に共通して言える、酸素不足による症状
 赤血球の量や質が低下している場合、体にうまく酸素が行き届かず「酸素不足」の状態になります。

 この時、「動悸」「息切れ」「疲れやすい」「顔色が悪い」「頭が重たい」などの症状が現れます。
 これらは鉄欠乏性貧血にかかわらず、貧血の一般的な症状と言えます。

鉄欠乏性貧血に特徴的な、鉄不足による症状

 鉄欠乏性貧血になると、貧血で起きる症状と併せて、鉄不足そのものが体に起こす症状が出ることもあります。
 例えば、爪の変形、就寝時に足がむずむずして寝つけない「むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群)」、
 そしてまれな症状ではありますが、「氷が食べたくなる」という症状が出る人もいます。

どうして鉄不足になる

 私たちの体には常に鉄が貯蓄されており、そのほとんどは繰り返し体内で再利用されています。
 体外へ排出されるのはわずかな量で、主に汗、尿、便などから排出されます。

 それでも貧血が起こってしまう場合、理由は大きく分けて3つ考えられます。

 1.食べ物から十分な鉄をとれていない
   1日の鉄の推奨量は成人男性で大体7.0mg〜7.5mg
   月経のある女性は経血で鉄分を多く失うので、10.5mgと言われています。
   2016年の日本人の鉄の平均摂取量は7.4mgなので、閉経前の女性は特に鉄の摂取不足と言えます。
 2:需要の増加
   成長期や妊娠、授乳期の人は体内で通常よりも多くの必要とするので、鉄不足になりやすいです。
 3:出血
   ◆女性...月経
      症状が特に強い場合には、女性の疾患(子宮筋腫や子宮内膜症など)が疑われます
   ◆閉経後の方・男性...胃や腸の潰瘍、ポリープ、痔など
   ◆そのほか...子宮がんや大腸がんなど。がんの発生した部分から慢性的に出血していることがあります。

かくれ貧血

 正式には「潜在性鉄欠乏」といい、貧血予備軍の状態です。
 病気ではありませんが、放っておくと、鉄剤を服用しなければ改善しないほどの貧血になってしまう可能性もあるので、
 注意が必要です。

 私たちの体にはヘモグロビンに使われている鉄の他に「貯蔵鉄」という予備の鉄を持っています。
 一見ヘモグロビンの値に異変はなくても、貯蔵鉄が減っていることがあるのです。

 月経のある女性、また、成長期のお子さんは潜在性鉄欠乏の可能性が高く、注意が必要です。
 普段から積極的に鉄を摂取してください。

【バセドウ病・橋本病】女性に多く気づきにくい甲状腺ホルモンの病気

 甲状腺は喉仏の下辺りにある器官で蝶が羽を広げたような形をしています。
 甲状腺ホルモンは、その甲状腺から分泌されるホルモンで、いわば"体を元気にするホルモン"です。

 新陳代謝を活発にしたり、交感神経や心臓などの活動を高めたり、汗や脈拍を調節するなどの働きがあります。
 甲状腺ホルモンの分泌量は、多すぎても少なすぎても問題になります。

 甲状腺ホルモンが過剰になる病気の代表がバセドウ病で、少なくなる病気の代表が橋本病です。

甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病

 甲状腺ホルモンが過剰になるバセドウ病は、甲状腺機能亢進[こうしん]症の1つで、自己免疫疾患です。
 バセドウ病は200人〜300人に1人発症すると言われています。

 男性も発症しますが、女性に多く発症するのが特徴で、特に20〜40歳代の女性に多く見られます。
 甲状腺ホルモンに関わる病気は、更年期や加齢の症状と似ているので、見逃さないよう注意が必要です。

バセドウ病の主な症状

 「動悸(き)、息切れ」「疲れやすい」「暑がり、汗をかく」「イライラして落ち着かない」
 「食欲はあるのに体重減少」「手足の震え」「眼球の突出」「首の腫れ」などの症状があります。

 首の腫れに関しては、甲状腺が全体に腫れることがあります。
 非常に弾力がありますが、痛みは特にありません。

 目が大きくなる症状は、目の奥にある筋肉や脂肪に炎症がおき、腫れて目が前に押し出されることよって現れます。
 ただし、目の症状が現れる方は3人に1人ぐらいですので、全ての人に現れるわけではありません。

甲状腺ホルモンが低下する橋本病

 橋本病は、甲状腺に慢性の炎症が起こる病気で、自己免疫疾患の1つです。
 バセドウ病と同様に男性よりも女性に多く発症する病気で、成人女性の10人〜20人に1人と言われています。
 中でも、特に40歳以上の女性に多く見られるのが特徴です。

橋本病の主な症状

 橋本病は甲状腺ホルモンの分泌量が低下するために、新陳代謝が衰えて元気がなくなったり、神経や臓器の機能が低下したり
 します。

 その他、症状には、「むくみ、しわがれ声」「皮膚の乾燥」「寒がり、体が冷たい」「無気力、疲れやすい、うつ症状」
 「食欲はないのに体重増加」「首の腫れ」「コレステロール値が高くなる」などがあります。

 自分で気づくのは難しい病気ですが、これらの症状が3つ以上ある場合は、内科を受診することが勧められます。

甲状腺ホルモンの病気は更年期症状と似ている

 甲状腺ホルモンの病気は、更年期症状と非常に似ているために、見逃されやすい病気ですが、甲状腺ホルモンの病気は適切に
 治療することによって、症状を抑えて、正常に生活を送ることができるようになります。

 疑わしい症状がある場合は、内科を受診するようにしましょう。
 特に40歳以上の女性に多い病気ですので、該当する方は数年に1度でも良いので血液検査を受けることが勧められます。

慢性腎臓病

 慢性腎臓病は、腎臓の働きが低下した状態や、尿の中にたんぱくが漏れ出る状態(たんぱく尿)の総称で、日本には1000万人
 を超える慢性腎臓病の人がいると推計されています。

 慢性腎臓病になっても、腎臓の働きがかなり低下するまで自覚症状がありません。
 そのため、慢性腎臓病と診断されても最初は自覚症状がまったくない人が大半なので、気づきにくく油断しがち;な病気といえます。

 最後まで進行すると腎臓が機能しなくなり、透析治療など、自分の腎臓の働きの代わりをする治療を行わなければなりません。

慢性腎臓病の主な病気
糖尿病性腎症

 糖尿病の合併症のひとつで、腎臓の働きが低下する。

腎硬化症

 高血圧と加齢が影響し、糸球体が障害される。

慢性糸球体腎炎

 何らかの免疫異常や炎症が関わって発症する。IgA腎症や膜性腎症などを含む。

慢性腎臓病が引き起こす病気

 慢性腎臓病は、「脳卒中」や「心筋梗塞」などの原因になることも明らかになっています。
 慢性腎臓病の原因である糖尿病や高血圧が動脈硬化を進行させ、また慢性腎臓病そのものが血管にさまざまな障害を引き起こすた
 めと考えられています。慢性腎臓病が認知症のリスクを高めることもわかってきました。

だるさ、頭痛、吐き気など慢性腎臓病の症状

 慢性腎臓病は病気がかなり進行して初めて症状が現れます。
 主な症状はだるさ、食欲不振、頭痛、吐き気、むくみ・動悸・息切れ、高血圧、貧血、骨が弱くなるなどです。

 いろいろな症状が現れるのは、腎臓の働きが低下することで体内にさまざまな有害物質がたまってしまうためです。
 体内に余分な水分もたまるので、むくみが生じ、血圧も高くなります。

 この段階では心臓病や脳卒中が非常に起こりやすく、また透析治療を避けにくくなります。

慢性腎臓病のメカニズム

 腎臓は尿を作る臓器です。
 腎臓に流れ込む全身の血液から老廃物を取り除き、余分な塩分・水分とともに、尿として体の外に排出します。

 老廃物を取り除くのは、腎臓の中にある「糸球体」という小さい無数の組織です。
 腎臓は次のような働きをしています。

 ・ 老廃物を含んだ血液が腎臓に流れる
 ・ 腎臓(糸球体)が老廃物を取り除く
 ・ きれいになった血液を全身に流す
 ・ 取り除いた老廃物、塩分、水分を尿として体の外に出す

 慢性腎臓病では糸球体が少しずつ壊れていきます。
 その結果、血液中の老廃物が十分に取り除けなくなったり、尿に漏れないはずのたんぱくが尿に交じったりします。

 一定程度以上に壊れてしまった糸球体は、正常に戻ることはありません。

*** フレイルについて ***

フレイルとは

 フレイルとは、加齢によって心身が弱っている状態のことをいいます。

 もともとは、海外で用いられている「Frailty(フレイルティ)」という言葉で、以前はそのまま訳して「虚弱」や
「老衰」などとあらわされていました。

 しかし「Frailty」には、早めに適切なサポートを受ければ、もとの健康を取り戻すことができるといったポジティ
 ブな意味も込められています。

 そのため、日本老年医学会では2014年に新しく、これを「フレイル」と称することを決めました。
 フレイルでは、運動機能や認知機能がおとろえ、慢性疾患で生活にも困難が生じ、やがて閉じこもりがちになります。

 じつは、介護を必要とする人の多くがこのようなフレイルを経験していることが分かっています。
 つまりフレイルというのは、ちょうど健康と要介護の中間にある段階と捉えることができます。

フレイルの原因

 フレイルは、加齢によるさまざまなおとろえが原因となっています。

 たとえば、筋力や運動機能の低下、認知機能の低下、意欲や判断力の低下、などが挙げられます。
 ほかにも、呼吸器疾患による呼吸困難や、心血管疾患による活動の限定も考えられます。

 さらに、抑うつ症状や関節炎、貧血などの慢性的に管理が必要な疾患も、フレイルの原因となります。
 筋力が低下すると、基礎代謝量が落ちてエネルギー消費量が少なくなります。

 すると、食欲も失われ、それにともない体重が落ち、栄養失調にもなっていきます。
 この低栄養もまた、フレイルの主な原因のひとつとなります。

 このように、フレイルでは、原因のひとつひとつがおたがいに影響しあい、ますます悪循環におちいるフレイルサイクルを形成します。
 さらに、フレイルでは社会や環境の変化なども原因となりえます。

 たとえば、加齢によって活動範囲が狭くなり、他人とのコミュニケーションがめっきり減ってしまう。
 また、低収入や孤独によるストレスなども、症状を進行させるきっかけとなります。

フレイルに陥るとどうなるのか

 フレイルになると、体力のおとろえによって、抵抗力が大きく落ちてしまいます。
 その影響で、外的なストレスにとても弱くなり、感染症や怪我などのダメージからも、なかなか回復することができません。

 そのため、健康な人であればすぐに治るような風邪でも、悪化して肺炎を発症することがあります。
 また、全体的な気だるさから、転倒しやすくなり、打撲や骨折をする可能性も高まります。

 このような病気や怪我がきっかけで入院すると、さらにフレイルが悪化しそのまま寝たきりになってしまうケースも少なくありません。
 このように、フレイルにおちいることで、病気や入院、そして死亡などのリスクは一気に高くなってしまうのです。

フレイルの評価基準

 フレイルかどうかを判断する評価基準には、さまざまなものがあります。
 そのなかでも、もっとも多く採用されているのが、医学者のリンダ・フリード氏が提唱した5つの基準です。

 このうち、1?2つ該当する場合は、前段階の「プレフレイル」。

 3項目以上当てはまる場合は、「フレイル」というふうに判断されます。
 自分がどれほど当てはまるかチェックしてみてください。

チェックリスト

 □ 何もしていないのに、年間で体重が4.5kg以上マイナス、あるいは5%以上マイナスとなったことがある。
 □ 週に3?4回、すべてのものごとが面倒になり、疲れたような感じになる。
 □ 歩行速度が1.0m/秒未満。
 □ 筋力・握力が男性は26kg未満、女性は18kg未満。
 □ 軽い運動や体操、定期的な運動やスポーツをいずれもしていない。

フレイルの予防法@ バランスのよい食事

 フレイルのもっとも大きな原因とされているのが低栄養です。

 高齢になると食が細くなり、栄養が不十分になりがちです。
 特に、一人暮らしの高齢者は食事に手間暇をかける時間が少なく、食事が偏って、低栄養になりやすい傾向があります。

 そこで、フレイルの予防法となるのが栄養バランスの取れた食事です。
 バランスのよい食事は免疫力を高め、フレイルサイクルの悪循環を断ち切ることができます。

 食事ではできるだけ、主食、主菜、副菜をしっかり摂るようにしましょう。
 なかでも、筋肉作りに欠かせないタンパク質は、筋力のおとろえをふせぐために重要です。

 そもそも、高齢になると食後に作られるタンパク質の量が低下してしまいます。
 そのため、通常の成人よりも多くの量を摂取する必要があるのです。

 目安としては、体重1kgあたり、1gのタンパク質です。
 薄切りの肉2?3枚、魚の切り身1切れ、卵1個、豆腐半丁のいずれかを毎日食べていれば十分でしょう。

 また、転倒による骨折をふせぐためには、骨を作るカルシウムも重要です。
 そのための、ビタミンD摂取と日光浴も忘れないようにしてください。

フレイルの予防法A 感染症の予防

 免疫力のおとろえた高齢者にとって、インフルエンザや肺炎などの感染症は大敵です。

 特に、フレイルになると、通常なら問題ないような常在菌などにも感染してしまうケースがあります。
 それが原因で、入院や寝たきりになってしまうこともめずらしくありません。

 このようなフレイルによる重症化をふせぐには、そもそも感染症にかからないように気をつけておくことが大切です。
 普段から、手洗いやうがいを欠かさず、清潔に保つ努力をしましょう。

 インフルエンザの重症化は、常在菌による感染症をまねきやすくなります。
 インフルエンザワクチンを受けることも予防の1つです。

 また、フレイルでは嚥下障害も起こりやすくなります。
 誤嚥性肺炎を引き起こさないように、普段から口内ケアで口腔を清潔に保つことも忘れないようにしてください。

フレイルの予防法B 適度な運動

 高齢になると、誰でも筋力は少しずつおとろえていきます。
 筋力のおとろえは、基礎代謝の低下につながり、低栄養をまねいてフレイルの原因にもなります。

 また、活動範囲が狭くなることで自宅に閉じこもりがちになり、ますます日常生活での運動をしなくなってしまう傾向があります。
 これを予防するには、毎日適度な運動を行うようにしましょう。

 ウォーキングで、1日5,000歩程度がちょうどよい運動量となります。
 いきなりそこまでできないという人は、毎日歩いている時間や距離を、少しずつ伸ばしていく方法もおすすめです。

 何より、毎日続けていくことがもっとも大切なポイントです。
 筋力のおとろえは、フレイルのなかでも、もっとも短期間で回復させやすい原因のひとつです。

 ぜひ、日常生活に運動を取り入れて、予防法としてみてください。
 筋力低下を遅らせるために有効な、簡単にできる運動については以下の記事もぜひご参考ください!

フレイルの予防法C 社会とつながりをもつ

 高齢になると、友人や知人が周囲から少しずつ減っていきます。
 特に、最近では一人暮らしの高齢者も多いため、一日中誰とも会ったり喋ったりしないという人も増えています。

 特に、食事を一人で行う人は、低栄養や運動機能の低下など、フレイルになる割合が高くなるといわれています。
 このようにコミュニケーションが減っていくと、人間関係自体が面倒になり、ますます社会に出る意欲を失ってしまいます。

 これを予防するには、地域のボランティアや趣味のサークルに参加して、できるだけ人とのつながりを持つようにすることが大切です。
 食事をいっしょにする相手ができれば、低栄養も解消することができてさらに効果的です。

サルコペニア・ロコモティブシンドロームとの違い

 フレイルとよく似た症状に、「サルコペニア」と「ロコモティブシンドローム」があります。

 サルコペニアになると、日常生活での動作に困難をきたし、転倒や寝たきりのリスクが高まります。
 一方、ロコモティブシンドロームは、「運動器不安定症」のことです。

 骨、関節、筋肉などに問題が生じて、運動に不自由が出る状態のことをいいます。
 ロコモティブシンドロームは、症状が進むと、それだけ要介護になるリスクを高めるとされています。

 この2つの症状がフレイルと異なるのは、いずれもあくまで身体面のみに注目している、という点です。
 これに対し、フレイルは精神面や心理面、さらに社会的環境などもその原因のひとつとして考えています。

 フレイルとは、加齢による身体能力低下を身体能力の問題としてのみ捉えるのではなく、加齢による影響を広く捉えようとする概念
 なのです。

フレイルとはなにか理解をし、認知度を高めることが大切

 高齢になると、少しずつ心身が弱っていき、気がついたときには寝たきりや介護が必要な状態となっているケースがあります。

 フレイルというのは、そのような状態を見過ごさないために生み出された新しい考え方といえるでしょう。
 特に今後、超高齢化社会を迎える日本ではその重要性がますます高まっていくはずです。

 フレイルとは何なのか。そして、どうすれば予防することができるのか。
 それを知っておくことが早期発見・支援また、介護のリスクを減らすことにつながります。

*** サルコペニアについて ***

サルコペニアとは

 サルコペニアとは、加齢や疾患により、筋肉量が減少することで、握力や下肢筋・体幹筋など全身の「筋力低下が起こること」を
 指します。

 または、歩くスピードが遅くなる、杖や手すりが必要になるなど、「身体機能の低下が起こること」を指します。
 サルコペニアは、
  1.低筋肉量を裏付ける証拠に加え、
  2.低筋力、あるいは
  3.低身体機能を満たす場合に診断されます。

サルコペニアの分類

 サルコペニアは加齢が原因で起こる「一次性サルコペニア」と加齢以外にも原因がある「二次性サルコペニア」とに分類されます。
 加齢以外にも、日常生活動作や疾患、栄養状態によっても起こります。

 ● 寝たきりの生活や活動性が低下することによって起こる廃用によるもの
 ● 癌や虚血性心不全、末期腎不全、内分泌疾患などの疾患によるもの
 ● 栄養の吸収不良、消化管疾患や薬の副作用による食欲不振、エネルギー・タンパク質の摂取不足によるもの

一次性サルコペニア(加齢性サルコペニア)

 加齢以外に明らかな原因がないもの
 二次性サルコペニア(活動に関連するサルコペニア)
  寝たきり、不活発な生活スタイル、無重力状態が原因となり得るもの

 疾患に関連するサルコペニア
  重症臓器不全(心臓、肺、肝臓、腎臓、脳)、炎症性疾患、悪性腫瘍や内分泌疾患に付随するもの

 栄養に関連するサルコペニア
  吸収不良、消化管疾患、および食欲不振を起こす薬剤使用などに伴う、摂取エネルギーおよび/またはタンパク質の摂取力不足に
  起因するもの食欲不振をきたす薬物の使用

サルコペニアのメカニズム

 筋肉の量は筋タンパクの合成と分解が繰返し行われることによって維持されています。
 筋タンパクの合成に必要な因子の減少や、筋タンパクの分解が筋タンパクの合成を上回ったときにも筋肉量は減少します。

 加齢によって、筋肉の増加に関係する性ホルモンの減少・筋肉を働かすために必要な細胞の死(アポトーシス)・ミトコンドリアの機能
 障害が生じることと、廃用・栄養不良・癌や糖尿病などの消耗性疾患による筋萎縮(カヘキシア)の要因が合わさってサルコペニアを
 発症します。

 また、脳からの指令を筋肉に伝える働きをする運動神経の損失や、コルチコステロイド・成長ホルモン(GH)・インスリン様成長因子1
 (IGF-1)・甲状腺機能異常・インスリン抵抗性など筋肉の増大に関係するホルモンの影響によってもサルコペニアは起こります。

 各疾患に罹患することにより炎症性サイトカインが多くなって、筋タンパクの分解が進むことでもサルコペニアの発症につながると
 考えられています。

サルコペニアの診断

 Baumgartherらの研究グループによって、6mの歩行テスト、筋肉量の測定、握力の測定結果によってサルコペニアかどうかを判断
 する欧米人向けのサルコペニア診断アルゴリズム(測定方法)が最初に確立されました。

 筋肉量の測定には、骨粗鬆症の判定にも使われるX線照射によって正確性の高い結果が得られるDXA法(二重エネルギーX線吸収測
 定法)、または微弱な電流を体に流し、電気抵抗で測定するBIA法(生体電気インピーダンス法)が推奨されています。

 欧米人とアジア人の骨格は異なるため、2014年AWGS(ASIAN working Group FOR SARCOPENIA)によって日本人の体格でも
 対応できるアジア人特有の診断基準がつくられました。

*** 自律神経について ***

自律神経とは

 全身をコントロールしている「司令塔」
 自律神経(交感神経と副交感神経)は人間の生命活動のバランスを整えている神経です。

 呼吸、心拍、血液循環、消化吸収など、生きるために必要な生理現象をコントロールし、身体のほぼすべての器官が、自律神経
 の関与を受けています。

自律神経は1日中フル稼働

 人間は他の動物と比べ、脳が発達しているため多くのものを知覚し、思考し、覚えることができ長時間集中することも可能です。
 ただ、神経も発達しているため、気温など環境の変化にも過敏に反応してしまいます。

 自律神経には、活動している時に働く交感神経と、リラックスしている


 ※自分で意識して動かしているわけではなく、勝手に24時間監視して実行してくれているのです。

消耗しているのは筋肉ではなく、自律神経

 身体に負荷がかかる際、状況に対応するために自律神経がめまぐるしく働きます。
 同じ距離を歩く場合でも、春先と夏の炎天下では疲労度は異なります。

 運動量は同じなのに疲労感が異なるのは、体温を調節する自律神経にかかる負担の違いからです。
 つまり、ジョギング程度の有酸素運動では、もっとも消耗が激しいのは筋肉ではなく自律神経と、その中枢がある脳なのです。

ストレスによる疲労は自律神経の錆びつき

 ストレスは自律神経を刺激し、身体を常に緊張状態にさせます。

 すると、自律神経をコントロールしている脳に負荷がかかり、脳は大量の血液と酸素を欲し、酸素消費量が増加することで、
 活性酸素の量も一気に増加します。

 すると、細胞を守るシステムの許容範囲を超えてしまいます。
 そうしてあふれ出した活性酸素によって、自律神経の細胞が錆びて傷ついてしまいます。

 それにより、疲労を感じたり、全身のだるさや食欲不振など、様々な不調が表れてきます。

自律神経のパワーは10代から低下

 体の調子を整えるために働く自律神経の

 いつまでも若い頃と同じような生活を続けていると、自律神経は確実に疲弊してしまうので、日頃から自律神経に優しい生活
 を意識しましょう。

<食事編>自律神経を整えるのに役立つ成分とは

 数少ない脳に届くイミダゾールジペプチド
 過剰発生した活性酸素の除去や、細胞の酸化対策に効果的なのが「抗酸化作用」を持つ成分です。

 ただ、ビタミンCやビタミンE、βカロテンなどの抗酸化成分は、脳に到達するまでに作用を失ってしまいますので、脳に到達
 することのできる「イミダゾールジペプチド」がおすすめです。

 イミダゾールジペプチドは、脳など、疲労を感じる部位で再合成されますので、疲れている部位にピンポイントで届き効果を
 発揮することができます。

 この成分は鶏むね肉や、マグロやカツオなどといった回遊魚などに多く含まれています。

冷たいものや甘いものをとりすぎない

 また疲れてくると甘いものがたべたくなることがありますが、急激に血糖値が上がると自律神経が血糖値を下げようと働くため、
 かえって体を疲れさせる要因になります。

 お茶菓子をつまむ程度の間食なら、胃腸が動いて副交感神経が優位となり、自律神経を整える効果がのぞめます。 /p> 活動するのは朝食を食べてから

 朝はいきなり飛び起きると自律神経への負担が大きいため、自律神経にやさしい朝を過ごすには、目覚めたら寝床で少し
 ずつ身体を動かし、カーテンを開けて日の光を浴び、それから朝食をとりましょう。

 ※可能であれば大音量での目覚ましは控えてください。

時々窓を開けて環境に「ゆらぎ」を

 長時間同じ場所で過ごすときには、時々窓を開けて外の風を入れると環境に「ゆらぎ」が生まれ、疲れにくくなります。

“座りっぱなし”が続いたら立つ!歩く!ストレッチ!

 同じ姿勢で長くいると血液やリンパの流れが悪くなって老廃物の排出が進まず、疲労が蓄積します。
 じっとしている時間が続いたら、とにかく立ち上がり、少し歩いたり、簡単なストレッチ体操をするようにしましょう。

「ぬるめのお湯で半身浴」が深い眠りへいざなう

 深い眠りに入る時には体の深部体温が下がる為、入浴して深部体温を上げておくと、その後体温が下がると同時にスムーズに
 深い眠りに入ることができます。

就寝前の1杯の白湯が自律神経を助ける

 自律神経に過度な負担をかけるのが脱水症状。

 睡眠中は脱水に陥りやすく、熱中症や心筋梗塞、脳梗塞といった命に関わる病につながることもありますので、自律神経を
 休ませるためにも、脱水防止をこころがけましょう。

寝るときは体の右側を下に

 睡眠時間を確保していても、いびきをかいているなら疲労回復になっていない可能性があります。
 横向き、特に体の右側を下にして寝る「右向き寝」でいびきを軽減して、睡眠の質を高めましょう。

*** 腎臓病について ***

腎臓病とは

 腎臓病は、腎臓の糸球体や尿細管が冒されることで、腎臓の働きが悪くなる病気です。
 腎臓病にはさまざまな種類があり、それぞれの原因や症状も異なります。

 腎臓の機能はいちど失われると、回復することがない場合が多く慢性腎不全といわれる病態になります(急性腎不全の場合は機能
 が回復することもあります)。

 しかし、近年では医療技術が進歩し、早期に治療を開始すれば、腎臓の機能の低下を防いだり、遅らせたりすることが可能になり
 ました。

 また、末期腎不全まで進行し、腎機能の回復が見込めない状態になっても、透析療法や移植といった腎代替療法の中でもさらに治療
 法の選択肢が増えているため、患者自身のQOL(生活の質)に合った治療を受けることができます。

急性腎不全と慢性腎不全

 腎臓病が進行して腎臓の働きが弱くなると腎不全といわれる状態になります。

 腎不全には、急激に腎臓の機能が低下する急性腎不全と、数か月から数十年の長い年月をかけて腎臓の働きがゆっくりと悪くなる
 慢性腎不全があります。

 急性腎不全では、適切な治療を行って腎臓の機能を悪化させた原因を取り除くことができれば、腎臓の機能が回復する可能性があ
 ります。

 多くの場合、入院して治療を受けることになります。
 一方、慢性腎不全では、腎不全の進行に伴って腎臓の機能が徐々に失われ、失われた腎機能が回復する見込みはほとんどありません。

急性腎不全

 急性腎不全では通常、尿の出が悪くなったり(乏尿)、あるいは全く出なくなったり(無尿)します。

慢性腎不全

 慢性腎不全では腎機能の低下の程度が軽い間はほとんど症状がありませんが、腎機能がかなり低下してくると尿の量が増える
(特に夜間)、目のまわりや足のむくみ、疲れやすい、食欲がない、息切れがする、皮膚がかゆいなどの症状が出てきます。

腎臓の仕組みと働き

 腎臓は、背中側の腰のやや上部に左右1つずつあります。
 健康な腎臓はソラマメのような形をしており、握りこぶしほどの大きさで、重さは1個150gほどの臓器です。

 腎臓1個の中には約100万個のネフロン(糸球体と尿細管)とよばれる血液の濾過装置があり、心臓から送り出されてきた血液を濾過
 します。
 血液から濾し出された老廃物は、尿として排出されます。

腎臓の主な働き

 1.体液の調節         尿を多くしたり少なくしたりして、体内の水分量を一定に保つ
 2.老廃物の排泄        老廃物を尿として排泄
 3.電解質の調節        電解質(ナトリウム、カリウム、カルシウム、リンなど)の濃度や量を調整する
 4.酸塩基の調節        血液を弱アルカリ性に保つ
 5.ビタミンDの活性化     ビタミンDは腎臓で最終的に活性化され、活性型ビタミンDとなる。ビタミンDはカルシウム、リン
                のバランスを整え、正常な骨を維持するのに必要なホルモン
 6.エリスロポエチンの分泌   赤血球の産生を促すエリスロポエチンを分泌する
 7.レニンの分泌        血圧を調整するホルモンであるレニンを分泌する

腎臓の機能が低下すると

 ・ 水分が体にたまる…むくみ(浮腫)、高血圧、低ナトリウム血症、肺水腫
 ・ 老廃物が体にたまる…尿毒症(食欲低下、吐き気、嘔吐、意識混濁、けいれんなど)
 ・ 電解質が体にたまる…高カリウム血症、高リン血症
 ・ 血液に酸がたまる…呼吸が速くなったり、電解質バランスが崩れる
 ・ ホルモン異常…貧血、骨がもろくなる、高血圧

どんな生活習慣が腎臓病を招く?

 慢性腎臓病(CKD)には、糖尿病や高血圧、脂質異常症、肥満などの生活習慣病が大きく関与しています。
 これらがCKDの発症リスクを高め、腎機能の低下を加速させることが明らかになっています。

 つまり、生活習慣病のリスク因子である偏った食生活や過度の飲酒、運動不足、喫煙、ストレスなどは、そのままCKDのリスク
 因子としても当てはまります。

 腎臓病はかつて、生活習慣とあまり関係ないと思われていましたが、糖尿病や高血圧を原因とする腎臓病が増えていることから、
 近年ではCKDも生活習慣病の1つと解釈されるようになっています。

 一方、肥満の中でも怖いのは内臓脂肪型肥満です。

 これに高血圧や高血糖、脂質異常などのリスク因子が複数重なった状態をメタボリック・シンドロームといいますが、これらが
 合併するほど動脈硬化性疾患の発症率が高まります。

 高血圧や高血糖の状態が続くと腎臓の動脈も動脈硬化が進行し、血流が滞ってその機能が低下してしまいます。

高血圧や高血糖が原因で腎機能は低下

 高血圧や高血糖によって動脈硬化が進行すると、腎臓の血管も傷ついてしまう。
 その結果、腎機能が低下する。

 また、内臓脂肪型肥満はそれ自体がCKD発症のリスクを高めます。

 内臓脂肪からはアディポサイトカインという生理活性物質が分泌されており、内臓脂肪が増えすぎると同物質がマイナスに働き、
 インスリンの働きを妨害して血糖値を上昇させたり、末梢(まっしょう)血管が収縮して血圧を上昇させたりします。

 つまり、肥満は高血圧、糖尿病、脂質異常症などの元凶で、動脈硬化が促進することで腎臓の働きを悪化させてしまうのです。

生活習慣病を招く食習慣

 肥満の解消は、CKDの発症リスク低下につながります。

 体脂肪量の増減は、食事から摂取したエネルギーと、実際に使ったエネルギーとの差によって起こるため、消費エネルギーより
 食事によって摂取するエネルギーが多くならないように食べすぎに注意します。

 以下のような食習慣も肥満の原因となるので注意が必要です。
(1)食事時間が不規則になる
  生活が不規則で食事の間隔が空くと、お菓子やジュースなどの間食を取りがちになります。
  また、朝食を抜くなどして食事回数が減ると、1回の食事で食べる量が多くなるほか、摂取した栄養を吸収しやすくなって
  肥満につながります。

(2)外食が多い
  一般的に外食は栄養が偏りやすく、炭水化物や脂質を摂取しがちになります。
  外食が多い場合

(3)夜に食べすぎる
  夜は胃腸などの消化管の働きが活発になることから栄養が吸収されやすくなります。
  そのため、夜に食べすぎると余分なエネルギーがたまりやすくなってしまいます。

  一方、糖分や塩分の過剰摂取は糖尿病や高血圧を招く原因となります。
  特に日本人は塩分を取りすぎるといわれています。
  塩分の取りすぎは血圧を上昇させることから、腎臓への負担が増えてしまいます。

喫煙や過度の飲酒もリスク因子

 食事以外の生活習慣病のリスク因子として注意したいのが喫煙です。
 タバコに含まれるニコチンの血管収縮作用により、血管内腔が狭窄(きょうさく)して血圧の上昇と血流の低下を招きます。

 喫煙者はインスリン抵抗性が多く認められ、血糖値が下がりにくくなるといった喫煙と糖尿病の因果関係も解明されつつあ  ります。

 喫煙は脂質代謝にも悪影響を及ぼすといわれていることから、高血圧や糖尿病、脂質異常症の温床にもなっています。
 もちろん腎臓にも影響を及ぼします。

 喫煙で血圧が上昇すると腎臓は血圧を正常値に戻そうとします。
 そのため、タバコを吸うたびに腎臓に負担がかかり、腎臓内の血管にもダメージを与えているのです。

 タバコを1日20本以上吸う喫煙者は、吸わない人に比べて末期腎不全になる

 しかし、過度な飲酒は生活習慣病やCKDのリスクとなります。
 また、適量であっても毎日飲み続ければ体に何かしらの影響を及ぼす可能性があります。

 週に1〜2日は、飲酒しない休肝日を設けるように心がけましょう。
 そのほかのリスクには、運動不足や睡眠不足、ストレスなどがあります。

 特に運動不足が健康に及ぼす影響は、喫煙に匹敵するとの報告もあります。

 肥満などの原因である生活習慣や食習慣の乱れを改善していくことが重要です。

腎臓病を発症しやすくする糖尿病と高血圧
糸球体毛細血管がもろくなりろ過機能が低下

 透析療法導入の原疾患の中で、糖尿病性腎症が占める割合は1985年時点で10%前後でした。
 しかし、糖尿病患者が増え続ける中、現在の糖尿病性腎症が占める割合は40%を超えています。

 糖尿病を放置すると3〜4人に1人は糖尿病性腎症になるともいわれています。
 ではなぜ糖尿病を患うと腎臓の機能が低下するのでしょうか。

 糖尿病はインスリンの分泌異常などによって糖を正常に代謝できなくなる病気です。

 細胞に取り込まれるブドウ糖が血液中に残って高血糖の状態になり、この状態が長く続くと全身でさまざまな血管病変が
 生じます。

 中でも細小血管が障害されやすくなって合併症をきたします。糖尿病性腎症はその1つです。

糖尿病が原因で腎臓病を引き起こす仕組み

 糖尿病によって高血糖の状態が続くと毛細血管などに障害が起きやすくなる。
 その結果、細小血管症などを招く。

 病態は、毛細血管の塊である糸球体の動脈硬化が進んで糸球体毛細血管が硬く厚くなり、膜が崩れやすくなります。
 また、糸球体の血管間にあるメサンギウム基質が拡大して毛細血管を押しつぶし、糸球体全体の毛細血管の破壊が進みます。

 最終的には糸球体のろ過機能が異常をきたし、血管内の老廃物をうまくこし出せなくなります。
 本来はろ過されないアルブミンなどのタンパク質も漏れ出すようになります。

 アルブミンはタンパク質の1種であることから、タンパク尿検査が陽性と診断された場合、本来はろ過されないアルブミンが漏れ
 出している可能性が疑われます。

 尿検査でアルブミン量も測定し、微量でも陽性反応が出たときにはすぐに治療を開始することが大切です。

悪循環を招きやすい高血圧と腎臓病

 高血圧は腎硬化症の原因疾患で、CKDの症状の1つでもあります。
 高血圧になると腎臓を傷めやすく、腎機能が低下すると血圧上昇を招くことから、高血圧と腎臓病は表裏一体の関係にあります。

 悪循環を止めるためには、血圧のコントロールが欠かせません。

 日本高血圧学会の「高血圧治療ガイドライン2014」では、診察室で測定した血圧が収縮期140mmHg以上、または拡張期
 で90mmHg以上の場合を高血圧と定義しています。

 このような高血圧の状態が続くと、大きな血管では傷ついた血管壁にコレステロールなどがたまって動脈硬化が進み、
 心筋梗塞や脳卒中が起きやすくなります。

 腎機能の低下を抑えるためにも、高血圧を解消することが大切です。
 腎臓では、次の3つの工程を経ることで高血圧にさらに拍車がかかってしまいます。

 (1)動脈硬化で毛細血管の血管壁が厚く硬くなり、腎臓への血液の流入が減少する
 (2)血液流入の減少によって毛細血管が変化するとともに、腎臓全体が小さく縮む(腎硬化症)
 (3)腎機能が衰えてとナトリウム排せつ能力が低下すると、体液量が増加するため血圧が上昇する

 この(1)〜(3)の過程では、血流量を増やそうと血圧を上げるホルモンが腎臓で分泌されるため、高血圧に拍車がかかります。
 まずは(1)による動脈硬化を抑制し、高血圧に拍車がかからないよう注意する必要があります。

腎臓病が引き金となる腎性高血圧

 高血圧には遺伝的体質に生活習慣などの環境因子が加わって招く本態性高血圧のほかに、病気によって二次的に発症するものが
 あります。

 中でも腎臓病が原因で高血圧になるものを腎性高血圧といいます。
 腎性高血圧はさらに、腎実質性高血圧と腎血管性高血圧に分かれます。

 腎実質性高血圧は、糸球体腎炎や腎硬化症などの腎臓自体の病気で起こる高血圧です。
 腎機能の低下によりさまざまな調整機能が働かなくなり、塩分や水分が体内に貯留するために高血圧を招きます。

 一方の腎血管性高血圧は、頻度は多くないものの腎動脈に流れる血液量が狭窄(きょうさく)により減ることで起きる高血圧
 です。

 動脈硬化で腎動脈が狭くなり、腎臓は「血圧が下がった」と感知して、血圧を調整するレニン・アンギオテンシン系というホル
 モンを分泌して血圧を上昇させてしまいます。

 腎動脈が狭窄するのは、先天的に狭窄が生じる若年性のタイプと、動脈硬化により起こる比較的高齢者のタイプがあります。
 この狭窄が解除されると血圧の薬が不要になることもあります。

さまざまな原因で発症する腎臓病
日本人に多いIgA腎症

 日本人が患う慢性糸球体腎炎の中でも3〜4割を占めているのが「IgA腎症」です。
 私たちの体は病原体が体内に侵入すると抗体を作って対抗します。

 IgAはその抗体を構成する免疫グロブリンの1種です。

 このIgAが何かしらの免疫反応によって糸球体を支えるメサンギウム領域に沈着すると、領域内の細胞が増殖して糸球体の毛細
 血管を押しつぶしてしまいます。

 その結果、腎臓のろ過機能が低下します。こうした状態をIgA腎症といいます。
 なぜ免疫反応が起こり、かつ長期にわたって持続するのか、発症の原因はいまだ不明です。

 病原体を排除しようとするIgAと抗原が結合した免疫複合体が、何かの原因で腎臓に流れ込むことによって炎症を起こすといわ
 れています。

 典型的には上気道炎の後に増悪し、肉眼で分かる血尿が出たりしますが、こうしたエピソードと無縁の症例もあります。

 扁桃腺が腫れる扁桃炎との深い関連が推定されており、原因となる扁桃腺を摘出し、副腎皮質ホルモン(ステロイド)を多量
 に点滴投与する扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法で軽快、治癒が見られることが報告され、注目を集めています。

両親からの遺伝で発症する多発性嚢胞(のうほう)腎

 遺伝性の腎臓病の代表が「多発性嚢胞腎」です。
 左右両方の腎臓に嚢胞という液体がたまった袋が多数でき、嚢胞が大きくなると腎臓の組織を圧迫します。

 その結果、ろ過機能などの腎臓の働きが阻害されてしまいます。
 症状としては成年期以降に血圧が上昇したり、嚢胞により腫大した腎や肝を腹部に蝕知したりすることがあります。

 この頃より腎機能の低下が出現します。全身の血管にも異常が生じやすく、血圧上昇や脳動脈瘤(りゅう)の合併頻度も通常
 より高率で、脳出血やくも膜下出血の頻度も高くなります。

*** 新型「栄養失調」について ***

カロリーは十分でも必要な栄養素が不足

 かつては栄養失調というと、満足に食事が摂れず、カロリー不足でやせ細っている状態を指していました。
 しかし現代は、カロリーは十分でも健康維持に必要な栄養素が不足している『新型栄養失調』が問題視されているのです。

 現代人に不足している栄養素は、タンパク質や鉄分をはじめとするミネラル類、ビタミンだと言います。

 タンパク質は、筋肉や骨、内臓、血管・血液、髪の毛や皮膚をつくるのはもちろん、感情や感覚を司る脳の神経伝達物質の材料
 にもなる重要な栄養素。

 そのため、不足すると細胞の代謝が悪くなり、さまざまな不調が起こるのです。
 具体的な症状としては、疲れやすくなる、皮膚のツヤがなくなる、髪の毛が細くなるなど。

 つまり、老化が一気に加速することに。

 タンパク質不足の状態が続くと、筋肉量や骨量が落ち、立つ・歩くなどの機能が低下する『ロコモティブシンドローム』の状態
 を招き、寝たきりのリスクを高めてしまいます」

コレステロール値を気にしすぎないで

 では、なぜ新型栄養失調に陥るのでしょうか。

 主な原因として、インスタント食品やおにぎり、惣菜パンなどの加工品で空腹を満たすことが多くなったことによる、ビタミン
 やミネラル;の不足が挙げられます。

 女性は閉経前後にコレステロールや血圧、中性脂肪の数値が高くなるため、コレステロールを多く含む肉や卵を控える傾向があ
 ります。

 けれど、コレステロールは細胞を守る細胞膜をつくる成分で、疲労回復や代謝促進の働きをするホルモンの材料でもあります。

 ストレスを受けた時には抗ストレスホルモンとしても働くので、特に持病がなければ、コレステロール値を気にせず、肉も卵も
 魚もしっかり摂ってほしいです。

 成人女性の1日に必要なタンパク質量は平均約50グラム。
 タンパク質は絶えず分解・合成を繰り返しているため、常に補給する必要があります。

 意識して摂るようにしましょう。
 加えて、50代以降の女性に必要なのが鉄分だそう。

 鉄欠乏の症状は、疲れやすい、立ちくらみやめまい、
 イライラ、動悸・息切れ、むくみなど、更年期症状と似ています。

 ですから、鉄欠乏のまま更年期を迎えると、ダブルパンチで苦しむことになるのです。

 タンパク質には、大豆製品などに含まれる植物性のものもありますが、体に吸収されやすいのは、肉や卵などの動物性タンパ
 ク質です。

 また、肉には鉄分、しかも吸収効率の高いヘム鉄が豊富。
 肉食こそが、50代以降の健康維持の秘訣です。

 いつまでも若々しく元気でいるためには、何をどのくらい食べればいいのでしょうか。

あなたの栄養は足りている?

≪新型栄養失調のリスクをチェック≫
□ 甘いものを食べるとイライラや不安感が収まる気がする
□ 夕方に強い眠気を感じたり、集中力が落ちたりする
□ 若い頃より脚が細くなってきた
□ 健康のために、野菜中心の食事をしている
□ 加工食品をよく食べる
□ ささいなことでクヨクヨしがち
□ 常にストレスにさらされている
□ ダイエット&リバウンドを繰り返している
□ シミやシワが目立つようになった
□ めまいや立ちくらみをよく起こす

 1つでも当てはまるものがあれば、新型栄養失調の疑いが。食生活を見直してみましょう。

効率よく栄養を摂るための食事術

 日々の食事でタンパク質、ビタミン、鉄分をしっかりチャージして、心身の不調とサヨナラしましょう!

■《ポイント1》脂肪の少ない赤身肉を選ぶ

 肉を選ぶときは、赤身肉を。脂身の多い肉より、タンパク質や鉄分、ビタミンB群が豊富です。
 牛、豚、鶏肉をバランスよく食べるよう心がけてください。

 調理法は、糖質やカロリーの摂りすぎを防ぐためにも、焼く、
 ゆでるなど、シンプルな方法で。

 味つけも、塩コショウにレモン、大根おろしと醤油、からし醤油などがベスト。
 素材の味も生きてきます。

 なお、肉だけでは栄養が偏るので、魚介類や卵、大豆製品などもまんべんなく食べること。
 1回の食事で、肉+そのほかのタンパク質源をセットで摂るようにするとよいでしょう。

■《ポイント2》野菜は“箸休め”の感覚で

 タンパク質同様、健康維持のためにはビタミンやミネラル、食物繊維も毎日補う必要があります。
 1日に必要な野菜の量は350グラム。目安としては小皿5皿分です。

 野菜を先に食べると、満腹になって肉が食べられなくなってしまうことも。
 野菜は“箸休め”の感覚で摂るといいでしょう。

■《ポイント3》食べられない場合は小分けにして食べる

 肉や魚を一度にたくさん食べられない場合もあるでしょう。
 朝昼晩の食事に加え、夕方と寝る前の“ちょこっと食べ”がおすすめ。

 小分け食のほうがより効率よくタンパク質を消化吸収できます。
 1回の量は100キロカロリー程度。

 牛乳や無糖ヨーグルト、チーズなどの乳製品がおすすめです。

■《ポイント4》植物性タンパク質は動物性と一緒に摂って吸収率をアップ

 豆腐や納豆などの植物性タンパク質は、動物性タンパク質と合わせて摂りましょう。
 体に吸収されるタンパク質の量が、格段に増えます。

 たとえば健康ドリンクとして人気の豆乳きなこドリンクは、大豆が原料のためプロテインスコアが低く効果的ではありません。
 豆乳を牛乳に置き換えれば、植物性・動物性いずれのタンパク質もしっかり摂ることができます。

【大豆製品の食べ方】

 納豆には生卵をプラスしたり、マグロの刺身と合わせて「マグロ納豆」に。
 麻婆豆腐や肉豆腐、納豆オムレツなど、豆腐や納豆に肉や卵を合わせた料理もおすすめ。

*** 不定愁訴について ***

原因不明の体調不良(不定愁訴)とは

 不定愁訴とは、全身のさまざまな不調を強く訴えるものの、病気などの原因が特定できていない状態を指します。
 一日のうちで訴える症状が変わる場合もあり、環境の変化やストレスなど、さまざまな要因で引き起こされると考えられています。

不定愁訴の症状

 不定愁訴は、「なんとなく体調が悪い」という自覚症状を感じます。また以下のような多岐にわたる症状が出ます。

倦怠感・体がだるい

 起床時や疲れているとき、食事を摂った後などに体がだるいと感じることはほぼすべての人が経験することです。
 ただ、それが1日中続いたり、何日間もやる気が起きなかったりするなど生活に支障が出る程度になると、病気が隠れている可能性
 もあります。

倦怠感・体のだるさの症状

 具体例としては
 ・体が重く感じる
 ・頭がボーっとする
 ・やる気が起きない
 ・無表情になる
 ・立ち上がることがしんどく、横になったり座っていることが増える
 などがあります。また、吐き気や頭痛を伴う場合もあります。
 人によって程度は違いますが、こうした症状が長く続くと生活に支障が生じます。
 通院や服薬の必要性が出てくることがあります。

倦怠感・体のだるさの原因
生活習慣や睡眠サイクル

 生活習慣や睡眠時間などが関係してくる場合が多いです。
 ファストフードばかりを利用していたり、睡眠時間を極度に削っていたりする人に見られ、常に体がだるいと感じる人がいます。

 また、朝から晩まで働いていて、過労で体がだるいと感じる人もいます。
 心身が疲れると症状が起きやすくなるので適度に休みを取ることが必要です。

季節の変化や天候

 季節の変わり目や天候の変化、気圧の変化などによっても倦怠感を感じる人も少なくありません。

病気

 風邪による発熱など、特定の病気による症状としてだるさを感じることはありますが、これは一時的なものです。
 長引く場合は、自律神経失調症やうつ病、適応障害といったこころの病気の可能性もあります。
 これらは誰にでもかかる可能性のある病気です。症状が長引くようであれば受診してみましょう。

倦怠感・体のだるさの治療法
セルフケア

 体がだるいと感じたらすぐに体を休めるための予防策が必要となってきます。
 睡眠時間を長くしてみたり、生活習慣に気をつけたりすることも予防に繋がる場合もあります。

 体は、自分が思っている以上に疲れていることも少なくないのです。常日頃から自分の体をいたわって大切にする習慣をつけましょう。

病気の治療

 病気が原因の場合は、その病気ごとの治療を行っていきます。

 こころの病気では、対症療法として薬を服用しつつ、生活習慣の改善や環境改善、自分の考え方の偏りを整えていく認知行動療法
 などが用いられます。

動悸がする

 心臓の強さ・速さ・リズムのどれかが正常の範囲から乱れている状態です。
 普段よりも心臓の拍動が強くなったり、速くなったりする症状がみられます。
 安静時に動悸を感じる場合は、心臓の機能が落ちるような疾患や貧血、精神的な疾患などが背景に隠れている可能性もあります。

緊急で受診が必要な場合

 以下のような場合は、緊急で受診が必要です。
 ・30分以上動悸が続く
 ・呼吸が苦しい
 ・意識がもうろうとする
 ・冷や汗をかいている
 ・胸がしめつけられるように痛む など

動悸の原因と対処法

 健康な方でも、運動や精神的ストレス、血圧が上昇した際に動悸を感じることがあります。
 ただ、頻繁に動悸がある場合は何かしらの病気が隠れている可能性があります。

 動悸以外の症状もあればメモをして、内科や循環器内科を受診しましょう。
 主な動悸の原因には以下が挙げられます。

心臓の病気

 心臓の病気によって、不整脈や心不全、心房細動などを起こしている可能性があります。必要であれば、外科的な手術やカテーテル
 治療が行われます。

≪精神疾患≫
 うつ病やパニック障害、適応障害、心気症などの精神疾患によって、動悸の症状が出ることがあります。
 その場合は、精神疾患の治療を行います。

更年期障害

 女性の場合、更年期や妊娠中など、女性ホルモンの分泌量の変化が原因で動悸の症状が出ることがあります。
 日常生活に差し支えが出るほどの場合は、早めに婦人科や産婦人科に受診しましょう。

カフェインなどの大量摂取

 コーヒーや紅茶などのカフェインが多く含まれた飲み物を多く摂取すると、動悸が起こることがあります。
 他にアルコールの飲みすぎや、タバコの吸いすぎでも動悸が起こることがあります。

 これらの物質は自律神経を刺激して、心拍数を速めるため動悸を起こす原因となります。
 カフェインやアルコール、タバコを控え、それでも改善しないときは受診しましょう。

ストレス

 精神的ストレスによって頻脈になったときや、血圧が上昇して心機能が亢進したときに動悸を感じることがあります。
 単に精神的要因だけで動悸が生じることもあります。

 内科や循環器内科で検査をしても異常が見つからない場合は、精神的なものが原因かもしれません。
 心療内科や精神科を受診してみましょう。

薬の副作用

 薬の副作用が原因で動悸が起こる場合もあります。
 服用中の薬に副作用として動悸が挙げられている場合や服用後に動悸を感じた場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

そのほか動悸が起こる病気  心臓自体に病気がなくても、甲状腺機能亢進症や低血糖症、貧血などの病気によっても動悸が起こります。

動悸の予防
カフェインの摂取を控える

 カフェインやアルコールを多く摂取すると動悸が起こります。摂りすぎている自覚がある方は飲む量を控えるようにしましょう。
 タバコも同様です。

ストレスを解消する

 動悸の原因が精神的なものと考えられる場合は、以下のことを心がけましょう。
  ・気分をリラックスさせる方法を見つけておく
  ・意識して深呼吸を心がける
  ・腹式呼吸をする
  ・ 水分をこまめに取る
  脱水症状から動悸が起こることもあります。
  夏場やお風呂上り、運動時など汗をかいたときは、十分に水分補給をしましょう。

病気がある場合は治療に専念する

 心臓やそのほかに病気に起因する場合、まずは治療をすることが動悸の予防になります。

肌のかゆみ

 かゆみには全身性のものと部分的なものがあります。
 また、発疹が出ている場合と出ていない場合とでも分類されます。

 原因になる疾患はさまざまですが、主なものは蕁麻疹やアトピー性皮膚炎などです。

 かゆみを防ぐためには、毎日の生活の中でのストレスに対する改善策や、じゅうたんにいるダニなどを取り除くために生活環境を
 清潔に保つことが必要です。

肌のかゆみの症状

 かゆみの症状は、皮膚や眼球(結膜)、鼻の粘膜などに起こる、思わず引っ掻きたくなるような感覚のことです。
 むずむずとした感覚があります。

 しかし、引っ掻くという行為はあながち間違いではなく、外的原因であれば皮膚などについた有害物質を落とすことができます。

 もとより脳は有害なものを感じると痛みとして排出させようとしますが、それほど有害ではないものの、このまま付着していると
 有害になる物質をかゆみという症状で認識するのです。皮脂などはこれにあたります。

 一方内的原因の場合は、掻いている間は圧力がかかってむずむずとした感覚がまぎれるものの、掻かなくなるとかゆみがひどくなる
 場合があります。

 これは掻くことで原因となるものをはらい落とすことができないためですが、脳はその原因がどこにあるかまでは判別できないため
 常に症状が出ます。

 それに気づかず引っ掻くことで皮膚や粘膜が傷つけられ、皮膚がはがれることによって出血することもあります。

肌のかゆみの原因
発疹がある場合に疑われる病気

 ・接触性皮膚炎
 ・アレルギー性皮膚炎
 ・蕁麻疹
 ・疥癬
 ・白癬
 ・手湿疹
 ・尖圭コンジローマ
 ・肝障害
 ・水疱瘡(みずぼうそう) 
 などが挙げられます。

 接触性皮膚炎では虫・植物・化学物質などが原因の場合があり、アレルギー性皮膚炎は接触よりも摂食・吸引(呼吸)などによって
 引き起こされるケースが多いとされています。

 白癬などカビなど真菌によって引き起こされるケースもあり予防として清潔を心掛け常在菌バランスを崩さない生活をする事も重要
 になります。

発疹がない場合に疑われる病気

 ・結膜炎
 ・皮膚掻痒症
 ・外耳炎
 ・外陰炎
 ・慢性腎不全
 ・アレルギー性鼻炎

 また、糖尿病や腎不全などでは全身的にムズムズとしたかゆみを感じます。

心因性のかゆみも

 かゆみは痛覚の一つで、細菌などによる炎症や緊張などの心因性・環境誘発因子(埃など)によっても起こります。

肌のかゆみの予防/治療法≫

 主に薬剤療法による治療が一般的です。
 かゆみ止めとして抗ヒスタミンやステロイドなどの内服薬・塗布薬・点眼薬・点耳薬が処方されます。

免疫機能低下によるかゆみ

 糖尿病や腎不全など免疫機能低下によって引き起こされるかゆみについては、その病気の治療が先決になり、根治できない疾患
 ではかゆみに対する対症療法になります。

真菌によるかゆみ

 白癬や疥癬など真菌による皮膚疾患では抗真菌薬を内服、塗布して治療を行います。

アレルギーによるかゆみ

 アレルギー性のかゆみ対策では原因物質であるアレルゲンに接触しないように注意することが最も有効な予防法です。
 接触した場合は皮膚疾患以外のアナフィラキシーショック(呼吸不全など)に注意します。

 入浴や季節性による乾燥が原因では保湿剤を塗布して予防に努め、アレルギー性でも保湿剤を常に塗布する予防法が効果が高いと
 評価されています。

 入浴の際にもタオルやナイロンタオルで擦らないように注意し、刺激の少ない衣類(綿)を使用するといいでしょう。

≫戻る

耳鳴りについて

耳鳴りとは

 耳鳴りとは、実際には音がしていないのにもかかわらず、キーンやジーというような音が聞こえるように感じる現象のことです。
 それ自体が病気というわけではなく、症状の1つだと言われています。

耳鳴りの症状

 耳鳴りは、耳元で「キーン」「ジー」や「ザー」といった実際にはしていない音が自分にだけ聞こえるように感じる現象のことです。
 人口の10?15%程度の人が経験したことがあると言われています。

 耳鳴りは聞こえてくる音によって分類されています。
 例えば、キーンやピーと言った金属音や電子音などの、比較的高めの音が聞こえてくる場合は、高音性耳鳴りに分類されるなどです。

 また自覚的耳鳴りの症状がある人の約9割に、難聴の症状があるとも言われています。
 それに対して、聴診器をあてることで誰にでも聞こえるようになる耳鳴りのことを「他覚的耳鳴り」と言います。

 この場合、呼吸や心臓の音、血液の流れる音などが聞こえています。

耳鳴りの原因
環境や病気が原因の場合

 耳鳴りは、健康な人でも飛行機の離陸の際などに圧がかかると一時的におこることもあります。
 また、突発性難聴や老人性難聴、メニエール病、聴神経異常などが原因となり、耳鳴りを発症してしまうこともあります。

精神的ストレスが原因の場合

 耳の機能に問題がなく原因不明とされる場合も多いのですが、近年の研究によって「ストレス」が関わっている可能性があることが
 わかってきました。

 ストレスは自律神経系のバランスを崩し、耳鳴りを起こすと考えられています。
 過労や仕事上などのストレスによって自律神経系に異常が起こっていて、それによって耳鳴りの症状が出ていたという人もいます。

 病院へ行っても異常なしと診断されて終わってしまう場合は一度、ストレスが原因ではないかと疑ってみてもいいかもしれません。

耳鳴りの予防/治療法
眠不足になることを避けることです

 疲れてきたなと感じたら休む、平日はともかく休日は仕事から離れてしっかり休息を取るということも予防につながります。

食欲不振・拒食

 食欲不振とは、食べ物を食べたいという気持ちが低下したり、なくなったりする状態を指します。
 食欲不振の原因は、ストレスや疲労、消化器疾患、精神疾患、薬の副作用などさまざまです。

 症状が進行すると、脱水や極端な体重減少を起こしてしまうため受診しましょう。

食欲不振・拒食の症状
栄養不足・栄養障害

 栄養障害とは食べ物が偏っていたり、消化管のトラブルなどで食べ物の消化や栄養の吸収がうまくいかず、身体のあちこちの機能に
 悪影響が出たり、機能不全を起こしたりするものをいいます。

栄養不足(栄養障害)の症状

 人間の体は古いものを排出し、絶えず新しいものを作っているので、常にそのための栄養素を必要としています。
 栄養不足(栄養障害)になり、体に必要な栄養素が足りなくなると、体の代謝が妨げられ、様々な部分に異常が現れてきます。

 まず、筋肉量が減少し、筋力が低下していきます。
 次いで、体内のたんぱく質の量も減っていき、肝臓や筋肉で新たに組織を作る能力も低下していきます。

 それに伴って、免疫能力や傷を治す能力も低下し、抗体の生産がされにくくなり、感染症のリスクが高まります。
 ちょっとした外傷や風などが重傷化しやすくなります。さらに栄養が不足してくると、主要臓器の機能不全に陥ります。

 栄養障害を全体像としてとらえると上記のような症状が現れますが、もう少し焦点を絞っていくと、特定の栄養素の不足により生じる
 症状が見えてきます。

 たとえば、ビタミンAが不足すると、目の暗順応障害が起こります。
 また、目の角質化により眼球乾燥症の症状も現れます。
 角質化は目だけでなく、皮膚、呼吸器、消化管および尿路の粘膜にも起こります。

 葉酸が不足した場合には、舌炎、下痢、うつ状態、体重減少などの症状が出ます。
 妊娠中の場合には、胎児に脳障害が出る恐れがあります。

栄養不足(栄養障害)の原因

 栄養不足は身体の維持に必要な栄養量の摂取が適切でなかったり、栄養成分のバランスが崩れていたりすることによって身体の機能に
 ダメージが生じてしまうことで、栄養過剰と低栄養の二種類あります。

 しかし通常は後者の低栄養を指し、ストレスや食事の摂取不足に起因する栄養失調と同義です。
 一般的には体重が標準より二割以上減少していたり、過去半年以内に元の体重より一割以上減った場合に問題視されます。

 食事による栄養素の摂取が不十分であったり、体内での吸収や利用における障害や体組織崩壊によって栄養素が不足した状態のことで
 あり、下痢や貧血、体温の低下、低血圧、感染への抵抗力低下、発育不良、無気力、疲労感などが伴います。

 栄養不足には主に四つの直接的要因が考えられています。
 一つ目は食事の摂取量の不足です。

 原因として消化器疾患による食欲不振、悪性の腫瘍による消耗性疾患、うつ病などの精神疾患、神経性の食欲不振症、内分泌疾患など
 が挙げられます。

 二つ目は消化吸収障害で、消化性の潰瘍や慢性的下痢を伴った疾患、吸収不良や寄生虫によるもの等が原因として疑われます。

 三つ目は糖尿病などによる栄養素利用障害、四つ目が代謝亢進によって熱量の消費が増大する現象によるもので、慢性的感染症や内分
 泌疾患の症状として現れます。

栄養不足(栄養障害)の予防/治療法

 標準体重よりも今の体重が20%以上へっている状態を栄養障害といいます。
 また過去6カ月以内に以前の体重から10%以上の体重減少があった場合も同様にいいます。

 一般的に栄養障害は4つに分類されています。
 1つ目には食事の摂取量減少がおこる内分泌疾患があり、
 2つ目には慢性の下痢を伴う消化吸収障害、
 3つ目には糖尿病などの栄養素利用障害、4つ目には代謝亢進による熱量消費の増大がおこる内分泌疾患や感染症があげられます。
 基本的な治療の流れとしては、病気のことを理解し、今の患者の食欲や食事摂取状況を詳しく聞きながら必要な検査や診断をすみや
 かに行い病態に応じた適切な治療をすすめます。

 栄養障害患者のほとんどはたんぱく質や炭水化物、水、ミネラルやビタミンなどの摂取量を徐々に増加する必要があります。

 病院などの医療機関では、医師や栄養管理士、栄養専門看護師、心理士、ソーシャルワーカーなどがチームとなって患者個人にあっ
 た栄養失調の改善プログラムを実施していくのが望ましいと考えられています。

 また本来、経口摂取が望ましいがどうしても困難な患者では経皮内視鏡的胃瘻も効果があるとの報告があります。

≫戻る

≪便秘≫について

便秘とは

 便秘とは、排便回数や量が少ないことで腸内に便がとどまることを指します。
 不快感だけではなく、イライラや不眠、頭痛、肩こり、肌荒れなど別の症状を引き起こす原因にもなります。

便秘の症状

 排便習慣や便の性状は個人差が大きく、その時々の食事や睡眠、運動の状態を反映します。
 そのため、どこからが便秘という明確な線引きはありません。一般的には以下の症状が便秘と呼ばれています。

 ・排便が週に3回未満
 ・4回に1回以上は、残便感や閉塞感がある
 ・4回に1回以上は、強くいきまないと出ない
 ・4回に1回以上は、硬い便が出る
   ・排便の回数が減少
 ・排便が困難
 ・硬い便が出る
 ・毎日排便があっても残便感がある状態

便秘に伴うさまざまな症状

腹痛
 便秘だと必ず腹痛が起こるというわけではありません。しかし、けいれん性便秘や器質性便秘の場合は腹痛を伴うことがあります。

おなかの張り
 腸の中に便やガスが溜まり過ぎることで腸の圧が上がり、お腹の張りとして自覚します。

口臭
 長期間にわたって便が溜まってしまうと、腸の中で便が発酵し、腐敗することがあります。
 溜まった便から発生した有害物質は、腸から血液中に溶け出し、息に交じることで口臭が現れます。

食欲不振
 お腹の張りや痛みなどで、食べる気が起こらなくなることがあります。

吐き気
 大腸の中に便が多く溜まると消化管の圧が上がり、吐き気が起こるのではないかと考えられています。
 また、便を出そうとする自律神経(副交感神経)が働きすぎることで、吐き気を招く可能性もあります。

便秘の原因

機能性便秘
 消化管の機能低下が原因で便秘になるものです。
 結腸通過時間遅延型、結腸通過時間正常型、便排泄障害型の3つに分類されます。

● 結腸通過時間遅延型便秘
 運動不足、食物繊維不足、過度なダイエットなどが原因で、腸の動かしてくれる筋肉がゆるみ、ぜん動運動が弱くなります。
 長時間にわたって便が腸内に停滞するため、便は硬くなり、便秘を引き起こします。

● 結腸通過時間正常型便秘
 精神的ストレスや、過敏性腸症候群で、ぜん動運動が不安定になり、便をうまく運ぶことができなくなります。
 コロコロとした便になることが特徴です。残便感があり、下痢や便秘を繰り返すこともあります。

● 便排泄障害便秘
 浣腸の使い過ぎなどで排便の反射がおこりにくくなり、排便しにくくなる病態です。

器質性便秘
 腸に器質的な原因があることで、物理的に通過障害を起こしている状態です。
 大腸がん、直腸がん、腸閉塞、子宮筋腫などの病気が挙げられます。

症候性便秘
 糖尿病やパーキンソン病、膠原病など、神経の動きが低下する病気は、腸の動きが正常ではなくなり、便秘を引き起こします。

医原性便秘
 「医原性」とは、「医療行為が原因となって起こる」という意味です。
 原因となる医療行為には、消化器・泌尿器・婦人科系の手術などが挙げられます。
 術後、腸が一時的に麻痺したようになり、ガスや便が出にくくなることがあります。

● 薬剤性便秘
 抗うつ剤や医療用麻薬など、薬の副作用で便秘が起こることがあります。

便秘の対処法

運動
 体を動かすことによって、腸のぜん動運動を促すことができます。
 運動不足の人は、ストレッチやウォーキングなどから始めてみましょう。

水分補給
 水分をしっかり補給して、便を軟らかくします。

食物繊維の摂取
 食物繊維で便を軟化、膨化させることで排便が起こりやすくなります。
 ゴボウやきのこ類、セロリ、こんにゃくなど、食物繊維の多い食材をしっかり食べましょう。
 ただし、機能性便秘の結腸通過時間遅延型では、食物繊維の摂取により停滞している便の容積が増大し、症状が悪化する可能性が
 あるため、注意が必要です。

善玉菌を増やす
 ヨーグルトやオリゴ糖、味噌など、腸内の善玉菌を増やす役割のある食品を取り入れてみましょう。

ストレスの解消
 精神的に強いストレスがかかると、自律神経が乱れ便秘になるとともに、吐き気が現れることもあります。
 まず自分にとって何がストレスになっているかを分析し、対策をすることが大切です。
 可能であれば、自分なりに環境調整をしてみてください。

便秘の予防

日頃から意識して水分を補給する
 水分が摂れていると、食物繊維が水分を吸収して便のカサが増えます。
 腸のぜん動運動も活発になるため、排便しやすくなります。

 こまめに水分補給をして、便秘を予防しましょう。
 特に、朝の水分補給が大切です。朝に水や白湯を飲むと、消化器官が一気に活動し始め、排便を促します。

ストレスの解消法を決めておく
 自律神経のバランスを整えることで、腸の動きはスムーズになります。
 運動や音楽鑑賞、お風呂など、自分が癒やされるものでストレスを解消しましょう。

しっかりと睡眠をとる
 睡眠は副交感神経を活発にし、排便のための腸の動きを助けます。
 自律神経と腸は切ってもきれない関係のため、睡眠は十分にとりましょう。

≫戻る

≪下痢≫について

下痢とは

 液状の便が出てくることを下痢と言います。
 理想的な便は、硬さ・形がバナナのような状態のもので、柔らかい便は「軟便」、水のような便は「下痢便」と呼びます。

 ウイルスや細菌、食中毒、消化不良、腸内部の腫瘍、ストレスなど、さまざまな原因で下痢になります。

緊急で受診が必要な下痢の症状
 以下のような下痢の場合は、緊急で受診が必要です。
 ・経験したことのない激しい下痢
 ・下痢に血が混ざっている
 ・嘔吐・高熱を併発している
 ・激しい腹痛(排便後も改善しない)で、生活に支障がある
 ・水分をとれない

下痢細菌やウイルスなどの感染

 細菌やウイルスなどが身体に入ると、いち早く体の外に出そうと腸の分泌液が過剰に増加するため急な下痢が起きやすくなります。
 ノロウイルスやロタウイルス、サルモネラやカンピロバクターなどが挙げられます。

食べ過ぎ・飲み過ぎ
 暴飲暴食をすると、腸管の運動が異常に活発になり、体内に水分が十分に吸収されないまま腸を通過し、下痢を起こしてしまいます。
 暴飲暴食をしなかったとしても、天ぷらや豚カツなど揚げ物、ケーキや肉など脂肪分の多い食べ物は、下痢になりやすいため、お腹
 の調子を見ながら食べるようにしましょう。

 虫歯予防用のガムや飴、ダイエット食品などに使用されているキシリトールなどの人工甘味料も、摂りすぎると下痢が起こることが
 あります。

薬の副作用
 抗菌薬や非ステロイド系消炎鎮痛剤、抗がん剤、免疫抑制剤など一部の薬は、副作用として下痢の症状が起こりやすいです。
 薬の服用で下痢の症状が出た場合は、使用を中止して、医師に連絡してください。

過敏性腸症候群(IBS)
 便が柔らかくなったり固くなったりして何カ月も便通が不安定、排便で不快感が治まるなどの症状があれば、過敏性腸症候群の可能
 性があります。

 精神的な要素で良くなったり悪くなったりします。
 下痢を繰り返している場合や、日常生活に支障が出ている場合は、一度受診することをおすすめします。

大腸がん
 大腸がんが進行した場合、下痢と便秘が繰り返す症状がでる場合があります。血便を伴うこともあります。
 下痢が長引くときは、一度大腸がん検診を受けましょう。

炎症性腸疾患
 まれな病気ではありますが、クローン病や潰瘍性大腸炎では、慢性的な下痢と腹痛の症状が出ます。血便を伴うことも多いです。
 腸の炎症を抑える内服薬など、治療が必要になります。

下痢の対処法

水分補給
 下痢になったら、水分補給には特に気をつけなければいけません。
 特に子どもやお年寄りは、下痢によって脱水症状が急に進むことがあります。

 水分補給を心がけ、一口ずつの水分補給が無理であれば「ひと匙」からの水分補給をしていきましょう。
 水やお茶より水分と塩分の入っているスポーツドリンクや、経口補水液がよいでしょう。

消化によい食事
 下痢の間は、おかゆやうどんなど消化によい食事にして、アルコールや辛いもの、カフェインなどの刺激物は控えましょう。
 また、氷入りの飲み物など冷えているものは避けて、常温や温かいものを摂るようにしましょう。

下痢が長引く場合は受診
 下痢は体にとって害あるものを排出しようとする働きであったり、腸内環境や心理状態を訴える体のシグナルとなっていたりします。
 なかなか改善しない場合は、消化器内科などで適切な処置を受けることが大切です。

 下痢の状態や、1日の排便回数、痛みの有無などをメモしておくと医師にスムーズに伝えられます。

≫戻る

≪肩こり≫

 肩こりの症状は、肩の重くだるい感じや張り、痛み、頭痛、気持ち悪さなど多岐にわたります。
 パソコン作業などが続いて猫背になると、首が前に曲がった姿勢が続きます。

 そうなると、首や肩から背中の筋肉で、前に倒れた頭の重さを支えなければならず、肩こりにつながります。
 姿勢の改善、同じ姿勢を続けずにこまめに休憩やストレッチをすることで肩こりの予防・改善が期待できます。

肩こりの症状
 肩に重たさ、張り、痛み、だるさを感じます。
 症状が重くなると、吐き気や頭痛が起こることもあります。

 肩以外にも首に締め付けられたような感覚を覚えたり、目の奥に痛みがでたりすることがあります。

肩こりを伴う主な病気
● 四十肩・五十肩
 四十肩・五十肩は「肩関節周囲炎」とも言います。
 加齢にともない、肩関節とその周辺の組織が慢性的な炎症を起こし、腕を上げたり、後ろに腕を回す動作が痛みのために制限されます。

● 変形性頸椎症
 加齢とともに、首の骨と骨の間をつなぐ椎間板の弾力が減少することで起こります。
 弾力が減少すると、椎間板に接している椎骨がトゲのように変形します。

 このトゲが、頸椎の間から肩に向かって出る脊髄神経を圧迫して刺激し、首や肩、腕などに痛みやこり、しびれの症状が現れます。

● 更年期障害
 閉経の前後の約10年間を指す更年期を迎えると、ホルモンバランスが急激に変化し、心や体にさまざまなトラブルを引き起こします。
 肩こりのほかにも疲れ、だるさ、のぼせやほてり、イライラや不安感などの症状が現れます。

肩こりの原因

 肩こりには、生活習慣や普段の姿勢が大きく影響しています。
 まずは生活習慣を見直し、原因から改善するようにしましょう。

肩周りの血行不良
 肩こりは、肩甲骨周囲の筋肉の張りが原因と考えられます。
 そのあたりの血流が低下してしまうことで、筋肉がこわばり、肩こりにつながります。

 同じ姿勢で長くデスクワークをしたり、冷房の効きすぎる場所で薄着でいたり、運動不足になると血行不良に陥ります。

合わないブラジャーの着用
 女性は、バストの重みを支えなければならないため、肩に負担がかかります。
 合わないブラジャーを付けていると、肩の負担はさらに大きくなります。

 購入の際は、サイズを都度測るなど、注意が必要です。

肩こりの対処法

血流をよくする
 血流をよくするために、あったかいお風呂に入ったり、温かいタオルを使ったりして肩周りの筋肉をほぐします。
 冷たいものの摂りすぎも控えましょう。

デスクワークの際は休憩を挟む
 特にデスクワーカーは、同じ姿勢で長時間過ごしてしまうことが多くなります。

 厚生労働省が定めたVDT作業(コンピューターを用いた作業)ガイドラインに従い、連続したデスクワークは1時間を超えないようにして
 作業と作業の間は10〜15分休憩しましょう。

目を休める
 眼精疲労による肩こりは、肩の痛みだけでなく、頭痛や吐き気など、さまざまな症状を引き起こします。
 まずは目を閉じて、意識的に休めることから始めましょう。

 日常的にパソコンを使っている人なら、ディスプレイと目との距離をできるだけ離すようにしたり、「輝度」の設定を下げてみたり、
 さを調整したりして、背筋がまっすぐ伸びるようにするなどの工夫が有効です。

マッサージをしてみる
● 鎖骨
 親指以外の指を鎖骨の下のくぼみにあてて、中指で押します。
 そして、中指で押しながら肩を上下に動かします。上下に動かした後は肩を回します。

● 肩井(けんせい)
「肩井(けんせい)」というツボが、首の付け根と肩先の中間地点にあります。
 ここを反対側の手で押しながら深呼吸をします。

 そして、肩井を押しながらゆっくり腕を真上にあげ、後ろに回します。
 この後、肩井の周りを手でマッサージします。

枕を変えてみる
 枕の高さがあわないと血流が悪くなり、肩こりや頭痛の原因になります。そのうえ、睡眠不足や体調不良にもつながります。

● バスタオル枕
 バスタオル枕を試してみましょう。
 まずバスタオルを広げ、次に縦半分に折ると、細長い形状になります。さらにそこから半分に折ります。

 そのあと、レストランで出されるおしぼりのような形状に、端からくるくると丸めて、両端をゴムや紐で止めて完成です。
 これを、自分に合うように調整して首のくぼみに入れて眠ります。

 旅先で枕が合わなくて眠れない際も作ることができておすすめです。

● 横向き用枕
 枕を購入する際は、仰向けになったときの首の高さを基準に選ぶため、横向きになったときに肩がまくらでは支えきれず肩こり
 を引き起こします。

「横向き用枕」であれば、頭、肩、首、腕を支えて頭の重みを効率よく分散してくれます。

≫戻る

冷え性について

冷え性とは

 冷え症とは、四肢などを中心に体に冷えを感じることを指します。
「冷えは万病のもと」と言われ、肌荒れや生理不順、腹痛、体のだるさ、寝つきの悪さなどにもつながっていると考えられています。

冷え性の症状

 冷え性は、手足をはじめとする体に冷えを感じます。
 筋肉量の違いから、男性よりも女性のほうが冷えを感じやすいです。

冷えによって起こる症状

 ・寝つきや寝起きが悪くなる
 ・体がだるくスッキリしない
 ・頭痛
 ・肌荒れ
 ・生理痛?
 ・生理不順
 ・肩こり
 ・便秘 など

冷え性の原因

 冷え症の原因には、以下が挙げられます。
 ・食事を抜いている(断食、置き換えダイエットなど)
 ・ビタミンやミネラル不足
 ・エアコンの効いた部屋に長時間いる
 ・季節に適さない薄着
 ・運動不足や筋力の低下 など

冷え性の予防

 意識して生活習慣を変えることで、冷え症を防ぐことができます。

ビタミンやミネラルの豊富な食事を心がける

 ビタミンやミネラルを多く含む食材としては「牡蠣」がありますが、日常的に食べることは非現実的でしょう。

 食事でビタミン・ミネラルを十分に摂れない場合は、サプリメントで補ってもよいでしょう。
 特にビタミンEは、血行促進の作用があるため、冷え性の人は積極的に摂取したい栄養素です。

甘いものを控える

 糖分には体を冷やす作用があります。過剰摂取はやめましょう。

冷たい飲み物を控える

 暑いときに冷たい飲み物を飲むと体を冷やしてくれますが、飲みすぎると冷えにつながります。
 できる限り、飲み物は常温で飲むようにしましょう。アイスやかき氷なども、食べすぎないよう意識してください。

運動する

 運動は、血液の循環をよくし体全体を温めてくれます。筋力も上げることができるため、積極的に体を動かして体を温めましょう。
 ウォーキングや軽いスクワットを続けるだけでも効果は出るでしょう。

湯船につかる

 忙しいとついシャワーで済ませてしまいがちですが、体を手っ取り早く温めるには湯船につかるのが一番です。

 新陳代謝が上がるので、血液の循環もよくなり、冷えを予防します。

体を温める食材選びをする

 冷え性対策には、体を温める効果がある物を中心に食べるとよいでしょう。
 土に埋まって育つ根菜は、体を温めると考えられています。例えば、ジャガイモ、生姜、れんこん、大根などです。

 また、寒い地域や季節にとれる食材や味噌、醤油、自然塩などの調味料も体を温める効果があります。
 どの食材も、焼く、煮る、炒めるなど温めた料理にすることで、一層体を温める効果が期待できます。

≫戻る

頻尿について

頻尿とは

 頻尿とは尿が近い、尿の回数が多い状態です。

 一般的には1日の排尿回数が8回以上の場合を頻尿といいますが、排尿回数には個人差があり、一概に8回を区切りに頻尿の区別
 をすることは、就寝から起床までの間に1回以上排尿に起き、睡眠に悩みがある状態を夜間頻尿といいます。

頻尿の症状
過活動膀胱の場合

 膀胱が必要以上に収縮して頻回に尿意を感じ、トイレに行ったのにまた行きたくなる、そして都度少量ずつの尿が出るのが特徴です。

前立腺肥大の場合

 肥大した前立腺が膀胱と尿道を圧迫するため、頻回に尿意を感じ、また尿道が狭くなるので尿の出が悪くなります。

緊張などの心因性の場合

 重要な場面など緊張した時に尿意を感じます。緊張から解放されると尿意は遠のき、普段通りになります。
 これは比較的誰にでもある事ですが、日常生活に支障が出る場合には治療が必要となります。

糖尿病や腎機能の異常、多飲の場合

 尿の生成が多くなることで、頻尿を生じます。この場合、トイレに行くたびに多量の尿が

尿路感染の場合

 炎症で尿道が刺激されて頻尿になることがあります。

夜間頻尿の場合

 夜間の頻尿は、寝る前の水分の摂りすぎ、過活動膀胱や前立腺肥大が多くの場合に原因になりますが、時に糖尿病や腎機能の異常、
 心不全といった疾患が原因でみられる場合もあります。

頻尿の原因
飲食が原因の頻尿

 水分やアルコールを多量に摂取したり、利尿作用のあるスイカやメロンなどを食べれば尿量が多くなり、頻尿の原因になります。

心因性の頻尿

 緊張する場面で膀胱が収縮し尿意を感じて頻尿となります。これは自律神経による生理的なものです。

病気が原因の頻尿
過活動膀胱

 頻尿を引き起こす代表的な病気です。膀胱が過剰に収縮し、尿意を頻回に感じます。
 高齢者によくみられる病気で、病院では過活動膀胱に対する薬も処方されています。

前立腺肥大

 男性に多く、壮年期から高齢者では一般的によくみられます。

 肥大した前立腺が膀胱と尿道を圧迫するため、膀胱の容量が少なくなります。
 また尿の排出がしにくくなって膀胱に尿が残りやすいことで頻尿を引き起こします。

糖尿病

 糖尿病の初期症状で頻尿となることがあります。
 糖尿病の初期には、体が血中の過剰な糖分を尿に排出しようとして、ひどく喉が渇いて多量に水を飲むようになり、頻尿になります。

夜間の頻尿

 寝る前の水分の摂りすぎや過活動膀胱、前立腺肥大といったものが原因になる可能性があります。
 また、糖尿病や腎機能の異常、心不全といった疾患が原因でみられる場合もあります。

頻尿の予防/治療法
日常生活でできる予防法

 水分は、感染症があったり汗をかいたりしていなければ、1日1L程度にし、カフェインや利尿作用のある食品は避けるようにする
 といいでしょう。
 以下のような対策も有効です。
 ・暴飲暴食をしない
 ・糖分、塩分の過剰摂取はしない
 ・適度な運動を行う
 ・寝る前は沢山の飲水は避ける
 ・寝る前のアルコール、カフェインの摂取を避ける

 水分は、感染症があったり汗をかいたりしていなければ、1日1L程度にし、カフェインや利尿作用のある食品は避けるようにすると
 いいでしょう。

原因疾患ごとの対策

 過活動膀胱は事前に防ぐことはできませんが、もし過活動膀胱になったときは、トイレに行く前に少しだけ尿を我慢してからトイ
 レに行くようにすると、少しずつ膀胱の容積が広がり、尿意の間隔を広げることができます。

 他の疾患が原因で頻尿になっている場合は、尿意を我慢しすぎると尿路感染等の原因になりますので、尿意を我慢しすぎるのは避け
 ましょう。

 感染症による頻尿では水分を意識的に多量に摂取し、多量の尿を頻繁に出すことで最近を洗い流し、早期に治癒できるようになります。

*** 息切れについて ***

息切れ・息が苦しいとは

 息切れとは呼吸が苦しい状態です。

 肺や心臓、血液、精神的な病気などさまざまな原因で起こります。
 平坦な道を歩くだけで息切れをする場合は呼吸器内科を受診しましょう。

息切れの症状

 走った後や激しい運動の後に苦しくて呼吸が早くなることがあります。

 このような息切れは病的なものではなく、しばらくすると呼吸が安定し落ち着きます。
 一方、病的な息切れとは、平坦な道の歩行や、着替えや掃除などちょっとした日常生活の動作で息が切れてしまう状態です。

≪注意が必要な息切れ≫

 病的な息切れの中には、緊急に処置をしなければならない場合もあります。
 息切れに伴い以下の症状がある場合は、速やかに受診してください。
 ・胸膜炎:胸の痛み、発熱が伴い、深呼吸や咳で息切れや痛みが悪化した
 ・肺血栓塞栓症:突然の胸の痛み、冷や汗、発熱が伴っている
 ・急性心筋梗塞:意識障害、冷や汗、吐き気が伴っている
 ・急性心不全:泡状の痰などが出て、手足が冷たくなっている

息切れの原因と治療

 息切れは、呼吸器・循環器の機能がうまく作用せず、酸素を運ぶ赤血球が不足していることによって起こります。
 主な病気として、以下が挙げられます。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)

 息切れを起こす病気にCOPD(慢性閉塞性肺疾患)があります。
 タバコの煙などの有害物質を長期間吸入したことで、肺が炎症を起こしている状態です。

 喫煙者の15〜20%の人に発症すると言われています。
 主に気管支拡張薬などを用いた薬物療法や運動療法を行います。
 重症の場合は、鼻にチューブをつける酸素療法を行います。

気管支喘息

 気管支喘息は、ハウスダストやカビなどへのアレルギーや小児喘息などが関わって起こる病気です。
 咳の発作を繰り返したり、痰でぜいぜいしたり、ヒューヒューと音がします。
 吸入ステロイド薬などを使用し、喫煙者の場合は直ちに禁煙します。

過換気症候群(過呼吸)

 過換気症候群(過呼吸)は、過剰に呼吸をすることで酸素を吸いすぎてしまい、激しい息切れ状態に陥ります。
 不安やストレス、極度の緊張などを感じると起こりやすい病気です。

 ゆっくりと呼吸をすることによって徐々に症状は治まっていきます。
 原因となる精神疾患を治療したり、抗不安薬を用いたりして改善していきます。

心不全

 息切れに加えて、足にむくみが生じます。
 心不全は徐々に進行していくため、このような症状がある場合は循環器内科を受診してください。
 高血圧や心筋症、弁膜症など、原因となっている心臓の病気の治療を行います。

貧血

 貧血で赤血球が不足することにより、酸素が体中にうまく運ばれず、少し動いただけでも息切れを起こします。
 鉄剤の服用やバランスの取れた食事などで改善していきます。

息切れの予防
禁煙

 気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を防ぐには、有害物質を吸入しないように禁煙し、受動喫煙をしないことです。
 自力での禁煙が難しい場合は、早めに医療機関に相談しましょう。

ストレス対策

 過換気症候群(過呼吸)は、不安やストレス、緊張によって発症します。
 日常生活で、ストレスが溜まらないように気をつけることで発症を防ぐことができます。

体重管理

 息切れには、体重にも注意が必要です。
 標準体重を10%以上超えてしまうと、肺や心臓への負担が増えるため、体重管理も大切です。

*** 不眠について ***

不眠とは

 誰でも不安や緊張などで眠れない経験をしたことはあるはずですが、緊張の原因であるイベントや、一定期間が過ぎればまた
 眠れるようになります。

 ただ、長期間眠れないことが続き生活に支障が出ている場合は不眠症の可能性も考えられます。

眠れない症状

 不眠には、4つのタイプがあります。

 1.なかなか寝付けない(入眠障害)
 2.眠りが浅く、途中で目が覚める(中途覚醒)
 3.朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)
 4.しっかり眠ったにも関わらず眠った気がしない(熟眠障害)

 本来であればこれらは一過性のものですが、1ヶ月以上にわたって症状が続くことがあります。
 すると、心身の疲労が取れないために、体のだるさや意欲の低下、めまい、食欲の低下などの症状も現れるようになります。

眠れない原因

 さまざまな原因がありますが、以下のようなものが挙げられます。
 ・生活や仕事上でのストレス
 ・昼夜逆転の生活といった睡眠サイクルの乱れ
 ・試験やプレゼンテーション前日の緊張感
 ・旅行などの楽しみ・興奮
 ・騒がしかったりまぶしかったりなどの睡眠環境
 ・カフェインの入ったドリンクや薬の副作用
 ・心身の病気 など

眠れない・不眠の対処法
睡眠時間に固執しない

 よく「睡眠は〇時間が理想的」などと聞きますが、睡眠時間には個人差があります。
 気にしすぎるとかえって眠れないことがあります。睡眠不足のときは、昼寝をすることも有効です。

日光を浴びる

 太陽の光には 体内時計 を調整する働きがあり、朝浴びると夜にはちゃんと眠気が生じるようになっています。
 ただし、夜に強い光(照明など)を受けると体が覚醒してしまって眠れなくなるので注意しましょう。

趣味と運動

 体を動かして汗を流したり、没頭できる趣味を見つけて気分転換ができるようにしましょう。ストレスが溜まりにくくなります。

寝る直前の過ごし方が大事

 寝る前は、とにかく自分をリラックスさせましょう。ぬるめのお風呂に入る、好きな音楽を聞く、などです。
 ただし、お酒を飲むのは控えましょう。睡眠の質が悪化し、逆効果になります。

「不眠症」の治療

 不眠が長期間続くようであれば、精神科や心療内科で相談してみてください。治療は生活習慣の改善や薬物療法がメインに
 なります。

 現在使われている睡眠薬は安全なものが多いですが、体質に合うかどうかも含めてさまざまなタイプがあります。
 医師としっかり相談した上で服用してください。

手足のしびれについて

下の4項目から選択してください

1.手のしびれ 

2.足のしびれ 

3.手足のしびれ

4.危険なしびれ

≫戻る


















手のしびれ

下の4項目から選択してください

1.手の平がしびれる  

2.手や口のしびれる  

3.首をそらすとしびれる

4.手の甲がしびれる  

手のしびれを症状別に分類

 手がしびれたと言っても、しびれている場所やしびれの程度はさまざま。
 あなたの「しびれ」は、どのような原因で起こっているのでしょう。

しびれの原因は神経性と循環系に大別される

 しびれは「神経が原因のしびれ」と「血管(循環器)が原因のしびれ」に大別できます。

 ほかにも、ホルモンのバランス、脳、精神的な原因など一概に分類できないところが「しびれ」の厄介なところです。
 しびれと痛みには深いつながりがあります。「痛みがあってのしびれ」であり、しびれは痛みからやってきます。

 つまり、しびれが起きる前段階では、(脳に原因がある場合などを除いて)必ず痛みがあると言っていいのです。

 大事なのは、しびれの段階にきてしまった場合、麻痺など症状が進行して改善が難しくなる前に、早急に何らかの手を打つべ
 きだということです。

≫戻る

手のひらがしびれる

手のひらがしびれるとは

 手根管症候群肘部管症候群変形性脊椎症胸郭出口症候群甲状腺機能低下症パニック障害脳梗塞うつ病 など

神経を圧迫されたことによる「しびれ」

 手のひら側の感覚異常やしびれは、主に神経の圧迫によって起こります。

 神経は骨や筋肉、靭帯などの隙間のトンネル状の空間を通って人体の各部につながっているため、何らかの原因でこの通り
 道が圧迫されると神経に障害が現れます。

 しびれと痛みには深い関係があります。

 「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言って
 いいのです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る





手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)【整形外科】

 親指外側と薬指外側のしびれが特徴

 朝目覚めたときなどに手の親指外側と人さし指、中指、薬指の親指側(中指側)に、しびれや痛みが起こることから始まります。
 しびれや痛みは徐々に強くなり、ものを掴む動きができなくなります。

 手指の筋肉が動かせなくなるため、親指の付け根の母指球筋(膨らんだ部分)や指の間の筋肉が痩せて窪んできます。
 中年以上の女性に多いのが特徴です。

 手首の手のひら側中央にある手根管(手の主要な神経の通り道)が、何らかの原因によって圧迫されることで起こる神経障害。

【圧迫の原因】

 手の過度な使用による関節部の炎症や腫瘤(しこり)、骨折などがあげられます。
 ★ただし、腱鞘炎や糖尿病による神経障害でも似た症状が出ることがあるため、専門医による判別が必要です。

≫戻る











肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)【整形外科】

 手の小指と薬指がしびれて指が伸ばせない

 小指と薬指の外側(小指側の側面)がしびれて感覚が無くなり、指を開いたり閉じたりする動作ができなくなります。
 症状が進むと指を伸ばすこともできなくなって、カギ爪のように曲がった状態のままになります。

 筋肉が使われないため小指の下の外側にある膨らみと、小指と薬指の間の筋肉が痩せて窪みます。
 肘の内側にある肘部管(骨や靭帯、筋肉の隙間にある神経の通り道)を通る尺骨神経が、何らかの原因で圧迫されたために伝達障
 害を起こし発症します。

【圧迫の原因】

 骨の隆起や靭帯の厚みが増した場合、腫瘤(脂肪の塊など)がありますが、椅子の手すりなどに肘をかけたまま寝るなど長時間圧迫
 され続けたことが原因で発症することもあります。
 ★頚椎の病気が原因の神経障害の場合もあるため、専門医による診察が必要です。

≫戻る










変形性脊椎症(へんけいせきついしょう)【整形外科】

 手がしびれ字を書く、ハシを持つことができない

 首の痛みや肩凝りがひどく手にしびれや指の動きの障害(字がうまく書けない、ハシが上手く使えないという症状)が見られます。
 また、歩行時に足がしびれたり、ふらつくこともあります。

 重症になると手のしびれが進んで皮膚感覚がなくなり、歩行も困難になります。
 脊椎に掛かる負担によって椎間板が損傷され、椎骨(首の骨を形成する短い骨)に突起が出るなどの変形が起こります。

 変形した脊椎によって神経が圧迫されると、手や足にしびれ・麻痺の症状が現われます。
 ★脊椎の損傷は改善されにくいため、早期に治療を行う必要があります。

≫戻る






















胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)【整形外科】

 手指がしびれ血色が悪くなる

 最初は手の指がしびれたり力が入らない、また腕の皮膚感覚の異常(熱い、冷たいなど)などの症状が起こります。
 病状が進行すると肩や首に痛み・しびれが現われ、腕を上げたり首を上に向ける動作が困難になります。

 手指の先の色が蒼白または紫色になるなど、血行不良の症状が出ることもあります。
 何らかの原因で鎖骨周辺の神経が血管と一緒に圧迫されると起こります。

【圧迫の原因】

 筋肉によるものや骨の変成によるものがあります。
 鎖骨周辺には腕から指に向かう末梢神経や動脈・静脈が集まっているため血管の圧迫では手指に重大な損傷を与える恐れもあります。

 首や肩を特定の方向に傾ける(上に上げて後ろに反らせるなど)ことで指先の血色が失われるなどの症状がハッキリ現われる場合は、
 胸郭出口症候群を疑います。
 ★重症化すると危険な症状を引き起こすこともあるので、早急に専門医の診察を受けることが必要です。

≫戻る










甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)【内科】

 手足のしびれと倦怠感、声がしわがれる

 手足のしびれ、眠気、だるさ、記憶力低下などの症状があり、暑くても汗をかかなくなります。
「むくみ」「体温低下」「脱毛」「体重増加」「便秘」も起こりやすく、一般に声がしわがれたようになる特徴があります。

 甲状腺ホルモンの分泌が低下することによって起こります。
 甲状腺ホルモンの分泌が低下する原因は、甲状腺の損傷や甲状腺ホルモンの分泌を促す刺激ホルモンの減少が考えられます。
 ★40歳代以降の女性が発症する例が多く、「更年期障害」と混同されやすい病気です。

≫戻る



















パニック障害【内科】【精神科】【心療内科】

 強い不安感を伴う手足のしびれ

 極度の不安の前に手足のしびれが出ることもあれば、不安感の後にしびれが出ることもあります。
 手足がしびれ、命に関わる病気の症状かもしれないという不安から、さらに呼吸困難(過呼吸)などの全身症状を起こします。

 ※パニック障害の症状は多様で病状が一定しないため自己判断は難しいですが、強い不安感や恐怖感を伴うしびれの場合はパニック
  障害の可能性も考えられます。

 検査によっても目立った異常が発見されないため、原因を特定することは困難です。

 心因性のものであるという説と、脳内の分泌異常などの説がありますが、抗不安約・抗うつ薬の投与が有効であることしか解って
 いません。

 一旦発症すると繰り返し発症するようになるのが一般的ですが、ストレスが少ない生活習慣などを心掛けることで改善された例も
 あります。

≫戻る






















脳梗塞(のうこうそく)【脳神経外科】【神経内科】

 手足の麻痺(しびれや無感覚)では片手、片足、片側手足、四肢など脳梗塞が出来た部位によって、症状の現れ方が違います。

 顔面(片側顔面・両側顔面)の神経麻痺や、言語障害、失語症、健忘症、ものが2重に見えたり食物が飲み込みにくいなどの症状が
 起こることもあります。

 手や口に感覚障害が現れた場合を「手口感覚症候群」と呼ぶ場合もあるようです。
 脳内の血管が詰まることで脳細胞に血液が送られなくなり、その部分の脳細胞が壊死することによって起こります。

 動脈硬化や高血圧、糖尿病、脂質異常、心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞などが原因で血栓ができて、剥がれた血栓が脳内の
 血管に詰まることで脳梗塞を引き起こします。
 また脳内の極めて細い血管が加齢や高血圧のために詰まって小さな脳梗塞になることもあります。

≫戻る






















うつ病(鬱病)【精神科】【神経科】【心療内科】

 高齢者の意欲減退を伴う手足のしびれ

 特に老年期(65歳以上)の鬱病では身体機能の低下も原因して「しびれ」「ふらつき」「腰痛」などの症状が起こりやすくなります。

 いつも気が滅入るように感じ、「だるい」「やる気が出ない」「何をしても面白くない」「眠れない」「食欲が無い」などの症状
 を複合的に発症。

 症状が重い場合は「死にたい」とさえ考えてしまうこともあります。
 高齢者では配偶者の死などの精神的なダメージがきっかけで発症することもあります。

 また病気がきっかけの場合も多く、うつ病の治療に合わせて原因になっている病気の治療が必要な場合もあります。

 ★認知症との区別が重要で、うつ病を認知症と思ってしまったために対処が遅れ悲しい結果を招くこともあります。
 精神科を受診することを嫌がる場合は、家族だけで来院して医師に相談する方法が必要な場合もあります。

≫戻る






















手や口のしびれ、言語障害など

手や口のしびれとは

 手足の麻痺(しびれや無感覚)では片手、片足、片側手足、四肢など脳梗塞が出来た部位によって、症状の現れ方が違います。

 顔面(片側顔面・両側顔面)の神経麻痺や、言語障害、失語症、健忘症、ものが2重に見えたり食物が飲み込みにくいなどの症状
 が起こることもあります。

 手や口に感覚障害が現れた場合を「手口感覚症候群」と呼ぶ場合もあるようです。
 脳内の血管が詰まることで脳細胞に血液が送られなくなり、その部分の脳細胞が壊死することによって起こります。

 動脈硬化や高血圧、糖尿病、脂質異常、心房細動、心臓弁膜症、心筋梗塞などが原因で血栓ができて、剥がれた血栓が脳内の血管
 に詰まる脳内の極めて細い血管が加齢や高血圧のために詰まって小さな脳梗塞になることもあります。

手・唇がしびれる

 過換気症候群低カルシウム血症ビタミンB1欠乏症甲状腺機能低下症パニック障害脳梗塞うつ病 など

 唇のしびれには注意が必要

 手と同時に唇や口の周囲に「しびれ」が出た場合は、早急に該当科目の専門医の診察を受ける必要があると考えてください。
 しびれの場所が手足の一部分の場合、原因の多くは神経が圧迫されたことによる一時的な麻痺状態と考えられます。

 いっぽう、手と同時に唇にもしびれが出た場合は神経の圧迫によるものとは考えにくく、体の健康を維持するための重要な成分
 の不足や、場合によっては脳に何らかの障害が起こっている可能性もあります。

 しびれと痛みには深い関係があります。

 痛みがあってのしびれであり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言っていい
 のです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る










過換気症候群(かかんきしょうこうぐん)【呼吸器科】【循環器科】【精神科】

 呼吸困難を伴う手指と口のしびれ

 指先や口の周囲などにしびれを感じ、多くの場合は突然の呼吸困難を併発します。
 皮膚感覚が異常に敏感になったり強度の不安から興奮状態を起こすこともあり、重度では意識混濁を起こします。

 何らかの原因から通常より呼吸が深く回数も多くなり、二酸化炭素が減少、血液中の酸素濃度が急上昇したことで神経や筋肉
 に異常が現れます。

 精神的不安や中枢神経の異常、薬剤投与がきっかけで過換気を起こすと言われています。

 精神的ストレスを受けやすい若年層や女性に発症が多く、過換気による呼吸困難がさらに不安を強め、症状を悪化させる場合も
 多いようです。

≫戻る


























低カルシウム血症【内科】

 指と唇のぴりぴりしたしびれ感

 指先や唇にしびれ、ぴりぴりチクチクするような痛みを感じるのが特徴。
 嚥下障害(飲み込みにくい状態)や息切れを起こしやすくなり喘鳴(ゼエゼエいう気管の音)が聞き取れます。

 ★重症になると硬直性のある痙攣を起こし、気道がふさがって死亡することも有る怖い病気です。
 ※「てんかん発作」と間違われることがあります。

 副甲状腺のホルモン分泌の低下に伴い、血液中のカルシウムイオンが減少することによって起こります。
 遺伝性のものと、後天的に頚部の手術や外傷によって副甲状腺が障害を受け発症する場合があります。

 腎臓機能の低下によっても同様の症状が現われることがあります。
 低カルシウム血症は、慢性心不全や低血圧の原因にもなります。

≫戻る






















ビタミンB1欠乏症【内科】

 むくみ、倦怠感がある手足のしびれ

 手足のむくみを伴うしびれ感や筋力低下、唇など敏感な部位での皮膚感覚の異常、動悸、倦怠感が特徴です。
 病状が進むにつれて眼球運動や歩行が困難になり、記憶力・認識力が低下して健忘症のような症状を現わします。

 「脚気(かっけ)」が代表的な症例で、重症化する患者がアルコール依存症に多いことも知られています。

 ビタミンB1の摂取不足が主な原因と考えられていますが、アルコール依存症での発症が多いことからビタミンB1を吸収を妨げる
 何らかの要因があると考えられています。

≫戻る










首を反らすとしびれる

首を反らすとしびれるとは

 頚椎椎間板ヘルニア変形性脊椎症胸郭出口症候群頸椎後縦靭帯骨化症うつ病 など

 手足のしびれの多くは神経組織が圧迫されたことによって起こります。

 普段はそれほど気にならないのに、上を見上げたときや片手を後ろに反らすなどの特定の動作によって強い痛みやしびれが現
 れることもあります。

 このような場合、神経と血管の両方が圧迫されて危険な状態になっていることもあります。
 特に頚椎の神経の損傷は治癒が困難になりますので痛みやしびれに気付いたら早急に専門医に相談することをお勧めします。

 しびれと痛みには深い関係があります。
「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言って
 いいのです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る










頚椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)【整形外科】

 指先がしびれてボタンが留められない

 両手または片手で握力の低下やしびれ、指先の運動障害(字が書きにくい、ボタンが留められないなど)が起こります。
 手のしびれは指先に近いほど強いのが特徴で、重度になると足の動きや腰の曲げ伸ばしにも影響が出るようになります。

 咳やくしゃみ、上を見上げる動作で痛みやしびれが強くなります。

 頸部の椎間板(首の短い骨同士を繋げているジョイントの役割をする組織)が老化や外傷などによって飛び出し、神経を
 圧迫することによって起こります。

 頸部には脊髄や神経根など体の運動機能に重大な影響を与える神経組織が集中しているため、重症になると立ち上がることも
 できない状態になってしまうこともあります。

≫戻る


























頸椎後縦靭帯骨化症(けいすいこうじゅうじんたいこっかしょう)【整形外科】

 頻尿や失禁を伴う手足のしびれ

 手足のしびれと痛みが起こり、指先を使う細かい動作ができなくなります。
 頻尿・失禁・便秘などの症状を併発することも多く、歩行困難の症状も見られます。

 カルシウムの代謝異常などが原因で、頚椎の靭帯が骨組織に変成するために起こると考えられています。
 柔軟性のある靭帯が骨化すると頚椎を動かす機能が損なわれ、さらに骨組織が肥大化。脊髄内部の神経組織が圧迫されます。

 歩行困難を引き起こすことから患者の歩行時の転倒も多く、転倒することで柔軟性を失った頚椎が損傷を受け、さらに病状を
 悪化させる場合があります。

≫戻る


















手の甲・腕のしびれ

手の甲・腕のしびれとは

 肘部管症候群頚椎椎間板ヘルニア胸郭出口症候群橈骨神経麻痺甲状腺機能低下症パニック障害脳梗塞うつ病 など

 手や腕のしびれには神経性のものと血管性のもの、ホルモン分泌の異常によるもの、心因性のものなどさまざまな原因が
 考えられます。

 なかには、脳に何らかの異常が起こっている、非常に危険なものもあります。早急に治療を開始すれば完治する病気でも、
 放置することで悪化して回復が困難になることがあります。

「そのうち治るだろう」と軽く考えず、しびれや痛みに気が付いたら早めに病院に行くことをお勧めします。

 しびれと痛みには深い関係があります。「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが
 起きる前段階では、必ず痛みがあると言っていいのです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る










橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)【整形外科】【神経内科】

 手首が垂れて親指と人さし指が伸ばせない

 手の指に力が入らなくなって手首が垂れた状態になります。
 手の甲部分で親指と人さし指付近の感覚が無くなるのが顕著で、親指・人さし指の間の筋肉が萎縮してきます。

 多くの場合、肘の関節を動かすことはできますが、手首を自力で持ち上げることが出来なくなります。

 ※橈骨(とうこつ)神経…腕を動かす神経の中でも、手首と親指・人さし指の感覚を支配する大きな役割を持った神経。
 橈骨(とうこつ)神経が圧迫などによって麻痺を起こすと、手首・指の運動が阻害されて俗に言う「垂れ手」の状態になります。

【圧迫の原因】

 深酒などで手枕で眠り込んだりひじ掛けに腕を投げ出した不自然な格好で寝たために、上腕の神経が圧迫されてしまった場合。

 また、腕枕で寝たために神経が圧迫されて発症するケースがあることから「ハネムーン肘(症候群)」「サタデーナイト症候群」
 などとも呼ばれます。

 ★多くの場合は自然治癒しますが、数ヵ月かかることもあります。

≫戻る






















*** 足のしびれについて ***

下の4項目から選択してください

 歩行時に発症    

 つま先・足裏のしびれ

 お尻から足先    

 かかとのしびれ   

≫戻る
















歩行時に発症

歩行時に発症とは

 腰部脊柱管狭窄症変形性脊椎症足根管症候群バージャー病閉塞性動脈硬化症 ≫戻る











腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)【整形外科】

 しばらく歩くと足の痛みやしびれが出る

 座っているときや歩き始めは症状がないのが特徴。歩き続けるうちに足が痛んだりしびれたりして歩けなくなります。
 座ったりしゃがんだりして休むと回復し、また歩くことができるようになります。

 病状が進むと連続して歩ける距離が短くなり、重症化すると立っているだけでも症状が出ることがあります。

 連続した足の筋肉運動ができにくくなるため、長く続くうちに足の筋肉が萎縮して回復困難な歩行障害を引き起こすこともあ
 ります。

 腰椎(ようつい)の中には重要な神経が通る脊柱管(せきちゅうかん)があります。
 この脊柱管が何らかの障害によって狭くなると、内部の神経が圧迫されてしびれや痛みの症状を起こします。

 腰部脊柱管狭窄症では立って歩行する姿勢のときに脊柱管がさらに狭まるため、座った姿勢では発症しない場合も歩行時に
 症状が出ます。

 背中を反らせる姿勢で腰部脊柱管が狭くなり症状が出るため、歩行時にはなるべく前かがみに歩くよう注意することで症状を
 緩和させることができます。

≫戻る










足根管症候群(そくこんかんしょうこうぐん)【整形外科】

 足裏にピリピリした灼熱感としびれ

 かかとから足の裏、つま先までピリピリと灼熱感を持ってしびれます。足の甲や脛(足の前方部分)はしびれないのが特徴。
 くるぶしの後方下部を叩くと、足の裏に電気が流れるような感覚がします。

 痛みを伴うことが多く、足首周辺に痛みが集中。悪化すると足の裏にまで痛みが広がります。
 安静にしていると痛まない場合も、歩行時に痛みが出ることがあります。

 足首の骨折やねんざ、スポーツなどによる足首のゆがみ・変形が原因と考えられています。
 ガングリオン(脂肪腫)や静脈瘤、腱鞘炎(けんしょうえん)が原因のこともあります。

 脛骨神経(けいこつしんけい)が足根管(そくこんかん=かかとから足首にかけての神経の通り道)のところで圧迫されることで、
 一時的に損傷されたものです。

≫戻る










バージャー病【循環器科】【心臓血管外科】

 喫煙者の下肢の冷感やしびれ

 多くの場合、足のしびれや冷感から症状が始まります。足先の血行が悪くなり蒼白になったり、潰瘍(かいよう)が出来たり
 します。

 病状が進むと歩行の際に激しく痛み、しゃがんで休憩するとまた歩行できるようになります。
 発病する人の9割が喫煙者や喫煙経験者で、喫煙が発病に深く関わっていると考えられています。

 末梢(まっしょう)動脈内で炎症を起こし血流が阻害されるのが原因で、閉塞性血栓血管炎(へいそくせいけっせんけっかん
 えん)とも呼ばれています。

 閉塞した血管から先には血液が流れなくなるため、四肢(主に足)の先端から神経細胞組織の崩壊が始まります。
 ★病状が進んで組織の壊死に至ると、切断するしかない怖い病気です。

≫戻る










閉塞性動脈硬化症(へいそくせいどうみゃくこうかしょう)【循環器科】【心臓血管外科】

 足の冷感としびれ、歩行時の痛み

 足の冷えとしびれから始まり、次第に歩いているときにしびれ・痛みが増して歩行困難の症状が現われます。
 歩行時の痛みは休憩によって改善され、また普通に歩行できるようになることを繰り返します。

 重症化すると歩行しなくても痛みが続くようになり、わずかな外傷などがきっかけで潰瘍を形成することもあります。
 潰瘍は悪化すると壊死に至ります。

 高血圧、糖尿病、高脂質症などによって動脈が硬化することで、血流に障害が発生するために起こります。
 喫煙習慣がある人の発症が顕著で、下肢だけに症状が現われた場合でも全身の各部位で動脈硬化が起こっている可能性が高い。

≫戻る






















つま先・足裏のしびれ

つま先・足裏のしびれとは

 足根管症候群糖尿病性ニューロパチー甲状腺機能低下症パニック障害脳梗塞閉塞性動脈硬化症うつ病 など

 つま先など身体の先端部にしびれや痛みが出る場合は、血管性の障害の疑いがあります。

 神経の圧迫などによるしびれは原因を取り除いたり時間経過と共に回復に向かいますが、血管の何らかの異常によって血液
 が充分に届かない状態になっている場合、最悪のときには細胞組織が壊死して切断しなければならないこともあります。

 つま先・足裏などにしびれや痛みが出た場合は、すぐに病院を受診してください。
 しびれと痛みには深い関係があります。

「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言って
 いいのです。
 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る










糖尿病性ニューロパチー【内科】【神経内科】

 手足の指先が左右対称にしびれる

 手足の先にピリピリした「しびれ」が現われ、徐々に体の中心方向に向かって進行していきます。

 しびれが左右対称に起こるものを「多発性ニューロパチー」と呼び、左右バラバラに発症するものを「虚血性ニューロパチー」
 といいます。

 糖尿病の悪化による代謝障害が原因で、末梢神経が侵されるために発症します。

 また、虚血性ニューロパチーでは糖尿病による動脈硬化から、手足先の神経細胞に充分な血液が送られなくなることが原因
 で発症します。

 ★どちらの場合も神経細胞の壊死が起こるため、早期に治療を行わないと下肢の切断などが必要になる恐れがあります。

≫戻る










お尻から足先

お尻から足先のしびれとは

 座骨神経痛腰椎椎間板ヘルニア腰部脊柱管狭窄症バージャー病甲状腺機能低下症脳梗塞腰椎すべり症うつ病 など

 お尻から足にかけての神経は腰椎を通っているため、腰椎(背骨の腰部分)に変形などの異常が起こると神経が圧迫されてお尻
 から足にかけての広範囲に「痛み」「しびれ」の症状が現われることがあります。

 また、ホルモン分泌の異常や脳梗塞でも同様の症状が出ることがあるため、素人判断しないで専門医の診察を受けるようにして
 ください。

 しびれと痛みには深い関係があります。

「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言って
 いいのです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る

≫戻る










座骨神経痛(ざこつしんけいつう)【整形外科】

 片足の広い範囲のしびれや痛み

 足のしびれで範囲が広く足先から臀部にまで達する場合は、座骨神経痛を疑います。
 刺激や圧迫が加わると、お尻から太ももの後ろ側、ふくらはぎ、かかとや足の裏まで痛みが走ります。

 症状の程度は、軽く痛むだけの場合や、しびれなどの感覚障害、麻痺までさまざまです。

 腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアや腰部脊椎管(ようぶせきちゅうかん)の狭窄(脊髄の中の神経の通り道が
 狭まる症状)により、座骨神経が圧迫されて起こります。

 腰椎や骨盤の腫瘍、脊椎カリエス、骨盤の変形、前立腺ガンが原因の場合もあります。

 ★座骨神経痛は、重大な疾患が関係しているケースもあり、原因疾患を突き止めることが重要。
 たかが神経痛と見くびらず、専門医の早期受診が必要です。

≫戻る






















腰椎椎間板ヘルニア(ようついついかんばんヘルニア)【整形外科】

 腰痛から始まり、徐々に片側の足に痛みやしびれが広がります。

 ももから足にかけて電気が流れるような痺れ・痛みを感じるのが特徴で、重いものを持ったり力を入れると痛みが強くなり
 ます。

 ※椎間板…背骨を形成している椎骨と椎骨を繋げる平べったい楕円形の組織。ゴムのように屈曲・伸展性があり、背骨の自由
  な動きを助けています。

 椎間板が老化や外傷によって痛み、腫れて、通常より出っ張った状態になることです。
 椎間板には血管がほとんど通っていないため、一度損傷すると再生することはありません。>

 出っ張った椎間板が神経を圧迫すると、激しい腰痛や脚のしびれなど、症状が現われます。
 ★重症化すると障害を受けた神経が繋がる筋肉に麻痺が起こり、痛みを感じなくなると共に筋肉の機能が失われます。

 膝がガクンと折れる、履いていたスリッパが落ちる、排尿や排便の感覚が解らなくなるという症状に気付いた場合は、早急な
 専門医の診察は必要です。

≫戻る






















腰椎すべり症(ようついすべりしょう)【整形外科】

 腰椎に伴う足の痛み、しびれ

 腰痛が主な症状ですが成人では足の痛みが起こることがあります。
 長時間の立ち仕事、重いものの運搬作業、長時間同じ姿勢でいた場合に痛みが強く出ます。

 重症の場合、歩行困難や、排尿・排便に障害が出ることがあります。
 腰椎のズレによって神経が圧迫され、痛みやしびれを起こします。

 先天的に腰椎の形態異常があって発症する場合と、運動や労働などによって後天的に引き起こされる場合があります。

≫戻る






















かかとのしびれ

 バージャー病足根管症候群足底腱膜炎うつ病 など

 足裏の特にかかと周辺にしびれや痛みが出る場合は、症状の進行を観察します。

 徐々に快方に向かうようならば心配はありませんが、日を追うごとに症状が強く出るようなときは早めに受診してください。

 また、「靴擦れが治らず悪化」「潰瘍(おでき)ができた」という場合でも危険な病気のサインの可能性がありますから、
 出来るだけ早く病院に行くようにしてください。

 しびれと痛みには深い関係があります。

「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言って
 いいのです。

 しびれの段階にきてしまった場合、症状がさらに進行する前に、早急に何らかの手を打たなければなりません。

≫戻る






















足底腱膜炎(そくていきんまくえん)【整形外科】

 朝の一歩目にかかと付近が痛い

 朝起きたときに足を床に付けると、かかとの骨の前方付近に痛みが起こります。
 歩くうちに痛みはなくなりますが、休憩の後などに立ち上がると同様の痛みが起こります。

 足指の付け根からかかとまで一枚の膜のように張っている「足底腱膜」が断裂し炎症を起こすことで、痛みやしびれが起こり
 ます。

 断裂の際に痛みが生じますが、その後は痛みを感じなくなります。
 長時間の休憩や睡眠時には断裂が修復されるため、立ち上がったときに再び断裂し痛みを感じます。

≫戻る






















*** 手足のしびれについて ***

下の2項目から選択してください

 手足同時のしびれ

 痛みがあるしびれ

≫戻る
















手足同時にしびれがある場合

 一過性脳虚血発作脳出血脳腫瘍多発性硬化症ギラン・バレー症候群糖尿病性ニューロパチー脊髄空洞症頸椎後縦靭帯骨化症ビタミンB1欠乏症甲状腺機能低下症・パニック障害・脳梗塞うつ病 など

≫戻る

≫戻る










一過性脳虚血発作(いっかせいのうじょけつほっさ)【脳神経外科】【神経内科】

 突然発症して数分で消える半身のしびれ

 発症は急激で症状は数分から30分程度続きますが、数分で消失する例が多いようです。
 片側手足のしびれ、言葉が言えない理解できないなどの症状、片目の視野に異常が起こることもあります。

 また、「ろれつが回らない」「めまい」「物が2重に見える」などの症状を併発することもあり、突然の下肢の脱力によって
 転倒する危険もあります。

 脳内の血管に剥がれた血栓が詰まったり、血圧の急激な低下によって一時的に脳への血液の循環が悪くなることで起こります。

 脳への血液循環が妨げられた部分の組織機能が停止するため半身麻痺などの症状が現われますが、血栓が小さかったり血圧低
 下の原因が一時的なものの場合は、数分で血流が改善されて症状が無くなります。

 ★一過性脳虚血発作は脳梗塞の前触れとなる可能性があるため、一過性脳虚血発作が疑われる場合は、症状が消えても受診が必要です。
 症状を繰り返す場合は早期受診が必須です。

≫戻る






















脳出血(のうしゅっけつ)【脳神経外科】【神経内科】

 手足など半身の麻痺(しびれ)に頭痛・嘔吐感・意識障害(もうろうとする)を併発する場合、脳出血を疑います。

 出血場所によって症状も違い、視野の障害や言語障害、めまいが現われることもあり、重大な症状としては半身のひどい痛み
 を伴う「しびれ」、高熱、呼吸異常などがあります。

 視野の障害では両目とも片側半分だけが見えなくなる「半盲」が特徴です。
 脳内の血管の動脈瘤破裂や外傷による出血が原因です。

 動脈硬化・高血圧から脳出血を起こすケースが多く(原因の約70%)、脳腫瘍や白血病が原因のこともあります。
 ★脳出血が原因の手足のしびれが疑われる場合は、症状が重症化していなくても、必ず専門医の診断が必要です。

≫戻る






















脳腫瘍(のうしゅよう)【脳神経外科】【神経内科】

 早朝の頭痛を伴う手足のしびれ

 手足のしびれや感覚の障害が改善されずに徐々に進行する場合は、脳腫瘍の疑いも否定できません。
 脳腫瘍の特徴は、頭蓋内圧の亢進による頭痛や吐き気、嘔吐、視覚異常(視野がぼけるなど)を伴うことです。

 特に早朝の強い頭痛と「手足のしびれ」は脳腫瘍の疑いが強くなります。
「言語障害」「視野狭窄(視野が一部欠ける)」などを併発する場合もあります。

 脳腫瘍は脳自体から腫瘍が発生する場合と、他の部位にできた腫瘍が脳に転移する場合があります。
 どちらの場合も腫瘍は良性と悪性に分かれます。

 脳を圧迫することにより、さまざまな症状を引き起こす怖い病気ですが発症率は多くないので、いたずらに怖がらず症状が疑
 われる場合は早急に専門医の診察を受けることが大切です。

≫戻る






















多発性硬化症(たはつせいこうかしょう)【神経内科】【内科】【眼科】

 異なる場所の神経障害が出たり消えたりする

 手足のしびれや皮膚感覚の低下、手足に力が入らないための歩行障害、発声障害(声が出しにくい)、嚥下障害(食べ物や
 飲料を飲み込みにくい)、視力が低下する、ものが2重に見える、排尿しづらい等の症状が見られる多くの場合これらの症状
 が順不同で現われては

 改善され・・を繰り返し、再発する度に徐々に症状が悪化していくのが特徴です。

 脳や脊髄などの中枢神経に生じた病巣が引き起こす病気です。中枢神経の伝達機能が障害されるために、発症はあらゆる神経
 に及んでさまざまな症状を現わす原因が不明なことと症状が一定でないことから診断は難しく、他の病気の可能性を消去して
 いくことで初めて特定することができる病気です。

≫戻る






















ギラン・バレー症候群【神経内科】【内科】

 風邪のような症状の後で左右手足のしびれを発症

 急速に手足の筋力が低下する病気です。
 筋力低下が左右対称に現われることが、脳を原因とする手足のしびれとの大きな違いです。

 手足の他、顔面の筋力低下や嚥下筋の神経障害のため「しゃべりにくい」「飲み込みにくい」という症状が出ることもあり、
 重症になると呼吸筋の麻痺によって呼吸障害を引き起こすこともあります。

 発症の1週間から3週間前に咳や発熱、頭痛、喉の痛み、下痢などの感冒の症状があるため、細菌感染によって発動した免疫機
 能の異常によって引き起こされる病状と推測されています。

 末梢神経の伝導検査では信号伝達の速度が遅くなっているのが解るため、感染の結果できた自己抗体が神経細胞の伝達を阻害
 しているものと考えられます。

≫戻る






















脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)【整形外科】【脳神経外科】

 つねっても痛さを感じない

 手足のしびれと痛覚の異常が起こり、熱さを感じなくなります。
 強くつねられても触れられていることは感じますが、痛みが感じられない症状です。

 重症化すると筋肉が萎縮して、手足に力が入らなくなります。
 脊髄(せきつい)の中に空洞ができることによって、周囲の神経が圧迫されて起こります。

 脊髄には重要な神経が多く集まっているため、圧迫された神経によって手指のみのしびれから全身症状までさまざまな病状が発症
 します。

≫戻る






















痛みのあるしびれ

 座骨神経痛腰椎椎間板ヘルニアバージャー病頸椎後縦靭帯骨化症うつ病 など

「痛み」は手足や体の感覚を神経で伝え最終的に 脳で感じ取っています。
 このことから、身体に問題があった場合、しびれや痛みなど知覚の差が生じることがあります。

 たとえば、同じ状態の感覚でも人によっては「しびれ」と感じ、また別の人は「痛み」と感じることがあります。
 しびれと痛みは非常につながりが深いのです。

「痛みがあってのしびれ」であり、(脳に原因がある場合などを除いて)しびれが起きる前段階では、必ず痛みがあると言っていいの
 ですが、「しびれ」に「痛み」が伴う場合は神経系の重大な損傷や血管の異常など、早期に治療を必要とする症状のことが多いので
 注意が必要です。

*** 危険なしびれ ***

 神経質になり過ぎる必要はないのですが、手や足に「しびれ」の症状が現われたとき、それが早急に治療が必要な危険なものか
 どうかを知る判断基準があると便利でしょう。

 医学の知識がなくても誰でも簡単にチェックできる方法として、次にあげた4項目がとても有効です。

危険な「しびれ」チェック4項目
1.片側だけの手足がしびれる

 脳が原因のしびれの多くは、体の片側だけに現れます。
 まれに両側の手足に同時にしびれが出ることも有るため「両側なら安心」ということではありません。
 片側の「手だけ」「足だけ」ということもあります。

2.手袋をはめているような感覚

 脳梗塞や脳出血によるしびれは、正座した後の足のしびれのようにびりびりと激しいものではなく、薄い手袋越しに触っているよ
 うな感覚の「しびれ」です。

3.片側の手と口が同時にしびれる

 脳梗塞は病変を起こす場所によって体に現れる「しびれ」の場所も異なるのが特徴す。
 手の神経をつかさどる場所と口の神経を司る場所は比較的近いため、手と口の両方に同時に「しびれ」が出ることは多いようです。

4.急に起こって数分で消える「しびれ」「違和感」

 脳梗塞の前兆とも言える「一過性脳虚血発作」では突然の「しびれ」が現れたと思うと数分後には消える、特殊な症状が起こり
 ます。

 症状は「しびれ」のほかにも「めまい」「ろれつが回らない」「ものが2重に見える」など日常には感じない違和感として現れる
 こともあります。

「一過性脳虚血発作」を発症した人は高確率で「脳梗塞」を発症するため、この症状が見られたら早急の対処が必要です。

≫戻る











不整脈について

不整脈とは

 不整脈は、脈の打ち方がおかしくなることを意味します。この中には異常に速い脈(頻脈)や遅い脈(徐脈)も含まれます。

 初めて不整脈に気づかれるのは、ドキドキ動悸(どうき)がしたり、脈をとってみると、どうも異常に遅かったり、逆に速すぎたり、
 または飛んだり、不規則になったりしている時が多いのではないかと思います。

 また、自分ではまったく気がつかないのに、病院で心電図をとると「不整脈が出ています」と言われて、わかる場合もあるでしょう。
「脈」とは、心臓から押し出される血液の拍動が血管に伝わって感じられるものです。

 もし心臓のリズムに異常が起きれば、脈は乱れてしまいます。
 では、そのリズムは何によってコントロールされているのでしょうか。

 心臓は筋肉でできた臓器で、その筋肉にかすかな電気が流れて興奮し、動く仕組みになっています。

 心臓の上の方にある「洞結節」というところで電気がつくられ、電気の通り道(これを「伝導路」と呼びます)を通って、心臓全体
 に流れ、筋肉が収縮するようになっています。

 例えば、洞結節で電気が発生しない、または別の場所から電気が流れてしまうと、心臓が規則正しく興奮しなくなります。
 つまり、不整脈は心臓に流れる電気の異常や刺激が伝導路をうまく伝わらないことを意味します。

なぜ不整脈が起こるのか

 不整脈は心臓が悪いから起こるのかというと、実は必ずしもそうではないのです。

 一方、心臓を養っている血管が詰まる病気に心筋梗塞や狭心症がありますが、不整脈は血管が詰まるから起きるのだと勘違いされて
 いる方が少なくありません。

 心筋梗塞や狭心症は心臓の血管の病気であり、一方、不整脈は電気系統の“故障”ですから、基本的には別の病気です。
 不整脈の原因として最も多いのは、年齢に伴うものや、体質的なもの、つまり心臓病には関係しないものです。

 1日または2日にわたって心電図を記録してみると、中年以上ではほとんどの人に、毎日1〜2個は不整脈が見つかります。
 年をとるにつれ、だれでも少しずつ不整脈が増えていきます。ストレス、睡眠不足、疲労などでも不整脈は起こりやすくなります。

 そういう意味では、だれにでも起こりうるものだと言えるでしょう。

 心臓は1日約10万回、収縮と拡張を繰り返していますが、時に規則正しくない刺激で不規則な収縮が起こる、と考えればよいで
 しょう。

 とくに検診で不整脈だけ見つかった場合は、病気とは関係のない不整脈であることがほとんどなのです。
 しかし、すでに心臓の病気があると、二次的に電気系統の異常が生じて、不整脈が出やすくなるのも事実です。

 例えば弁膜症になると、心房や心室が大きくなって電気の流れがおかしくなり、脈が乱れやすくなります。
 高血圧の人、肺に病気がある人、甲状腺に異常がある人も不整脈が出やすいのです。

症状はいろいろ

 脈が乱れたからといって常に症状があるわけでなく、むしろそれに気づかない場合が多いようです。
 ただし、程度がひどくなれば自覚するようになります。

 まず、脈が極端に遅くなり、数秒以上、脈がとぎれるようになると、ふうっとなったり、めまいがしたり、ひどい場合は意識がなく
 なって倒れたりします。

 また、脈の遅い状態が続くと、体を動かす時に息切れするようになります。

 反対に、脈が速くなるとドキドキと動悸がし、さらに脈が速くなると心臓が十分な血液を送り出せなくなって、吐き気や冷や汗、
 意識が遠くなる症状が出てきます。

 期外収縮は症状のない場合が多いのですが、症状の出る場合は、脈の飛ぶ感じや、胸部の不快感、きゅっとする胸の痛みとして感
 じます。

 ただし、この時の痛みは胸の狭い範囲で起こり、しかも一瞬または数十秒以内でおさまるのが特徴です。

 胸痛があると、狭心症や心筋梗塞ではないかと心配になりますが、それらの痛みはもっと長く続きます。
 期外収縮による胸痛は、脈をとれば飛んでいることから判断できます。

 脈が飛んでいるのを、心臓が止まっているためと誤解されている方が案外、多いようです。

 期外収縮では、本来のリズムより早めに刺激が出て心臓が動くため、1回の拍動で十分に血液を送れないのです。
 そのため、実際は心臓が動いているのに、拍動で生じた圧力は弱く、脈として感じられないので、脈が飛んだように思えるのです。

 脈が遅くなる時も、脈が飛ぶことがあります。
 2つに1つ、3つに1つといったように、規則的に脈が飛ぶときは、まず期外収縮が起きているとみてよいでしょう。

怖い不整脈とは

「何もしていないのにふうっとする」「急に意識がなくなる。つまり失神する」タイプ<イラスト>は最も危険です。
 この場合は、一時的に心臓が止まっているか、または極端な頻脈が起こっている可能性があります。

 失神症状が出た場合は、できるだけ早く病院を受診して、その原因を調べてもらい、治療を始める必要があります。

 次に「脈拍数が1分間40以下で、体を動かす時に、強い息切れを感じる」ケース<イラスト>、この時は脈が遅くなりすぎて、
 心不全を起こしている可能性があります。

 この場合、ペースメーカー治療が必要になることがあります。

 三番目は、突然、始まる動悸です。

 この場合、頻脈が起こっていると考えてよく、「脈拍数が1分間に120以上で、突然始まり、突然止まる」、または
「まったく不規則に打つ」ものは、病的な頻脈(頻拍)と考えられます。

 多くは脈拍数が150から200前後になりますので、血圧が下がり、脈が触れにくくなり、同時に息苦しくなって冷や汗が出ます。

 とくに、この「頻拍」が心室から出ている場合は要注意です。
 というのは、血液は心室から直接、全身へ送り出されますから、ここで不整脈が続くのは血液が全身に回らなくなることを意味します。

 なかでも心筋梗塞などの心臓の病気のある人に心室頻拍という不整脈が出てきた場合は、より怖い心室細動という不整脈に移行するこ
 とがあるため要注意です。

 1分間に150以上の頻脈が続く場合は、不整脈をまず停止させて、その後、頻脈を予防する薬剤を服用する必要があります。

 一方、年をとると、10人に1人くらいの割で「心房細動」といって心房の中で電気が空回りして、脈が速くなる状態が起こります。
 この場合は脈がまったくバラバラに、しかも速く打つようになります。

 心房細動では、不整脈のために死ぬようなことはまずありませんが、心房細動の状態が続くと、一部の人では心房の中に血のかたまり
(血栓)ができやすくなり、それが脳にとんでいって、脳梗塞を起こすことがあります。

 そのため心房細動を予防する薬のほかに、血液を固まりにくくする薬を飲んでもらうことがあります。

怖くない不整脈とは

 脈がたまに飛ぶ程度の人や、症状のない徐脈は心配のないことがほとんどです。
 また、運動や精神的な興奮によって脈が速くなる場合も心配ありません。

 ただ、不整脈がある場合は、何が原因で起こっているか、元に心臓病がないかなどを、最低一度は心電図検査などで確認してもらった
 方がよいでしょう。

 一方、安静にしている時に起こる頻脈のうち、数十秒から数分の間に脈が速くなるけれども、脈拍数はせいぜい1分間120までで
 あり、その後徐々に遅くなる場合も、大抵は病的な頻脈ではありません。

 救急車で病院に運ばれてくる人のなかに、息苦しさとともに動悸や両手足のしびれを訴える人がいます。

 脈が速く打つので、怖い心臓病ではないかと不安がつのって受診される場合がほとんどですが、そういう人に動悸の起こり方を聞き
 ますと数分以上かけて徐々に脈が速くなり、徐々に遅くなるタイプであることが少なくありません。

“自分は心臓が悪いのではないか”という不安感をきっかけに、精神的な興奮によって脈が速くなったり、息をしすぎる、つまり
「過呼吸」になったりしたために起こることが多いのです。

 脈拍が120以下で規則正しく打っておれば大丈夫だ、と自分自身に言い聞かせ、まず落ち着くことが大切です。

不整脈の検査方法

 普通の心電図検査を中心に胸部X線、血液検査、さらにホルター心電図、運動負荷心電図、心臓超音波検査などを行います。
 いずれも痛みは伴わない検査です。

 ホルター心電図は携帯式の小型の心電計をつけたまま帰宅してもらい体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化する
 かをみる検査です。

 不整脈の数がどれくらいあるか、危険な不整脈はないか、症状との関係はどうか、狭心症は出ていないか、などがわかります。

 運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりするものです。
 運動によって不整脈がどのように変わるか、狭心症が出るかどうかをチェックします。

 心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に病気があるかどうかが診断できます。

 心エコー検査と運動負荷検査で異常がなくホルター心電図で危険なタイプでなければいくら不整脈が数多く出てもまず心配する
 必要はないのです。

ほとんどが治せる

 この10年間で不整脈の治療法はめざましく進歩し、いまではほとんどが治せるようになっています。

 まず、徐脈の人は「ペースメーカー」を体内に取りつけることで、健康な人と変わらない生活ができるようになりました。
 ペースメーカーは遅くなった自分の脈(電気の流れ)の代わりに、心臓の外から電気刺激を与える装置です。

 この装置を取りつける手術は肩の皮膚の下に電気刺激を発する小さな本体(電池)と、その刺激を心臓に伝えるリード(電線)
 を入れるだけですから、局所麻酔で簡単にすますことができます。

 頻脈には「カテーテルアブレーション」という方法が開発され、手術せずに治せるようになりました。

 細い管(カテーテル)を足の血管から入れて、その先端から高周波を流し、頻脈の原因になっている心臓の筋肉の一部を焼く
 ことによって不整脈を起こさないようにします。

 致命的な不整脈が起きても、それを自動的に感知して止めてしまう装置(植え込み型除細動器)もあります。

備えあれば憂いなし

 これらのほかに、よく効く抗不整脈薬も次々開発されています。

 仮に自分の不整脈が怖いタイプとわかっても、その多くは治すことができるようになっていますから、あまり心配せずに受診
 してください。

 要は自分のタイプをよく知って、それなりの対策をとっておれば、無用の心配はいらないということなのです。

≫戻る

難聴について

難聴の原因となる疾患
聴神経腫瘍

 聴神経腫瘍(前庭神経鞘腫)とは、聴神経にできる良性の腫瘍で、音の刺激を脳に伝達する蝸牛に近い聴神経にできます。
 この腫瘍はゆっくりと増殖していきますが、大きくなるにつれて聴神経などを圧迫し、難聴の原因となることがあります。
 30代から50代に多く発症し、発症率は年間10万人に1人程度です。

 聴神経腫瘍は(顕微鏡)手術で取り除く事ができますが、それによって重度の難聴を引き起こす事があります。

真珠腫

 真珠腫とは中耳の上皮組織が球状に増殖して耳の周りの骨を破壊する病気です。
 真珠腫は、先天性のこともありますが、慢性中耳炎の合併症として起こることが一般的です。

 中耳炎を繰り返していると、中耳腔の圧力が弱くなり、鼓膜が内側に凹みます。
 そこに上皮がたまり、嚢胞が形成されます。

 この嚢胞が大きくなること、感染を起こすことがあり、聴力や平衡感覚だけでなく表情筋にも影響を与える可能性があります。
 症状は、めまいや耳だれ、難聴などです。

前庭水管拡大症

 前庭水管とは、内耳と頭蓋骨深部をつなぐ細い骨の管です。
 この管が1.5ミリ(ピンの先端の直径くらい)を超えると肥大とみなされます。

 前庭水管が肥大すると、通常、内リンパ管と内リンパ嚢も同じように肥大します。

 内リンパ管と内リンパ嚢の機能は完全には解明されていませんが、内耳の内にあるリンパ液のイオン量を調節していると考えら
 れています。

 このイオンは、脳に音声と平衡感覚の情報を送る神経信号の誘発を促します。
 研究によると、蝸牛の有毛細胞が損傷することで起きる感音性難聴がある子どもの5%から15%は、前庭水管が肥大していると報告
 されています。

メニエール病

 メニエール病とは、平衡感覚と聴こえに影響を与える病気です。
 メニエール病は、突発性のめまいや耳鳴り、耳閉感や痛み、聴力の低下を引き起こします。

 聴力の低下は、一過性の場合と、継続して起こる場合があります。
 めまいによって気分が悪くなり、吐き気をもよおすこともあります。

 メニエール病の原因は解明されていませんが、内耳のリンパ液の不均衡が関連していると考えられています。
 投薬や手術が行われることもありますが、カフェイン・アルコール・タバコ・塩分を控え、ストレスを減らすことで、めまいの
 発作を予防できます。

髄膜炎

 髄膜炎とは、ウイルスまたは細菌による感染症です。
 脊髄と脳髄を覆う膜、髄膜の炎症と腫れを引き起こします。

 一般的な症状は、頭痛、発熱を伴う首の後ろのこわばり、意識混濁、嘔吐、光や音に対する感覚過敏などです。
 髄膜炎によって、難聴や失聴といった深刻な後遺症が残る可能性があります。
 髄膜炎はウイルスや細菌、その他微生物の感染の他に、まれに医薬品の刺激によっても発症することがあります。

耳硬化症

 耳硬化症とは、鼓膜の内側(中耳)および内耳に骨のような組織が異常増殖することです。
 一般的な症状としては、耳鳴り、めまい、聴力の低下があります。

 中耳や内耳の機能が低下することで、高度難聴や失聴に至ります。耳硬化症の

 女性の発症率は男性の2倍ほどで、妊娠中や産後は症状が悪化することがあります。
 耳硬化症による聴力の低下は、手術によって改善することがあります。

耳毒性薬剤

 耳毒性薬剤は、耳の器官に悪影響を及ぼすため、難聴の一般的な原因となります。
 特に定期的に薬を服用している高齢者に多くみられる難聴です。

 初期症状として、耳鳴りとめまいが現れるのが一般的で、聴力は急速に低下する傾向があります。
 薬剤の使用を中止すると、すぐに聴力が正常に戻ることもありますが、薬剤の種類によっては、聴力の回復が望めないことも
 あります。

 次のような薬剤を使用した場合に難聴の原因となることがあります:
 大量のアスピリン(1日8から12錠)、非ステロイド性抗炎症薬、抗生物質、高血圧や心不全の治療に用いるループ利尿薬、がん
 治療薬。

老人性難聴

 老人性難聴は、加齢とともに進行し、次第に高い音が聴き取りづらくなります。
 これは成人後、早いうちから始まりますが、通常ではかなり高齢になるまで、会話に支障をきたすことはありません。

 遺伝的要因によって難聴の程度には大きな個人差がありますが、老人性難聴は通常の老化の過程における聴力の低下であり、騒音
 に長時間さらされることで起きる難聴、薬剤や疾患によるものとは異なります。

突発性難聴

 突発性の感音性難聴の特徴は、急激な聴力の低下です(少なくとも30dB以上の聴力低下が連続する3つ以上の検査周波数で生じる
 こと)。これは突然に起きる場合だけでなく、3日間にわたって聴力が低下した場合も含みます。

 年齢や性別に関係なく発症しますが、50歳から60歳までの人に多く見られます。
 突然、片方の耳の聴力が低下し、耳鳴りや耳閉感、時にはめまいも併発します。

 これらの症状が現れた場合には、すぐに治療を開始することが望ましいとされています。
 多岐にわたる要因がこの難聴の原因と考えられているため、原因を正確に特定できることはほとんどありません。

 治療を受けることなく3日以内に回復する場合や、1週間から2週間でよくなる場合がありますが、聴力が回復しない場合や、さらに
 悪化した場合には、ステロイド投与などの様々な治療を行います。

外傷

 音響外傷とは、騒音よって内耳の聴覚機能が低下することです。
 耳のそばで爆発や発砲が起こったり、長期間にわたって大きな音で音楽を聴いたり、工場などで騒音にさらされたりすると、音響
 外傷が起こります。

 症状には、部分的な高音部の聴力低下や耳鳴りなどがあります。
 音響外傷による聴力の低下は、放置しておくと悪化することがあります。

≫戻る

味覚障害について

味覚障害とは

 味覚障害は、味がわからない、味が薄く感じるなど、味覚の低下や異常によって生活に支障が出る状態です。

 味覚障害が起きると、食欲がなくなって栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分や糖分をとりすぎたり、健康に影響が及ぶ
 こともあります。

 味覚障害は、味を感じる仕組みが何らかの原因でうまく働かなくなることで起こります。

 私たちが食物を食べると味を感じるのは、舌の表面の乳頭という細かいブツブツの中の、「味蕾(みらい)」というセンサーが働
 くためです。

「味蕾」の中には、味を感じる細胞、味細胞があって、甘さや塩辛さなどの味を感知しています。
 感知した味は味覚神経を介して、脳の中枢に伝えられます。

 これに加え、嗅覚でとらえられた香りなどの情報も脳に伝えられます。
 さらに、食べ物の硬さなどの触覚、噛んだ時の音は聴覚、見た目は視覚でとらえられます。
 こうしたすべての情報が、脳の前頭葉で統合され、私たちはおいしさを感じるのです。

味覚障害の原因

 味覚障害の主な原因は、「加齢」、味を感じる細胞の再生を促す「亜鉛」の不足、口腔内が乾燥する「口腔疾患」、鼻づまりや
 アレルギー性鼻炎などによる「風味障害」、糖尿病や腎臓・消化器などのさまざまな病気の「合併症」、「薬の副作用」、ストレ
 スによる「心因性」などです。

 味覚障害になると、食の楽しみが減るばかりでなく、食欲不振から栄養不足になったり、味付けが濃くなって塩分や糖分をとりす
 ぎたりと、栄養障害の危険性も高くなるため、早めに受診し、対処することが大切です。

味覚障害の診断

 味覚障害の診療は、耳鼻咽喉科が専門です。
 全国の大学病院では、味覚障害を専門的に診てもらえます。
 また歯科や内科の医師が診療を行っていることもあるので、最寄りの医療機関で、味覚障害に対応してもらえるか調べてから受診
 するのがよいでしょう。

 味覚障害かどうかは、問診、視診、血液検査や尿検査、味覚検査によって診断されます。問診では、自覚症状や症状が続いている
 期間、味覚障害を起こす可能性のある病気の有無、薬をのんでいるかなどを確認します。血液検査では、肝臓や腎臓の機能や、亜
 鉛欠乏があるかなどを調べます。

味覚障害をチェックする検査法「電気味覚検査」「ろ紙ディスク法」

 「電気味覚検査」では舌の神経の働きをみます。
 舌に電極をあて、電流の強さを変えて、かすかな電気刺激で味覚を調べます。

 「ろ紙ディスク法」では、「甘味、塩味、酸味、苦味」の4つの基本の味がついた溶液を、ろ紙にしみこませて舌の上にのせてい
 きます。
 それぞれの味には5段階の濃度があり、どの濃度で味を正しく感じられるかを調べます。

味覚障害の治療

 味がわからない、味が薄く感じるなど「味覚障害」の治療の基本は、まず亜鉛を十分とることです。
 食事で十分にとれないときは、サプリメントや亜鉛製剤という薬が処方されることもあります。

 心因性の場合は、抗うつ薬や抗不安薬を使うなど、心の治療を行うことで味覚障害が改善します。
 薬の副作用で味覚障害が起こっている場合には、担当の医師と相談しながら、服用中の薬を見直し、場合によっては薬を中止する
 こともあります。

味覚障害の治療・予防に必要な「亜鉛」を多く含む食品

 亜鉛を多く含む食品を積極的にとりましょう。
「牛肉やレバー」、「チーズなどの乳製品」、「牡蠣やカニ、いわしなどの魚介類」、「しいたけ」、「ワカメやひじき、もずくなど
 の海藻」に亜鉛が多く含まれています。

≫戻る

なんとなく物が見えずらくなった場合

加齢黄斑変性

 ・ものがゆがんで見える
 ・見えない部分がある
 ・目がかすむ
 ・視力が落ちる

 加齢黄斑変性は年を重ねると発症する可能性がある病気です。

滲出型加齢黄斑変性

 滲出型加齢黄斑変性(しんしゅつがたかれいおうはんへんせい)では、脈絡膜(みゃくらくまく)から網膜に向かって、新生血管
(しんせいけっかん)という正常とは違う血管が生えてきます。

 この血管はもろく破れやすいため、出血したり、血液中の水分(滲出液)がもれたりしやすく、黄斑部の網膜の下にたまってしま
 います。そのため、視野の中心にある「見たいもの」が見えにくくなってしまいます。

日本における加齢黄斑変性

 50歳以上の約1.2%(80人に1人)にみられ、年を重ねるごとに多くなります。

 また、患者数も年々増える傾向にあります。諸外国に比べ、日本人では、男性に多いことが特徴です。
 これは高齢者における、男性の喫煙率が高いことが影響していると考えられています。

加齢黄斑変性になりやすい人

 加齢黄斑変性は年を重ねると誰にでも発症する可能性がありますが、発症のリスクを高めるのは、加齢だけでなく、喫煙や太陽光
 なども関係していると報告されています。

 これらのリスクを高める要因を避けることは、加齢黄斑変性の発症を予防し、進行を遅らせると考えられています。

加齢黄斑変性の予防に有用な栄養素

 発症や進行を予防するために、亜鉛、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、ω-3多価不飽和脂肪酸などの栄養素が有用と考えられ
 ています。

 亜鉛 牡蠣         牛肉、豚レバー
 ビタミンC        緑黄色野菜、緑茶
 ビタミンE        油脂類、アーモンド
 ベータカロテン      緑黄色野菜
 ω-3多価不飽和脂肪酸    魚類

 片眼に発症すると、もう片方の目に発症する可能性も高いと言われています。
 推奨される栄養素を摂ることは、もう片方の目の発症を避ける方法のひとつと考えられます。

ものが見える仕組み

 目に入った光は、水晶体(すいしょうたい)などで屈折し、網膜(もうまく)に達した後、脳で認識されます。カメラにたとえると
 水晶体はレンズ、網膜はフィルムのはたらきをしています。

視力の大切な役割を担う「黄斑」

 網膜を正面からみると、ほぼまん中に、黄斑(おうはん)とよばれるほかの部分より少し黄色く見える部分があります。

 黄斑はものの詳細を見分けたり、文字を読んだりするのにとても大切な場所です。
 さらに、黄斑の中心は中心窩(ちゅうしんか)とよばれ、視力にもっとも重要な場所です。

見え方の変化

 滲出型加齢黄斑変性では、黄斑部の網膜が脈絡膜にある新生血管からの出血やもれ出た血液中の水分により傷害されます。そのため、
 中心部に見えないところやゆがみが生じます。

 ・ゆがんで見える(変視症)
  中心にあるものが、ゆがんで見えます。
  周辺のものは正しく見えます。
 ・中心部が見えにくい(中心暗点)
  中心に見えない部分があります。
 ・ぼやけて見える(視力低下)
  視力が低下します。
  特に、中心部がぼやけて、見ることがむずかしくなります。

検査について
視力検査

 指定の距離から、視力検査表を片眼ずつ見て、どの大きさまで見えるか調べます。
 見えにくい場合は、検査表に近づいて測定します。

眼底検査

 目の奥に光りをあてて、網膜を直接観察します。

蛍光眼底造影

 蛍光色素の入った造影剤を腕の静脈から注射して、眼底カメラで眼底の血管を観察します。
 血管の形や位置、血管からの血液中の水分のもれ具合などがわかります。

光干渉断層計(OCT)

 網膜は層構造になっており、その層構造を断面的に観察する検査です。
 滲出や新生血管の状態がわかります。

治療について

 中心窩の下に新生血管があるときに行える治療法

抗VEGF薬治療

 VEGFのはたらきを抑えるお薬を目に注射します。新生血管の成長やそこからもれ出る血液中の水分を減らします。

光線力学的療法(PDT)

 光に反応するお薬を腕の静脈から投与し、弱いレーザーを照射して、新生血管を閉塞させます。

レーザー光凝固

 レーザー光線を、新生血管のあるところに照射します。
 新生血管の成長を止めることができますが、同時に網膜も凝固されるため、照射したところの網膜では、ものが見えなくなります。

定期的な治療の重要性

 抗VEGF薬による治療は、一旦症状がよくなっても、再発することもあるため、定期的に検査と治療が必要です。
 気が付かないうちに病状が進行して、視力が低下したり、見えにくい範囲が広がったりするのを防ぐためにも、定期的な検査と
 治療が大切です。

糖尿病網膜症

 ・糖尿病の方で
 ・目がかすむ
 ・ものがゆがんで見える
 ・見えない部分がある

糖尿病網膜症、糖尿病黄斑浮腫とは

 糖尿病網膜症は、糖尿病で血糖値が高い状態が続くことにより起こる合併症で、三大合併症と呼ばれる代表的な合併症のひとつです。

 長い期間、血糖値の高い状態が続くと、網膜にはりめぐらされている細かい血管(毛細血管)が傷ついたり、つまったりして起きる
 病気です。

 病気の初期では、見え方に変化はありませんが、放っておいて病気が進行すると、ゆがみや見えないところが現れます。
 糖尿病黄斑浮腫は、糖尿病網膜症のいずれの病期においても合併することがあります。

 糖尿病黄斑浮腫は、網膜の細い血管にコブができたり、血管から血液中の成分がもれだし、それが網膜内にたまっている状態です。
 そのため、ものの詳細を見分けたり、文章を読んだりするのにとても大切な場所、「黄斑」がむくんでしまい、ものが見えづらく
 なります。

日本における糖尿病網膜症

 糖尿病網膜症の有病率は15.0〜23.0%との報告があります。
 患者数は大きく増加していませんが、糖尿病患者数が増加しており、今後、糖尿病網膜症も増加する可能性が指摘されています。

糖尿病網膜症になりやすい人

 糖尿病網膜症の発症リスクを高めるのは、糖尿病歴とHbA1cとの報告があります。

 血糖値を良好に保つことは、糖尿病網膜症だけでなく、ほかの糖尿病合併症も遠ざけることに繋がりますので、よりよい血糖コント
 ロールをめざしましょう。

糖尿病網膜症の進行

 糖尿病網膜症は、単純網膜症→増殖前網膜症→増殖網膜症と進行します。
 黄斑浮腫はいずれの病期においても合併することがあります。

単純網膜症

 毛細血管がやぶれ始め、血管にコブができたり(毛細血管瘤(りゅう))、出血したりします(点状出血)。
 また、やぶれた血管から、血液や血液中の成分がもれだします。
 黄斑浮腫が合併することがあります。

増殖前網膜症

 血管の障害が繰り返されることで血管壁が厚くなり、血管が狭くなったり、つまったりして(血管閉塞)、血液が網膜に十分に
 流れなくなる(虚血)状態です。

 黄斑浮腫が合併することがあります。

増殖網膜症

 虚血になると、網膜では、新しい血管が作られます(新生血管)。
 新生血管はもろく、壊れやすいので、出血を起こすことがあります。

 また、硝子体(しょうしたい)に膜ができ、その膜が収縮して硝子体と網膜を癒着(ゆちゃく)させ、網膜を引っ張り、
 網膜?離(はくり)を引き起こすこともあります(牽引(けんいん)性網膜剥離)。

 黄斑浮腫が合併することがあります。

網膜静脈閉塞症

 ・急に視力が落ちる
 ・視野の一部が欠ける
 ・ものがゆがんで見える

 網膜静脈閉塞症は、網膜の静脈が詰まっている状態です。
 網膜の静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。
 また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

網膜静脈閉塞症の種類

 網膜静脈閉塞症は、詰まった静脈の場所により、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症などに分類されます。

網膜中心静脈閉塞症

 眼球の後方にある網膜中心静脈(根本)が詰まって発症
 網膜中心静脈閉塞症は、網膜中心静脈という血管が、詰まっている状態です。

 網膜中心静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。
 また、網膜に血液中の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

網膜静脈分枝閉塞症

 静脈が網膜内で枝分かれしている部分(枝の部分)が詰まって発症
 参考:半側網膜中心静脈閉塞症

 網膜中心静脈閉塞症の特殊例。網膜中心静脈が2本ある人があり、2本のうち1本が詰まって発症するもの
 網膜静脈分枝閉塞症は、網膜の静脈(血管)が詰まっている状態です。

 主に網膜の動脈と静脈が交差している部分に血栓ができ、血管が詰まります。

 網膜の静脈が詰まると静脈の圧力が上がり、網膜の血管が広がったり、蛇行したり、出血したりします。また、網膜に血液中
 の水分がたまったりして、むくみ(黄斑浮腫)を起こします。

日本における網膜静脈閉塞症

 40歳以上の日本人では網膜静脈閉塞症の有病率は2.1%との報告があります。
 男女共に有病率は年齢と共に増加する傾向にあります。

網膜静脈閉塞症になりやすい人

 網膜静脈閉塞症は、年を重ねると発症しやすい病気で、高血圧や動脈硬化と深い関連があります。

 網膜静脈閉塞症の患者さんの多くは、高血圧のある方です。これは、高血圧により、血管がダメージを受けること、
 つまり動脈硬化が影響しています。

 高血圧のほかにも、血管自体の炎症により発症したり、糖尿病などの血液の粘性が増す病気がある方でも発症しやすくなります。
 また、緑内障のある方も発症しやすいと言われています。

病的近視における脈絡膜新生血管

 ・近視をお持ちの方で
 ・ものがゆがんで見える
 ・見えない部分がある

 病的近視における脈絡膜新生血管(みゃくらくまくしんせいけっかん)は病的近視の方の5〜10%に起こる病気で、眼底(がんてい)
 で出血やむくみを生じる病気です。

 現在、治療法は大きく進歩し、きちんと治療を続ければ、症状の改善が期待できるようになりました。

日本における近視性網膜症

 日本人の近視性網膜症の有病率は1.7%と報告されています。男性に比べて女性の有病率は約2倍です。

近視と病的近視

 近視はアジア人では約40%にみられます。
 病的近視は、近視のなかでも眼の前後の長さが伸びているため、さまざまな眼底の病気を伴うものをさします。
 眼の前後の長さは小児期から青年期にかけて延長します。

血管新生緑内障

 ・視力が落ちる
 ・目がかすむ
 ・目が痛い

 血管新生緑内障は、眼内(網膜など)の血液の流れの滞とどこおり(虚血きょけつ)が原因で、眼内に異常な血管(新生血管)
 がつくられることにより眼圧がんあつが高くなる目の病気です。

 血管新生緑内障は、いったん高眼圧こうがんあつとなるとさらに虚血が悪化し、血管新生も増悪する悪循環に陥おちいってしま
 うため、早期に発見・早期に治療をすることが大切です。

 現在、治療の目的に応じていくつかの治療法があり、患者さんの状態に合わせて組み合わせて治療を行います。
 診断されたら主治医の指示に従って、治療に専念することが大切です。

血管新生緑内障の進行度による分類

 血管新生緑内障は進行度によって3期に分類されます。

前緑内障期(第T期)

 新生血管ができているが、 房水は流出しており眼圧がんあつは正常

開放隅角緑内障期(第U期)

 新生血管の増加によって房水が流れにくくなり眼圧が上がる(眼圧が著いちじるしく上がることもある)

閉塞隅角緑内障期(第V期)

 新生血管が多数できたために隅角がふさがり著しく眼圧が上がる

血管新生緑内障の3大原因疾患

 血管新生緑内障発症の原因となる病気として以下の3つが知られています。
 ・糖尿病網膜症
 ・網膜静脈閉塞症
 ・眼虚血症候群

血管新生緑内障の主な症状

 血管新生緑内障は、目にできた新生血管が原因で急に眼圧が高くなる病気で、霧視や眼痛ががおこります。

見え方の変化は病気のサイン

 ゆがむ  かける  かすむ
 「最近、見え方がおかしい」、「急に視力が落ちた」と感じることはありませんか。
 それは網膜の病気を知らせるサインかもしれません。

網膜疾患

 「網膜」とは、眼球の後部内側にある膜で、視細胞や血管が集まっているところです。
 目に入った光を感知する機能があり、ここに異常が生じると、視力障害につながります。

 「疾患」とは病気のことで、網膜に起こる病気を「網膜疾患」といいます。
 網膜疾患の中には、年齢を重ねることで起こるリスクが高くなるものがあります。

≫戻る

動悸について

動悸とは

 心臓の強さ・速さ・リズムのどれかが正常の範囲から乱れている状態です。
 普段よりも心臓の拍動が強くなったり、速くなったりする症状がみられます。
 安静時に動悸を感じる場合は、心臓の機能が落ちるような疾患や貧血、精神的な疾患などが背景に隠れている可能性もあります。

緊急で受診が必要な場合

 以下のような場合は、緊急で受診が必要です。
 ・30分以上動悸が続く
 ・呼吸が苦しい
 ・意識がもうろうとする
 ・冷や汗をかいている
 ・胸がしめつけられるように痛む など

動悸の原因と対処法

 健康な方でも、運動や精神的ストレス、血圧が上昇した際に動悸を感じることがあります。
 ただ、頻繁に動悸がある場合は何かしらの病気が隠れている可能性があります。

 動悸以外の症状もあればメモをして、内科や循環器内科を受診しましょう。
 主な動悸の原因には以下が挙げられます。

心臓の病気

 心臓の病気によって、不整脈や心不全、心房細動などを起こしている可能性があります。必要であれば、外科的な手術やカテーテル
 治療が行われます。

精神疾患

 うつ病やパニック障害、適応障害、心気症などの精神疾患によって、動悸の症状が出ることがあります。
 その場合は、精神疾患の治療を行います。

更年期障害

 女性の場合、更年期や妊娠中など、女性ホルモンの分泌量の変化が原因で動悸の症状が出ることがあります。
 日常生活に差し支えが出るほどの場合は、早めに婦人科や産婦人科に受診しましょう。

カフェインなどの大量摂取

 コーヒーや紅茶などのカフェインが多く含まれた飲み物を多く摂取すると、動悸が起こることがあります。
 他にアルコールの飲みすぎや、タバコの吸いすぎでも動悸が起こることがあります。

 これらの物質は自律神経を刺激して、心拍数を速めるため動悸を起こす原因となります。
 カフェインやアルコール、タバコを控え、それでも改善しないときは受診しましょう。

ストレス

 精神的ストレスによって頻脈になったときや、血圧が上昇して心機能が亢進したときに動悸を感じることがあります。
 単に精神的要因だけで動悸が生じることもあります。

 内科や循環器内科で検査をしても異常が見つからない場合は、精神的なものが原因かもしれません。
 心療内科や精神科を受診してみましょう。

薬の副作用

 薬の副作用が原因で動悸が起こる場合もあります。
 服用中の薬に副作用として動悸が挙げられている場合や服用後に動悸を感じた場合は、かかりつけ医に相談しましょう。

そのほか動悸が起こる病気

 心臓自体に病気がなくても、甲状腺機能亢進症や低血糖症、貧血などの病気によっても動悸が起こります。

動悸の予防
カフェインの摂取を控える

 カフェインやアルコールを多く摂取すると動悸が起こります。摂りすぎている自覚がある方は飲む量を控えるようにしましょう。
 タバコも同様です。

ストレスを解消する

 動悸の原因が精神的なものと考えられる場合は、以下のことを心がけましょう。
  ・気分をリラックスさせる方法を見つけておく
  ・意識して深呼吸を心がける
  ・腹式呼吸をする
  ・ 水分をこまめに取る
  脱水症状から動悸が起こることもあります。
  夏場やお風呂上り、運動時など汗をかいたときは、十分に水分補給をしましょう。

病気がある場合は治療に専念する

 心臓やそのほかに病気に起因する場合、まずは治療をすることが動悸の予防になります。